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3.少女は新しい世界の動き方を知る

最初だから怒涛の3連です。続きは明日にでも……ストックなしの見切り発車なのであしからず。


キャラメイクを終えてログアウトすると、既に理織は終わっていたみたいでいつの間に持ってきたのかコップを片手に、漫画を読んでいました。

ヘッドギアを外し、ゆっくりとベッドに座ると、それに気づいた理織は漫画を置いて声をかけてきました。

「お疲れ様。キャラメイク終わったんでしょ?何か変わったことあった?」

「お疲れ様。特に変わったことはなかったよ、AIのペルーペもあの独特の口調以外は問題なさそうだったし。」

「あーあのピエロねーまぁ、一般的な導入AIだろうから気にすることもないけどね……あ、それよりもスキル構成どうした?」


理織は身を乗り出し気味に聞いてきます。どうやら携帯端末を連動すればプレイヤーの基礎情報を見せることが出来るようです。

私は、理織に言われるまま携帯端末の設定を行い、キャラ画面を見せました。


name:チェルカ

スキル

【言語】【火魔】【水魔】【風魔】【土魔】

【棒】【錬金】【調合】【鍛冶】【魔力感知】【観察】

所持金:1000R

装備

頭:なし

胴:初心者のローブ(翠)

腕:初心者の腕輪(銀)

足:初心者の靴(茶)

武器:初心者の杖(星1)



「なるほどねー純魔ありがとうございまーす!」

「別に理織のためではないけどね。一般的に属性とかじゃなくて、“魔”で表したのは驚いたかな。」

「それは確かに変わってるところかな……あ、鍛冶もとってるんだね、それじゃあまた武器はお願いすることになるのかな」

「別にいいけど、メインは魔法系の上昇かな。鍛冶と錬金は二の次、調合は合間にって感じだと思うよ」

「いいのいいの、智歳がサポートにいるってだけでも私は頑張れるし!」

「それならいいんだけどねーあ、だったら理織の構成も見せてよ」

「いいよ、ちょっとまって」


理織は床に置いてあった自身の端末を操作すると、同じようにキャラ画面を見せてくれました。


name:リード・オルタナティブ

スキル

【斧】【剣】【火魔】【跳躍】【言語】

【基礎体力上昇】【観察】【基礎魔力上昇】

【体術】【細工】【器用】

所持金:1000R

装備

頭:なし

胴:初心者の鎧(銀)

腕:初心者の籠手(黒)

足:初心者の靴(銀)

武器:初心者の剣(星1)


「前衛だけど、魔法系も取ってるし割と万能型だね」

「まあねーこれでもβの時は最前線で走ってたりしてたし、基本的には剣と魔法で倒して、合間で腕輪とか作れたらいいなって思ってるかな?」

「だから【細工】と【器用】なんだ、手先とか結構器用だもんね理織は。」

「うん、そういうわけ!さてと、これで準備はオッケーだね、私は帰ってスタートダッシュに備えるよ」

「うん、玄関までは送るよ。向こうで落ち合ったりする?」

「ありがと、そうだね、最初だからフレンド交換だけはしたいし……あ、そうだβの時に“教授”がいたよ」

立ち上がろうとしていた私は思わず動きを止めます。

「え、“教授”今回βからいるの?」

「みたいだよ?智歳も始めるかもって話はしておいたから向こうから何らかのアクションがあるかもね」


“教授”……以前遊んでいたVRMMO“アルケミストレーヴァテイン”でお世話になったプレイヤーです。

所謂検証クランというもので、ゲームの仕様や世界観について考察をする人たちのトップに立っていた人です。私自身が割とそういう検証というものが好きだったりするので、よく情報交換をしていたものです。

「まあ、今回は“教授”のネーム取れなかったみたいで、“先生”って名乗ってたよ」

「間違えて教授って呼んじゃいそうだねそれ」

「それでも本人は楽しそうに返事してくれそうだけどね~それじゃあ、智歳またあとで」

「うん、理織またあとで」



理織を見送り、簡単に身支度を整えます。もちろん出かけるのではなく、ゲームをするために基本的なことを終えてしまうのです。

少し早めの夕食をとり、簡単にシャワーを浴びてゲームが終わったあとらすぐに寝れる状態にします。また、脱水などの可能性もあるので、ペットボトルを一本枕元に用意します。

