21.少女は作戦会議をする
人生初歯医者の結果半年ぐらい通う事になるみたいです……ヒェ
とりあえず、なんとか書き上がりましたので投稿です!
連絡をもらった私はすぐに、先生のギルドのある場所へ向かいました。
リードからフレンドチャットで「終わったよ」とだけもらったのですが、あの雰囲気だとあんまり芳しくはなさそうですね。
裏ボスのような相手ですし、そのあたりは仕方がないと思います。
むしろ、初見ボスクリアなんてやったら、どれだけのPSと運が重なったのか逆に聞きたくなります。
私はとりあえず、ギルドの前まで行くと、軽く中を覗きます。先生以外に知り合いなどはいないので、いきなり入ったりするのは難しいです。
中では数人が作業をしているようですね。
すると、作業をしていた一人と目が合ってしまいます。
私は思わず隠れてしまいます。
「えっと……先生ー!お客様だと思う方が来ていますよー!」
「え?どこどこぉ?」
「いま扉のところに隠れてしまった方です。入っていいか悩んでいたようなので、先生が行ってください。」
「あーはいはいー?どちら様ですかぁー?」
目があった女性は、おそらく会議室にいた先生を呼んでくれます。先生がゆっくりとこちらに近づいて来るのがわかります。この状況なら自然と出ても問題はないでしょう。
「あ、えっと、来たよ先生。」
「あーチェルカ君だったかぁ、みんないるからおいでおいでぇ?」
「うん。……えっと、ありがとうございました。」
私は先生を呼んでくれた女性に頭を下げます。
女性はニコッと笑って再び作業に戻って行きました。
私が会議室に入った時には確かに全員座っていましたが、その雰囲気は重々しいです。やはりダメだったようですね。
「お疲れ様リード。どうだった?」
「うん、お疲れ様。……あんまり良くないね」
「そうなんだ……」
「はいはい!とりあえずぅ?チェルカ君も来たことだし反省会兼作戦会議と行こうかぁ?」
先生は拡大させたコンソールを表示させテーブルの中央に配置した。
ノート代わりに書き込んで全体で見るためだろう。
「それじゃあ思ったことや感じたこととかどんどん言っていこうかぁ?それとも先にチェルカ君の方の収穫を聞いたほうがいいのかなぁ?」
「そうだね……私の方からあれから集めた情報を出したほうがいいかも。」
「了解だよぉ?それじゃあ書記は務めるからどんどん話しちゃって!」
先生は手元で打ち込む体勢を取る。打ち込んだ文字がそのままコンソールに表示される。
さて、まずは冒険者ギルドで聞いた話を言ったほうが良さそうです。
「まず、冒険者ギルドで聞いた情報から。黒狼こと狼王はどうやら狩場を変えるみたいで、一箇所に留まることは少ないみたい。そのため、時間を置けば狼王はどこか別の場所に行くから、フィールドのモンスター分布も変わると思う。だから、ここで無理に倒さなくてもいいかも。」
「なるほどねぇ、まあ最初の街で出てくるレベルじゃなかったからねぇ。放浪するなら納得かなぁ?」
「ここじゃなくて、いずれは別の場所で条件を満たせば出て来るってことだよね?うーん」
「それと、これは世界観の話かもしれないけど、狼王は種族的にどの“ウルフ”からでも産まれるみたい。だけどそれは世界で一頭だけ。一頭生まれたらそれ以外からは生まれないって話だから、ここで倒したらしばらくは出てこないと思う。」
「リスポーンしないってことよね?……まああんなのがいっぱい生息してたら大型レイドだとしても私は嫌だけど……。」
「一旦はこれぐらいかな……他に参考になりそうなのはなかったし。」
「無理に戦わなくてもいいかもしれないっていうのは割りと重要だろ。……正直俺は少し心が折れたし」
「あれは現状だとかなり厳しいのである。」
参加した人たちの顔色はあまり良くはなさそう。
むしろ、戦わなくていいなら戦わない方向のことを考えたほうがいいのかもしれない。
