第2話 第1章 すたーてぃっど がーるずらいふ
「まじかよ…」
ルルの呪文から目が覚めると俺はベッドの上で寝ていたんだが…言われた通り女になっていた。
「おいおい、自分で見てても分かるぐらい低すぎだろ…。ロリじゃねーか!はぁ…ルルの言ってたユリアって人が低身長だったのは本当か
洗面台に備え付けの鏡で確認した。
今着ている服はルルが用意したモノを着ているが…まさか猫耳付きパーカーパジャマとは思ってもいなかった。気付いた瞬間に直ぐに取ったよ、恥ずかしかったからな。
さて、一段落ついた所で説明をしよう。
俺…違った。私、柊雪華は前言った通りに背が低い。143しかない。髪質は触ってみるとまるで絹みたいにサラサラで、ツヤのある黒髪。。腰を少し越えるぐらいまであって男の心境からすると…暑苦しそうだ。顔立ちは…自分で言うのが恥ずかしいが、凄い可愛い。パッチリした目に小さい鼻と口。ロングの髪の事もあり、余計に小さく見える顔。まるで精巧な作りの人形みたい。
体の方は…まぁ…ドンマイとしか言いようがない。体が小さいから仕方ないよな。
まぁ…男の心を持ってるから気にならないけど。
良い意味でスレンダー。白い肌に触ると簡単に折れてしまいそうな程細い四肢。
男の体を主として、魔法構成したとは思えない程素晴らしい出来だ。
「改めてだが…自分の体を見るのは結構恥ずかしいな…。体が小さいから罪悪感がしてきたぞ」
今ゆっくりしていられるのは今日が土曜日だから。といっても、『鍵山陸』が死んだのは時間的に昨日。長かった仮死空間にはたった数時間しか居なかった事になる。
「さて、と。今日は片付けないといけない事が沢山あるから…。取り敢えず1から済ませようかな」
1 同階の住人に挨拶
2 学校に編入手続きを済ませる
3 役所で手続きを済ませる
この3つだ。
まずは引っ越しの挨拶。
同階、といってもこの階は俺を含めて3世帯。
隣の雲居さんと大家さん。
因みにだがこのマンションは三階建てだが入居出来る部屋数はたった9しかない。だが少ない分一つ一つの部屋が広くオクションにも退けをとらないぞ。
早速お隣の雲居さん家へ行く。
「あ、お土産物?は何が良いかな…。取り敢えずこのゴールデンチョコサンドでいいよね?
後、挨拶考えとかないと…。普通によろしくお願いします。でいいかな」
補足:ゴールデンチョコサンド
マル○イの○ターサンドの中身がチョコで
パン生地がフンワリしている。
一軒目、雲居さん家は生前、つまり男だった時の幼馴染み。
前に述べたが今日は本来『鍵山陸』が死んだ翌日。そして、この部屋は以前俺が住んでいた所。何も怪しまれていない事から、ルルがそこら辺の状況を巧くいじったようだ。
インターフォンを押したい…が…。
「と、届かないぃ…」
男の時は全く気にしなかったマンションのインターフォン。しかし身長が20センチも縮むと物凄く高いモノに感じる。
ピンポーン
背伸びをしてやっと届いた。
『はーい』
ドアが開き、凛が顔を出した。
「えーと、どちら様かな?」
「あ、昨夜隣に引っ越して来ました柊です。今日は挨拶に来させて頂きました。それでーーー」
「あ!昨日言ってた人?ちょっと待ってね」
「え!?あ、ちょっと!……行っちゃった…」
俺の話を聞かずに家の中に戻る凛。多分親御さんを呼びに行ったのだろう。
暫くして
『あらあら~、可愛いお客さんね~』
和みオーラをバンバンと出して出てきたのは凛母。通称『保母さん』理由は…言わなくても分かるだろ。
「そうだよ、柊さんって言うの」
「こ、こんにちは」
『ふふふ、いらっしゃい。こんな所で立ち話も何だし』
という事で
『コーヒーと紅茶どっちにする?』
「あ、コーヒーをお願いします」
「私はアイスティー」
凛の家にお邪魔する事になった。
『砂糖とミルクは何個かしら?』
「えと、ブラックで大丈夫です」
『あら、大人ね』
甘い物は余り好んで食べないからな…。
中華ばっか食べてたし。
コーヒーをドリップする音が聞こえる。
ポトン…ポトン…。と。
「柊ちゃんは今何歳?」
「16です」
「え!?私と同じ年なんだ!」
そ、そんなに驚かなくて……。驚きますね。
この見た目じゃぁね…。
「ご、ごめんね?その…背がちっちゃかったから
つい…」
「う、ううん。全然気にして無いから大丈夫だよ?」
見るからにへこむ凛を見て心が痛む。
凛は明るい性格上、へこむと気になって仕方ない。
「本当?ありがとう。それと…同い年なら敬語じゃなくてもいいよ?私ももう崩してるから」
「分かった♪…これでいいかな?」
「うんうん、そんな感じ」
やっぱり凛との会話は楽しいな。飽きがこない。
『出来たわよ~』
凛と話しているとキッチンから保母さんの声が聞こえる。
『はい、どうぞ』
「いただきます」
俺はブラックコーヒー・凛はアイスティー・保母さんはアイスコーヒー。
…俺だけ場違いかな?季節的にいうと6月半ば。
「こくっ…こくっ…。ふぅ~、やっぱお母さんのアイスティーは美味しいな~」
『うふふ、どうも~。さ、柊ちゃんもどうぞ』
「はい。…ずず…。!?苦いぃ!?」
普段ゴクゴク飲んでいるブラックコーヒーが物凄く苦く感じた。何故だ…。
『た、大丈夫?』
「家のコーヒーってそんなに苦かったんだ…」
「こほっ!こほっ!…はぁ…はぁ…すいません…」
あ、余りの苦さに涙が…。
『もしかして…苦いの苦手だった?』
「無理しなくてもいいのに…」
「うぅ…ごめんなさい…」
そうか…ユリアって人は苦い物が苦手なんだ…。
ん?という事は…辛い物なんてもっと不味く感じるのか!?
俺が一人で悶えていると凛が
「あ、下の名前聞いてなかった。ねぇ?貴女について教えてよ?」
「あ、うん。私は柊雪華。高校二年生だけど前の所から転校して月曜日から六条鈴高校に行くんだ。今は一人暮らし、かな。
はい、凛の番だよ?」
「もしかして転校生って雪華の事!?
やったぁ!先取りだね。
あ、自己紹介中だったっけ…。
雲居凛、雪華と同じ六条鈴に通ってるんだ。
バスケ部に居るからよかったら何時でも見に来てね♪はい、お母さんの番ね」
『あ、あらあら、私も?』
ーーーーー
『ーーーそれでね、駅前のデパートだと卵がーーーーー』
どれくらいの時間が経ったのだろう。
凛は目がうつらうつらしている。…誰か助けて。
結局凛が事切れて机に伏すまで話が続いた。
ありがとう…凛。
「そ、それでこの後雪華はどこか行くの?」
急に凛が話題をふってきた。
あ、まだやる事あったっけ。
「手続きをしに学校に行くんだ」
「じゃあ私も付いていっていい?」
相当保母さんの話がお断りらしい。
まぁいっか。
「うんいいよ♪」
ああ、役所は明日に持ち越しだな。




