パーティーを追放されまして・2
僕達は先ず、調査対象のパーティーを見つけるために、冒険者ギルドへと向かっていた。
「今回の依頼人のジャックくんも、ルークくんの紹介なのかい?」
「いいえ、僕は知りません。おそらくは、自発的に僕達の店を訪れたのでしょう」
ルークくんが来てからは、定期的に依頼人を連れて来てくれるようになっていた。それが功を奏して、なんでも屋の名前も広まって来ているのかもしれないな。なんでも屋の未来は明るい。
そうこうしているうちに、冒険者ギルドに到着した。諸事情によりミラには外で待っていてもらうことにした。
あらかじめ、ジャックくんからパーティーメンバーの名前と特徴を聞いておいたので、ギルドにいないか中に入り辺りを見回してみる。
「それらしい人物は見つかりませんね」
今はギルドにいないのだろうか。受付に聞いてみよう。
「すみません、ナイト、エヴァ、ミリアの3人で組んでいるパーティー知りませんか? ここのギルド所属と聞いて来たのですが」
「はい、知っていますよ。先程までこちらにいらしたのですが、『サイクロプス』討伐の依頼を受けて、街の南の平原へ向かわれましたよ」
僕は受付にお礼をいって、ルーク君とギルドの外に出て、ミラとも合流した。
「今回の依頼、戦闘は起こりそうにないから私は帰ってもいいか? あまり、役に立てるとは思えないのだがな」
もお、ミラさんたら、そんな適当な理由をつけて、すぐにサボろうとするんだから。
「この前の害虫駆除の依頼では、僕はほとんど役に立ってなかったでしょ。それはやる前からわかりきっていたことでしょ。でもちゃんと仕事について来たでしょ。そういうことだよ」
「ああ、確かに」とミラさんは納得してくれた。今ので簡単に納得されるのもなんだかなあ。
「今のはコバヤシくんを、自分の力量を正しく理解していると褒めるべきなのでしょうか? それとも、自分で自分をけなすマゾだと罵るべきなのでしょうか?」
僕はいつもルーク君を困惑させてしまっているなあ。反省しないと。
「そういえば、例のパーティーはサイクロプス討伐に出ているらしいけど、『サイクロプス』ってどういうモンスターなんだい?」
僕が尋ねると、ミラがそれに答えてくれた。
「体長は三〜四メートル、人をそのまま大きくしたような外見で、頭には一本のツノが生えている。怪力で、体の表面は硬い外皮で覆われていて、鉄の剣でも歯が立たない。唯一の弱点は、特徴的な単眼だ。そこを剣で貫けば容易く絶命させることができる」
まるで、図鑑に載っている説明文を要約したかのような、わかりやすい説明だった。
「はえー、ミラさんもすっごい物知りなんだな」
これは素直に称賛を送ろう。強いし、モンスターにも詳しいし、やっぱり流石だよミラさん。
「当然だ。私は元プロの冒険者だったんだぞ?」
ミラさんまじパネェっす。そのドヤ顔、まじハンパネェっす。