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第49話 虹の彼方へ



一面真っ青に刈り上がった緑のグラウンドのピッチ。その鮮やかな舞台を照らす数多くの眩しいスタンドのライト。そして、観客席は見渡すほどの白、黒、黄色の様々な多国籍の人々でビッシリと埋まり、ゴール裏のエンドラインの後ろには各国の報道記者達がウチに一点集中してカメラを構えとる。

そう、ここはウチとオトンが長年夢見て目指してきた約束の場所、サッカーワールドカップ決勝の舞台や! 天才サッカー選手の名を惜しいままにしたオトンから鍛えられたウチは日本サッカー界史上最強のプレーヤーになって、男女の壁を突き破り日本代表の背番号10番をつけてついにこの舞台まで登り詰めたんや!

ウチの足元にパスされ転がってきたサッカーボールを華麗にトラップして、襲いかかってくるディフェンダー達を軽く交わして後はキーパーと一対一! このスタジアムに高々と飾られている金色のワールドカップ、絶対にウチのものにして日本に持って帰るんや!

そして、ウチの活躍を病院のベッドで見守ってくれているオトンの元へ持っていって、高々とその頭上に掲げてもらうんや! さあ、いっちょ決めたるでウチのスーパーゴール! 世界最高のファンタジズタ、松本翼のプレーに世界中酔いしれろやぁ!!



「いっけぇぇぇぇぇ!!」



ピイィィィィィー!!



「翼! もうそろそろ起きてよ、翼!?」


「ピッピッピィー! おねータン朝ですよー! 早く起きないと置いてっちゃうぞー!?」


「……あれ? オカン、岬? ボールは? ゴールは? ウチのワールドカップはどこいったんや?」


「おねータン寝ぼけてるー、変な顔ー!」


「今日は午前中から新作君のお見舞いに病院に行くって言ったでしょ? もう、いつまで寝てんのよ!?」



……何や、夢かいな。そりゃそうやな、そんな夢みたいな大それた話、まだまだ先の事なんやろうなぁ。でも、せっかくええ夢見とったんやから、ゴールデンウイークの初日ぐらいゆっくり寝てたかったわ……。



「ほら翼、早く起きてさっさと顔洗ってパジャマを着替えてよ! 私、その後演説会の会場に行かなきゃいけないから、もう時間が無いのよ!」



なかなかベッドから起きられへんウチの周りをオカンが忙しそうにバタバタ動き回っとる。あぁ、そうやったな、今日は病院に入院しとるオトンのお見舞いに行った後、オカンは何やらどっかの集会で出版したエッセイの演説とかで休み中ずっと帰ってこられへんやったっけ。せやから、このゴールデンウィーク中ずっとウチが岬の面倒を見なきゃあかんねや……。



「……うわぁ、面倒くさ、オトンには会いたいけど、何かもう起きる気にならへん……」


「翼! 頼むから起きてよ!?」


「……オカン、あと五分、ムニャムニャ……」



ピイィィィィィー!!!!



「うわぁ! うるさっ!!」


「おねーたん、シュミレーションファウル! イエローカード!」


「ゴラァ岬! 朝からピーピーやかましいっちゅうねんオマエは!? 鼓膜破れたらどないしてくれんねん!?」



うつ伏せになって枕に顔を埋めてるウチの耳元で、岬が勝手にウチが誕生日にオトンから貰ったプロの審判員も愛用する高価なホイッスルを大音量で吹きよった。いくら年の離れたまだ小学生のガキとはいえ、お姉様に対して何ちゅう礼儀知らずや、ホンマに頭にくるアホで失礼な妹やわ!



「おねータンはお寝坊さんでダメダメですねー? みータンはそんな子に育てた覚えはありませーん!」


「そんな生意気な言葉、一体どこで覚えてきたんやこのクソガキ! しかもな、『シュミレーション』ちゃうねん、『シミュレーション』や! 第一、オマエに育てられた覚えなんぞ一つもないっちゅうねん!!」


「あー、審判に文句言ったー! ピッー! イエローカード二枚目、レッドカード! おねータン退場!」


「ホンマええ加減シバくぞオマエ!? ウチのホイッスルとっとと返せや!!」


「わーん! おねータンが怒ったー! ママー、みータンおねータンの事を起こしてあげたのにいじめるよー!?」


「あなた達がいい加減にしなさい! 時間が無いんだから、こんな時に姉妹喧嘩とかやめてちょうだい!」


「……いや、だって岬がウチの大事なホイッスルを勝手に……」


「翼、あなたもう高校生でしょ? もっとお姉さんらしくしっかりしてちゃんと岬の面倒を見てあげてよ!? これじゃ私、安心して仕事に行けないじゃない! ホイッスルぐらい貸してあげて、早く出掛ける準備をしなさいよ!?」


「何でぇ!? 何でいつもいつもウチが我慢せなアカンねーん!?」


「いいから早くして! でないと、本当に置いて行くわよ!?」


「やーい、おねータン怒られたー」


「……チェッ、いつも怒られるのはウチばかり……」



……最悪の目覚めや。せっかくのゴールデンウィーク、ウチかてホンマは街に繰り出してショッピングやオシャレをしたい女の子盛りやのに、何で休み中ずっとこんなお子様の面倒見なアカンねん!?

