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第23話 CENTER OF UNIVERSE



「全競技全制覇よ! もうここまで来たらこれしかないでしょ!?」



季節は十月体育の秋、頼みもしないのにどこかの応援団長並みにテンションの高い負けず嫌いの女が大声を出して一人で大騒ぎしている。



「……千夏、アンタ一人だけお祭り騒ぎだよ、自粛しなさいって恥ずかしい……」


「自分の競技の前までは真っ青な顔してガチガチに緊張しとったのになぁ、終わったら途端にいきなりハイテンションモードやで、困ったもんや」


「いいじゃな〜い、ちゃんときっちり結果出したでしょ〜! ホラホラ、このメダルが目に入らぬか〜!」



参加競技が無くてシラケまくっている私と翼に『どうだ!』とばかりに首にかけた玩具みたいな勲章を目の前にチラチラと見せびらかしてくるなんちゃってアスリート。はっきり言って目障りだ。コイツは私達に何か催眠術でもかけるつもりか。



「たかだか県大会の競技で偉そうに、しかもこんな玩具みたいなちっさいメダルごときで」


「ちょっとちょっとちょっと、気安く触らないで頂戴! 汚らしい、手垢がつくじゃないのよ!」



今日、私達は県内で有名な競技場に学校生徒全員でやってきている。今、翼が言った通りここでは県教育会が主催のスポーツ大会なるものが行われており、学年別競技別でそれぞれの学校の代表者が日頃の練習の成果を出して競い合っている。

陸上競技は午前中にほとんど終了してしまい、午後からは体育館内での室内競技が行われる。まぁ、千夏以外は部活動不参加者だらけの私達には全く関係のないイベントなんだが。



「……そういえばさ、千夏って陸上部なのは知ってるんだけど何の競技をやってるの?」


「えっ〜、何よ何よ、知らなかったのぉ〜? じゃあどうしようかなぁ〜、みんなに教えてあげようかなぁ〜?」


「……いや、別にいいよ、興味ないし……」


「Listen! Listen! Listen! Listen to me!」



……結局、聞いて欲しいのかよこのかまってチャンは。あー、面倒臭い……。



「……何よ?」


「ダ〜メ! 心がこもってな〜い!」


「……え〜、ナニナニ? スッゴい知りた〜い……」


「それじゃあ、当・て・て・み・て! ウフッ」


「……もういいや……」



カチンときた私達は無視してさっさと体育館に移動しようとしたら、いちいち前方に回り込んで行く手を遮ってくるしつこいかまってチャン。



「じゃ、じゃあヒントヒント、ヒントあげちゃうから当ててみて!? 『走り○○○』さぁ、な〜んだ?」



相手をしてやらないと当分しつこくまとわりついてきそうな感じだ。物好きな読者の人達にも知って貰える様にここはとりあえず答えてやるとするか。



「……じゃあ、幅跳び?」


「ブー! じゃあ次は翔太君答えて?」


「……オレ? じゃあ、三段跳び?」


「ブー! はい、次は麻美子!」


「……棒高跳び、ですか?」


「惜し〜い! さぁ、小夜答えて!?」


「砲丸投げー!」


「……何で?」


「んじゃ円盤投げやな、間違いないわ」


「いやいや、ハンマー投げでしょう? 投げて『ウオォ〜』って」


「『投げ』から離れなさい! 翼と薫ちゃんじゃダメね、最後に航ちゃん、お願いだから当てて!?」


「…………競歩」


「あ〜もう、違う違う違う! 走り高跳びよ、『はしりたかとび』!」



全員に答えさせて、これだけ尺使ってそのオチかよ、つまんない。どうした作者、ネタ切れか?



