回
また死んだ。
これで何回目だろう?
10回?20回? いや、もっと。
100回?200回? それ以上。
未だにあの人の死は回避できない。
いつになったら成功する?
あと何度繰り返せばいい?
――――やはり無理なのだろうか。
『未来は変わらない』それが掟のこの世界。
それならば、彼の死もまた『変わらない』だろう。
……いや、ようやく変わり出した。
何度も繰り返したからだろうか。
彼女達の言動も、危険な事を回避することも、あの子の死を救うことだってできるようになった。
それなら、あの人の死だって無かったことにできるかもしれない。
「今度こそ。」
そう呟いた彼は、過去へと続く真っ黒い扉へと飛び込む。
そこが、閉じられた幻想の世界だということにも気付かずに。