二、三歳ぐらい年の離れた妹やったらまだ趣味とか学年も近くて親近感も湧くかもしれんけど、十も歳が離れとったら話なんて全然合わへん! テレビ見とったら勝手につまらんアニメ番組に変えよるし、かといってバラエティではウチの嫌いな同じ芸しか出来んサムいお笑い芸人見てキャッキャッ喜んどる。さっぱりツボがわからへん!

おまけに人を小馬鹿にする様な神も恐れぬ生意気発言のオンパレード。もう、何やねん! これじゃまるでウチが母親みないなもんやないか!? ウチはオカンに雇われたベビーシッターとちゃうねんで!? こんな事やったら一人っ子で良かったわ。四十近くで第二子産むやなんて、オトンとオカンは一体何を考えとんねん!? ウチには何もかんもさっぱり理解出来んわ!!



「……翼? さっきから何を小声でブツブツ言ってるのよ?」


「……別に、なーんも……」


「ピッピッピー、ピッピッピー」



何やら色々な荷物を後ろのスペースに満載に詰め込んだオカンの車の中、身支度整えて後部座席に座ってふてくされとるウチの前の助手席にはまだ岬がホイッスルをくわえてピーピー鳴らしとる。なんぼ鳴らそうと同じ音しか出えへんのに飽きんのかコイツは? まぁ、お陰で外で荷物運んどったオカンに愚痴が聞こえずに済んだけど……。



「翼、悪いけどこのお見舞いのお花を落とさないように膝の上に置いといてくれる? それと、新作君の着替えが入ってるバックと、お世話になってる病院の人達にお渡しするお土産の品を後部座席に隙間に置かせてちょうだい?」


「えっー!? 後ろ一人で広いからこっちに座ったのに、そんなデカいバックが来たらもうウチの周り荷物でギュウギュウやがな! だったらウチ、助手席の方が良かった! 花なんか岬に持たせたらええやないか!? 面倒な事ばかりウチに押しつけて、もう嫌や嫌や!」


「ワガママばかり言わないでちょうだい! 岬にお花を持たせたらイタズラしちゃうかもしれないし、それに危なくて岬一人を後ろに乗らせる訳にはいかないのよ!? 少しは周りの事情を考えられる様になりなさい!」



「……チェッ、何やねん? 花も土産も持っていかんでもええやん、オトンが一番喜ぶ土産は大好きなウチの可愛い笑顔だけやのに……」


「おねータンまた怒られたー! やっぱりおねータンはダメダメな子ですねー?」


「じゃかぁしいわ岬ゴラァ!! オマエ、後ろから頭蹴りとばすぞ!?」


「はいはい喧嘩はそれまで! 翼はしばらく黙ってなさい! かなり飛ばして走るから、二人ともしっかりシートベルトを締めて!」



……またや、またウチだけ怒られた。何でやねん? 明らかに岬の方から喧嘩売ってきとるのに、何でオカンは岬には怒らんのや? こんなん絶対不公平や、絶対に納得出来ん……。



「……とても渋滞している上を走っていく余裕は無いわね、出来るだけ下を全力で走っていくから、しっかり掴まってなさい!」


「えっー!? オカン、急いでるからってそんな警察に捕まりかねない運転、そない無茶なー!?」



連休で混雑する昼間の高速道路を避けて、普通の道路を真っ白なワゴンRがターボ全開で交差点を信号ギリギリで駆け抜けていく。まるでジェットコースターの様な乗り心地に岬はキャッキャッと声を上げて喜んどるけど、荷物満載の後部座席に座るウチは荒波に揉まれとる難破船状態や。頭のあっちこっちに荷物が当たって、たまったもんやないでホンマに……。



「待っててね新作君! 今すぐ新しい着替えと私達の子供達の笑顔、届けてあげるからね!」



家にはもう一台オトンの大きな1BOXの車があるんやからそっちに乗ればええのに、オカン曰わく『小回りが効かないからイヤ』なんだそうや。病気で仕事が出来なくなったオトンの代わりに、毎日本の出版の打合せや演説会、はたまたテレビ番組のコメンテーターなどの仕事で忙しいオカンにはこっちの車の方が合ってるとかいないとか。

その慌ただしい生活に付き合わさせとるウチはハンパなくしんどい。大体はオカンがいる時に全部済ませてくれるけど、忙しい時はウチが代わりに岬のお守りや家事の面倒しなきゃいけないからメチャクチャ大変なんやで? まぁ、そう言うても最近は千夏を呼び出して手伝って貰たりしとるけどな。


でも、そんな男勝りにバリバリ働いとるオカンはウチの憧れの女性像やねん!


