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第0話 第3章 消えた国と消えた少女達

『そう悲観するな、あの小娘ならここに居るぞ』

憎しみや悲壮の表情を浮かべる国民の前に担いでいたモノを投げ捨てる。


「うっ……」


投げ捨てられたモノは小さくえずいた。


その声を聞き姿を確認した。

間違いない、ユリアだ。

腹に風穴を開けられ見るからにボロボロの姿はグルニアとの力の差を見せつけられる。


『放って置いても後数時間で死ぬだろう…。

最後の別れでもするがいい。魔法で回復させよう何て考えない方が身のためだ』


そう言い切ると近くの石碑に腰掛ける。座る直前に魔法をユリアに掛けたのは会話が充分出来るようにする為の痛み止めだろう。

何を仕掛けるか分からない状況の中一人の少女が怖じ気付く事無くユリアの元へ動いた。


「お師匠様!お師匠様ぁ!」

ルルだ。最もユリアを信頼し、敬愛しているルルはグルニアの存在など眼中に無い。

「あ…ルル、よかった…無事で」

痛み止めの効果なのか瀕死を感じさせない程、はっきりした声色だ。

「はい…お師匠様のお陰です…。でも、でもぉ!」

ルルは自分だけ苦しみを味わっていない事が悔しくてしょうがない、涙が溢れ、拳を握る強さで体が震えている。

「ごめんね…約束守れなくて…」

ユリアも涙を流している。悔しい気持ちは一緒だろう。

「謝らないで下さい…。誰も恨み何かしませんから…お師匠様ぁ…」


ユリアとルルの会話は国民全員への遺言となっているに違いない。


一つの区切りが出来たところでグルニアが腰を上げた、時間切れのようだ。


『さて…最後に言い残す事は?』


「絶対に貴女を倒す…生き返ってでも!」

ユリアの言った事は国民全員の意志だ。


『…死ぬがいい』


翳した手の平から先ほどより何倍も大きな玉が造られる。破壊魔法のだ。

が、その直前国民の中に紛れていたフリューナスが口を開く。

「 レイゲネージョン!! 」

転生魔法発動の合図である。

『な!?』

急な事に動揺したグルニア。完成形ではない破壊魔法を発動した

『このゴミ共がぁ!!』

完全でないにしろその魔力は凄まじい。


「っ!?お師匠様!」

ルルはある事に気付いた、ユリアだけが魔方陣の中に居ない事を。このままではユリア一人残して全てが無くなる、或いはその逆。

間に合うか何て分からない、でもそんな事を気に掛ける時間は無い。


ユリアの元に着く直前自分が持つ魔力を全て使い結界を造った。



「…ルル?」

グルニアが魔法を放つ直前ルルが自分の元へ来るのが分かった。何故そんな事をするの?死んでしまうよ?ユリアの頭の中は疑問でいっぱいだった。

しかしルルが魔力を解放する瞬間が見えた事により全てを理解した。

あぁ、そういうことか。

目をすっと閉じたユリアは静かにこう言った。


「リフレクト」



ゴオオォォォン!!



ルルがユリアの元へ辿り着いたと同時に王国は激しい閃光と轟音に包まれた。




数分後、砂塵と音が止んだルフェルティア王国だった場所は一面の更地となり、二人の少女が残るだけとなっていた。


「…ん、助かったの?」

先に意識が戻ったのはルルの方だ。

「っ!?お師匠様はどこに?」

辺りを探す為に立ち上がる、が力が入らない。

「え?力が…」


当たり前だ、ユリアを守る為に魔力を全て消費したのだから。


「お師匠様…」

動けない状況で名前を呼ぶ事しか出来ない。


途方に暮れていると後ろの方で瓦礫の崩れる音がした。

ルルが振り向くとそこには


「はぁ…はぁ…、大丈夫?ルル」


腹部に穴を開けながらも立ち尽くすユリアが居た。

「お師匠様…」

安堵のから笑みがこぼれるが…

「…ごめん、もう無理…」

ルルの元へ辿り着くと同時に倒れ込んだ。

二人の少女は並ぶ形で寝そべる。


「私たち助かったんですね…」

「うん…」



二人が助かったのは奇跡と言えるが、故意に作られた奇跡とも言える。


転生魔法と破壊魔法が互いにぶつかり合ったせいで起きた暴発。その暴発を防いだのは紛れもないルルの結界、だが結界は暴発の内破壊魔法の方を防ぎ消滅した。次に二人を襲ったのは転生魔法のエネルギー、それをユリアが跳ね返した。

寸前で放ったリフレクトで。


二人は助かった、だが他の国民とグルニアはどこに行ったか分からない。転生されたか、死んだか。



魔力を全て消費したルルとユリアはもう動く事は出来ない。ユリアは僅かに痛み止めの効果が残っているがそれも薄くなってきている。少しの動作なら出来るだろう。


「ルル…」

「何ですか?お師匠様…」

ユリアは一つの小瓶を差し出し…

「えい♪」

「きゃっ」

小瓶の中の液体をルルにかけた。

「な、何するんですか!?お師匠…様…?」

液体を被った直後にその変化に気付いた。

「魔力が…、違う!これはもしかして?」

体が動き一瞬魔力が回復したと思ったのだが、それは違った。

「えへへ…もしもの時に取って置いたんだ…」

ユリアの使用した液体は [強制転生薬]。

文字どおり強制的に転生するポーションだ。


みるみるうちにルルの体は光を帯びていく。

「お師匠様様…どうしてぇ…」

「大丈夫…、ずっと傍にいるから…見守ってるから…」

「い…はい…」

蛇口を捻った様に泣き出す二人の少女、戦など似合わない程美しいものだった。


最後の別れまで、と思い抱き合っていた感触は徐々に薄れていき、別れが近付いてくる。


「大好きてす…お師匠様」


「うん…私も…」


僅か数秒の出来事だったが実に感動的なものだった。

互いが抱き合う感触は空気みたいに脆く消えていった。



ルルが消えたこの場所に一人残されたユリア。

痛み止めの効果も無くなり激痛に苦しんだ。

死ぬ直前に一言


「ありがとう…」

そう言って15年という短い生涯は幕を閉じた。




「…」

ルルは転生されたこの場所で一人立ち尽くす。

ここがどこか、何て知らない。


ただユリアを生き返らす事を考え、我々の住む空間軸を歩く



やっと第0話の終了です!


長かったです…


次からはやっと一話に入るので愛読、よろしくお願いします!


あと今から3日間は諸事情により次話の投稿が

出来なくなります。m(__)m

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