episode0: 持つもの持たざるもの
chapter1: 始まりの始まり
街を歩いていると、前から歩いてきた男の人とぶつかってしまった。
その男の人は、肩が少し触れただけで、俺に掴みかからんほどの勢いで怒鳴りかかってきた。
うっとうしいので、無視して行ってしまおうと、歩き出したら、肩を掴まれた。
「兄ちゃん、待ってくれや。こいつが肩の骨折れたって言うとるんやけど。」
肩を掴んでいたのは、そばにいたもう一人の男だった。
この程度のことで肩が折れるのなら、俺は毎日もっと牛乳を飲むことをお勧めするが・・・。
めんどくさいことは嫌いなんだが、しかたが無いことなので俺は、小声で呟いた。
瞬間、男二人が俺の目の前から消え、後ろに現われた。
そして、俺は後ろを振り返り、男たちをにらみつけた。
「もしかして・・・こいつ、“所持者”?」
「に・・・逃げろー。」
男二人は、大慌てで走って行ってしまった。
この世界には、そちらの世界(読者の世界)では人知を超えていると言われるような能力を持つものと、持たざるものが存在する。
“俺は・・・。”
能力を持たざるものは、持つものを畏怖し、持つものも、持たざるものを卑下する。
能力を持つものは全てにおいて、持たざるものよりも優遇されている。仮に、持つものが持たざるものを殺してしまったとしても、持たざるものでは持つものを裁くことはできない。
“いったいなんなんだ・・・?”
能力を持つものの中でもランクが存在し、一番最高のランクはSで、能力に存在する属性の中で一人しか存在しないランクで、最強のランクだ。このランクを持つものは、神と呼ばれる。
その次に強いのがAで、その次がB、最低のランクはEだ。
“教えてくれ、俺はいったいなんなんだ?”
所持者がランクをあげるためには、自分よりも強い所持者と契約するしかない。
契約・・・すなわち、自分よりも強い所持者を殺し、その所持者の血を飲み干すことで、ランクを上げることができるのだ。
“君は・・・君は、神奈雄大。私の生涯一人の親友。”
そして所持者は、もって生まれた才能があり、その才能以上はどう努力しても超えることができない。
“そして、お前は所持者だ。その属性で唯一神になれる可能性を秘めた・・・。”
そして、俺は、悪しき所持者を倒す、善き所持者になろうと心に決めていた。
勿論、俺よりも強い奴など何人でも存在する。
しかし、最後に勝つのは、強い心を持ったもののみ。そう教えられて育った俺は、必ずこの世界を正しい方向へと導いて見せる。
“その言葉、確かに聞いた。その言葉にそむいたときは、貴様のからだを我が物とし、この神なる力で世界を滅ぼしてやろう。”




