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20.少女は悩み考える。

感想で指摘があった部分など、一部補足できたら嬉しいなと思って書きました。

歯が痛いので、明日更新出来るかわかないです。病院嫌だな……

リード達と別れた私はすぐに教会の倉庫へ向かいました。

戦闘面ではからっきしなのですから、ここはひとつ弱点以外でも何か一つでも情報を集めないといけません。

しかし、めぼしい本といえば昨日のうちにあらかた調べてしまっています。

教会に向かっていた足はとある場所で止まります。


「冒険者ギルド……か」


私は基本的に情報は本から得るタイプです。もちろんネットのまとめサイトや攻略、掲示板を絶対に見ないというわけではありませんが、ある程度詰んだりする……これ以上自分の力で見つけるのが困難であると判断した時に見ることが多いです。

何故ならゲームという物語ならば基本的に街や施設、住人の話から図書館の細部に自ずと情報を詰めるものだからです。

自分で全く探しもしないでそういうところから情報を得るのは、私の性格上好みません。別にそれ自体を批判するつもりはありません。

最短距離、最大効率、最適解。

自分で見つけないで他者が見つけることで楽をする。それも一つの楽しみだと私は思っています。


まあ色々と言いたいことはあるのですが、このゲームに限っていうならば、私は最初に図書館を見つけたせいで探索や検証、考察がかなりおざなりになっています。

これはあくまでも予想ですが、元々この街には図書館を置かない予定だったのではないでしょうか?それで、次のエリアで開放される街で初めて本にであう。そういう設定だったような気がします。そうでなければ、こんな最初の街に色々と混ぜ込まないと思うのです。普通最初の街の図書館といったらチュートリアル関係の本が大半で、そこから少しの小ネタといったものがあるといった具合です。なので、本来ならば最初の街では冒険者ギルドでの情報の聞き込みが基本なのでは?と思いここで立っています。


「登録した時にもう来ないと思ったんだけどな……。」


もちろん私自身がまだ探しきれていない本や、今のレベルでは読めない本があそこには眠っていると思います。そこに戻ってレベルを上げてもいいのですが……。


「一度聞いてみて、ダメならすぐにレベル上げつつ本を探そう。」


私は冒険者ギルドに入りました。


なかに入ると何人かは木のテーブルを囲んで談笑しているようですね。

先生が黒狼について知らなかったことから、おそらくプレイヤーは誰も知らないのでしょう。

ならば、プレイヤーに聞き込みをするよりもこの世界の住人に聞いたほうが得る物があるかもしれません。

私はカウンターに座って事務仕事のようなことをしている女性に近づき話しかけます。


「あの、すみません」

「はい、なんでしょうか?」

「あ、えーと……。黒狼についてご存知の方はいらっしゃいませんか?」

「黒狼ですか?少々お待ちください。」


そもそも、黒狼について聞くつもりではありましたが、もし特定の言葉だけでしか検索できない場合私は情報をあまり持っていません。

狼王あたりで聞くのがいいのでしょうか?

もし、黒狼であまりいい情報がなければそうしましょう。

女性は一冊の分厚い図鑑のようなものを持ってきました。


「黒狼といいますと、南西に住まうと言う“ブラックファング”のことでしょうか?それとも南東に住まうという“ヴォルフデビル”のことでしょうか?」

「あ、それはモンスター図鑑なんですね」

「はい。現在発見されているモンスターの住処や特徴の一部が記載されております。」

「……それの閲覧はどうすれば?」

「はい。一定以上の冒険者ギルドへの貢献により閲覧が可能になります。」

「どうすれば貢献になるんですか?」

「はい。クエストなどを達成していただくことで自動的に貢献度が上がっていきます。こちらの貢献度によって閲覧が可能になる情報はあちらの掲示板に一覧が掲示されていますのでご確認ください。」

