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第13話 Children's world



先輩達の卒業式も終わり、時間割も半日授業に変わって私達の終業式も間近になってきた。あと数日で私達も中学二年生だ。



「んまぁ、そんな事はどうでもいいんだわ、どうでもな」



私の父親、虎太郎が家に帰ってきて私と翔太の前で昼食の出前の丼をガツガツと口にかき込んでいる。



「親父さん、大事な話って何ですか?」


「あのなぁ、今週か来週か再来週かそのまた来週かの日曜日」


「……それっていつよ?」



相変わらずいい加減な話。何が大事な話なのかサッパリわからない。しかし父さんはそんな事も気にせずに口に食べ物が入ったまま翔太に喋り続ける。



「国際、国内、つーか全ての主要ロードチームの合同開催で今年のニューマシンのテスト及び御披露目会をやるんだがな」


「……何か、凄そうなイベントですね……」


「翔太、お前も参加しろ、これは命令だ」


「えっ、マジっスか?」


「うちのチームの今年の新型、お前に乗らせてやるよ」


「えっー! 俺、乗っちゃっていいんですか!? 大丈夫なんスか!?」



翔太の目がキラキラと輝いた。しかし、翔太の年齢でそんなバイクに乗っていいのだろうか?



「ヘルメット被っちまえば誰が乗ってるかなんてわかりゃしねぇよ、ミニバイクだけじゃつまんねぇだろ? 今の内にホンモノってヤツを経験しとけ」


「……またそんな無茶な事をして大丈夫なの、父さん?」


「それにな、今回は各メーカーのお偉いさん達も見に来る、今のうちに『風間翔太』の名前をあちこちに売り込んどけ、順調に行けば二年後には全日本戦デビューなんだからな」


「……はい、わかりました……」



私の話なんか全然聞いちゃいない。全く、バイクのどこがそんなに楽しいのやら。



「話によるとな、あの『悪魔』も久し振りに日本に帰って来るらしいぞ」


「……親父さん、悪魔ってまさか……!」


「……母さん!?」


「……悪魔でわかるのか、お前らもヒドい奴らだな、あれでもとりあえずは俺の嫁なんだぞ?」


「……父さんが一番、悪魔、悪魔って言ってない?」



『悪魔』ねぇ、母さんもヒドいニックネームをつけられたもんだ。しかし本当に周りの人達から怖がられているのは確かだけど。



「えー、なになに? 麗奈ママ帰って来るのかい? それじゃアタシ達も一緒に行きたいなぁ、久し振りにあの凍てつく様な毒舌を聞きたいよ」



母さんの話を聞いたお姉が食後の歯磨きをしながら部屋に入ってきた。凄い地獄耳だ。



「怖いもの見たさか、まぁ好きにしろ、つーか優歌、暇なら午後から仕事手伝え」


「悪ぃけどあたし、バイクの免許なんか持ってねーし」


「自力で走って配れ、あるいはチャリンコに乗れよ」


「お断りだね、アタシもそろそろ試合が近いんだ、不毛な労働は御免だよ」



食事制限をしたり夜中にランニングをしたり、最近体が引き締まってきたのはそういう事だったのか。その割にあれだけのお菓子をたった一人で……、ってその話は後でいいか。



「……試合ねぇ、大きな怪我しない様にしてよ、お姉」


「おぅ、任せろ、きっちり無傷で仕留めてやるよ」


「人をぶん殴って金貰える、全くもっていい商売だなぁ、優歌」


「ホント、アタシにとったらこんな天職他に無いよ」


「……何、この親子の会話……?」



食事を終えた父さんとお姉は嵐が通り過ぎる様に家を出て行った。まぁちょうどいい、こちらも予定があるので好都合だ。


私達今日、昼から遠藤医院の近くの公園でちょっと早いお花見をやる予定だ。まだ桜は八分咲きだけど、満開にもなると他の花見客でごった返す可能性が高い。

そうなると瑠璃が人ごみを怖がってしまうかも知れないので、いっそ人の少ない今の内にやってしまおうという魂胆だ。

駅で翼、千夏、薫と待ち合わせて、現地で麻美子、航、瑠璃と合流する。時間のロスも無い賢い待ち合わせ方だ。



「な〜んて話をしたらオカンに岬を押し付けられたわ……」


「おーはなみー! おーはなみー!」



よそ行きの可愛い服を着た岬がガックリと肩を落とす姉の手を取って元気良く振り回している。保護者とは常に大変な仕事だ。



「いいじゃない翼、たくさんいた方が楽しくていいわよ、ねぇ、みータン!」


「……他人事やと思うて気楽やなぁ、千夏は……」



千夏が落ち込んでいる翼の頭を撫でていると、後ろから小夜が駆け寄り岬の空いている方の手を取って優しく話しかけた。



「ねーねーねー、みータン! あのね、向こうに着いたらみータンに新しいお友達を紹介するから仲良くしてあげてね!」


「おともだちー?」


「うん、瑠璃ちゃんって言うの! ちょっと色々あって恥ずかしがり屋さんだから優しくしてあげてね!」


「うん! 小夜ねーたんのおともだちならみータンもなかよくするー!」



岬は嬉しそうに笑ってピョンピョン飛び上がった。岬を見ていると、瑠璃も普通の生活が出来ていれば同じ様に元気に遊べていたのにな、っとちょっと残念な気持ちになってしまう。



