5.少女は世界のルールを見つける。
やっぱり一回目の投稿ならこれぐらい進めたいよね!ということで、今日はこれで終わりです!明日また書き上がれば投稿します!
軽く休憩を挟み掲示板などのサイトを終わってからチェックしようとブックマークに入れて、再びログインしました。
ログアウトしたときは少し暗かったのが今は日が昇り始めているのか、少し明るいですね。
さて、時間も時間ですが、そのまま教会に入ってしまいましょう。
「おや、こんな明け方に息抜きは出来ましたか?」
「ゼズペットさん起きてたんですか?」
「私はいつでも迷ってる者を導く教職の兼ねていますので、ある程度早起きなんですよ」
「そうなんですか、あの、また本を読みたいので倉庫借りてもいいですか?」
「もちろんですよ。どうぞごゆっくりしてください。」
私は頭を下げてそのまま本がしまってある倉庫へと向かいました。
先ほどは絵本の内容ばかり気になってましたが、今回はこの教会の名前となっている“マナ”について調べてみようと思います。最終的にはこの部屋の本をすべて読むつもりではありますが、やはり優先を決めていかないといけませんからね。
“マナ”について書いてある本は4冊ほどありました。一冊ずつ読んでいくとしましょう。
「えっと、マナには種類があります。赤、青、緑、茶、黒、白です。世界にはこれらが自由気ままに存在しています。魔の力を使うにはこのマナたちに語りかける必要があります。しかし、マナには好みがあります。赤のマナは気分屋ですので強く語りかけなければいけません。逆に青のマナは臆病ですので、強く語りかけると逃げてしまいます。緑のマナと茶のマナは語りかける際の道具に依存します。黒と白に関してはわからないことが多く、現在も魔導共和国で研究が進められていますっと……。」
やはり本は情報の塊ですね、一気に情報が出てきました。この語りかけるというのは、MPの消費のことを指しているのでしょうか、まあMPも集中力とか精神力と言われることがありますからきっとそうでしょう。
さて、もうひとつ気になるのが、魔導共和国ですね、私はまだ現在いる国の名前さえも知らないので、ピンと来ませんが既に実装もしくは、これからのアップデートで追加されるのでしょうか。
しかし、緑と茶に関しては道具次第ですか……将来的には杖以外の道具で魔法を使いたいつもりなので、少し困りますね。そのあたりはリードが空いてる時に手伝ってもらいましょう。
「さて次の本と……マナも種類によってその性質が異なる。赤のマナは集中、青のマナは拡散、緑のマナは伝達、茶のマナは強固、白のマナは増加、黒のマナは減少。それぞれの性質を学びそれぞれに合った語りかけをすることで、ようやく魔の力をコントロールすることができる。また、それぞれに対して相性というものもある。赤のマナは緑のマナを好み、青のマナは赤のマナを好む。緑のマナは茶のマナを好み、茶のマナは青のマナを好む。白と黒はお互いが反発しそれ以外は気にしない。……まだ2冊目だけど……マナを生き物のように書いてるよね、マナは微生物みたいなものなのかな?自然エネルギーとかそういうものじゃない気がする……。」
2冊目をある程度まで読むと私は一度伸びをします。現実では横になっていますが、こういうのは気分の問題です。
「最初の街で手に入れる情報量じゃない気がするんだよね……まあ、プレイは人それぞれだし、運営がどうしてここに配置してたのかもわからないから、気にするだけ無駄かな。さて続き続き」
私は2冊目を読み始めます。
「えっと、魔の力はある程度のコントロールや経験が積み重なると、命令の幅が広がる。逆に経験が浅いうちから大きな力を使おうとすると発動すらできなかったり、最悪の場合は自身にその力が返ってくる場合もある。それゆえに最初のうちは小さな力を確実に命令することがより効率的に経験を積むことができる。」
なるほど、このあたりは効率的な経験値の取得方法ですね、別にわざわざフィールドで敵MOBにダメージを与えたりしなくても発動さえできれば経験自体は入るようです。このあたりは戦闘が苦手な人などにはいいことかもしれませんね。さて、次の本にいきましょうか。
「マナとは※※※であり、その源は※※※である。……ここから読めない。うーん!言語のレベル上がってないの……確認しよう!」
昨日今日と散々読んだりしてるのです。そこそこレベルが上がっていてもおかしくはないはずなのですが、この3冊目も【古代語】が必要なのでしょうか?