今でこそ仕事も家事も車の運転も楽勝でこなすキャリアウーマンのオカンも、昔は内気で陰気で奥手なイマイチ眼鏡っ子だったんやて。それが大学生の時にオトンと運命の出逢いを果たしてからはメキメキと自信と実力をつけて、一気に学問も仕事も女としての人生も開花してもうたらしいで。

眼鏡の奥に隠れていた天性の美貌と男どもを魅力するナイスバディに一気に磨きがかかって大学のミスコングランプリに輝くと、今度はずっと勉強して蓄えてきた知識を使って世界史や民族問題を題材にした出版物が次々とベストセラー。

現在は歴史参考書などの教科書鑑定委員や有名大学の特別講師も依頼される超売れっ子さんや。しかもそのバティスタイルはウチと岬を産んで四十越えた今でもくびれの妖しいエロエロなバッ、キュン、ボーン! これぞまさしく才色兼備ってヤツやな。神はオカンに二物を与えたって訳や。

ウチが世界一の男と惚れ込んどるあのオトンのハートを射止めたこのオカンの魅力はさすがのウチでも歯が立たへん。いつも怒られてばかりで頭にくる時もあるけど、ウチが自分以外でオトンから目一杯愛されても納得して許す事が出来る女性は世界広しと言えどやっぱりこの人だけやで!



「わー! ママ運転お上手ー! あっという間に病院に着いたねー!」


「どう、ママスゴいでしょ? 何とか予定通りの時間に到着したみたいね……、ってあら、翼? あなた顔が真っ青だけど大丈夫?」


「……大丈夫な訳ないやん? 荷物があちこち飛び回って、あわや生き埋めになるところやったんやで……?」



……やれやれ、後はこんな無茶な事をせんかったら最高の母親なんやけどなぁ? 車の揺れと飛び交う荷物の衝撃でクラクラになっとるウチとは対照的に、オカンはあんなレースみたいな運転しとったのに荷物を両手に抱えて駐車場から病院一直線にスタコラサッサ。この人、毎日仕事に家事に一体いつ休んでんねやろ? ホンマにタフ過ぎるわ、ウチには到底真似出来ません……。



「新作君、お待たせー!」


「オトーン! 可愛い愛しの翼ちゃんの到着やでー!」


「パパー、みータンも来たよー!」



最近、心臓の病状が悪くて検査の数値も良くなく、以前よりも若干やつれてきたオトン。この前、那奈や那奈のオトンが見舞いにきた時は『近い内に死ぬかも』なんてビックリする弱音も吐いとったけど、この松本家三人女神の満面の笑顔を見たらそんなもん軽く吹っ飛ぶで! ウチらの元気な姿が、病魔と戦うオトンにとって最高の良薬……!



「こらこら、ダメですよ松本さん? ちゃんと良い子にして点滴の針を刺させてくれないと元気になれませんよぉ?」


「いやいやいやいや、カナミちゃ〜ん? も、もうちょい下かなぁ? もうちょい下に屈んでくれたらええ感じに谷間が拝めて……」


「松本さん、看護婦みんなにそんなエッチなお願いしてるんですかぁ? 私だけだと思ってたのに〜」


「いやいやいやいや、オジサンの一番はミホちゃんだけだって! ミホちゃんの朝の採血はオジサン、いつもビビビッって感じちゃうんやで〜?」


「んっも〜う、私の点滴はビビビッって感じてくれないんですかぁ? そんな事言ったら痛くしちゃうぞ?」


「あっ、あっ、あっ、カナミちゃんの針の刺し方も絶妙や、オジサン幸せいっぱいであっちこっち元気になってしまいそうやわぁ……」


「………………」


「……あれ?」



……うわぁ、最悪や。最悪の場面に出くわしてしもうた。若い看護婦二人挟まれて鼻の下全開で伸ばしまくるスケベオヤジのだらしない醜態。ウチが一番見たくない、甘いマスクに隠されたオトンの闇の裏の顔……。



「……新作君? 何やってんの?(怒)」


「……い、いやいや美香ちゃん、これはちゃうねんちゃうねん! これはな、あの、い、医学の勉強やで勉強! 看護婦達に自分の腕の血管の位置を教えて貰えば、いざという時に自分で注射や点滴や採血出来るやろ? 万事が万事を思うての事であってやな、その……」


「……自分で注射打つって、一体どんなシチュエーションやねん……」


「せ、せやからな翼? もしかしたら医者も看護婦もおらん時に心臓に不整脈なんかが起こるとも限らんやろ? そないなったらオトン一人で何とかせなアカンやん!? その為に今、看護婦さんの谷間っプリ、いやいや、仕事っ振りを見て勉強に励んで……」


