第1話 第6章 あなたの設定を作って下さい
『あなたが生き返る時に女になりますけど…頑張って下さいね』
「ちょ、ちょ、ちょっと待った!?女になる?
どうして?WHY?」
突然出てきたワード『女になります』。
ビックリして英語を喋ってしまった。
「どうして…って言われても…。そもそもアナタは先程のトラック事故で死んでいるんですよ?
それなのに急に生き返っていたらニュースになります」
…そうだっけ。時々ここに居ると死んでいる事を忘れてしまう。
「で、でも。わざわざ女にならなくても…」
生き返りたいのは山々だが女はちょっと…
「駄目です」
一言でばっさりと切られてしまった。
「な、何故だ!」
「先程言った…私の師匠。ユリア・ユノエル様を生き返らすには戦う必要があります。そして、戦う相手というのは…信じられないかも知れませんが、『魔獣』です」
「ま、魔獣…?」
何だか厨二っぽくなってきた。
「簡単に言うと魔獣と戦い、勝つと魔力が貰えます。この世界で言うスタンプラリーにダンジョンが加わった様なものです。魔力を溜めつつ最後のボスを倒すとスタンプラリーが全て埋まり、
お師匠様を生き返らす事が出来ます」
ず、随分安直な出来なんだな…。
「で、でも結局のところ女になるのと全く関係無いじゃないか?」
何としても女になるのを阻止しないと。
女装男子、何てレッテルを付けられる…。
「そこです!そこなんです!つまりアナタが女になるその体こそがスタンプラリーの台紙なのです」
「…嘘だろ……」
もう女になる事から避けられそうに無い。
心惜しいが仕方ない…。
「分かったよ…もう、勝手にしてくれ」
「はい!勝手にします♪」
もう…どうでもいいや……
諦めがついたところでルルが思い出した様に口を開く。
「あ、女になる事について幾つか話す事があります」
「ん?何?」
「新しくアナタは生まれ変わる事から、新しく生まれたアナタの『設定』を作らないといけません」
今度も聞き慣れない言葉が飛び出す。
設定って…。ゲームに近くなってきたな…。
「設定って…こう、種族とか?」
「種族?何を仰ってますか?私が言っているのは
プロフィールのことです」
「あ、名前とかね」
やばい、少し恥ずかしい。俺は厨二病じゃない!
何て言っていた時が懐かしい。
「そうです。大体決めるものは名前、家柄、などの情報と、アナタが通っていた高校に埋め合わせで入る理由など、様々です。結構面倒ですよ」
「多いな…。それに同じ高校に入るのか。周りの奴らに怪しまれないかな…」
「その事なら大丈夫ですよ。私がそこら辺の複雑な事は設定でいい具合に変えますから」
それはそれで、どうかと思うが。
「取り敢えず作りましょう。設定」
「まずは名前、か」
名前…男だと俺だから鍵山陸だから…。
「鍵山は統一してもいいかな…」
「つまらないです。せっかく女になれるんですから、もっとキャピキャピした名前でいいじゃないですか?」
「例えば?」
男にキャピキャピネーム付けろ!なんて、完全な厨二病じゃないか。
「そうですね…。やっぱり私の尊敬するお師匠様からとってユリアはどうですか?」
「何か重いよ!もっと違う特徴から名前を付けてくれ。もう任せるから…」
あぁ、疲れる。死んでいるのに。
「そうですね…。お師匠様は国の守護神の様に悪魔払い(エクソシスト)というアダ名を持っていました。そこからとって悪魔払いの木、
柊 はどうですか?」
ビックリした。エクソシストからとってエクソ、とか言われると思った。
でも柊、か…案外良好かもな。
「いいんじゃないか?柊」
「次は下ですね。どうしますか?」
最も難関かもな。女っぽい下の名前。
「私はユリアでもいいと思いますけどね」
「だから重いって…。柊…木・冬。冬…雪…結晶…雪の結晶は確か『雪花』で『ゆな』とも読めた気がしたが…」
「いいじゃないですか!雪花。せっかくなのでもっと可愛らしく花を華にしましょう!」
「それでいっか。決定したな
『 柊 雪華』」
まぁ、結構いい出来だ。
「では次は家柄です」
このままトントン拍子で行けばいいのによ
「一人暮らし」
「やっぱり女子高生ですから三、四人ぐらいが丁度いいかも知れないですね~」
「一人暮らし」
意地でも一人暮らしを押す。元々一人暮らしだったからその方が落ち着く。
「ぶぅ、分かりましたよ…。一人暮らしですね…」
若干ルルが拗ねてしまったが気にしない。
「よし!次行こう」
早く終わらせよう。ついついハイテンションになる。
「ではですねーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
こうして、仮死空間内で俺が新しく生まれ変わる少女。 柊 雪華 の設定を作り続けた。
設定を作り終えると次は女の子の仕草や言葉遣いを教えられた。何故か。
まだまだ男の体だからクネクネした動きを遣らされると果てしなく気味悪い。
喋るとオネェ口調に見えてしまう。
この時間は死ぬより地獄だったな…。
・ ・ ・ ・そして
「準備は出来ましたか?柊さん」
「ああ、完璧さ」
「…まだ男だからその口調で構いませんが…
あっちの空間では教えた通りに頼みますよ?」
「分かってるって。んじゃ、頼む」
「はい…では…」
ルルが静かに目を瞑り、何かを唱え始めた。多分呪文か何かの詠唱だろ。
お、体が光り始めた。
「ルル、行ってきます」
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーー行ってらっしゃいませ」
最後以外が聞こえなかったが、聞き返す裕余はなかった。
何故なら……………
「ぅ…ん…ん?」
目を覚ましたら見知らぬ部屋の、見知らぬベッドの上で寝ていたから。
愛読ありがとうございました!
次回から新たな話に入りますが、その前の設定を詳しく書きたいと思います。
大体三日ぐらいで更新を目指します




