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出自

 目を瞑れば思い出す、というような頻度で思い出す時があった。特に実践に参加したあとが一番ひどい。すべてを投げ出したくなるのだ。


 今だって思い出す。自分が何故戦っているかを・・・


 * * * *


 何年か前はフレイにだって普通の女の子だったときがあった。ゆっくりと、回想に浸っていく自分を感じた。彼女は本能的に思い出さないとろくなことがないことを知っていた。


 アメリカのニューヨークはかなり安全なところだ。そんな所で事件に巻き込まれるのはただ単に運が悪かったというほかないし、それ以外だったとしても今に関係のある話とは到底思えなかった。


 フレイはどこにだっている普通の女子中学生だった。勉強も運動も普通にできて、減点も特別点もないレーダーチャートにしたらきれいな五角形ができそうな成績だった。


 確か、何かの準備で遅れたのだったと思う。それが何だったかは思い出せない。大分暗くなっていた。友達と二人で下校中だった。いきなり銃を持った男が動くなといってきた。後ろを見ても同じような男たちが囲んでいた。あまりにも突然のことだったから、頭がついていかなかった。叫ばなかった。本当に怖いときは人間は黙るものなんだ。そうでもしないと捕食者に見つかってしまうからだろうか。


 車に放り込まれた。自分も友達も硬直した。恐怖で指一本動かせなかった。


 ……このまま自分が戦争法人に売り飛ばされてアフリカに放り込まれるのならまだ良かったといえる。気づいたら倉庫の中だった。その中で男たちは友達を床に張り倒した。リーダー格らしい人間がニヤついていた。視線はべたついたような視線だった。そいつが床に横たわる友達に麻薬を打った。


 量が半端ではない量だったらしい。友達は何度も痙攣した。瞳孔が開いて、よだれをたらしている。


 ほかの男たちも荷物などを降ろして見物していた。リーダー格の男は友達に……


 自分の足元には転がったナイフ


 誰もこちらを見ていない


 やめろ、と叫びたかった。


 自分にもっと力があれば…


 でも、今ならできるかもしれない。


 さあ、フレイ・ホーレイ、そこのナイフを取れ


 あの男たちを刺し殺せ


 血祭りにあげろ


 友達を救え


自分ではない声が聞こえる気がする


 記憶はそこで四散し、霧が晴れたように思い出せなくなった。気を利かせているのかもしれない。


 次に思い出せるのは自分の荒い息


 痺れて動かない手首


 足元に転がった刃こぼれしたナイフ


 あたり一面は紅い


 月明かりが血に反射


 髪は乱れている


 どれが誰のものか判別がつかなくなった死体


 刺し傷だらけの首


 誰がやったのだろう


 思考はむしろクリア


 自分もここで死のうか、と考える


 暗闇の中で彼女は泣くことさえできなかった。


 * * * *


 スラムで金を借りた。アフリカへ行くための金だ。つまり、借金の肩で放り込まれる、ということ。


 戦争へ参加したときのこと、ずっと前のことだ。

なんとなく書きたくなった。

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