「パパ必死過ぎー、みータンそんな言い訳は見苦しーと思いまーす!」


「何や岬ぃ! お前までパパをそんな冷たい目で見るんかぁ!? パパはお前達の為に頑張って病気と戦ってるんやでぇ!? これくらいのサービス、別にええやないかい!? おっぱい見るだけやったら浮気にも痴漢にも逮捕にもならんやろぉ!?」



……うわぁ、開き直りや、見苦しっ。とりあえず、点滴の針も無事刺さったみたいやし、下手に興奮して心臓に悪い影響出たらアカンから看護婦さん達にはお土産持って病室から出てって貰おか。



「いつも夫が『色々と』お世話になっているみたいで、つまらない物ですが、皆さんで召し上がって下さい(怒)」


「もう二度と来えへんでええで、このオッサンのスケベ根性は底無しやからな」


「看護婦さん、バイバーイ!」


「あぁっ! 俺の可愛い白衣の天使が! カナミちゃん、ミホちゃん、カンバッーク!!」



もちろん、この後はウチとオカンでたっぷりとオトンに説教かましたった。ちょっと目を離すとすぐに女の胸や尻ばかり追いかけよって、今の自分の体の具合をわかっとんのかなこの人は? 一体オトンのエロパワーの源はどこから来とんねん? これもウチにはさっぱり理解出来ん!



「いや〜、エロスとはすなわち男のロマンですからねぇ? 同じ男として生を受けた自分には、新作さんのお気持ちは十分に理解出来ますですよ、ハイ」



……もう一つ理解出来へんのがコイツや。コイツやコイツ! ウチが行く所を先回りしてニヤニヤと毎度毎度毎度毎度毎度!!



「何でオマエがここにおんねん、薫!? 何の用でまたオマエがウチらより先に勝手にオトンの病室に居座っとんねん、この変態ストーカーめ!!」


「つばピーったらヒッドーい! お花はちゃんと花瓶に生けて下さ〜い! こっちに投げちゃイヤ〜ン!!」



ウザいしキモいし、もう何やねん!? 何でオトンのお見舞いに来るといっつもいっつもコイツがおんねん!? 一体何の用やねん!? オトンやウチらに何か恨みつらみでもあるんかい!? 最近はウチの知らん内に家の中にまで入り込んどるみたいやし、もうウチのストレスは限界や! 迷惑や! 立派な犯罪や!



「それだけとちゃうわ! 綾! 何でオマエまでここにおんねん!? ウチは今日オマエをここに呼んだ覚えはあらへんで!?」


「……薫君がね、お見舞いに行くから一緒に行こうって誘ってきたの、私も翼のお父さんには何度も車でクラブハウスから家まで送って貰った事があるし……」


「まぁ、俺と綾ピーの仲じゃん? せっかくだから一緒に日頃新作さんにお世話になってるお礼をしに行こうって話になってさ、二人でこうして仲良く病院にお見舞いに来たって訳さ!」



何やねん何やねん何やねんいきなり!? 二人の仲!? 一緒に仲良く!? 何の話や!? もう全然訳わからへん!? いくら綾の出番が少ないからって、こんな泥沼三角関係鬼過ぎるやろ著作者!? いつからコイツらはそんな連絡取り合う様な関係なっとんねん!? 学校が一緒になったから言うても、まだ新学期始まって一ヶ月ちょいやないか!? じゃあ、もしかしてコイツら、もっと前のあのクラブハウスの初対面の時からウチの知らん間にコソコソと……!?



「……なぁ、オマエら二人、付き合うてんの……?」


「……ごめん翼、君にはあんな事を言ったくせに、優柔不断な俺は綾ちゃんの事が忘れられなくて……」



……最悪やん。何で? そんなんヒドい、あんまりやろ? 薫のウチに対する気持ち、ホンマもんなのかなって最近信じ始めとったのに。ウチの事、ホンマに想ってくれてるんやって気にかけとったのに。ましてや、その相手がウチのサッカーでも私生活でも大切なパートナーの綾だったなんて、そんな酷すぎる……。



「ないないないない、絶対に無い! 薫君の一癖あるノリとしつこさは私には生理的に無理! どんなに私が出番が欲しいと言っても、この役だけは喜んで心から翼に譲ってあげる!」


「えっ〜! あんまりだぜ綾ピー!? こんなナチュラルテイストなスイーツ美男子をそんなゲテモノ料理みたいな言い方して避けるなんて、薫ちゃんショーック!!」


「……薫、オマエなぁ……」


「おやおや? つばピーったら焼き餅妬いちゃったのかな? 心配しないでベイビー、俺は未来永劫神に誓って君だけの物さ! う〜ん、怒って真っ赤になった顔もベリベリキュート!!」


「オマエ、一生死んでろやボケッ! 地獄に堕ちて灼熱の溶岩窯に五、六回浸かってこいや!!」


「お花には罪が無いから投げないで〜!? 花瓶もデンジャラスだからヘルプミー!? 閻魔様、哀れな俺に天国への蜘蛛の糸を差し伸べてプリーズ!?」



何が天国じゃこのどアホ! オマエみたいないい加減な嘘つき人間、地獄に行く前にウチがその二枚舌を全部残らずベンチで抜き取ったるわ! 一瞬でも切なくなったウチが愚かやった。こんな最低スケベストーカー犯罪男、絶対に好きになんてなるかいな!