私は今回の発案者ではあるけれど、パーティーリーダーはリードだ。
もしも戦わないという結論になるなら、それはそれでいいと思っている。
目的のスライムは別の場所でも戦えるというし、だったらほかの場所に行くのもありだ、もしくはまだ話を聞いてない人から話を聞いたり、黒狼がいなくなるまで、時間をつぶせばいいのだから私に不満はない。
「さーてぇ?チェルカ君から選択肢を新しく突きつけられたけれどもぉ、先に結論をだすかい?それとも反省会を行うかいリーちゃん。」
「そう……ですね。結論は最後にまずは反省をしましょう。」
「了解了解。ならまずはそうだねぇ……みんなの所感を聞こうかなぁ?」
「そうねえ……。まず【水魔】系統はダメね。ほか系統と一緒でダメージの通りはあまりよくないわ。弱点だっていう【氷魔】は確かに通るけど、レベルが低いのか、威力が足らないわね。」
「弓に関しては部位によって刺さるのは確認してる。前足の肉球って言ったらいいのかあれは。あとは鼻と口、眼球は大体目を瞑りやがるから、多分刺さる。」
「防御面で言うならばあれはタンクよりも軽戦士を集めて攻撃したほうがいいと思うのである。自分の盾で防げはするのであるが、完全に遊ばれていたのである。」
「そうだね……。私も魔法系使える軽戦士集めて殴りに行くのが早いと思ったかな。でもサクラとか泣き顔の後ろに回った速さは知覚出来なかったから、軽戦士だと防御面が怖いかも」
「そうだねぇ……あ、弱体系や状態異常に関してはちょっと収穫があるよぉ?」
各々が一通り話をして、先生がコンソールに映し出す。
最後に先生がコンソールに自身の試した状態異常に関する情報を記載する。
・睡魔 レジスト
・麻痺 1~3秒 使いすぎた場合レジスト?
・毒 ダメージエフェクトは確認 10秒
・VIT低下ポーション レジスト
・STR低下ポーション レジスト
・INT低下ポーション 5秒
・DEX低下ポーション 10秒
「今回持って行ったものだとこんなものだったかなぁ?弾かれてないのが結構あったのが驚いたかなぁ~」
「そもそも先生どうやってこんなの作ったの……?」
「えぇー?チェルカ君人にレシピを聞くのかい?いくらで聞くぅ?」
「情報と交換で後で教えて欲しいかな」
「モノによるけど了解したよぉ~」
「えっと……INT低下やDEX低下はともかく、毒も効くんですね」
「それは少し驚いたけどねぇ~まぁ、エフェクトの確認は出来てるけどモーションに変化がなかったから、気にされてすらなかった可能性もあるけどねぇ」
ボスに対して状態異常が効くというゲームは比較的少ないと思う。ボスというのはその場所においての強者なのだから、麻痺や睡魔、毒というのが効くのはなんとなく違うというイメージがあるのかもしれない。
それでも今回の相手には毒が多少でも効いたというのは大きいのかもしれない。スリップダメージというのは固定ダメージゆえにレベルの低いうちはかなり有効だけれど、敵のHPが高い場合それを削るまでがかなり大変というのがあります。
「さーてぇ?色々とでたけれどもぉ……どうするんだい~?二択だ。戦うか、諦めるか。」
「私は……リードに任せるけど、正直足でまとい感が否めないわ。」
「サクラで足でまといなら俺なんて荷物じゃねえか。でも実際弓や中途半端な剣じゃあいつ相手は厳しい……。」
「自分も盾としてはなんとかなるかもしれないであるが、ヘイト管理というなら今回は厳しいのである。そもそも、今回のボスがレイドではなくPTという点でいうならば、自分たちでは圧倒的に火力不足である。」
「そうだね……。一応イベント時に取り出した毛皮は消費じゃなかったから、何度も試せるだろうけど、厳しいよね。」
「今からローくんや双子達とか誘うかい?多分割とのってくると思うけどぉ?」
「確かに、乗ってくると思いますけど……ワガママですけど、あの人たちの力は借りたくない。」