「そうだねぇ、みータンなら瑠璃ちゃんと年も近いし、仲良くなれそうですなぁ」


「……薫にみータンって言われるとめっちゃ腹立つわ……」


「瑠璃ちゃんにとってもいい刺激になるかもね、翼、岬を連れて来たの正解だったんじゃね?」


「まぁな〜、翔太に言われんでもウチはちゃんとそこまで考えて連れて来たんやで〜」


「今さっき押し付けられたって言ってたクセに〜」


「覚えてへんなぁ、何の話やねん千夏?」



公園に着くとやはりと言うかさすがに時期が早過ぎて花見客なんて全くいなかった。しかし桜はかなり咲いていて、公園一面鮮やかなピンク色に染まっていた。



「Woh! Very very beautiful!」


「わー! きれーい!」



桜を自分の目で初めて見る千夏はうっとりと桜の花を見つめ、見慣れている筈の小夜も公園内を嬉しそうにグルグルと走り回った。両極端な反応だ。



「……思ってたよりも結構咲いてるな……」


「……最近、暖かくなってたから一斉に咲いたのかな?」



翔太と話しながら公園の奥の広場に行くと、麻美子と瑠璃をおんぶした航、それと眼鏡をかけた見慣れない男性がいた。

眼鏡という事でこの前音楽室で会った井上さんかと思ったが、よく見ると違う人の様だ。



「瑠璃ちゃーん! 来たよー!」



小夜の声に反応した瑠璃は、航の背中から落ちそうなくらいに乗り出して小夜に手を伸ばした。



「…………瑠璃、落ちるから暴れるな、落ち着け」



必死に手を伸ばす瑠璃を落ち着かせて、航は駆け寄ってきた小夜に瑠璃をゆっくりと手渡した。



「ほら瑠璃ちゃん、言った通りでしょ? 綺麗なお花が咲いたでしょ?」



瑠璃を抱き上げ一緒に桜の花を見上げる小夜の元に麻美子がニコニコ笑いながら歩み寄り、嬉しそうに話しかけた。



「小夜ちゃん待ってたよ! 今日、晴れて良かったね!」


「うん! 桜、いっぱい咲いたね! スゴく綺麗だね!」



すると、麻美子達と一緒にいた男性が軽く会釈をして私達に歩み寄ってきた。白いワイシャツに薄い色のジーンズ、若者の定番の格好だ。



「どうも、皆さん初めまして」


「……どうも、初めまして……」



初対面の挨拶を終えると、麻美子があたふたしながら私達と男性の間に入り込んできた。



「あ、あ、あの、この人、神崎彰宏さん! お父さんの大学の後輩でお医者さんなの!」



遠藤先生の後輩だったのか。それにしては結構若そうだ。年齢は見たところだいたい二十代前半だろうか。

それより何より、何か急に麻美子に全く落ち着きが無くなったのが物凄く気になる。



「いやいや、まだまだ医者なんて名乗れるレベルじゃないよ、見習いみたいなもんさ」


「……彰宏兄ちゃんはお母さんとも昔から知り合いで、私にとってお兄さんみたいな存在で……」


「えっ〜、お医者さんなんですか〜? もしかしてぇ、もう彼女とかいらっしゃるんですかぁ〜?」


「おっ、早々に小悪魔モード全開やな、千夏」



セレブの嗅覚か、医者と聞いて千夏が麻美子を突き飛ばし彰宏さんに対していきなりプッシュを開始した。紹介を途中でブチ切られた麻美子の眼鏡が一瞬で曇った。



「ハハハ、残念ながらいないよ、そんなヒマが無くってね」


「えっ〜、そぉなんですかぁ〜? お忙しいんですねぇ〜、じゃ〜あ、もし良かったら〜」