「フバハはほもだひがおおふて学校たのひほうやなぁ(翼は友達が多くて学校楽しそうやなぁ)、ひかもふきやってひひよってくれるだんひまでひて(しかも好きやって言い寄ってくれる男子までいて)、へいふゅん真っ盛りなんやなぁ(青春真っ盛りなんやなぁ)?」


「……オトン、何言うてるか全然わからへん……」


「美香ひゃん(美香ちゃん)、ほろほろ頬をふねるほの手をはなひてふれまへんでひょうか(そろそろ頬をつねるその手を離してくれませんでしょうか)? もう看護婦はんたひをヘッチな目で見たりひまへんから(もう看護婦さん達をエッチな目で見たりしませんから)……」



オカンに思いっ切りつねられてるオカンの頬は真っ赤になって、相当痛いのか涙目になっとる。まぁ、当然の報いやけどな。そんなオトンを見て薫は感心そうに腕を組んでウンウンと頷きいつものニヤニヤ。



「さすがはおっぱい王と崇拝するエロス全能の神であるミスターマツモト、エンジェルナース軍団にモテモテどころじゃなく、しっかりと愛しの奥方のハートも鷲掴みで離さないんですね、心より感服致します」


「その通りだ王子、疚しい色事と愛する伴侶と共に暖かい家庭を築いていくのは全くの別物である、男は常に家庭の事を第一に考え、ちょっとしたムフフなお遊びは気晴らし程度に……」


「……気晴らし?」


「ふそでふふそでふ(嘘です嘘です)、美香ひゃん(美香ちゃん)、ひょうだんでももうひいまへんからゆるひてくだはい(冗談でももう言いませんから許して下さい)」



しかっしわからんわ。二年前ぐらいにみんなで行ったあのキャンプの後、オトンと薫の突然の急接近はどうもおかしい。おかしいを通り越して何かもう気持ち悪い。二人が言うとるおっぱい同盟どこの騒ぎやない、まるで実の親子かどっかの師匠と弟子みたいや。

そうやな、例えるなら那奈のオトンと翔太の間柄に良く似とる感じや。あぁそや、この前は那奈のオトンが病院にやってきて訳のわからん話でキレて怒鳴り散らして、一緒にいた薫は泣き出すしオトンに至っては『もうすぐ死ぬ』なんて言い出しよったし……。

しかもあの話、どうやらオカンは何か事情を知っとるみたいやったけどウチに何にも教えてくれへん。一体、ウチの知らないところで何が起こっとんねん? オトンと薫、二人の間には一体どんな関係があんねん?

ミステリー好きのウチからするとこの謎はかなり興味深いくて色々と妄想してしまうわ。二人が突然真面目な話をし出したり、薫の片方の足が義足だった事がわかってからオトンの態度が変わった事から推測すると、何かシリアスな裏話でも隠されとるんやろか……?



「松本さ〜ん、お昼ご飯お持ちしましたよ〜?」


「うおぉ! 神よ、これまたチャーミングなエンジェルナースのご登場でございますよぉ! 少し守りの堅い白衣に写るスマートでシェイプされたエロエロボディはまるで男を吸い付ける魅惑のマグネティック・ガール!」


「おぉ! ついにお主も服の上からでもボディラインを想像出来る千里眼を身につけよったか!? そうとも、我々の千里眼にかかれば世のオナゴ達の姿はすっぽんぽん同然や! そんな無防備なエンジェルのピュアハートに、新作おじちゃんの不正アクセス炸裂しちゃうぞぉ!?」


「新作君! 岬も側で見てるのよ!? 父親の威厳丸つぶれじゃない、もういい加減にしなさい!!」


「いいなぁいいなぁ、俺もこの病院に入院した〜い! そして、美香さんに一日中説教された〜い!」



……アホや。アホやコイツら。無い。絶対にシリアスな話なんてこの二人にはありえへん。やっぱりオトンと薫を結ぶもんは女のウチらからにはわからん壮大なエロエロパワーによるものなんやな。今、改めてそれに気づかさせて貰たわ……。



「でも不思議だよね? そんな薫君が翼の事が好きだなんて、こんなセクシーの欠片も無い小学生みたいな背格好に何の膨らみも無い真っ平な胸……、もしかしてさぁ、薫君ってロリコン?」