「ほぉ?それじゃあ諦めるかい?」
「うーん……。」
リードは腕を前で組み考えている。
この場で決めるとしたら、リードだろう。そもそも裏ボスを見つけたというだけで、先生がどこかへ流せばここ以外でもそういうボスを誰かが見つけるかもしれません。
リードがどうして先生の提案を断ったのかはわからないけれど、それはきっとリードなりの意地というのは伝わります。
まあ、そもそもここまでの話を聞いてリードは一度たりとも厳しいとはいったが、無理とは言っていない。
素材のアイテムも消費ではないようだし、答えは決まっているのでしょう。
「みんながどうするかは、みんなで決めて欲しいけど、私は一人でもあいつを倒したい。あいつを知ってしまったから、私はあいつを倒さない限り他のことが見えなくなると思う。違う、もうあいつを倒すことでいっぱいなんだ……だから、本当なら、みんなにも手伝って欲しいけど、みんなは開放された他の街に行ったり別のことがあると思う。だから私の考えとしては、戦う。諦めたくない。でもみんなに強制はできない。」
リードの答えは私にとっては、納得のいくもので、やはりという気持ちでいっぱいです。周りを見れば呆れたりしているものの先程までの雰囲気はありません。
そして、サクラさんが口を開きます。
「はあ……リード?」
「な、なに?」
「ここまできて、私は降りるなんてことは言わないわよ?そもそも、火力が足らないならレベルを上げて再挑戦すればいいんだし。あなたと一緒にあのレイドを戦ったPTが、あの程度に対して諦めるなんて口にすると思うの?」
「俺も毒が効くって言うなら、毒矢とか作れないか調べたりもできるし、色々とやることはできるだろうしな。」
「自分も防ぐことが出来るのであるならば、サクラを守ればいいのである。泣き顔の言うとおりできることはいくらでもあるのである。」
「みんな……」
「まあ?僕の場合は持ち込まれたっていう方が正しいから参加の義務とかはないんだけどねぇ?それでも裏ボスだ。心が躍らないわけがないよねぇ?ということで、リベンジに参加するつもりだけどいいかなぁ?」
「も、もちろんですよ先生!」
どうやら、話としては決まったようですね。
さてそうなりますと、私の持っている情報を提示することで、おそらく火力は上がるでしょう。私のできることはそのことを教えることと、その再挑戦までに【言語学】を上げてあの弱点が読むことですかね……。
「あ。」
「ん?チェルカどうしたの?」
「え、いや……うーんと良いかな?」
「何かなぁ?チェルカ君は一体どんな情報の爆弾を隠してもっていたのかな?」
「情報の爆弾?」
「なんであるか」
「何かあるのか」
「えーと……ワールドスキルについて誰か知っていたりしますか?」
その言葉で全員が一度固まる。
私も名前から明らかにおかしな、それこそユニークスキルよりも上の【スキル】なのは予想がついています。それでもわからないならば、共有してみんなにも悩んでもらうのが早いでしょう。
最初に口を開いたのは先生でした。
「んーとそうだねぇ?ワールドスキルか……冒険者ギルドに世界級スキル図鑑というのがあったから、それ関係かな?」
「あー……確かにありましたね。」
「安直だけどそういうことだよねぇ?さて、チェルカ君?きみは何を取得したのかなぁ??」
「えっと……【智により才を通す】って名前の【スキル】を……」
「うん!おめでとうチェルカ君。その名前の時点で間違いなくユニークだぁ!うわー流石だねぇ???さてさて、効果は?フレーバーは?対価はポーションのレシピでいいかなぁ?いや、初のワールドスキルかもしれないから少しレシピだと弱いかなぁ?足りない分は現金だとして、さあさあ教えてくれるかい?!」
「先生近い!教える!教えますから……えっとみんなも見るでいいですか?」
先程から話しているのは私と先生だけで、他は未だ唖然としています。