「何かしらオチつけろや、何の為のコメディーやねん、アホ」


「何でオチなんかつけなきゃいけないのよ! アタシがやっている競技は陸上のスーパーモデルが集う美女の競技、走り高跳びなのよ!」



だ、そうだ。モデルうんたらの話は知らないが、何だかんだ言って学校の代表に選ばれて大会で優勝するくらいなんだから大したもんだ。



「その世界の中でほら見て御覧なさい、この胸元に輝く頂点の証、金メダルよ! アナタ達がどう頑張っても辿り着けない領域……!」


「玩具みたいなちっさいメダルごときで」


「Be quiet! go home!」



その自慢の五百円玉みたいな小さなメダルをさっきから小さな娘にベタベタ触られまくっている。この程度の金物じゃ質屋に持っていっても100円にもならないだろうなぁ。



「……でもまぁ、県内一位なんだから結構凄いって言えば凄いわよねぇ」


「千夏、スゴくかっこ良かったよー! タッタッタッターって走ってピョーンって飛んで背中からクルッて回ってキレイだったよー!」


「……小夜が喋ると何の競技だかサッパリわからんなぁ? ピョンとかバッーっとかダッーっとか」


「ちょっと待ちなさいよ、アンタ達ちゃんとアタシの競技を見てたんじゃない!何でさっきはその競技の名前がすんなり出てこないのよ!? バカにしてるでしょ!?」



千夏は元々は短距離の選手を目指してイギリスにいた頃から陸上をやっていたらしいのだが、ちょっとしたお遊びで棒高跳びに挑戦したところ、なかなかセンスがあると現役のアスリートに誉められたんだそうだ。

一度誉められて有頂天になった千夏はその後、走り高跳び一本に目標を定めて日本に来てからも部活動で練習をしている。日本の中学生で専門的に走り高飛びをやっている選手はまだ少ないのでこういった大会ではいつもいい結果を出しているみたいだ。

しかし、あんまり必死に練習に打ち込んでいる様には見えないと担当の先生が言っていたのを聞いた事がある。つまり、天から授かった才能だけで跳んでいる訳だ。



「バカにしてるとイタい目見るわよ!? アタシは美しく跳ぶ為に生まれてきた天才ジャンパーなんだから!」



……やれやれ、勘違いも程度を超えると自己暗示になるみたいだ。もしかしたらさっきからメダルを振り回しているのは自分に催眠でもかけているのだろうか?


そんな千夏を始め、私達の学校の生徒は全競技で成績のいい選手が多く、かなりの数のメダルを取っている。高等部がスポーツや学問に力を入れていて名門校と呼ばれているのは知っていたが、中等部もかなりレベルが高いみたいだ。