name:チェルカ
スキル
【言語】Lv22【火魔】Lv3【水魔】Lv2【風魔】Lv2【土魔】Lv2
【棒】Lv2【錬金】Lv1【調合】Lv1【鍛冶】Lv1【魔力感知】Lv1【観察】Lv2
所持金:1000R
装備
頭:なし
胴:初心者のローブ(翠)
腕:初心者の腕輪(銀)
足:初心者の靴(茶)
武器:初心者の杖(星1)
「レベル22かー……てあれ?ほかの魔系の【スキル】も上がってるし【観察】も……知識が増えたことで多少なりとも経験値が入ったのかな?だったら、もっと造詣を深めて使いやすくしないと!それにしても、レベルが上がった時に表示が出ないと困るな、なにか設定でできないのかな?」
私はコンソールメニューを表示させると設定欄がありそこに、スキルのレベルアップ時のログ表示というのがありました。
「これか!これをonにして、よし、これでレベルが上がったらわかるね。うーん、もうちょっと何か調べてからかな……」
他のマナに関して書かれている本は現在のレベルでは読めないようなので、他の本を探すことにします。
しかし、なにか面白そうな惹かれる本というのは中々見つからないものです。
ふと倉庫の一番奥、光が中々入ってこない本棚が光ったような気がしました。
「今光った?でも反射なんてできないし……なんだろう。」
私はゆっくりとその本棚に近づくと一冊の本の背表紙が淡く光っています。
「これは、【観察】の効果かな?今レベルアップのログが出てきたし……。えっと“魔の力について”?マナ系は調べてたけど、そっか、さっきから本には魔法とかじゃなくて、魔の力って言ってるもんね」
我ながら自分の探しの甘さが嫌になりますね。最終的にはすべての本を読むために、ひっそりと模様替えなどは行っているんですけどね……そんなことより、今はこの【観察】によって見つけた本を読んでみましょう。
「一応今まで同様背表紙は読めるんだよね。」
そう、今まで読めなかった本も背表紙は読めたので、レベル22だとそれぐらいはできるのでしょう。
私は少しワクワクした気持ちで“魔の力について”を開いてみます。中はこのゲーム特有の文字が並んでいます。時間があったらこの文字を解読するのも楽しそうなのですが、今はおいておきます。すると徐々に日本語に変換されていきます。ところどころ虫食いのように読めないところがあったりしますが、それでも8割近くは読めるので一度読んでしまいましょう。
「魔の力とはマナに命令を下し現象を起こす禁忌の技である。そもそも、マナに対して命令をすることでそのマナは時に集まり、時に拡散しそして現象を起こすが、その際にマナは※※する。それにより現象が確定するのである。そして※※したマナは※※※により※※※に行き※※になる。故に、魔の力とは文字通りの魔の力であり、最終的には※※※が※※になる場合もある。大事なところが読めないのがきついな……。多分学術用の言葉とかで【言語】のレベル不足なんだろうな……つらい!」
ここの記載以降はどうやら筆者の考えとか論文系みたいですね、NPCの論文というのは少し気になりますが、開発側のフレーバーでしょう。そう思ってページを捲っていると、とあるページに気になることが書かれています。
「魔の力は生活にとってとても身近なものになってしまっている。しかしそれによって※※※が早くなるのは明白である。そこで私は【魔視】を開発した。これによって過不足なく的確にマナに対して命令を送り、それによって※※※を遅くすることができると考えている。しかしこれが遅延行動でしかないことは、わかっているため、根本的な解決にはならない。」
【魔視】ですって、名前的に魔の力を見るとか、はたまたマナを見ることができる【スキル】でしょうか。しかしそれにしても読めない本がここまで嫌なものだとは思っても見ませんでした、ましてや割と大事そうな部分だけが読めないというのは特に。私は嘆息しながら【魔視】についてどうやって習得できるのかページを捲りましたが、特に記述は無く……いえ、記述があったとしてもこれ以上のページはほぼ虫食い状態で、読めるところのほうが少なくなっていました。
「あ、でもさっきの本にマナの性質について載ってたよね……試してみる価値はあるのかな?」
私は2冊目の本を取り出すと性質について改めて確認を取ります。
・赤……集中、緑のマナが好き
・青……拡散、赤のマナが好き
・緑……伝達、茶のマナが好き
・茶……強固、青のマナが好き
・白……増加、黒と相反する。
・黒……減少、白と相反する。
