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浅井長政がやってきた  作者: 杉勝啓
3/10

茄子の部屋

「あの、浅井長政様、鎧・兜、それに、刀はどういたします。そちらのお爺様の物も」

「そうだな。持ち歩くのも不便だ。身につけて行くか。ところで、それはどこにあるのだ」

「ああ、確か、ナース室で預かって頂いているということですが」

「なーす・・しつ・・」

「あ、ああ、こちらです」

病室を出ると、長い廊下が続いています。

「爺、南蛮寺というのは変わった作りの建物だな」

「そうですな」

な・・ところで・・コスプレ状態で外を歩く気なの。ああ、仕方ない。少し投資をするか。

「ちょっと、お待ちになって下さいね」

「ああ・・」

葉子は、携帯を取り出すと、長政と直経の目の届かぬ場所まで行ったようです。

「お館様、最初と、あの娘、態度が変わって参りましたな」

「ああ、私が浅井長政と名乗ったからであろう」

「そうですな。お館様の身分を知れば態度も変わりましょう」

「そんなことより、早く小谷に帰らねば、今頃、清綱あたりが右往左往しているだろう」

「確か、鎧、兜はなすなんとかという部屋にあるらしい。あの娘には断りも入れず悪いが、ここが日の本と分かった以上、馬でも買い求めれば小谷に帰れよう」

「そうですな。では鎧・兜を頂いて帰りましょうか」

「だが、なすの部屋はどこかな」

「茄子でも栽培してる部屋でしょう」

「茄子など部屋で作れるのか」

「さあ、南蛮人のすることですから」

「では、茄子を植えている部屋を探せばいいのか」

「しかし、南蛮人の女は皆慎みのない衣装を着ておるのう。白い衣装はよいが、素足が膝より下が丸見えではないか」

「仕方ない。あの娘もなかなか戻ってこんし、そこらの者に聞くか」

長政は、一人の看護婦を呼びとめました。

「そこの者、ちと、物を訪ねるが茄子の部屋とはどこじゃ」

「茄子の部屋?ああ、ナース室としゃれてるのね。私も行くところだから、一緒に参りましょう」

「かたじけない」

ナース室に案内された二人は、自分たちの鎧・兜を、それに太刀を見つけました。

「おお、よかった」

「あら、それはあなたがたの物だったのですか」

「ああ、世話になった。では我らは急ぐのでこれにて」

「ええ、でも、よく、そんな重い物、身につけて平気ね」

「そうでもないぞ。動きやすいように、軽く特別に誂えた物なのだがな」

「そうだ。少ないが礼だ。とっておけ。それと、ようことかいう娘にも一枚渡しておいてくれ」

長政は、鎧に隠し持っていた財布を取り出すと小判を二枚渡しました。

「え・・ええ、ありがとう。じゃあ、またね」

「ああ、息災でな」

二人は、鎧・兜を身につけるとナース室を後にしました。そして、病院を出た二人は・・・


「ねえ、その小判、本物?」

「まさか、そんなわけないでしょ。なんだか変な人たちだったから話を合わせただけよ」

「そうだよね。まあ、変でも人に危害を与えなきゃいいでしょ」

「でも、刀持ってたわよ」

「レプリカに決まってるでしょ」

「そうよねぇ」

あははとナース室では笑いがおこっていました。





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