「陸上競技部隊はしっかり結果出したんだから、この調子で室内競技もアタシ達の学校がバッチリ優勝頂くわよ!」



だからアンタは応援団長かっつーの。別に室内競技の部活動に私の知り合いなんて誰もいないんだから、そんな千夏みたいに熱く応援する気になんてとてもなれないのだが……。


体育館に入ると、すぐ目の前のコートでバスケットの試合が行われていた。しかもタイミングの良い事に次は私達の学校の出番だ。



「あれ? なぁ薫、お前この前バスケット部だって言ってなかったっけ?」



そういやインチキアスリートがもう一人いた。部活に専念せずに近くの女子ばかり見ている毎日欠席のピーピングトム。



「……ベンチに入るどころか部員である事も忘れ去られてますが何か?」


「…………もう辞めればいいのにね」



男子がこんなものだから私達女子は全く盛り上がらない。学校行事で義務参加とはいえ下手な動物園に遠足に行くよりつまらない。



「ハイハイハイ、応援しても大して力になれない男子はみんな後ろ! アタシ達女子は黄色い声援で後押しするわよ〜!」



千夏の一声で何やらボソボソと喋っている男子三人は後ろの席に追いやられ、私達女子五人は観戦しやすい前列の席に並んで座った。



「いっけぇ〜! パスよ、シュートよ、ダンクよ! もう何でもいいから勝ちなさ〜い!!」



どの生徒もみんなおとなしく席に座っているというのに、隣にいる周りの空気が読めないバカ女は一人席に立ち上がって応援している。

バスケットのルールも良くわかっていないクセにて、いい加減で勝手な声援とピョンピョン飛び跳ねるその姿たるや、まぁ目立つ事目立つ事……。



「……千夏さぁ、頼むからおとなしくしてよ、側にいる私まで恥ずかしい……」


「何を言ってるのよ那奈! アタシ達の代表がその身を削って戦っているのよ! アンタ達も立って精一杯応援しなさいよ!!」


「……オイ千夏、もう試合とっくに終わっとるで? ウチらの学校ボロ負けや」


「えっ〜、ウソ〜! 応援に気を取られて試合の事すっかり忘れちゃってたわ! 信じられない、もう最悪! 翼達がちゃんと応援しないから負けたのよ!?」



……イヤイヤイヤ、明らかこの女うるさい声援が原因だろう。コートにいる人間達よりもデカい声を出して作戦のサインをかき消してしまうし、全くルール無視のアドバイスをして集中力を失わせるし、もう選手が可哀想だ。



「何よ、だらしないわね! これで全競技制覇の目標が消えちゃったじゃない!もうバスケット部は廃部よ廃部!」


「……いつから全制覇が私達の学校の目標になったのよ? つーか、アンタ何様?」

「それよりもアンタ達は何なのよ、そのやる気の無さは? ちゃんと応援しないから負けたのよ、もうちょっと盛り上げなさいよ!」



あー、うるせぇ。興味の無い物は無いっつーの。小夜達は持参してきたお菓子食べてるし、翔太と薫のエロコンビは他校の女子生徒ウォッチングに夢中だし、私と翼は大あくび。誰も千夏のテンションにはついてこない。



「あーもう、いいわよ! みんな勝手にすれば!? つまらないならさっさと帰ればいいじゃない!? フン!」



連れない私達に千夏は一人でカッカと怒り出し、こちらに背を向けて大会の予定プログラムをペラペラと捲り始めた。



「……え〜と、この後の目玉競技は、あっ!」



何か気になる競技でも見つかったのか、千夏はニヤニヤしながらつまらなそうにしている翼の肩を揺すって話しかけた。



「ねぇねぇ翼、この前学校の廊下でアタシに声かけてきたあの男子生徒、覚えてる?」


「……男子生徒? あぁ、あの関取みたいにデブってて汗かいててキモいヤツやったっけか?」


「そうそうそう! アタシに『も、も、もし良かったら友達でいいんで付き合って下さい!』って言ってきたあのデブ」


「それがどないしたん? キッパリ断ったんやろ、あんなデブ?」


「そ・れ・が! 話を聞いたらあんなデブのクセにアタシ達の学校の柔道部の重量級のエースらしくて、この大会にも選手として出場するんだって、あのデブ!」


「……ほぉ、あんなデブのくせに」


「そうなの、あんなデブのくせに」



……デブデブ、ってヒドいなぁこの二人は。重量級を目指しているから太っているだけかもしれないのにね……。



「……でね、やっぱり出来るだけ室内競技でもアタシ達の学校に活躍してもらいたいじゃない? だ・か・ら……」


「うぇ! オ、オマエまさか了承したんか、あんなデブの告白!?」


「だって、『お友達』でいいんでしょ、何て事ないじゃない?」



来た来た、千夏の小悪魔モード。この手の話になると途端に目つきが黒猫の様に鋭くなり、お尻から尖った悪魔のしっぽが見え隠れする。



「お友達って事はちょっと喋ってあげたり、一緒に下校してあげるぐらいでいいんでしょ? それでいい結果が出れば安いもんじゃない?」


「……うへぇ、怖い女やなぁ……」


「それに今はブクブクのデブでも、とりあえずはスポーツをやってる訳だからもしかしたらこの先痩せてカッコ良くなるかも知れないじゃない? この大会がきっかけで将来一流アスリートに成長したら物凄くいい買い物したと思わない?」



