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32.少女と狼~考察~

あけましておめでとうございます。

12月中盤からバタバタしてまして……ちょこちょこと再開していきますのでどうかよしなに。

本日1話目

『30秒後エリアを移動します。』


黒狼を退け、運営からのアナウンスが流れると最後にエリア移動のお知らせが流れてきました。



「意外となんとかなったわね」

「あの感じだとまた戦えそうだよねぇ?戻ったらまとめないとなぁ。」

「月平のやつ大丈夫か?アナウンスには入ってたから死んでないとは思うんだけど。」

「疲れた……“ウルフ”無双はしばらくいいや」

「リードお疲れ様。HP大丈夫?」

「おーい!間に合ったのであるー!」



思い思いに話しつつ私たちは草原を移動しました。



再びのホワイトアウト。戻った場所は最初の街の西門前のようですね。



「いやぁ~お疲れ様。とりあえずうちの会議室で一休みするかい?」

「私は一旦現実で休みたいわ……流石に疲れた。」

「俺も現実でいいかな、明日もバイトあったりするし。」

「自分は馴染みの生産職に修復依頼を出しに行くのである。」

「私はお邪魔しようかな……リードはどうする?」

「うーん疲れたけど……確認したいし、私も会議室寄って行きます」

「リーちゃんとチェルカ君だけねぇ、了解。」



すっかり見慣れた会議室。

座席は変わらずドアの近くに先生が座ってそこから、右にリードと私の順です。

先生は片っ端から黒狼の行動パターンをコンソールに打ち込んでいますね。



「いやぁーそれにしても、影の功労者はリーちゃんだよねぇ?」

「そんな、私は露払いをしていただけで“狼王ロボ”に対してはほとんど攻撃できてないですよ。それに今回のMVPは間違いなくサクラでしょう。あんな魔法初めて見ましたよ。」

「流石にあれには驚いたねぇ。ユニーク関係なんだろうけど十分火力に繋がるものだよねぇ?」



思い返すだけでも相当な迫力がありました。

巨大な顎が黒狼を喰わんとする姿はゲームならではですね。



「あれはどんな【スキル】なのか少し気になるよね。」

「まあ、そのあたりはおいおい聞くとして……よし!できたー……」



先生が打ち終わったのが手元で操作していたコンソールを、デーブル中央に拡大して表示します。

おおまかに区別して行動パターンが記載されてますね。



「うーん……やっぱり少ないですよね。」

「そうだよねぇ?三日前に戦った時よりも明らかに行動パターンが制約されてるよね。」

「私は今回が初めてだったけど、鎖関係とか含めてそうなの?」



まとめたものを見てリードと先生は不思議そうな顔をしていますね。

特に先生に関しては口を開けたり閉めたりと考えている時の癖が出ています。

なにかのフラグがあったため、今回のようになったと考えるのが普通ですね。



「先生、久々に手伝うからちょっと整理しない?」

「こちらからも頼もうとおもってたところだよー……」

「了解。それじゃあこれから、私と先生で色々とまとめていくから、リードは一通り終わって疑問に思ったりしたら言ってね?」

「うん、わかったよ。」



以前ギルドに所属していたときはよく先生と二人で情報をまとめるときにやっていたものです。



「じゃあまず、チェルカ君今回の裏ボス“狼王ロボ”についてはどこで知ったの?」

「東側の町外れにあるお婆さんクララベルっていうNPCがスタート。そこから西の草原について聞き込みをしたら狼系のMOBばかり出てるって話になったね。」

「そのクララベルってNPCについてはこちらでも調べてみたけど、駄目だったねぇ。多分このあたりは特殊な好感度フラグがあるんだと思う。」



そもそもクララベルさん……クラさんは【錬金】関係で話に行ったのでした。

つまりは、黒狼とは直接的に関係のないところからの情報だったのです。



「それについては多分ゼズペットさん……あの教会の牧師さんが鍵だと思ってる。」

「だろうねぇ。あの牧師についてもう少し調べてみるとするよ。それじゃあ次に黒狼の生態についても、教会の図書館にあったんだよね?」

「図書館というか物置だけどね。内容は渡したよね?」

「これだよねぇ……。【識字】も便利で羨ましいねぇ……と。そう、ここの記述のせいで余計に今回が不思議なんだよねぇ。“大昔、伴侶を亡くした狼王によって国が2つ破壊されたという記録も残っている。”そんな相手に1PTで倒せると思うかい?」