私が提案すると全員が頷くので私は【スキル】を選択して詳細を拡大表示させます。
【智により才を通す】
知は武と対等である。
知は権力なくとも力を持つ
知は財産である
己の知識を他者へ教えるものを賢者という。
己の知識で他者を強いるものを圧制者という。
己の知識を正しく使うものを知性あると表現する。
知性ある者は此れを如何にする。
知性ある者は此れで如何を為す。
効果:対象者を選び対象者の【スキル】レベルを使用者の【言語】+【言語学】+【???】+【???】の合計値にする。※ワールドスキルは除く
対象は5分間その【スキル】レベルの【アクション】を使用することができる。
使用者は使用後48時間【言語】系統の【スキル】以外装備、取得することができない。
控え目に言って使いどころが難しすぎる上に、【言語】系統の【スキル】のレベルが対象者の【スキル】レベルよりも低かったら使ってもデメリットにしかならない。
「これはまた……随分と難しい【スキル】だねぇ」
「扱いどころが難しすぎて困るレベルですねこれ。」
「で、でも、これすごくない?例えば私に使えば魔法系統が全てチェルカちゃんの【言語】系のレベルになるんでしょ?火力は絶対上がるしすごい【スキル】よね」
「デメリットが最悪だけどな。これレベル上げは出来るかもしれないけど、ぶっちゃけ本を読んだりする以外48時間何もできないだろ」
「そもそも、この48時間というのがどの時間を指しているのかが不明なのである。」
「そうだよねぇ?これが現実世界での48時間なのか、こっちでの48時間なのかが問題だよねぇ」
言われてみればその通りです。
こっちでの48時間というと、現実での12時間です。そういうふうに捉えられればそこまでデメリットは気にしなくていいかもしれませんね。
それでも使用者のレベルアップ5分というのは短いのでしょうか。
それに私はフレーバーも少し気になっています。
これについては後で少し考察を先生と交わしてみたいですね。
「さーてぇ面白い爆弾が投げ込まれたけど他にもまだありそうな、チェルカ君はおいておいて、次の再戦はいつにするんだい?」
「狩場がいつ変わるのかがわからないので、なるべく早いほうがいいですけど、短期間だと厳しいですよね」
「少なくとも、自分は装備の更新をしないと厳しいのである。」
「私も最低でも10レベルにしてジャベリン以上を出さないときついと思う。」
「俺も試行錯誤があるからな」
「だったら、リアルで三日後の日曜日はどうですか?」
「そうだねぇ……場合によっては土曜日に色々と出来るだろうしねぇ?」
「俺もオッケーだぜ」
「私も……最悪仕事有給使おうかしら」
「そのあたりは計画的にするのがいいのである。それまでに整えておくのである。」
どうやら三日後に再戦に決まったようです。
三日後なら、私は一度【智により才を通す】を使ってみてもいいかもしれませんね。
戦闘に参加しないとはいえ、効果知っているのと知らないのでは違いますから。
「それじゃあ決定ねぇ?三日後改めてここに集合ということで。みんなには入場権限を指定しておくから気兼ねなく入ってきてねぇ?」
「あ、ありがとう先生。あ、他の情報も一応あるけどどうする?」
「んーリアル時間がちょっと怖いからねぇ明日ここに来れるかい?」
「うん、わかった。明日同じぐらいでいい?」
「もちろんだよぉ~それじゃあ今日は解散ということでいいかなぁ?」
「はい。それじゃあみんなまた三日後よろしくお願いします。」
そして各々がログアウトしていきました。
私もそのままログアウトしましたが、やることはあまりないので、明日以降は先生にマナの話をしたらまた倉庫に篭もりましょうか……それとも今のうちに【鍛冶】のレベルを上げるか悩みますね。
まだまだ、やることのあるこのゲームに私は胸を躍らさせながら眠りに落ちるのでした。