そりゃ結果が出ればの話であって、そうならなかったらどうやって収拾をつけるつもりなのだろうか。



「……千夏、アンタさぁ、それでその男子が負けたらどうすんの? ちゃんと断れるの?」


「何言ってるのよ那奈ったら〜、負けたらそんな約束は水の泡よ、アタシは弱い男には用は無いのよ!」


「千夏、オマエは何て悪い女なんやぁ! 敵に回さんで正解やったわ、これからもウチと仲良くしよ〜な!?」



……最低、最悪の女だ。多分この女はこれから先、私達が成人になっても次々て男を手玉に取って私腹を肥やしていくのだろう。翼の言う通り、敵に回すとヒドい目に合いそうだ。



「あっ、そろそろ柔道の試合の時間だわ〜! アタシの奴隷ちゃんの活躍を見てあげなくちゃね〜、ウフッ!」



世紀の悪女、千夏に先導されて私達はバスケットコートの隣の会場に移った。そこは畳がひかれていて柔道の試合が出来る様に整備が整っていた。

観客席にはすでに私達の学校の生徒達が何人か観戦していて、そのほとんどが男子生徒。隣のコートに比べると雰囲気は結構盛り上がっていた。

その盛り上がっている男子生徒の群の真ん中に、中学生離れした妖しい色気を振り撒いて千夏が試合情報を聞き出しに割り込んでいった。



「ねぇねぇ、今やってる試合って何試合目なの? うちの学校の選手残ってるの? アタシにも教えて〜?」


「……あ、あぁ、残ってるよ! 次は重量級の決勝だよ!」


「木村って奴、スゲーよな! あんなにデブのくせしてもう決勝だぜ? やっぱり強いんだな!」



デブのくせに、と聞いてピーンときた。どうやらその選手が千夏が言っていた奴隷ちゃんの様だ。木村と言う名前らしい。



「へぇ、あのデブ、木村って名字なんや?」


「ビックリするわよ翼!? あのデブ、『木村卓哉』って名前なんだって! 爆笑よね、超ウケるでしょ〜?」


「……うわぁ、可哀想に、世界は何て残酷なんだぁ……」



薫が頭を抱えて同情するのもわかる。私だって長澤ま○みや上○彩とかと同姓同名だったら嫌だ。時に沢尻エ○カとかは本当に勘弁……。



「……で、試合は? もう始まってるのかな、見えるか航?」


「…………あそこ、もう始まってる」


「えーどこどこ、見えないよー? 翔ちゃん、航クン、どこー?」


「ヤッダ〜、アタシ達試合が見えな〜い! ねぇねぇ、みんな前の席譲って〜、お・ね・が・い!」



千夏の誘惑ウインクの連射砲でたちまち混乱状態に陥った男子生徒達は即座に私達に前を譲ってくれた。ちょっとウザいがやはりこういうキャラが味方にいると色々と便利ではある。



「わーい! 見えた見えた! ここなら良く見えるよ麻美ちゃん!」


「……あっ、あのデブ、じゃなくて、大きな選手ですかね、千夏さんの言っていた人……?」


「そうよ、あれがアタシの奴隷ちゃんよ! この世界のセレブ、三島千夏様とお付き合いがしたくて決勝まで上がってきたおデブちゃん……」



千夏が自慢げに周りにいる人々に雄弁をたれていたその時、私達の目に写ったその太った柔道選手は会場の畳の上で完全に逆さまになって宙に浮いていた。



ズドォォォォォォン!!