「で、で、で、あのですね! 彰宏兄ちゃんには保護者としてお花見に参加してもらう事になりました!」



今後は麻美子が千夏を突き飛ばし途中だった説明を始めた。



「……麻美子、何で急にそんな大声になってんの?」


「……いや、別に深い意味は……」


「あー! そうだ!」



狼狽する麻美子をよそに、小夜は瑠璃を航の腕に渡すと翼の横にいた岬の手を引いて瑠璃の前に連れていった。



「瑠璃ちゃん、今日は新しいお友達を一緒に連れてきたよ! み・さ・きちゃんって言うの! みータン、挨拶してあげて!」


「こんにちはー!」


「…………瑠璃、何でもいいから返事をして」



航の声を聞いて、瑠璃は航にしがみつきながら岬に向かって照れくさそうに小さく手を降った。しかし、それを見た岬は不思議そうに首を傾げ、翼の袖をクイクイと引っ張った。



「おねーたん、この子どーしてあいさつできないのー?」


「コラ岬! 言葉を慎まんかい!」



岬を怒鳴りつける翼を押しのけて、小夜は岬の前しゃがみ込み両手を握って優しく説明をした。



「あのね、瑠璃ちゃんは訳あってお喋りが出来ないの、でも仲良くしてあげて? みータンなら出来るよね?」


「……うん! るりタンよろしくね! みータンだよ!」



岬は瑠璃に向かって手を伸ばして握手を求めた。



「…………ほら瑠璃、手を出して」



航に言われて瑠璃は恐る恐ると手を伸ばし岬と握手した。



「わーい、おともだちー! おともだちー!」


「良かったねー、瑠璃ちゃん! 新しいお友達出来たね!」



新しい友達が増えて岬と小夜は大喜びした。しかし岬が握手した手をブンブン振り回すので瑠璃はちょっと怖がっていた。



「すまんなぁ、航、コイツちょっと態度がデカいかも知れんけど堪忍してや」


「…………いや、大丈夫、お姉さんを見ればわかる」


「何やとゴラァ!」



兄姉妹揃って全く性格が正反対だが、まぁ上手くやってくれるだろう。それにしても微笑ましい光景だった。何か見ていて心が暖かくなった。



「じゃあ、さっそくお花見といこうか、休憩所にマットを引いて場所を取っておいたから、みんな適当に空いてる所に座ってよ」



彰宏さんは公園の端にある休憩用のテーブルと長椅子を確保してくれていた。確かにいい場所だ。



「わーい! おはなみー、おはなみー!」


「わーい! お花見ー、お花見ー!」



小夜と岬はすっ飛んでテーブルへと走って行った。



「……随分と元気な子達だね……」



その無邪気すぎる姿に彰宏さんはさっそく呆れた様に呟いた。このメンバーの保護者を買って出るとは、知らなかったとはいえ不幸な人だ。



「椅子に座り切れない人は下にもマットを轢いたからそこに座ってよ」


「……誰がマットに座るかはわかってるわよね? まさか女子や子供や年上の人に下に座らせようなんて思って無いよね?」


「……俺達なのね……」



翔太と薫をマットに座らせて、私達は各自それぞれ持ち合わせた食べ物や飲み物を出してテーブルに広げた。



「うわー! 麻美ちゃんのお弁当スゴーい! 全部麻美ちゃんが作ったの?」


「……お母さんが前に作ってたのを真似して作ってみたんだけど、皆さんのお口に合うかなぁ……」


「大丈夫、スゴく美味しそうだよ! これなら麻美ちゃんはいつでもお嫁さんになれるね!」


