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「誕生」 6

愛美の母は何か思いつめるような顔しながら言った・・・






『妊娠ですか・・・?』





『えぇ・・運ばれてきた時には分からなかったんですけど・・ここで治療をしている内に、それが分かったんです・・』






涙を溜め、どうして良いのか分からないと言ってきた・・・








『・・・どうするつもりですか?』






『どうするって・・言われても・・このままでは、もし産んだとしても本人が育てる事は難しいかと・・』






『・・・そうですか・・』






『中絶するのが・・本人の為にも赤ちゃんの為にもなるかと・・・』







『・・・』






ジャニスは愛美を見つめた







話を聞いているのか・・聞こえているのか・・・





どうかは分からないが・・悲しげな表情にも見えた・・







『愛美さんの体は健康体なのですか?』





『体の方は・・・もう回復したようです・・』






力無く答えて来た・・・





『何ヶ月ですか?』





『まだ3カ月と・・』





「どちらにしても間に合うか・・」





ジャニスはそう思った






『どうしたらいいんでしょう・・意識さえハッキリしていれば本人に決めさせたいんだけど・・』





『・・・』





『それと・・子供の父親が誰か・・・私には分からなんです・・・せめて・・愛美が普通の状態であれば・・・』








『・・・父親・・ですか・・それは・・恐らくその手紙の主だと思います・・』








『本当ですか!!』









『えぇ・・残念ながら・・本人は他界されていますが・・』








『えっ・・なんて・・可哀想なの・・この娘・・』









愛美の母は娘を不憫に思った・・






こんな状態になった上、妊娠していて、しかも子供の父親は死んでいる・・




この現実を受け止めきれなかった・・・






『そんな事があったんですね・・・それで・・この子・・』




ジャニスは母親をじっと見つめた




『愛美ちゃん・・あなたの事は私がずっと守ってあげるからね・・』






愛美の身体にしがみ付き、号泣した・・・










ジャニスは、何れにせよ・・この状態ではどうしようもない・・



日を改めるか・・人気が無くなった時に薬を混入するか迷った・・








『お母さん、あまり気を落とさないでください・・本人は生きています・・きっと・・・意識は戻りますよ・・』




慰めにも似た言葉を掛け病室を出ようとした・・




ジャニスが立ち去ろうとした時、てんてんの母は深々と頭を下げてきた・・




『・・・』




何も知らないが故 良い人と感じたのだろう・・





そう思うと、とても可哀想な人間にも見えたと同時に真実は知らない方が良い・・





これが傀儡がもたらす呪縛なのだと・・感じた






振り返り 一礼をし立ち去ろうとすると・・・





『この手紙・・一緒にこの娘に聞かせてやってもらえますか・・・』





京介からの手紙を差し出してきた





『いえ・・私にはそんな権利は・・』





『貴方がここまでこれを持ってきてくれたのもの何かの縁です・・愛美の為にもお願いです・・』





『・・・』





ジャニスはベットまで戻った





愛美の母は手紙を開封した





「カサ・・」




『分かりました・・・』




ジャニスは手紙を受け取り読む事にした





『愛美ちゃん、聞いててね・・』




愛美の母は涙ぐみながら言った




「愛美、元気でやっているか?お前が気にしている芸能の出来事の件は最善を尽くし 





事態を納めた、今は自分の体の事だけを考えてしっかり治療してくれ。





最後こんな形になってしまった事を本当に申し訳ないと思う、お前が成し遂げたかった夢まで潰してしまって





本当に申し訳ないと思っている・・。





この手紙と一緒にお前から預かっていたお金を全て返す。




迷惑をかけた分、少し余分に金を入れておいた。





今の俺にはそれくらいしか出来ない。 




今後、きっとその金は役に立つ筈だ、自分の為に使って欲しい。





もし・・お前が望むのなら退院した後「HEAVENS CAFE」を訪ねるがいい。





そこでもう一つの選択肢が出来るだろう。




それも選ぶのはお前だ





強くなろうと必死に頑張っていてくれた、愛美、お前を俺はとても好きだった。





ありがとう。 愛美





哀川 京介         」










手紙を読み終えると、愛美に異変のようなものを感じた







目は泳ぐように動き






口をパクパクさせていた・・








『どうしたの?何か 何か言いたいの!!愛美ちゃん!!』








母親は愛美に覆いかぶさるようにし、体を少し起こしていた







ジャニスは哀れな姿だと感じ・・ 




背を向け、部屋を再び出ようとすると・・













『待っ・・・て・・・』
















愛美が言葉を発した・・・。





































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