「じゃかぁしいねん綾! オマエかてそんな口利けるほどのもんや無いやろが!? 惨めで貧祖なペチャパイ娘が、オマエにそないな事言われる筋合いなんかあらへんねん!!」


「ヒッドーい! 翼なんかと一緒にしないでよ!? 私はちゃんと全国の女子高生の成長平均値を満たしてますよーだ!」


「平均値以下の何が悪いねん!? むしろウチは最近需要の高い希少価値のあるロリータバティなんやで!? ウチかてオマエみたいなどこにでもいるような量産品と一緒にされてたまるかっちゅうねん!?」


「あー、そうですかそうですか! 認めるんだね? 自分がロリ系だって認めるんだね!? 何よ、散々メリハリのあるナイスボディになるとか言っといて、結局諦めてその道に逃げちゃうんだね!? もうガッカリ、ガッカリボディ! この話、千夏ちゃんにもしっかり報告させて貰うからね!?」


「ガッカリって言うなガッカリって! 勝手にせぇや! ウチかて乳製品採ったりバストアップ運動とか頑張ったけどちっとも成果が出えへんかっただけや! 千夏がなんぼのもんじゃ〜い! オマエになんてウチの傷ついた小さな可愛いハートの気持ちなんかわかってたまるかぁ!!」


「わか〜るわかるよ君の気持ち〜♪ 俺はセクシーでもロリータでも熟女でも何でもペロリしちゃう大食い雑食家なんだせぇ!? さぁ、愛しのダーリン? 迷わず俺の腕の中に真っ直ぐ飛び込んでくるがいいさ!」


「オマエが一番やっかましいんじゃゴラァ!!」


「あんぎゃあぁぁぁぁぁ!!」



オトンに着替え一式とウチら未成年者には目の毒なラブラブキッスをプレゼントすると、オカンは急ぎ足で病室から駐車場に戻ってまたもやハンパないスピード出して仕事先へと行ってしもた。この後地方でホテルに泊まっての仕事やろ? ホンマに忙しい人やなぁ? オカンの方が体を壊さんか心配になってくるわ……。



「なぁオトン、静岡の『森川の里』って聞き覚えある?」


「……森川の里か、これまたえらい懐かしい名前やなぁ、俺が小さい頃に虎太郎や啓介と一緒に世話になった孤児院の名前や、しかし、何で翼がそれを知っとるん? 俺、お前にそんな話をした事あったっけか?」


「……いや、インターネットで調べとったら何かそんなんが出てきてな、ちょっと気になってオトンなら知っとるかなって……」


「……そうか、しかしホンマに懐かしいわ、昔良く三人で連んで悪ふざけしては、そこの院長のスズ婆にいつも怒られとったなぁ、今頃、あそこどないなっとんやろか? スズ婆、元気にしとるんやろか……?」



……ウチ、オトンに嘘ついてもうた。ホンマはインターネットで調べたんとちゃう、家にオトン宛てでその『森川の里』ってところから手紙が来てたんや。興味をそそられたウチは悪い癖でオトンよりも先にその手紙の内容を読んでしもた……。



「拝見、松本新作様、風薫る爽やかな季節となりました今日この頃……」



その手紙の主はオトンが『スズ婆』と呼んでいた院長さんの娘さんからやった。そして、その手紙は今のオトンが知ってしもうたらきっとショックを受けてしまうかもしれへん内容が書かれていたんや……。



「……先日母が、森川鈴子が息を引き取りました、九十五歳の大往生でした、死因は昔からの高血圧が引き起こした心不全でしたが、ほぼ老化現象によるものでしょう、最期はとても安らかな表情でした……」



ウチは最近、何が何でもオトンの周りから『死』という言葉を払い去りたくて必死やった。悪い事を考えない様にしても、どうしてもあの時にオトンが言った『死ぬかもしれない』という言葉を忘れる事が出来んかった。あのオトンが死ぬなんてありえへん! そう思っても、いつかは来るであろう別れの時が次第にウチらの背後に近づいてきているのを感じて怖くて仕方なかった。

だからウチ、オトンに嘘ついて手紙を渡す事が出来んかった。自分を育ててくれた母親みたいな恩人の訃報を知らせてあげないなんて親不孝もいいとこやけど、それでも今のオトンには人が死ぬって事を考えて欲しくなかった。生きる事だけを考えて欲しかった。これからもずっと、ウチの側に居続けて欲しかったから……。



「……おねータンどうしたのー? 元気ないぞー? おねータンの取り柄は元気だけでしょー?」


「……うん、そやな、そうなんやけどな……」


「薫タン、薫タン! おねータンおかしいよ! みータンが悪口言ってるのにおねータン全然怒んないよー!? 病気になっちゃったのかなー!?」


「ハッハッハ、いいかいみータン? おねータンだって女の子、元気な時もあれば落ち込んでシュンとなっちゃう時だってあるのさ! 翼はいつも強気な様で、本当はか弱い小さな自分を守ってくれる白馬の王子様が現れるのを夢見て……」


