同棲?なにそれ?おいしいの?
ドアを開けて入ってきたのは、黒髪ツインテールの美少女だった。
滅茶苦茶綺麗な顔立ち、服の上でもわかる完璧なプロポーション、綺麗な黒髪、それに似合う尻尾。
………尻尾!?何で尻尾!?ってか気づかなかったけど、何あの腰にある日本刀!?超怖ぇ!!
「……………」ジロッ
こ…怖ぇぇぇ!睨まれた!やべぇ帰りてぇ!!あ、帰れないんだった。
いつもは女子に睨まれたぐらいでびくびくしたりしないが今回は別だ。だって日本刀だぜ?誰だってびびるわ。
「…で、話って何ですか?そこの餓鬼の処分ですか?」
「なっ!?餓鬼って俺は高校生だ「黙れ死ね」チャキ
はい、日本刀突き付けられました。もう泣いていいよね?
「ぷっ、ははははははははははは!」
それを見ていた閻魔王が笑いだした。
「いや~やっぱり私の目に狂いはなかった」
「山吹ってやつと間違えた次点で狂ってるよ!」
「だから黙れ……って対象者を間違えたんですか!?一大事じゃないですか!?」
「う、うん……バレたらヤバイね…」
どうやらこの黒髪も知らなかったらしい。
「そう、バレたらヤバイ、殺してもダメ、そこで閻魔王は考えました!」
閻魔王は高らかにと挙げた手を降り下ろし、俺と黒髪を指差した。
「今日から一週間同棲して♪」
「「は、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」」
そこら辺の合唱団より綺麗にハモった。
「ど、同棲!?こんな奴と!?それも一週間!?無理無理無理無理!絶っっっっ対無理です!」
黒髪がすかさず異論を唱えた。てか好き放題言ってくれるなこのやろう。俺もお前と同棲何かしたくねーよ。
「大丈夫大丈夫♪君はただそこに居る、えーと、杉山くんだっけ?」
「舞川!舞川 光輝だ!何回間違えるんだよ!」
「あはは、そうそう、舞川君だったね♪だから君はただ舞川君を七日間死なせずに世話すれば良いんだよ♪」
「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや、もう無理です、無理無理無理無理!」
…何だろ?この殺意と共に芽生える悲しさは?俺、そんなに女子から嫌われるキャラだったっけ?
「いけるって!自信持って!Fight!Never giveup!」
「応援しなくていいです!ていうかそこまで言うなら閻魔様が面倒見れば良いじゃないですか!?」
「え?無理だよ、だって殺しちゃいそうだもん」
「おい!今サラッと恐ろしい事言っただろ!」
もうやだ!なにこれ!?罰ゲーム!?
「五月蝿い黙れ餓鬼、四肢をバラバラにするぞ」
一蹴。もう俺には突っ込む権利さえないのか。
「あ、良い忘れてたけど、ちゃんと刑場には連れて行ってね?じゃないとバレるから」
「私は別に構わないですが…そこのゴミがもし死んだらどうするのですか?」
おい、ゴミはないだろ、ゴミは。
「ん~、舞川君!」
突然閻魔王に呼ばれた。
「なんだよ?」
「君はこれから一週間、刑場に通ってもらうことになるんだけど、こっちも死なせないように努力はするけどそこで万が一死んでしまったら…」
「…死んでしまったら、なんだよ?」
息をのんで閻魔王の言葉を待つ。一拍おいた後、閻魔王が口を動かした。
「もし死んでしまったら…そんときゃドンマイ!許してね♪」
「許すかぁぁぁぁぁ!!」
ドンマイですんだら警察は要らないんだよ!
「…つまり、ゴミが事故で殺…死んでしまったら仕方ないと?」
黒髪が下を向きながら質問した。ん?てか今何か物騒なこと言わなかったか?
「え、うん。まぁそうだね。事故なら仕方ないし、バレなきゃall OKだよ」
「そうですか…………ふふっ」
ゾクッ!寒気がした。なんだか身近な人から事故と見せかけて殺してやるみたいなこと考えられた気がする!
「わかりました。そいつ預かります」
さっきまであんなに嫌がっていた黒髪が、急に俺の世話役を引き受けてくれた。心なしか、何か企んでいる気がする…
閻魔王はそれを聞いて笑顔になった。いや、元々笑顔だったがそれがさらに笑顔になった。
「ありがとう!本当に助かるよ!来月の給料アップしとくから!」
「ありがとうございます」
「……(地獄って給料あるんだなぁ。)」
「よし、じゃあ行くぞ、ついてこい」
そういうと黒髪は俺の頭をわしづかみにした。
「痛い痛い!てか今更だけどお前名前何だよ?」
「本当はお前なんかに名乗りたくないがな。
まぁ良い、教えてやる。私の名前は三日月 妖香【みかずき ようか】、悪魔だ」
感想などいただけると幸いです