「え、あ、はい。あと、えっとさっき言ってくださった2種類じゃなくて、狼王っていますか?」

「狼王……少々お待ちください。」


名前を聞いた瞬間少し険しい顔になる女性。

そのままモンスター図鑑をもって再びどこか奥へと行ってしまった。

というよりも私はショックです。

確かにあまり探索をしていなかったとはいえ、そういうのは登録の時に少しは情報をくれてもいいと思うんです。

実際それによっていくらか読める本が増えるというもの……。

女性が席を外している間に奥の掲示板でさっき教えてもらった情報を確認します。


貢献度500~

・モンスター図鑑上

・初級スキル図鑑上

・素材図鑑上

貢献度1000~

・モンスター図鑑下

・初級スキル図鑑下

・素材図鑑下

貢献度2000~

・希少モンスター図鑑上

・希少級スキル図鑑上

・希少素材図鑑上

貢献度2500~

・希少モンスター図鑑下

・希少級スキル図鑑下

・希少素材図鑑下

貢献度4000

・危険モンスター図鑑上

・世界級スキル図鑑上

・伝説級素材図鑑上

貢献度5000~

・危険モンスター図鑑下

・世界級スキル図鑑下

・伝説級素材図鑑下

貢献度10000~

・×××


「うわぁ……図鑑系は見てて楽しいんだよね……読みたい。」


なんですかこの心躍るようなラインナップは。

討伐系、戦闘系プレイヤーならばモンスター図鑑は気になるでしょう。

戦闘系だけどモンスターよりもスキルという人もいるでしょう。

生産系は素材一覧があるだけで色々と変わってきそうです。

ただ一つ貢献度10000以上のものは読むことすらできません。

一体何があるのでしょうか……。

これは、来るはずがないと思っていた冒険者ギルドでしたが通う必要が出てきましたね。


私はひっそりと燃えていると視界にこれまた大きな図鑑を持った女性の姿が入ります。

私はすぐにカウンターに戻ると女性は少し困った顔をしていました。


「申し訳ございません。お客様の貢献度ではこの情報は提示できるものがありません。」

「えっと、それはどの図鑑に載っていたんですか?」

「その質問に関してはお答えできます。お客様の調べているモンスターは貢献度5000以上で閲覧可能の危険モンスター図鑑下に記載されております。」

「まあ、裏ボス的ならそうだよね……。なにか言えることなどはないですか?」

「そうですね……。狼王はどの種類の“ウルフ”からも産まれることがあるようですが、それは世界で一頭だけ。それ以上存在することはないモンスターです。また、元々は一つの地域に留まるようなものではなく、不定期に狩場を変えているようです。」

「不定期に狩場を……待っていたらそこからいなくなるということですか?」

「そうですね。ただしそれがどのくらいかは判明されておりませんね。」


もしかしたら、黒狼を倒さなくても草原でスライムが湧く可能性があるということでしょうか?

そもそもそのスライムでさえ、出現する条件などを知っているわけではありません。

ここで一緒に聞いてしまうのもいいのですが、黒狼と違って一般的な敵MOBならば、貢献度の低い図鑑で載っているでしょう。それならば人から聞くよりも自分で見たほうが理解ができるというものです。

しかしそうですか。倒さなくてもいいというなら私は情報を集めたりして、わざわざ倒すということをしなくて待っているというのも手だと思います。

その辺を決めるのも、おそらくリード達は既に戦っているかその準備をしているでしょうから、一度目が終わって合流した時に聞くとしましょう。


「ありがとうございました。」

「いえ、またお越し下さい。」


冒険者ギルドのことは心に留め私は改めて教会へ向かいます。


教会へ戻ると珍しく今ゼズペットさんがいません。

NPCとはいえ、色々と事情があるのかもしれません。

私は気にせず倉庫へ向かい、なにかないか探し始めます。


「でもめぼしいのは読んだし……闇雲に探してもな……」


そこで私は黒狼ではなく、先生からの頼まれごとを思い出しました。

複合属性か状態異常などに関する記述をとりあえず引っ張り出します。

状態異常に関する記述はある程度見当たりますが、複合属性に連なる本は見当たりません。


「そもそも、複合属性ってどういうのだろう。この世界ではマナによって魔の力、魔法系統を使うことができる。つまりはマナを混ぜることで複合になる?いや、それによって何かができるかもしれないけど、多分正しい組み合わせじゃないと失敗する。」