「……い、一本!!」



叩きつける様なけたたましい重低音と共に、デカい図体が畳の上で大の字にひっくり返り主審の声が館内に響いた。投げられた当人も何が起こったのかわかっていない様子で、豆鉄砲を食らった様に目をパチクリしていた。



「勝者、赤! これまで、礼!」



衝撃的な映像と結果に私達は唖然とした。体重100kg以上はあるかという太った巨体が軽く一瞬で宙に投げられたのだ。



「……ちょっと千夏、あのおデブ負けちゃったじゃない……」


「……あんだけデブってても投げられる事があるんやな、さすがに驚いたわ……」


「あのおデブさん、ポーンって跳ね上がって飛んだよね! 麻美ちゃんも見た!?」


「……何か、スゴい物を見ました、残念でしたね、千夏さん……」


「もう何よ、だらしない!こんな事じゃアタシの奴隷なんて百年早いわね、失格よ失格!!」



千夏の態度の変わり様に私達が呆れた溜め息をもらしていると、後ろで男子三人が興味深い話をし始めた。



「……でもさ、あの巨体を軽々投げちゃうんだから、相手はどんなバケモンですかね? 航くらい体格立派じゃないとね?」


「…………俺と同じ位大きな中学生って事かな」



そういえばそうだ。簡単に投げられる訳の無い巨体があっさりと投げられたのだから、それを投げた中学生とは一体どんな化け物だというのか。そんな事を考えていると、航と薫の話を聞いていた翔太が黙って何か考え込んでいた。



「……何よ、どうしたの翔太?」


「……いや、俺さ、思い当たる人間が一人いるんだけど……」


「思い当たる人間? 何の?」


「……あんな巨体を軽々と投げ飛ばす中学生柔道選手って……」



翔太の言葉に私達全員の頭の中の記憶に同一の人物が浮かんだ。ハッとして試合会場に目を向けた私達の視界に入ってきたその選手は、予想通りこの前電車内で出会ったゴツいクセしてやたらと口達者なあのゴリラーマン。



「あっーーーー!!」



千夏が指を差して大声て叫んだ。忘れる訳が無い、あらゆる男子を跪かせてきたセレブ女を軽く鼻で笑い一蹴した因縁の相手。



「オイ、みんな見てみ! あの時のゴリラやゴリラ!」


「あたし達や小さい子供を助けてくれた人だー!」


「千夏ちゃんをコテンパンにヘコませた人じゃないですか〜!」


「……確か、あの人の名前は、何でしたっけ?」


「…………忘れた」



……結局誰も名前覚えてないんじゃない。まぁそう言う私も良く覚えてないけど。確か、柔道のチャンピオンか何かで河村? 山村? 変な名前だったのは覚えているけど……。



「一茶だよ、澤村一茶! 俺と同じ幼稚園で一家全員柔道家一族で全日本王者だよ!」



あぁ、そうだ。澤村一茶だ。思い出せなくてモヤモヤしていた胸の支えが取れて私達がスッキリしていると、何か突然隣にいる女が静電気みたいな電波をバチバチ放ちながら観客席の最前列まで飛んでいった。



「ななななな何であああああの男がここにいるのよぉぉぉぉぉ!!」


「……アカン! 千夏がまたショートするで!」



翼の言葉通り完全に制御機能を失った千夏は暴走して、二階の観客席から最前列の手すりに登って下の会場に飛び降りようとしていた。



「ちょっとちょっと千夏! 待ちなさいって! 落ち着きなさいよ!」


「ダメだよ、危ないよ千夏ー! 落っこちちゃうよー!」


「オマエ、こんな所から飛び降りたら怪我するで! 何をトチ狂っとんねん!」



私達が止めても全くお構い無し。周りにいる生徒達はもちろん、下にいる大会関係者も何事かとこちらを覗いていた。



「ここであったが百年目! 今日こそキッチリ積年の恨み晴らしてくれる〜!!」



大騒ぎしている観客席を澤村一茶は軽く一瞥すると翔太の姿に気付いたのか、ニヤリと笑ってこちらに向けて軽く指でキザっぽく敬礼した。



「何よあれ! ムカつくーー!!」



ちなみに、試合に負けたおデブ『木村卓也』はみんなから完全に忘れられていた。勝者と敗者、つくづくついてない哀れな人間がいるものなんだな……。



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