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episode13:失われた秘法

chapter3:失われた秘法

男たちは雷に焼かれて黒焦げの塊になってしまった。

俺は、その男たち(今は黒焦げの塊になってしまったが)を見て身震いした。

貴博さんは、その黒焦げの塊に一瞥すらもせず、前だけを見据えていた。

「さて、俺をここまで怒らせてくれたご褒美だ、どこから壊して欲しい?」

冷淡な声で言いながら、貴博さんはリーダーの男に歩み寄った。

両脇の女が足に体重移動しているのが見えた。

「頭か、足か、それとも、胴体か?」

貴博さんは猟奇的に笑った。

それは、既に貴博さんかどうかすらもわからない表情になっている。

焼け付くような感覚が体中に走る。

気がつくと、貴博さんの体が放電している。

「悪いな、裕樹、ちょっとばかり我慢しろよ。」

その瞬間、貴博さんの体を纏っていた電気は電流となり、リーダーの体をめがけて飛んでいった。

「甘いにゃ。」

女の片方が右手で電流を押さえ込む。

その電流は、すぐにはじけて消え去ってしまった。

「ほう、驚きだな。お前の能力は雷の操作か。」

「驚きなのはこちらです。まさか創造と操作を同時に行えるとは。」

もう片方の女が、貴博さんと同じように、体から電気を出しながら言った。


「ほう、お前たち顔が同じなだけでなく、能力も同じなのか。」

さっきとは打って変わった声で貴博さんは言う。

今度の声は明るくて快活な声だった。

「じゃあ、しかたねぇ、自分たちで殺しあってもらうか。」

貴博さんの体が光り、光が消えると口から白い塊が放出され、二人の女の体に入る。

すると、二人の目から生気が無くなり、片方は火を、片方は雷を体から放出した。

そして二人はにらみ合い、同時に片方は火を、片方は雷を発した。


二人は同時に能力を使うのを止めた。

それとほぼ同時に、二人の女はその場に崩れ落ちた。

身体の肉は焦げ、先ほどの男たちのように黒焦げの塊になっていた。

そして、二人の身体から白い塊が飛び出して、貴博さんの身体に入っていった。

「弱いなぁ。こんなんじゃ、大切なリーダーを守れねえぜ。」

貴博さんは、焦げた塊になった二人の体から、白い何かを引き抜きいた。

そして、その白い何かを身体に取り込んだ。


「さてと、俺が戦いたいのはラグナであって、お前じゃないんだがな、ロック?」

貴博さんはそう言って一歩、また一歩と男に歩み寄って行った。

目の前に到達してもなお、歩くことをやめない。

そのまま貴博さんは通り過ぎて、エレベーターの前に立った。

「いつまでこんな茶番をさせるつもりだ?」

それだけ叫ぶと、貴博さんは、エレベーターのドアをこじ開けた。

「・・・気づいていたのか。」

エレベーターの中には、目の前の男、ロックを老けさせた感じの男が立っていた。

「驚いたな、あれからどれだけの時が経ったか・・・最後に会ってから20年だったか?」

エレベーターの中の男は淡々と言った。

貴博さんも、まったく、ぴくりとも動かずにそれを聞いていた。

「確かにそれぐらいの時が流れているだろうな、貴様たちの中ではな。」

貴博さんも、男に負けないくらいの冷淡さで答えた。

二人の間には不思議な空気が流れていた。

「ほう、涼奈もいるではないか。」

「久しぶりですねラグナ。」

「あぁ、久しいな。あれから、何一つ変わってないな。」

「いいえ、私は変わりました。永遠に貴博と離れない誓いを交わしましたから。」

涼奈さんが言うと、ラグナは少し黙り込んだ。

そして次に口を開いたのは、貴博さんだった。

「貴様には涼奈を幸せにすることはできんさ。それに気づいていて身を引いたんだろ?」

ラグナは何も答えない。

ただ、ひたすらに貴博さんを睨みつけているだけだった。


貴博さんは、怒るなよと言って、ポケットから一冊の本を取り出した。


「これだろ?」

小さく区切ってラグナの反応を見る。

「お前が探してた失われた秘法ってのはよ。」

「やめろっ!」

貴博さんが本をひらひらと横に振ると、ラグナは冷静さを失ったように叫んだ。

「その本を手荒に扱うな。」

「へっ、お前に命令される言われはねえぜ。」

貴博さんは、鼻でへへっと笑うと、本をラグナに投げ渡した。

ラグナは、それを捕ると、慌てて最初のページを開いた。

to be continued

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