目薬≒涙
私のことをわかったふりして
ほんとうは見てすらいないでしょう
君が見ているのは私の目じゃなくて
私の目に映る君自身
私のことを好きなふりして
ほんとうは私じゃなくてもいいんでしょう
君が好きと言うのは
君を好きだと言う私
君をわかったふりする私
隣に君は居るのに
とても遠く感じるの
霞んで見えなくなるくらい
きっと目が乾いているからだ
目薬を一滴
潤いを取り戻した目に映るのは
君の横顔
私を見た君が
あぁわかったって顔をする
泣いてるの
どうして泣いているかって
そんなことは言わなくていい
わかっているから
私はポケットの目薬を握りしめて
抱き寄せてくれる君の胸に顔をうずめる
頭を優しくなでる君の手を感じて
ポケットから手を抜いた
ほらね
わかったふり
ほんとうは
そうさせているのは
私だけれど
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