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浅井長政がやってきた  作者: 杉勝啓
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21世紀の生活

「おかえり、母ちゃん」

その子供が葉子に声をかけました。

その子は長政と直経を見て言いました。

「へえ、このおじちゃんが新しい父ちゃん」

「おじちゃん。無礼な」

「で、そっちのじいちゃんは?」


「そんなことより宿題はおわったの?いつまでも時代劇何か見てないで、さっさと済ませないよ。それに、この人たちはそんなんじゃないわよ」

「時代劇じゃないよ。大河ドラマ」

「似たようなもんでしょ」


そ、そうだ、小谷城落城とはどういうことだ。テレビの話は進んで、浅井長政が生きながらの葬儀を行なっている場面になっていました。


「小谷城が落城、そんなはずはない。小谷城は難攻不落の城」

「へえ、おじちゃん、歴史に興味があるの?今までの母ちゃんの恋人とは違うのかな」

「そんなんじゃないって言ってるでしょ。その人は本物の鎧、兜まで着込むようなコスプレバカなんだから」


この女、わしが浅井長政と、知って態度を変えたと思ったら、いつの間にか、また、元に戻っておるではないか。いや、そんなことよりも小谷城落城とはどういうことだ。誰に城を落とされたというのだ。


「これ、子供。この小さな箱で行われている芝居はどういうことだ?」

「何、言ってるの?おじちゃんも歴史に興味があるなら知ってるでしょ。姉川の戦いの後、浅井家の勢力は衰えて、最後には織田信長に滅ぼされてまうんだよ」

「ば、バカな。織田信長はわしがその首をかき斬ったはずだ」

「まともに取り合わないでいいわよ。それより食事の支度ができたから食べましょ」


出てきた食事に長政と直経は目をシロクロさせています。

白い米のごはんにコロッケ

「また、コロッケ」

「贅沢いうんじゃないの?そのうち大金を手に入れてみせるから」

「はい。はい。また、母ちゃんのほらが始まった」


「とりあえず、みんな、、お風呂に入って」


風呂に入り葉子に用意してもらった布団に入ると長政は考えた。

おかしい。何もかもが自分の知っている世界とは違いすぎる。先ほどの食事も風呂も、そして、この布団というものも、、、なかなか寝心地のいいものだが。


あの子供は浅井家が信長に滅ぼされたと言っていた。そんなはずはない。そんなはずは。

「爺、あの子供の言ったことをどう思う」

「某もそれを考えておりました。小谷城が落城するなどありません。それに浅井家が滅ぶなど」

「うむ。明日、あの子供にもっと詳しく話を聞いてみよう」


そうして二人が21世紀にやってきた最初の夜は更けていきました。





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