「……薫君、少しは空気読みなよ? 翼がこんなに落ち込んでるなんて相当の事よ? 雪でも降ってこなきゃいいけど……」


「……むぅ、いい加減おちゃらけモードにも限界があるかな……」



嘘をついて手紙を後ろに隠したまま病院を後にしたウチは、苦悩と後悔で頭の中がパンパンに腫れ上がってしもた。近くの駅まで歩いていく足取りも朧気、これが本当にオトンの為に良かった事やったんやろか? ウチのした事は正しかったんやろか? どんなに考えても、ウチには正解を見つける事が出来へん……。



「……翼? お父さんの事が心配で落ち込んでいるのはわかるけど、そんな顔してたらお父さんの方が翼の事を心配しちゃうよ? だからさ、いつもみたいに元気出そっ!?」


「……うん、そやな……」


「おねータン笑って!? みータンが面白いギャグやってあげるー! せーの、グーググーグーググーグー! コォー!」


「……それ、ウチ大嫌いやねん……」



ウチの後ろからついてくる綾と岬が珍しく気を使って励ましてくれるけど、やっぱりどうしても頭の中からオトンの言葉が離れへん。昔を思い出して遠い目をして語っとった、ウチの知らないオトンの大切な思い出……。



「……俺達があの孤児院から外の世界に出る時、過去の辛い思い出は全て捨てて新しく生まれ変わろうってそれまでそれぞれが大切に持っていた宝物を一つずつ近くの大きな木の樹の下に埋めたんだ、いつかこの社会で成功したらまた三人で掘り返しに行こうってな、でも、俺にはもうそんな機会はあらへんかもしれんけどなぁ……」



……宝物って、何やろう? 那奈のオトンと小夜のオトンだったら多分知っとるはずやけど、確か那奈のオトンは突然沖縄に行ってしもたらしいし、小夜のオトンは相変わらず海の向こうで仕事が忙しいやろな、この二人に話を聞くのはまず無理や。オカンなら何か知っとる? いやアカン、オカンにそないな事聞いたらウチが手紙隠しとるのがバレてしまう。それだけは絶対にアカン。

じゃあ、どないしたらええねん? この手紙を隠してオトンに嘘ついたせめてもの罪滅ぼし、何でもええからオトンの力になりたい。どんな事でもええ、オトンが喜んでくれる事。あの時の『弱音』がホンマの話なら、せめてオトンが元気な内に何かオトンの夢や希望を叶えてあげたい……!



「ねぇ翼? 今、翼が何を考えているか当ててみせようか?」


「……ハァ?」



何や、いきなり? さっき思いっ切り蹴っ飛ばしてやったウチの靴底の跡がついたままの間抜けな顔で、薫がスケベなニヤニヤとは違う爽やかな優しい笑顔でウチの前を遮ってきた。



「きっと、大好きな新作さんに対して何か嘘をついたか秘密を隠しているんじゃないかな? そして、それを今とても後悔している、そして、その償いとして新作さんの為に何かしてあげたいと思っている、違うかい?」



……何で? 何で何で何で!? 何でウチの考えている事が薫にまるっとお見通しやねん!? そんなアホな、ウチは何も手紙の話もオトンの孤児院の話も誰にも話してへんねんで!?



「どうやら図星って顔だね、言っただろう? 俺は翼の事しか見てないってさ? これでも、俺は世界中で誰よりも翼の事を理解出来る人間になりたくて頑張ってるんだぜ? バカな事ばかりしか言ってないから信じては貰えないかもしれないけどね?」



……何や、嬉しいんやか気持ち悪いんやか訳わからへん感情がウチの胸の奥に渦巻いてキュンとした。サッカーでも相手にフェイントがバレたらマズいから、考えている事はあまり顔に出さない様に普段から気をつけとったのに、薫はいとも簡単にウチの心を読み取ってしもうた。何やねんコイツ……。



「だったらさ、翼の思う通りにすれば良いんだよ! 翼が今、新作さんにしてあげたい事をしてあげれば良いんだよ! 小さい頃から新作さんにサッカーで教わった大切な言葉があるんだろう? それを今、ここで俺達に言ってみてくれよ!?」



サッカーの練習や試合で壁にぶち当たった時、そして、学校や普通の生活でも自分に自信が持てなかった時、オトンは決まって明るく笑顔で、落ち込んでいるウチが一瞬で元気になれる『魔法の言葉』をプレゼントしてくれた。