そうです、調べた内容と今回の戦闘内容では些か、記述の内容が過大評価すぎるんです。そこは私も気になっていました。

しかし、それを考えたらもっとわからない行動があります。



「それを言うなら、“時に雷を操り火を吐く”なんて言われてるけど、そういう特殊攻撃は一切なかったよね?」

「無いね。あったのは全て純然たる物理攻撃、しかも鎖で繋がっていたという後ろ足以外の前足によるなぎ払いがメインだったねぇ。」

「戦闘時は割と考えられなかったけど、移動もあまりしなかったよね?」

「なかったねぇ。でも三日前の時は移動をしてた……。いや、あれは移動じゃなかったぁ?リーちゃん!」

「あ、はい!なんですか?」

「三日前、最初に戦った時、どのように黒狼は移動していたんだっけ?」

「私はあの時黒狼の上に乗っていたので……ただ、移動というより転移とか?移動するときの前動作とかはありませんでしたよ。」

「そうだよねぇ?そうなんだよ……」



どうやら、最初に戦った時に急に移動したという話に先生は疑問を持ったようですね。

話だけ聞くと確か、それによってサクラさんや泣き顔さんがやられたとか。



「このゲームなんだかんだ、攻撃の際に予備動作というのがあるんだよねぇ。ゴーレムとか非生物系だとしても“ウルフ”なんて特に顕著だしぃ?……そんな中裏ボス系だけそういう動作がないとは考えにくいよね?」

「つまりはなんらかのギミックですよね。」

「そう。ギミック、つまりは演出なわけだけど……うーん。」



先生は椅子に座ったまま上半身を仰け反る。

しかしそういうギミックならなんらかの種があるのが普通です。それこそ予備動作のようなものが。



「ゲーム的にそういうものだった……とかじゃダメなんですか?」

「リーちゃん的にそれが納得するならいいけれどさぁ……僕的にはそれが結論なら、随分と中途半端な世界観のゲームだなってことで一蹴することになっちゃうんだよねぇ。」

「私も……例えばその移動が“知覚できないレベルだった”とかいうなら、今後知覚できるまでにプレイヤーが出来るのか、それともその移動を止めることができるのか?って話になると思う。でもゲーム的にあの黒狼が“予備動作なしでプレイヤーの後ろに回り込む事が出来る。”とかだとなんというか……世界観的にどうなのかなって……ほら、影の中とかを移動してならまだしも……うーんって。」

「そのへんはストーリーというか、シナリオを気にするならそうかもだけど……難しいね。」



実際、このゲームの作り込みについては相当なものを感じています。

それは私がひたすら本を読んでいたから思うことだと思うのですが、普及しているVRゲームの中で、本が読める。そういった作品は大体そのゲーム内での操作方法やちょっとした小ワザ、世界観に連なる神話だったりが本として置かれていることが多いです。

しかし、ここに置かれている本は世界観や操作方法だけではなく、この世界での童話やオリジナルの短編小説、派生された物語が無数に置かれています。ここまで置かれているような作品は多くありません。

それゆえに“狼王ロボ”というネームドモンスターの行動がゲーム的故に仕方がない。というものであるのは少し納得ができません。



「まぁ、答えの出ないものを今考えるのはどうしようもないからねぇ……。ただそういうものが今回なかったことに関しては問題にしたいねぇ?チェルカ君はどうしてだと思う?」

