ウソ
俺は嘘つきだ。
だから、これから語る話は信じなくて良い。
或いは一節くらい、真実は紛れ込んでいるだろう。
全て何もかもが嘘である、とは限らない。
恐らく混じり気のまるで無い嘘なんて、きっと存在しない。
信じなかったか、確認しておこう。
まるっきり嘘である、なんてものが無いわけない。
こうして語る俺が存在しない、とか。
存在しないなら語る俺は何なのか。
いや、これも嘘。
俺、なる人物が存在する証拠は無い。
ここにこうして語っている者が何者であれ、語っている者自体はいるじゃないか。と考えることは出来る。
実在するか否かとなると、話は変わってくるが。
こんがらがってくる、自分でも。
まあ、要するに。
本当のことだなんて思わず、気楽に聞いてくれ。それだけのこと。
話を戻そう。
俺は嘘つきだ。
いつから、かなんて分からない。
気付いた時には嘘つきで。
環境だの血筋だのに原因や理由を押し付けるつもりはない。優しいわけではない。誰か、何か。自分以外の、外のモノに俺が作られたなんて思いたくないだけ。
傲慢なだけ。
それは本当。
嘘つきの口にする本当が、本当に本当なのか。そう思ってもらえるのか知らないし、興味もない。
そう、俺は傲慢だから。
中々本題に入れないな。ちんたらちんたら。うろうろうろうろ。
あの時もこんな感じだったな。
ターゲットは決まっていた。
送付されてきた。あいつから。まさか、ね。
逮捕されて車に乗せられる瞬間に、頭。
即、だったらしい。ニュースでは、そう言っていた。
撃ったのは俺じゃない。
俺はあそこで銃を構えていた、それだけ。
その銃から発射された銃弾が、脳ミソを貫通してあいつを仕留めたものだとしても、だ。
信じないだろうね。分かっている。
俺が嘘つきかどうかなんて前置き、必要無いのさ。
証拠とやらは俺を銃殺犯だと示しているんだ。教えてもらった。全てじゃないのが、意味不明だが。
そうだろ。
疑われてるのは俺なのに。変な話だ。
ああ、まただ。
悪い。
ターゲットに選ばれた人のことは知らない。ちょっと悪どい手段で大金を溜め込んでた、ってことくらいしか。
名前、は何だっけか。
覚えちゃいない。
俺じゃないと言うか、俺達じゃない。
会ってないから。
それも信じてはもらえなかった。
十五人で侵入したことは、すんなり信じてもらえたのにな。
いやいやいや、だって十五人とか。普通は信じないって。
知ってる。カメラの映像。
片付けの請負、みたいなフリして堂々。そういうプラン。
本当、そこまでは順調だったのに。
それにしても、あのカメラ。
いや、不自然だと思わないのが不思議。
あの空白時間、何なんだって話。
死人の数が不思議過ぎて、全然誰も気にしてないけど。そもそも、俺のアリバイだとかに無関係だから良いとはいえ。
仕方ないとは思う。死にすぎだし。
あいつ含めて何人死んだよ。
俺も入れて十六人。いや、あの爺さんも入れて十七か。
生きているのは、今や俺だけ。
何でどいつもこいつも死んでるんだか。
それも自然死らしいものは、ほぼゼロ。
物理的に不可能な三件以外、どうやら犯行は俺の仕業らしい。
笑える。
自供なんてするはずない。していないし。
そう、その通り。
嘘つきだからな、嘘かもな。
嘘つきなんだよ、俺。
あんたも、そうだろう。
臭いで分かる。
嘘、嘘。静か過ぎたんだ。
皆、始末したのか。眠ってるだけ、ね。
信じるよ。
信じようが信じまいがやることは同じだろう。
どうせ。