「……『下を向くな、笑え、自分の直感を信じろ』って……」


「そうだよ、それ! 正にそれ! 今、自分がしたい事を、自分が感じた事を、自分を信じて動けば良いんだよ! それが一番の新作さんへの気持ちなんだよ! 翼が悩んでいる事の本当の答えなんだよ!!」



何でウチとオトンしか知らんそんな事まで知っとるん? ホンマに、薫には人の心を見通す千里眼でもあるんやろか? 何かウチ、薫に何もかんも全てを見られてしもうてるみたいな感じや。うわぁ、何かめっちゃ恥ずかしい。何なんやろ、この変な気分……。



「さぁ翼! 今の翼の気持ちを俺に遠慮無くぶつけてくれ! 翼が理想に想う頼りになる男じゃないかもしれないけど、俺は翼の為に出来るだけの努力は一切惜しまない! 俺はいつだって、翼の味方なんだぜ!?」


「薫タンカッコいいー! みータンもおねータンとパパの力になってあげるー! みータンはみんなにツキを呼ぶぜー!?」


「……どうも断れない空気になっちゃったから、私も何か役に立てるなら……」



……そうやな、そうやんな! ウチに悩み事なんて似合わへん! 薫、岬、綾、ホンマおおきに! ウチ、もう迷わへんで! 思い立ったら即行動、それがウチのポリシーや! 自分自身をここまで成長させてきたウチの全てなんや! 絶対に後悔なんてしとうない、世界一大好きなオトンの為に、ウチはこの小さい体で出来る事をするんや! 今、してあげられる事を全力でしてあげるんや!!



「よしっ、ウチ決めたで! オトンに代わって、今から静岡まで行って『森川の里』でオトンの宝物掘り出したんねん!!」


「そうだ! それでこそ俺の愛しのベイビー……、ってエッー! さすがにそれは予想GUYデース!?」



「し、静岡!? ちょっと翼、いきなり何を言い出してんの!? 今からそんな遠くに行くなんて、とても一日じゃ帰ってこれないじゃん!?」


「じゃかぁしい! じゃかぁしいじゃかぁしいわボケェ!! もう決めたんや! オマエら、ウチに力貸すって言うたやろ!? 言うたよな!? 泊まりがけ上等や、学校が始まる前に帰ってこれれば何の問題も無いで!?」



そうや! 今のウチに出来る事、それは限られた命の十字架を背負わされた運命と立ち向かっているオトンの代わりに、幼き頃の大切な思い出の場所で宝物を掘り出し、それを無事にオトンの元へと届ける事なんや! それがきっと、今のウチに与えられた神様からの試練なんや!



「……ヤダよ、泊まりがけだなんて、私は何て言ってお母さんを説得すればいいの!? そんなの絶対に怒られるに決まってるよ……」


「ウチの家に泊まっとるって言っときゃええねん!? 静岡に行くくらい別に危険な事でもないやろ、お隣の県やで!?」


「ウヒョヒョヒョヒョヒョ、いいんですか、いいんですかぁ!? 高校生の分際で健康な男子と女子がお出掛けお泊まりなんてしちゃってもいいんですかぁ!? しかも男一人に女三人って、何て素敵なハーレムなんでしょう! まるで男の夢の様な展開……!!」


「岬を『女子一人』に入れるなやロリコン変態! もう一発顔面に蹴り食らっとけや、このどアホ!!」


「あっぴぃあぁぁぁぁぁ!!」



もちろん、このスケベ犯罪予備軍にはしっかりと悪さをせん様に鎖を縛りつけて、飼い犬の如く力仕事やら肝心の掘り出し作業やら面倒でかったるい野暮用を押しつけてこき使ってやんねん! エロい事を考える余裕も無くなるくらいにビシバシいったるで!!



「おーでかけー、おーでかけー、みんなとお出掛け楽しいなー! 薫タン、綾ねータン、みータンについてこーい!」


「……いつの間にか岬ちゃんにも懐かれちゃったし、もう私、どうなっても知らないからね? 翼、私の身に何かあったらちゃんと責任取ってよ……?」


「さぁさぁさぁ、行くで野郎共! 目指すはあの虹の彼方にある大きな木の樹の下に眠る未知なるお宝、キャプテン翼率いる海賊団の旗揚げやでぇ!!」



高校生三人と子供一人の青春旅キップ珍道中。オトンが育った故郷って一体どんな所なんやろ? 待っててな、オトン! ウチ、絶対に宝物を見つけてオトンの元に持ち帰ってくるやさかいに、それまでは元気でおってな!? 絶対やで!!



「んでさ翼、静岡までは何で行くの? 俺、新幹線乗りたいな〜?」


「新幹線乗った事無いから何か怖いもん、東海道本線で行きたいんやけどアカン?」


「ワォ、ナーンテコッタイ! すっかり日が暮れてしまうでんがなまんがな〜?」


「気持ち悪い関西弁使うなや、このボケッ!!」



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