「……そんな、小夜ちゃん、お嫁さんだなんて……」



今日の麻美子は随分と気合いは入っている。お弁当といい、見慣れない可愛い服といい、いつもの麻美子とは一味違う。



「良かったな、麻美子、みんなに誉めてもらって」


「……えっ、そんな、彰宏兄ちゃん、あの……」


「でもぉ〜、料理は見た目だけじゃダメよねぇ〜、やっぱり味が美味しくないとねぇ〜?」


「………………」



再び麻美子の眼鏡が曇った。何かヤバい、今日の麻美子と千夏の間は女同士の火花がバチバチあがっている。



「……千夏もやな女やなぁ、怖っ……」


「それではこの薫ちゃんが黄金の舌でもってお味見を!」


「あっー!!」


「モグモグモグ、うん! 頂きました、星三つですっ!! ウハッ!」


「わーい! 星三つだよ麻美ちゃん! 何だっけ? ミシ、ミス、ミシュ、えーと、ナントカガイドで紹介されるよ!」


「……本当は一番最初は彰宏兄ちゃんに食べて欲しかったのにな……」



麻美子が残念そうにポツリと呟いた。頑張って作ったのに、よりによって一口目が薫とは可哀想な麻美子……。



「ところで何や、那奈と翔太は手ぶらで来たんかい? 食うだけ食って帰るなんてヒドい話やなぁ?」


「持って来るつもりだったの! 昨日買い物までして準備してたんだから!」


「ほなら何で今日のこの日にそれが無いねん?」


「……食べられた……」


「えっ、何やて?」


「……昨日、お姉に全部食べられた……」



十人分近く用意していたお菓子をたった一夜でペロリと平らげられてしまっていた。何が食事制限だ、あの大怪獣……。


予定よりもお菓子の量は減ってしまったが、花より団子とは良く言ったもので私達は桜そっちのけでしばらく食事と会話に没頭していた。

岬も元気良くおにぎりを頬張り、瑠璃も航の膝の上で少しではあるがお菓子などを食べていた。



「神崎先生は普段大きな病院に勤めてらっしゃるんですかぁ〜?」


「うん、和夫さん、つまり麻美子のお父さんが昔勤めていた病院にいるんだ、本当は自分の病院を継ぎたかったんだけどね……」


「……彰宏兄ちゃんのお父さん、大きな病院の院長さんだったんです……」



彰宏さんと麻美子の表情から笑顔が消えた。何か訳ありの様だ。



「……その病院で何かあったんですか?」


「……汚職事件があってね、父さんも関わってて、院長の座を追われたんだ……」



しまった、聞くんじゃなかった。今更ながら私は自分の行動を後悔した。



「……何か、余計な事聞いちゃいましたね、すみません……」


「いや、いいんだ、自業自得だからね、父さんが医療の世界を汚してしまった分、今度は僕が頑張って患者さん達の信用を取り戻したいんだ」


「……何かステキですぅ……」



話を横で聞いていた千夏が視線キラキラモードで彰宏さんにぴったり寄り添ってきた。もちろん、隣では麻美子が眼鏡を曇らせて殺気をビンビン飛ばしている。



「……で、で、で! 彰宏兄ちゃんは一生懸命勉強頑張って、お医者さんになったんです!」


「……だから何で大声なの?」


「……もう那奈さんもいちいち聞かないで下さい……」


「薫ちゃん、もう一個麻美ちゃん製おにぎり食べまーす!」


「もーう!薫君、食べ過ぎです!」



ドンッ!!!!