VRシステムは健康管理自体も担っているので、注意状態になったら警告が出るようになっています。その場合強制ログアウトなどもありますが、そうなると、最悪半日はVRデバイスが起動してくれないという仕様なので、健康に気をつけてプレイをしています。

諸々終わらせると時間としてはいい時間となっていました。


「さて、今回の世界はどのようなものでしょうかね……」


私は横になりVRデバイスに電源を入れました。



ゲームをプレイすると、先ほどと違い舞台にいるというわけではなく、真っ白な空間にいました。

そこに私の他にもうひとり……いえ、一匹がいました。

「ようこそいらっしゃいました。チェルカ様ですね、ワタクシ管理AIのピノといいます。以後お見知りおきを」

真っ黒な体毛に覆われ、可愛らしくぴこぴこと動いているその耳は自然と目を惹かれます。器用にもお辞儀をその管理AIに私は思わず尋ねてしまいます。

「ウサギ型のAIですか?」

「そのとおりでございます。ワタクシはビーラビットとなっております。まぁ、詳しい話はこの世界を堪能していただけたらわかりますので、ここでの説明は省かせていただきます。」

随分紳士的で、昼間にいたペルーペとは全くの別ですね。

「それでは、チェルカ様、早速ですがチュートリアルを行いたいのですがよろしいでしょうか?」

「はい、こちらこそよろしくお願いします。」

「まず簡単にこの世界では【スキル】というものがありますが、それらは自ら成長しています。」

ピノは空中にコンソールを表示させ説明を続けます。

「例えばチェルカ様の持っている【棒】のスキル、これはチェルカ様が使われた経験をもとに最適化し、進化を行います。」

「それは例えばどういうふうにですか?」

「チェルカ様が長い棒を振り回したりしたら【棒】は派生として【長杖】の【スキル】に、逆に短い棒を使っていたら【短杖】の【スキル】に進化を行います。」

「勝手に進化するんですか?」

「いいえ、進化する際にチェルカ様の同意が必要です。もちろん使いやすく長い棒を振り回していたけれど、本当は【短杖】が欲しいという場合もありますので。」

「派生【スキル】……それは例えば、一度【長杖】を取るのを断っても取ることが出来るんですか?」

「一度進化が可能になったスキルは派生【スキル】を取るまでは取得することが可能です。しかし、一度とってしまった場合は再び【棒】系統のスキルを取得するしかありません。」

「一度進化した場合はもう一度新しく取る必要があるというわけですね」

「その通りです。派生先は無数に存在しておりますので大変ではございますが、チェルカ様にあった【スキル】を育てていただけたらなと。」


中々に難しいことをします。MMOという性質上なんだかんだ、定石といえる強い構築は存在しますが、このゲームの場合それを取るにはもう一度戻らないといけません。長くゲームを続ける前提なのか、それともやり込み要素としてなのでしょうか……。これは好き嫌いがはっきりしそうなところですね。


「わかりました。ありがとうございます。他にはありますか?」

「いえ、【スキル】の説明が終わりましたので、チェルカ様の方で特にありませんでしたらそのまま、戦闘練習に移る予定です。」

「そうですね……あ、【スキル】の取り外しについてどうなってますか?」

とあるゲームでは、獲得した技能というのは、装備しないと効果がなく、それ以外は控えにおくということがありました。このゲームではそれがないとは言い切れませんので確認は必須でしょう。

「なるほど、チェルカ様はそれに気づかれる方なのですね。」

「それ?」

「いえ、この確認をなさらない方もいるというだけです。さて【スキル】についてですが、チェルカ様の問に関しては言いますと、着脱は可能です。また装備欄というものはとくになく、その才能に限りはございません。しかし、一度控えに置かれた【スキル】は仮取得状態となり、その効果を発揮することはできません。仮取得状態では経験も入ることはできませんが、戻すことに対して制約もございません。」

「なるほど、つまり、元となる【スキル】を習得する場合は一度仮取得状態にすれば取ることも可能なんですね。」

「そのとおりでございます。」

もしも派生が気になる【スキル】が出てきたらそれで頑張りましょう。気になる点といえばもうなさそうですね……。

「ありがとうございます。それでは戦闘練習?をお願いします。」

「はいかしこまりました。……それでは、まずはチェルカ様は武器系統の【スキル】を所持しているようですので、あの案山子に攻撃を行ってみてください。」


ピノは綺麗なお辞儀をした後、小さく手を叩き何らかのエフェクトをだしました。すると、少し離れた位置に一つの案山子がセットされています。練習相手はあの案山子になるようですね。