「もしもこれが正しくて、属性とか関係なくマナに命令できれば……習得できるのかな?」
例えば、赤と緑を目に集めて白でマナを増やすみたいなことができれば【魔視】というのが可能かもしれません。そうと決まれば私はすぐに倉庫を出てフィールドに向かいます。流石爆発などは起こらないと思いますが、本がある中で危険な実験は行えません。
「おや、お出かけですか?」
「ゼズペットさん。はい少し実験したいことがありまして」
「そうなんですか?何やら表通りが騒がしいですので、もしも外に出るなら反対側が良さそうですよ」
「ありがとうございます!またすぐに戻ってきますね!」
ゼズペットさんの言うとおり表通りを避け裏通りを進みフィールドに向かった。確かに少し見ただけでもそれなりの人数のプレイヤーが集まっていた。まだ現実世界では1日経ってないのに元気なことです。
今回の目的は戦闘ではなく、マナへの命令だ。まだ全体の【スキル】レベルも低いためここで死んでも問題はないですね。そもそもデスペナルティがどういうのかもわかってないから、関係ないと思う。
「さて、マニュアル設定にしてっと……」
私はとにかく集中することにしました。杖を虚空に指しゆっくりとMPを注ぎ込むイメージです。今回で二回目ですが、これでも他のゲームでも似たようなことはしています。ですので、あくまでもゆっくりを心がけつつ口を開きます。
「“赤、緑、白のマナ私の目に力を貸して”」
一瞬赤と緑の線が混ざり白がそれを包み込むようなものが視界に入りますが、すぐにその眩しさで目を閉じます。するとすぐに虚空に向けていた杖が急に重く感じます。杖が重くなったというよりも身体が気だるくなったというほうが正しいようで、次第に立っているのもきつく、最後には息を荒げ、膝をついてしまいました。
「はぁはぁ……んったは……ふぅ……あれ?出来たかも」
身体の気だるさは残っていますが、目に何かコーティングされた感覚、コンタクトをつけている感覚と似たようなものを感じます。あたりを見渡すと赤、青、緑、茶のそれぞれの線や塊が見えます。
「これは、成功だよね?」
私はステータス画面を確認します。
name:チェルカ
スキル
【言語】Lv23【火魔】Lv4【水魔】Lv2【風魔】Lv3【土魔】Lv2
【棒】Lv2【錬金】Lv1【調合】Lv1【鍛冶】Lv1【魔力感知】Lv4【観察】Lv3
【魔視】Lv3(NEW) 【白】Lv1(NEW)
所持金:1000R
装備
頭:なし
胴:初心者のローブ(翠)
腕:初心者の腕輪(銀)
足:初心者の靴(茶)
武器:初心者の杖(星1)
「……【魔視】は成功したけど、いきなりレベル3だし、他も使ったマナに対応してるのかレベルが上がってるけど……なにこの【白】って」
流石にこの場所ではあはあ言ってる女の子は絵面的にやばいので、フラフラしながらも倉庫へ戻ります。ここでいきなりすべて確認するのはあんまり良くはないですからね。
「チェルカさんお帰りなさい。お疲れのようですが大丈夫ですか?」
「あ、ゼズペットさん、は、はい大丈夫です……また倉庫お借りしますね……」
「はいどうぞ、なんならここでお休みになっても平気ですがいかがしますか?」
「ありがとうございます、でも大丈夫ですので、お構いなく」
私はゼズペットさんに頭を下げ再び倉庫へ戻ります。開始1日目にしてもはや拠点になっていますが、気にしません。本に囲まれた拠点とか最高ですね。掃除が終わってないので埃っぽさは変わりませんが。
そんなことより、獲得したスキルを確認しましょう。
【魔視】……世界に存在するマナを見極めることができる。
【白】……白のマナに好かれた証
「……このゲーム本当説明雑すぎるよ!どんな【スキル】かわからないよ!」
私は思わず倉庫の中で大声を上げます。なんですか、白のマナに好かれた証って!【スキル】で称号みたいなのを追加しないでください!意味がわかりません!
「……なんか疲れた、2日はいるだろうから……現実だともう1時ぐらい?寝よう。それで明日が日曜日だから、リードに色々と聞こう……うん、そうしようそれがいい」
私は脱力気味にログアウトし、携帯端末から理織を選んでメッセージを送ります。
to:rio
from:chitose
件名:明日
色々と聞きたいことあるから、明日暇なときに連絡ちょうだい、私はもう寝る。
おやすみ~
返事を待たずに今日はもう寝ます。一日が三回ある気がして少し疲労がたまりそうですが、この疲労もそのうち慣れるでしょう……。