第七話 シーホース戦と報酬と街への帰還
段々と近づいてきたそれは水で出来た角を持った馬だった。距離が残り10メートルほどになった時、角の先がクルクルと渦巻いたと思ったら何かが飛んできた。慌てて回避したが若干掠ってしまった。どうやら水の針を飛ばしてきたらしい。
「っ! 痛いなぁ! これでも喰らえ!」
衝撃の魔眼をぶっ放して一瞬怯んでいる間に距離を詰めアインス達に攻撃を指示したあともう一度衝撃の魔眼を使った。左右前から襲い掛かられたら溜まったもんじゃないだろう!
「んなっ!」
シーホースの足元の水面から何かが飛び出しアインス達の攻撃を身をもって防いでいた。飛び出してきたのはデカイ魚のモンスターでおそらくシーホースが従えるモンスターだろう。普通に忘れていた。
攻撃チャンスを逃したことで自由になったシーホースは後ろに下がりながら再度、角が渦巻き今度は3本の水の針が飛んできた。流石に避けるのは無理と判断して蛸足を一本盾にするように構え水の針を薙ぎ払ったが代償に蛸足が1本消し飛んでしまっていた。
HPも70パーセントまで減っていてかなりきつかった。距離を開けられる前に何とかしてあの魚類共を潜り抜けシーホースを叩かねばこちらが先にやられそうだった。
「アインスッ! 少しでも隙が出来たら攻撃して他の子は魚類共を噛み砕いて! アインスを援護! クルマは射程に入ったらどんどん静電を撃ち込んで!」
指示を出した後に衝撃の魔眼を使いながら再度、距離を詰めた。私のほうに来る魚類共の血を浴びる事すら厭わずに千切っては投げ千切っては投げを繰り返し、定期的に衝撃の魔眼を使い妨害しながらMPが尽きる前にシーホースの直前へとたどり着いたがHPは30パーセントを下回っていた。そしてやっとアインスがシーホースを捉え、その首に食らい付いた。
「お返しだ!」
首を食らい付かれて暴れ回るシーホースを蛸足で縛り上げ顔面をぶん殴ってやった。そのまま何度か殴っているとぐったりとして動かなくなり、さらに殴り続けていると通知が大量に出てきて、戦闘チュートリアルと同じようにシーホースがキラキラと霧のようになり消えていった。
ピコンッ!
<スレイブフィッシュ>×47を討伐しました。
<Exp470>を入手しました。
<種族Lv>が上がりました。
<召喚者Lv>が上がりました。
<指揮者Lv>が上がりました。
<スレイブフィッシュの魔石>×47を討伐しました。
<スレイブフィッシュの鱗>×32を入手しました。
<スレイブフィッシュの身>×18を入手しました。
<シーホース>を討伐しました。
<Exp2400>を入手しました。
<種族Lv>が上がりました。
<召喚者Lv>が上がりました。
<指揮者Lv>が上がりました。
<シーホースの魔石>を入手しました。
<シーホースの角>を入手しました。
<スキル:再生>を習得しました。
<スキル:殴打>を習得しました。
<称号【ジャイアントキリング】>を取得しました。
<称号【殴殺】>を取得しました。
<称号【血濡れの無慈悲】>を取得しました。
<スキルLv>が上がりました。
「倒したー!!」
大漁の通知を横目に広々とした海に向かって思いっきり叫んでいた。
なんとかこちらのHPが0になる前に倒せた。ステータスを確認すると残りHPが8しか残っていなかったので慌てて初心者のポーションを2個ほど使い回復した。戦闘中に失った蛸足はHPを回復すると僅かにHP消費し再生していた。ここら辺はアインス達と同じようで安心した。再生しなかったらどうしようって焦っていたのは内緒だ。
「アインス達とクルマもお疲れ様!ありがとう。うりうり~」
アインス達とクルマを撫で回しながらお礼を言い、ステータスの確認は後にして一旦村へ報告も兼ねて戻ることにした。
村の海辺まで戻ってくると何故か漁師のおじさん達と村長が待っていた。
海から上がり浜辺まで来ると村長がおずおずと、どうでしたか?と聞いて来たのでインベントリからシーホースの角を出して見せた。
「おお!! これはまさしくシーホースの角! ありがとうございます! ありがとうございます!」
凄い勢いで村長が喜んでいた。漁師のおじさん達も好きなポージングを取って喜び?を表していた。
ピコンッ!
