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22.少女は試してみる

次の日私はログインしてすぐに先生のギルド“探究心”に向かいました。

学校で軽く理織(リード)と話をしましたが、リードはこれから知り合いの生産職にお願いして武器を更新したり【スキル】のレベルを上げたりするようです。また、PTメンバーの枠が1枠空いているから、場合によっては私にお願いするかもとのことなので、私としてもいい加減戦闘の仕様を調べてみようと思います。

“探究心”の研究塔のようなギルドホームの会議室へ入ると、既に先生が机に肘をついて手を組み神妙な顔で待っていました。


「えっと、お待たせ先生」

「ああ、来たねぇ?座っていいよぉ?」


先生はいつものどこか胡散臭い笑顔に戻りました。

私は促されるまま先日と同じ場所。右側の椅子にひとつ分空けて座ります。


「さーてぇ?今日はチェルカ君の集めに集めた情報を買い取るつもりだけど、チェルカ君予想だとどのくらいの価値があるぅ?」

「うーん……少なくとも今の価値で言うなら、先生の全財産をもらっても、十分な利益が出ると思ってるよ」

「これはまたぁ、おっきくでたねぇ??」

「実際これを知っているのと知らないのでは、このゲーム大きく変わるよ。」

「うーん……そこまで言うかぁ。普段なら聞く前にある程度の情報料を決めるんだけどぉ……」

「聞いてからでいいよ?多少の値引きされようとも、揺るがないような情報だから。」

「君に断言されると困るんだよねぇ。なら、お言葉に甘えて話を聞いてから情報料は相談させて欲しいかなぁ?」

「いいよ。それじゃあ早速話すよ」

「うん。お願いするよぉ?」



さて、情報料は別にして、まずはどのあたりの説明をしましょうか。

今回先生に話すつもりなのはマナに関する話とその運用。

運用については詳しく分かってないので、少し価値は低いでしょうが、マナ単体だけでも相当だと思っています。


「じゃあ、まずこの世界で使われている【火魔】とかの魔法系統と呼ばれてる【スキル】があると思うんだけど、この世界では魔法ではなく、魔の力と呼ばれていて、それはマナと言われるものに対して命令を下すことで現象を起こしてるらしいんだよね。」

「もうこの時点で僕の常識が覆ったけど、なるほどね。MP消費させて~とかよりも、世界観の面で言うならマナに対して命令をしてるわけか……。それでそれでぇ?」

「それで、マナにも種類があるんだって。赤、青、緑、茶、黒、白の6種類だと言われていて、それぞれにも性質があって……コンソールに表示させるね。」

「そうしてくれると、わかりやすくて助かるかなぁ?」



私は拡大させたコンソールを表示させてそこに以前確認したマナの色と性質、好みを表示させます。


・赤……集中、緑のマナが好き

・青……拡散、赤のマナが好き

・緑……伝達、茶のマナが好き

・茶……強固、青のマナが好き

・白……増加、黒と相反する。

・黒……減少、白と相反する。


こうやってみると少し疑問が出てきますが、あとで先生に伝えた時に一緒に疑問も投げてみましょう。

先生は表示された内容をじっと見ています。



「なるほどねぇ……。これはまたぁβの時にすら見つかってなかった情報だねぇ?それともβ後に追加されたのかぁ……。それでぇ?これらに対応して【火魔】【水魔】【風魔】【土魔】があるということかなぁ?」

「対応はしていると思ってたんだけど……改めて確認するとそれはちょっとおかしいんだよね。私が取得した【魔視】も実はこのマナを使って取得したんだけど、その際に命令したマナにあった魔の力がレベルアップしたと思ったんだけど……。【魔視】に使ったのは赤、緑、白。それによって【火魔】【風魔】のレベルが上がったんだ。」

「なら対応しているんじゃないのかい?集中と伝達、増加を持って目の力を増やすとかかなぁ?……まぁ、それでどうして【火魔】【風魔】なのかは、色と関係がぁ~とかしか思えないけど。」

「そうだよね……。それともう一つ。魔法使いはこの【魔視】は必須だと思うんだよね。これがあるとマナを視ることができる。それによって命令もかなりしやすいから、あると無いのではだいぶ違うと思う」



見えるものに対して命令をするのと、見えないものに対して命令をするのではやりやすさがかなり違うと思う。それに、チュートリアルで初めて【火魔】を使ってみた時の集中は実際の戦闘では大変だと思う。

それに比べて、マナへの命令は割と簡単だ。誰にどこを、どのように。多分このあたりをちゃんと指定すれば言うことを聞いてくれるんだと思う。

だからこそ、マニュアルで戦う魔法使いには【魔視】を取得して欲しい。



「なるほどねぇ……。そのあたりは少し検証しないとダメかなぁ?いやーマナかぁ……。【魔視】以外にも何かマナに対して命令はしてみたのかい?」

「一度だけ足に対して強化できないかなって。命令したのは赤と白だったよ。結果は失敗して制御できずに壁にぶつかったけどね。」

「集中と増加かぁ……。うーん失敗というよりも威力が強すぎた印象だねぇ……。ただの強化なら赤、緑、白……いや、緑と白だけでいいと思うんだよねぇ?」

「伝達と増加?力を集中って思って赤にお願いしたんだけど違うの?」

「それはそれで間違いではないと思うけれどぉ……。筋肉を動かす際に大事なのはその筋肉量と伝達速度だよぉ?なら収縮力よりもその伝達力を強化したほうが早くなると思うんだよねぇ?」