「三日前と今回で大きな違いというと私の存在だとは思ってる。だからありえる可能性としては……こんな感じじゃないかな?」



私はコンソールを共通設定にしてもらって中央に可能性を書き込みます。




1.狼王ロボについての生態もしくは事情を知っているプレイヤーがいた。

2.一定以上の【言語】系統のプレイヤーがいた。

3.マナに関する一定知識を持ってるプレイヤーがいた。

4.フルPTだった。



「そうだねぇ……1から3については君じゃないとダメな理由にはなるけれど、4についての理由を聞いてもいいかな?」

「1PTの上限は6人でしょ?だから5人以下の場合は実力不足ということで理不尽な設定にしてあったとかかなって。」

「なるほどね、そこは検証出来るところだったなぁー。次回への反省だねぇ。」

「ちょっとまってチェルカ?そうなると……5人だった場合は理不尽な強さだけど、6人の場合は強さに制約を持たせてるってことだよね?」

「うん。そうだと思う、そもそもここはまだ最初の街だよ?そこのエリアで裏ボスがいるって状況自体がちょっとおかしいと思うもん。」

「最低限エリアボスを倒せれば倒せる可能性はあるっていう設定だったって話かなぁ……実際、リーちゃんが後ろの“ウルフ”を抑えてなかったら難易度はもう少し上だっただろうしぃ?」

「だからこそ鎖付きのボスだったと……なにか理由があるのかな?」



リードは少しだけ腰に装備している剣の柄に触りながら呟きます。

そうです、大事なことを忘れていました。



「そうだ、先生、ドロップって何か出た?」

「あぁーそれは僕も聞こうと思ったんだよねぇ。ちなみに僕は何も出なかったよ。」

「あ、私も何も獲得してないです。ログでリザルト結果とかあるかなって思ってみたんですけど出てませんでした。」

「じゃあみんなドロップしてないということかな?……え撃退じゃダメなのかな?撃破前提?」

「さすがに何も成果は得られずとかなら……運営クレームもんかなぁ?後でどうなのか問い合わせしてみるつもりだけどねぇ。」

「倒せてないから素材も獲得してないっていうなら……今回無駄骨感が凄いですね……」

「レベルは上がったりしてるけど、ドロップなしは厳しいよね。」



そう、ドロップがないのです。退散させて収穫なしなら、時間経つまで待ったほうが良かったという話になります。

それではあんまりです。

三人ともほぼ同じタイミングでため息をつきます。

先生が仕切り直すようにコンソールに打ち込みながら口を開きます。



「とりあえず一度まとめるとこんな感じの流れだったかなぁ?」



・NPCから西の草原の異変について話を聞く

・異変の内容に詳しいNPCに話を聞く

・エリアボスを撃破する。

・エリアに存在する“ウルフ”を5体倒しエリアボスのドロップをフィールドで取り出す。

・1PTで挑む(6人)



「すごい簡単にざっくりまとめるとそんな感じかな?」

「今回は倒したわけじゃないからさぁまたあると思うんだよねぇ?」

「私もそう思う。でも条件が同じとは限らないけどね。」

「それでも似たような内容であることは間違いないでしょ?さてリーちゃんは何か疑問とかあったかなぁ?」

「いえ、特にはないです。」

「そう?それじゃあこの辺で解散かなぁー」



時間としてもいい頃合です。ひとまとめしたのでログアウトして休みましょうか。



「了解。お疲れ様ー先生また今度遊びに来るね。」

「ありがとうございました。」

「いいよぉー面白い経験は出来たしねぇ?チェルカ君は色々と情報持ってそうだから期待して待ってるよぉー」

「ある程度したらね?それじゃあお疲れ様」



私とリードは探究心のギルドホームから出てお互いに簡単に挨拶を交わしログアウトします。


一つの節目が終わった気がしていますが、ゲームがリリースしてまだ一ヶ月経っていないのです。これから先もまだまだ物語は紡ぎそうですし楽しみですね。



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