<村長の依頼:モンスター退治>を完了しました。
報酬:ギルドでお受け取りください。
「いいよ。こっちも色々収穫もあったし宝珠のお礼だからね」
そのあと村に戻り、再度村人達にシーホースの角を見せたところ宴だぁー!! とみんなして騒ぎ始めていた。
最初は怖がられていたが慣れて来たのか村の子供達にアインス達がもみくちゃにされてクルマが私の頭に避難してきていた。大人たちはおろおろとしていたが、私やアインスが嫌がっていないのを見てほっとしていた。
クルマにも触りたそうにしていたが私以外が触るのはあんまり好きじゃないみたいだから代わりにスレイブフィッシュの鱗をプレゼントしておいた。それなりに大きくキラキラしているため子供達は大はしゃぎで喜んでいた。
「そろそろ街に戻らないと夜になっちゃうから戻るね」
少し離れた所に居た村長に話しかけた。
「分かりました。今回は本当に助かりました。」
子供達にも別れを告げ村を発った。
行きと同様に何事もなく1時間ほどで街に到着した。門に辿り着いた頃にはすっかり日も沈み篝火が門を照らしていた。行きとは別の門番でまた警戒されたがギルドカードを提示し、街に入れてもらえた。
とりあえずもう夜になっているのでノイマンに会うのは明日にしてギルドへ報告も兼ねて向かおう。
今度は迷子にならずに無事ギルドへ到着した。中へ入ると最初と同じようにまた私のほうを見て黙り込んでいた。そしてしばらくするとまたざわざわとし始めていた。
「おい、あれって昼間報告のあった?」
「何の種族だあれ? お前知ってるか?」
「あの狼頭めちゃくちゃ怖いんだけど」
「また小っちゃい狐さんだ!。可愛いなぁ」
「レア種族か?いいなぁ......俺なんてゴブリンだぜ......」
最後の人ドンマイ。とりあえず気にしないようにしてしていると受付でフィーアさんが手を振ってこちらを呼んでいた。
「おかえりなさい~あの後クエスト受けていないようでしたが何か御用ですかぁ?」
「ノイマンって学者のお爺さんにちょっとお話を聞いててね。それで少し離れた漁村で依頼を受けたんだけどそれの扱いってどうなるの?」
「ああ~現地でクエストを請け負ったんですね~確認してきますので少々お待ちをぉ」
そう言ってフィーアが奥へ引っ込んだ。しばらくすると慌てたように奥から戻ってきた。
「シーホースの討伐依頼を受けたんですかぁ! 良くご無事でしたねぇ」
確かに強かったけどそこまで驚くこと?って思ったけどランクEに登録したばっかりの新人がランク上で私は問題ないとしても普通の人は海で戦うとなるとさらに苦戦しそうだもんね。
「ギリギリだったけどなんとか倒せたよ。ほら私の体ってこうじゃない?だから海の方が戦いやすいくらいなんだよね」
そう聞いたフィーアさんは確かに蛸足ですもんねぇと頷いていた。
「それでもランクC+依頼なので難易度は高いはずですよぉ」
「え? ランクDじゃないの?」
「それはモンスター自体のランクです~スレイブフィッシュもたくさんいなかったですか~?基本的に一緒に行動してシーホースの援護をするんです~それに海で戦うとなると地上で戦うのとは難易度が変わりますからねぇ」
あぁたしかにスレイブフィッシュはとても邪魔だった。
「そっか。それで報酬ってどうなってるの?」
「受注処理は済んでいるので~受け取りカウンターで討伐証明である魔石を見せて報酬を貰ってくださいねぇ」
フィーアさんにお礼を言って受け取りカウンターまで来た。
「こんばんは。報酬を貰いに来たんだけど」
「こんばんは。報酬ですね。ギルドカードの提示と討伐証明の魔石の提出をお願いします」
言われた通りにギルドカードを渡してシーホースの魔石をインベントリから出した。
「ランクEでシーホースを倒したんですか......凄いですね。ではこちらが報酬となります」
そして布に入ったお金を渡されそのままインベントリにしまった。
<110,000ウェル>を入手しました。
「こんなに貰えるんだ......」
「C+の依頼ですからね」
受け取りカウンターのお姉さんにお礼を言ってギルドを出ていこうとしたところで宿を取っていなかったことを思い出して慌ててフィーアさんに聞きに行ったところギルドの宿泊施設に空きがあるらしく1日500ウェルで借り、部屋でアインス達とクルマと少し戯れた後、名残惜しさを振り切ってログアウトした。
無事シーホースを討伐して報酬貰ってやっと1日の終わりです。
次回は掲示板回です。
チェリー「いや~シーホースは強かったなぁ」
村長「本当に助かりました!」
漁師のおじさん達「これで沖で漁が出来る!!フンッ!フンッ!」
村の子供達「犬さん~もふもふ~」
アインス達「がふがふ」 おろおろ
現在のステータス
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Name:チェリー(アインス、ツヴァイ、ドライ、フィーア、フュンフ、ゼックス)
種族:スキュラ Lv4
メイン職業:召喚者Lv4 サブ職業:指揮者Lv3 サブ職業:
保管職業:
スキル:水中適応 Max 魔力操作Lv2 衝撃の魔眼(小) 眷属強化(小) 初級竹刀術Lv1 初級槍術Lv1 身体操作Lv3 回避Lv2 再生補助Lv3 再生Lv1 殴打Lv1
アーツスキル:召喚・契約Lv1 指揮Lv1
EP 100
HP 150
MP 220(召喚時-48)
STR 30
VIT 10
DEX 15
AGI 10
INT 30
MDEF 15
CRI 10
LUK 10
ステータスボーナス15
称号
【祝福されし者】【海の怪物】【覇者の器】【クルマの主】【ギルドランク:E】【ジャイアントキリング】【殴殺】【血濡れの無慈悲】
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