「あぁー……実際の構造関係か。」

「そういうことだねぇ……。いやぁーコレは大きいなぁ」



先生はうーんと椅子にもたれかかって背伸びをします。

実際これが広まれば戦闘などはやりやすくなりますが、わからないことが多すぎるので、運用するとなると相応の検証が必要でしょう。



「重い、大きい、火力増大!まさしく爆弾だねぇ?他にも何かあるのかい?」

「情報として売るつもりだったのはこのマナに関する情報と、それによって取得できた【魔視】の話だけだよ。あとは考察を少し手伝って欲しいかな?」

「ほうほう?考察ぅ~いいねぇいいねぇ!僕の方も面白いネタを調べてはいるんだけど何分本がねぇ?」

「わかってるよ!……あ、だったら先にポーションのレシピを教えて欲しいかな?それと情報料!」

「わかってるよぉ~?まず、情報料に関しては確かにこれは爆弾すぎるからねぇ。とりあえずいま用意できる10万Rで手を引いて欲しいけどどうかな?足りない分は印税的な形で出すけどぉ?」

「それはいいよ。まだ検証が足らない情報ではあるからね。」

「助かるねぇ~さて。ポーションのレシピかぁ。端的に言うと【薬効増加】がなければ作ることができないポーションだよぉ」

「【薬効増加】?」

「その名のとおり効力を高める代わりに効果時間の低下だねぇ。あとは【調薬】が必要だねぇ。」

「そっちは【調合】からの進化だよね多分。そっかー【錬金】系だと思ったけど、そっちの派生か」

「ん~?【錬金】は今のところ北の第2の街“ロック”で初級クエストが見つかってるけど、他には情報出てないねぇ?」

「え?」



どうやら、【錬金】だけは初心者クエストがみつかってないようですね。

これも何かフラグがあるのでしょうか。

なら、先生も【錬金】で特殊ポーションが作れることは知らない可能性がありますね。



「【錬金】から特殊ポーションができるって話は知ってる?」

「ん~?初耳だねぇ?そもそも唯一初心者クエストが見つかってない生産系だからねぇ。なにせこの第一の街で【農作】なんてものの初心者クエストさえ見つかってるのに、【錬金】がなくて未だに探している途中だよぉ?」

「あるよ?【錬金】の初心者クエスト。そもそもそこから草原の話につながるんだもん。」

「昨日はNPCによって~しか教えてくれなかったじゃないかぁ」

「まあ、情報だからね。」

「情報なら仕方ないねぇ!」

「とりあえず、これで一通りかな。」

「なるほどねぇ……。さて検証というと何かな?」

「うん実は……。」



私は最初に見つけた絵本の話をします。何度かレベルを上げたあとに読もうとしていますが、やはりゼズペットさんの言うとおり【古代語】が必要なようで、いっこうに読めない“しろのじょうおうとくろのおう”の話を……。



「うーん……まだ何とも言えないねぇ」


先生はただ静かに話を聞き、終わったあと口を開いても答えはいいものではありませんでした。


「やっぱり?」

「フレーバーな可能性もあるけど神様が何をさせたのかわからないとねぇ?」

「レベルが上がるまで待って……。」

「わかってるよぉ~あとは、絵についてどんな感じだったのか聞いてもいいかなぁ?」

「絵?」

「だって、絵本だったんだろぉ?なら絵についても何かあるかもしれないじゃないかぁ」

「そうだね……」



絵ですか……。あまり意識せず読んでいたせいで印象にあまり残っていません。強いて言うなら綺麗な絵だったような……。何度も読んでいるはずなのに説明がうまくいきません。



「ごめんね。説明できないから、今度ちゃんと見ておくね」

「はいはい~でもそうかぁまだまだ調べたらないんだねぇ」

「まとまった時間が取れないのもちょっと大きいよね。」

「現実世界よりもできる時間はあるんだからそういってもしょうがないでしょぉ?」

「そうなんだけどね……。それじゃあ私は行くね?」

「うん~また何かあったら教えて欲しいかなぁ?」

「先生も何かあったら教えてね?」

「そりゃもちろん~情報の対価は貰うけどねぇ?」

「お互い様でね?」



私はそのままギルドを出ます。

さて、このあとですが色々と気になっていることがあるので、一度フィールドに出るつもりです。

まず、昨日取得したワールドスキルというのがどういうのかを、確認するためです。

私がフィールドに出るとしたら、教会に近い東の森林ですね。

フィールドに出るのはこれで二回目ですね、あの時は【魔視】を取得するために出ましたが、今回も戦闘を行うつもりはありません。

【智により才を通す】の対象者というのが私を選んでも発動するのか、デメリットの時間はどうカウントされるのか未だレベルの上がっていない【白】の【アクション】がどんなものがあるのか。

