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1945年8月12日


半田川沿いの谷付近には、日中戦闘に参加した部隊と、これから戦闘へ参加する部隊を中心に野営していた。怪我人や同行の文官、輜重兵や衛生兵を含めるとその数は1000名以上だ



直利達は、たった30人でこの1000人へ突撃を行うが、決して玉砕ではない。



「井出、お前は、半田川の上流で俺達を待っていろ、2発目の手榴弾を合図に撤退するから、邪魔になるろ助を、機銃掃射で片付けてくれ」


「小銃持ちの俺達は、出来る限り戦闘を控え、敵の中央まで潜入する、手榴弾を合図に深井と上里は、機関銃を撃ちながら突入してくれ、新居と相川にも同じ事を言ったが、俺達に当たる事なんて考えずに撃ちまくれ!」


「全員解ったか!」


「「「おおおう!」」」


「ほとんど死んでしまうと思うが、運良く生き残ったら、半田川から南の山頂へ上り他の部隊と合流し死ぬまで戦うぞ!」


「「「おおおう!」」」


部隊の士気は高く、この生きて帰れる者などいそうもない、圧倒的に不利な条件を、気にもかけていないように威勢が良かった。




半田川西の森から野営地点に近づくと、警備兵二人が大きな岩の陰で、タバコを吸っていた。


直利達は、岩の反対側から近づき、静かに銃剣で心臓を付いた。



そのまま堂々と野営場所を進むとソ連兵達は、木にもたれて仮眠している者、レーションを食ってる者、地面に座り込みうな垂れている者等で、足の踏み場がないほど密集しているが、直利達に気が付く者はいなかった。


「この辺でいいだろう、散開して各個暴れまくれ!」


25人が一斉に手榴弾を投げ、戦闘が開始された。


ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!


バババババン!バババババン!バババババン!バババババン!バババババン!


「Jap attack!Jap attack!Jap attack!Jap attack!」


爆発音の後、すさまじい機関銃声が起った。それはこっちからの掩護射撃と、敵からのと錯綜し、雹の降るように入り乱れ、漆黒の闇の中、狼狽するソ連兵


頭を抱え地面に伏せる者、闇雲に森に向かい銃を撃つ者、同士討ちをする者等で大混乱である


敵陣深く潜入した直利達は、ほとんど銃を撃たず、銃剣でソ連兵を突いていた。


真っ先にやられたのは、深井と上里であった。


機関銃を撃ちまくっていた二人は、ソ連兵に頭を撃ち抜かれていた。


「There is a Jap soldier! There is a Jap soldier! There is a Jap soldier!」


ソ連兵の中にも屈強な兵士はおり、致命傷を追い地面に倒れながらも、日本兵の足を取りトレンチナイフを背中に突き刺した。


間近で、ソ連兵を突いていた日本兵を見た者は、確認する事無く頭を撃ち抜いた。


甚大な被害を出しているソ連兵の中で、直利の小隊も一人また一人と倒れていった。


そんな中、漆黒の闇が、車両のライトにより照らされ始めると、直利は、大声で叫んだ



「てっしゅうううううううううううううううううう!」



同時に手榴弾を、炸裂させた。



2回目の手榴弾の炸裂音を聞いた井出は、半田川上流から直利達の退路にいるソ連兵を機銃で、掃討し始めた


井出は、奥からこちらに向かって走る集団が、直利達であると確信し、その後方から追ってくる人影を、けん制するように機関銃を撃つ


戦場から脱出する直利達と、それを追う敵の声、そして銃声とが、真っ暗い森の至るところから不気味に湧き起こっていた。



逆側の森から、新居と相川が、重機関銃でソ連兵に激しい攻撃を始めた事で、ソ連兵はそちらに向かい、直利達を追ってくるソ連兵はいなくなった。




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地球へ転移してきた地下迷宮都市~セシリア札幌戦記~
老後の満子が活躍しますので読んで貰えると嬉しいです。
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