思い出すのは孤児院での鬼ごっこです。

足に強化を試みた結果壁にぶつかったあの件。

しかし、瞬間的な加速はありましたので、一概に間違いとは言えないのでしょう。学問系の【スキル】を取れる機会があったら進化の過程で【マナ学】とかありそうですね。


「うーん……そういう話なら、先生にマナについて話したほうがいい気もするんだよな……。」


私は備え付けの椅子に座り軽く前足を浮かせつつ考えます。

マナに関する知識はあるのとないのでは、全く操作が違います。

試したことはありませんが、おそらくマナに的確に指示を与えれば、レベルの低い今でも【火魔】の最大技を発動する事はできるでしょう。

ただしそれが扱えるかどうかは別ですが、出来ても発動までだと思います。

流石に、マナに指示を与えて全てがうまく行くならば、レベルや進化の部分がシステムとして機能していないことになります。

そして、先生が探している複合属性もマナの仕組みとレベルさえ上がれば実現してくると私は思います。


「そうなると、複合属性で調べるよりもマナか魔の力とかで調べたほうがいいのかな?」


しかしそれも、初日のうちにめぼしいものやある程度読めるものは読んでしまっています。読めなかった本に関しても場所とタイトルは分かっているので確認はできますが……。


「それじゃあ今力になれそうにないし……うーん。」


私の目的はあくまでも草原のスライムです。

何度も確認をしていますが別にスライムからのドロップを確保して【錬金】を上げられれば、正直黒狼についてはあんまり興味がないです。

誰が倒そうが、どこへ行こうが今が邪魔なのでこうやって調べているのです。

でも、出来ることならばリードに倒して欲しいという気持ちはあります。


「黒狼の話を聞いたときすごく輝いてたからなぁ」


興奮している、楽しんでいる、新しい玩具の話を聞いてどうしても欲しくてしょうがない。話を聞いてる時のリードはそんな風に見えました。


「幼馴染が私のお願いで挑戦してるけど、そんな中で倒せないなら倒せないでいいよ、諦めて?なんて言えないよね」


ゲームゆえに諦めて素直にレベルを上げたり、装備を整えることは必要だと思いますが、理不尽すぎて投げ出してしまうのはきっとリードは嫌がるでしょう。PSが足らない、結局覚えて対策を取るしかない。そんなゲームがたくさんあったとしてもリードはそれを喜々として挑戦します。そんなリードに対して私は補助をする。それがゲームでの私の立ち位置です。


「だったら、もう少し何かないか調べてみないとね」


椅子から立ち上がり使える【スキル】を適当に使いつつ情報を求めて本を調べていきます。すると【魔視】を使っているおかげでしょうか、一冊の見えない本が見えました。


「なにこれ……」


白のマナで覆われたそこにあるけど、肉眼では見ることのない本。

【魔視】の効果をオフにすることで一冊分の空間があるのに、認識からも外されてしまう。

明らかに怪しい本を私は【魔視】を使いながらゆっくりと手に取ります。

白のマナで覆われ、タイトルは読めず、手に持ったことでようやく厚さを認識することができる不思議な本です。


「これはきっと中を読んでも……今はわからないんだろうな。」


わかっています。このゲームでは【言語】系統のレベルが低ければ文字が読めないことは、それでも少しでも読めたらと私はゆっくりとページを開きます。

ページを捲っているのは確かなのですが、そこに書いてあるのかもわかりません。やはりレベルが足らないせいでしょうか?それともなにか条件があるとか……。

そこへ何かテロップが流れてきます。

これは運営アナウンスですね、一度見たことがあります。


『条件をクリアしました。ワールドスキルを獲得しました』


……私は一旦その本を棚へしまいます。

私はただ無言で自身のステータスを確認します。


 name:チェルカ


スキル


【言語学】Lv3【火魔】Lv4【水魔】Lv2【風魔】Lv3【土魔】Lv2

【棒】Lv2【錬金】Lv1【調合】Lv1【鍛冶】Lv2【魔力感知】Lv4【観察】Lv5

【魔視】Lv5【白】Lv1【料理】Lv1【智により才を通す】LvMAX

所持金:1450R

装備

頭:なし

胴:初心者のローブ(翠)

腕:初心者の腕輪(銀)

足:初心者の靴(茶)

武器:初心者の杖(星1)


何か、増えています。

私は頭を抱えますが、それと同時にリードからフレンドチャットが飛んできます。どうやら、一回目が終わったようですね……。悩んでるより先に先生のギルドへ向かいましょう。

チェルカは基本攻略を嫌う子ではありません。

優先順位が本なだけで一般的なゲームも嗜んでいます。

それゆえに、本来行うべきチュートリアルとか色々とやりたい気持ちもあるんです。

でも、先に図書館見つけちゃったからそっちに通ってるだけなんです……

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