「武器系統の【スキル】はダメージ判定があり、また武器に該当する【スキル】がなければダメージ判定はございません。そして【スキル】には【アクション】と言われる専用のモーションがございます。試しに行ってみてください。」


私は案山子に近づいて初心者の杖をぶつけます。すると微かに赤いエフェクトが表示されました。これがダメージ判定なのでしょう。続けてコンソールを表示させて【アクション】を選択します。


「えっと“ぶん殴り”!」

選択すると身体が勝手に杖を振りかぶり案山子にぶつけます。随分と大振りなので、この【アクション】はこれ以降はあんまり使わないでしょう。

「【アクション】はモーションアシストがついていますので、自動で動作を行ってくれます。ただし、それだけ隙が多いのも事実ですのでご注意ください。」

「随分と……慣れれば無理な動作を繋げて色々と出来そうですね……私はあんまり得意ではありませんが。」

「そうなんですね、それでは続いてマナ系統の説明に移ります。」

ピノは新しく案山子をセットしました。

「この世界にはマナと言われるものが存在しています。マナ系統はそれらに対して命令をくだし、実現させるのです。これらは難しいこともありますので、設定でオートとマニュアルが選べます。」

「オートとマニュアルの違いはなんですか?」

「オートは【アクション】のようにマナに対して決められた命令をくださいます。試しに、火魔を使ってみてください。」


私はコンソールを表示させ、火魔を選択すると項目に“ファイアボール”と書かれていました。迷わず選択すると、私のやや後方に炎の球体が浮遊しています。確認してみると“待機状態”と表示されています。

「オートの場合は選択から発動までに一瞬の待機状態が展開されます。そこから発動するには、再び選択か、口頭で命令をしてあげてください。」


今回はそのまま選択を行ってみました。すると、後方に控えていた炎の球体はそのまま案山子めがけて直線的に飛んでいきます。勢いよく燃え上がる案山子ですが、すぐに火が消え変わらぬ姿を見せます。


「何度も選択というのは大変なので、【アクション】はショートカットとして、選択しておくことも可能ですので、何度もコンソールメニューを開く必要はございません。もちろんアイテムなども同様です。続いて、マニュアルの説明をしてもよろしいでしょうか?」

「はい、お願いします。」

「はい、マニュアルとは、この世界のマナに対して直接的に命令を行うことをさします。方法は様々ですが、わかりやすい例ですと、杖を用いることです。杖によって命令を効きやすい効きにくいというのはありますが、それでもオートに比べてはるかに強い力と精神力を要します。試しに先程と同じく“ファイアボール”を命令してみてください」

「えっと、具体的にはどうしたら……?」

「マナに対してイメージをしてください、“ファイアボール”を放つイメージを。」


私は杖の先端の丸まっている部分を案山子に向け大きな炎の球をイメージしました。先ほど放ったものと同じでなくとも、一度見てしまえば似たようなイメージはしやすいです。

徐々に感覚が研ぎ澄まされ気が付くと、先端部分に炎の球体が出来上がっています。

おそらく、発動自体も同じでしょうから、そのまま小さく“ファイアボール”と唱えると、オートのときと比べると少し早い程度ですが、火力は明らかに上回っている炎の球が案山子に直撃し燃え盛ります。


「素晴らしいですね、初めてなのに明確なイメージをマナに対して伝えることができたようです。あとは慣れていくだけでしょう。それではチェルカ様これにて、チュートリアルを終了としますが、何か質問はありますか?」

何度見ても綺麗なお辞儀をするピノです。質問ですが……

「ピノやペルーペにはどこかで会えたりするのでしょうか?」

管理AIと言いましたが、作品によってはどこかで会えたりするのがこのMMOです。こういうところでフラグを立てるのは基本でしょう。質問をするとピノはどこか嬉しそうな顔をして答えます。

「はい、あなた方がそれぞれの選択をし、信じる道を進み、系統樹を登れば自ずと出会えるかと思います。」

「わかりました。それが聞けただけで満足です。ありがとうございました。」

「いえ、こちらこそありがとうございますチェルカ様。良き旅を」


ピノは最後に深くお辞儀をすると私は光に包まれます。おそらくそのままワールドマップに移るのでしょう、さてまずは図書館を探さないといけませんね。

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