今回の目的はこの三つですね。



「このあたりでいいかな?」



街を出てすぐの森林です、モンスターが出たとしても逃げることは出来るでしょう。

早速私は【智により才を通す】を選択し発動させます。

『対象を選んでください。』

選べる対象は私だけになっていますね。



「あ……もしかしたら出来るのかな?」

私は一度キャンセルを選択して【魔視】を発動状態にさせます。

これでもし【智により才を通す】にマナが関係するならば、対象選択で複数出来るかもしれません。

こういう検証は時間をかけてやるものですが、デメリットの作用がわからない以上は思ったことはどんどんやっていきます。



「これでよし、対象は私っと。」


『対象を選択しました。発動させますか?』


私は迷わず発動させます。

すると、周りに浮遊していた白のマナが集まり、私の体を調べるように周囲を回りだします。白のマナは回りながら徐々に一つの塊になり、最後には私の体を包みます。


「これ、大丈夫なの?」


包み込まれた私ですが、特にいたみ等はなく、マナが見えてない人からするとどういう状態なのかが気になります。

白のマナはそのまま変化しなくなりました。

これで、終わりなのでしょうか?


「え、地味……。」


【魔視】を発動しているがゆえにマナの動きがわかりますが、これははっきり言ってすごく地味です。

これは先生を連れてきて一緒に見てもらえばよかったですね。


「いいや、見た目も後で分かればいいし。カウンターは進んでるからさっさと確認しちゃおう。」


ステータス画面には300秒から少しずつ減っていっています。エフェクトなどはやはりこれで終わりなのでしょう。あとは効果の確認です。


name:チェルカ


スキル


【言語学】Lv3【火魔】Lv30【水魔】Lv30【風魔】Lv30【土魔】Lv30

【棒】Lv30【錬金】Lv30【調合】Lv30【鍛冶】Lv30【魔力感知】Lv30【観察】Lv30

【魔視】Lv33【白】Lv33【料理】Lv30【智により才を通す】LvMAX

所持金:101450R

装備

頭:なし

胴:初心者のローブ(翠)

腕:初心者の腕輪(銀)

足:初心者の靴(茶)

武器:初心者の杖(星1)



なるほど、既にある【言語学】のレベルは上がったりはしないんですね。参照されるデータの関係でしょうか?あとは、軒並み進化するレベルが分かるのはいいですね。【魔視】や【白】に関しては33では進化しないようですが、【アクション】はどうなっているでしょうか?

私は【白】を選択して【アクション】を選択します。

・ホワイトエンチャント……微量にHP,MPを持続回復させる。

・ホワイトヒール……HP最大量を微量に上げ、回復する。

・ホワイトシール……対象に対してHPの最大量をあげる。

・ホワイトキューブ……対象を一時的に拘束する。



……これはかなり強力なのではないでしょうか?10レベル毎に【アクション】が増えているようですね。

全体的にHPに関係する効果があるようですけれど、キューブに関して少し変な感じがしますね。あとは攻撃系が全くないですね、それは白のマナの特徴と関係があったりするんでしょうか。


「これは中々……5分だけじゃなくて、ちゃんと上げるとすごく強くなりそう」

試しに【火魔】と比較してみましょうか。


・ファイアボール……火の玉を出す

・ファイアランス……火の槍を出す

・ファイアウォール……火の壁を出す

・ファイアシュート……複数の火の玉を出す


攻撃系ではありますが、なんとも微妙ですね。

初級の魔法系統だと大体同じようなものですね……。やはり【白】はかなり異様なものです。


「ひとつぐらい何か試し打ちをしてみたい気もするけど……攻撃系はそのうち使えるだろうし、面白みはないからな……とりあえずこれだけ見てみよう。」


私は【白】の【アクション】であるホワイトキューブを使用してみます。

身近なモンスターに攻撃をすると戦闘になってしまうので、木に対して放ってみます。

杖の先端に白のマナを集めるイメージして木に放ちます。


「“ホワイトキューブ”!」


杖の先端から白色の一線が飛んでいきます。

飛んでいった一線は木を一周すると帯のような形で地面と繋げます。

これは中々ですね。

ちゃんとレベルを上げれば使えるようになるでしょうし、少しレベルを上げていきたいですね。


『引き上げられた力が収縮し知性者は知識を求める。』


「え?」

どうやら300秒たったようで、【言語学】を除く【スキル】が控え欄に移動しています。時間はあっという間でしたね。これであとはデメリットの時間ですが……。


「172800秒って書いてるけど、これはゲーム内で良さそうだね。」


確認が取れましたので、明日ログインした時にはほかのことも出来るでしょう。どうせなら【言語学】のレベルを上げるのもいいですけど【鍛冶】も少しやっていきたいですね。

色々と考えながらも、私は教会へ戻りログアウトするのでした。

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