「ぐえっっっ!!」



力加減無く麻美子に突き飛ばされた薫は一直線に桜の木にすっ飛んだ。その弾みで桜の木から花びらが一枚、ひらひらと瑠璃の鼻の上に落ちた。



「アハハ! 瑠璃ちゃんの鼻の上に桜の花びらが乗ってるー! 可愛いー!」


「…………ほら瑠璃、桜の花びらだよ、キレイだろ?」


「……?」



航は瑠璃の鼻から花びらを取って瑠璃の手のひらに置いた。花びらを手渡された瑠璃は物珍しそうにジッーと見つめていた。



「瑠璃ちゃん、これが桜の花びらだよ! さ・く・ら! ピンク色で綺麗でしょ?」


「……?」


「ほら、裏も表もピンク色!」



小夜が瑠璃に花びらの裏側を見せようとした時、小夜の肘がジュースのペットボトルに当たって倒れてしまい中身がドバドバと流れ出した。



「キャッ! ヤダ〜、小夜冷た〜い!!」


「何をしとんねんなオマエは!!」


「小夜! しっかりしなさいよ、全く!!」


「……ごめんなさい……」



立派なお姉さん役を演じるつもりだった小夜は私達に怒られて背中を丸めて小さくなった。少しは成長して大人しくなったと思ったのにね……。


気がつくと次第に空も真っ赤に暮れ始め、公園内の電灯がポツポツ点きだした。夜桜見学は私達にはまだ早い。



「……さて、もうお開きかな、そろそろ帰る準備をしようか?」



彰宏さんの締めの言葉に合わせて、私達はゴミの片付けを始めた。せっかくこんな近くにお花見スポットがあるんだから綺麗にしておかないと。



「ちゃんとゴミ片付けてよ? 忘れ物無い様にね?」


「那奈に言われんでもわかっとるわ、お〜い岬、片付け終わったらもう帰るで〜」


「……う〜ん……」


「あらっ、みータンもうお眠かしら?」



翼と千夏が椅子に座っている岬の顔を覗き込むと、小さい頭をこっくりこっくりと揺らしてウトウトしていた。これでは自力で歩いて帰るのは難しそうだ。



「よーし、じゃあ薫お兄タンがみータンをおんぶしてあげよう!」


「失せろ変質者、警察呼ぶで?」


「ウソぉ〜ん、ひでぇ〜よ!」


「あー、楽しかったね瑠璃ちゃん! またお花見しようね!」


「………………」



小夜の問いかけにも反応せず、航におんぶされた瑠璃は手に何かを持ってジッーと眺めている。



「瑠璃ちゃん、それなーに?」


「…………さっきの桜の花びらだよ」


「……気に入ったのかな? 凄い興味津々みたい……」



桜の花びらに異様な興味を示している瑠璃を見て、小夜と麻美子は嬉しそうに笑っていた。



「……しかし、和夫さんの言ってた通りだね、瑠璃ちゃんは状態はいい方向に進んでいるみたいだ」



瑠璃の変化に彰宏さんも嬉しそうに航の肩をポンと叩いた。



「航君、良かったな、いっぱいいい友達に巡り会えて」


「…………はい」



私達は自分達のゴミを片付けて、桜咲く公園を後にした。また来年もここでお花見したいな。元気になった瑠璃と一緒に……。


私はそんな事を考えていた。この後に起こる想像を遥かに超える出来事を予想もせずに。



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