表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/47

お迎えする

 子犬をね、お迎えしたんです。

 この寒い中でね、ブルブル震えてて。

 黒い豆柴かな。犬種詳しく無いんですけど。

 あ、豆柴って犬種じゃないんですかね。

 団体によって扱いが違うとか何とか聞いたような。

 柴犬のうち、成長しても小さければ豆柴って。

 何ならさらに小さい、小豆柴もいた気が。

 いずれにしても分からない。

 豆柴っぽいな、なんて何となく思った。それだけのことで。

 そういえば、豆柴の子犬と柴犬の子犬って見分けつくのかな。

 いや、両親が豆柴なら子は豆柴なんだろうなとは思うんです。

 でも、柴犬同士からも小さな子が生まれることもあるだろうし。

 ……って、話が横道だな。

 子犬、柴か豆柴か、とにかくそれっぽい子犬をお迎えしたわけです。

 寒い日に。

 九時ぐらいか。夜の。

 そりゃ、寒いですってば。

 何せ二月だし。

 そしたら、ベタもベタに「くぅ~ん」とか声。

 あれ、分かっててやってる。

 こう鳴いたら放っておけないでしょ、って。

 実際に放っておけなくて。

 声のする方を見たら、箱。

 初めて、リアルに見たんですよ。可愛がってやってください、なんてメモが貼られた段ボール箱を。

 けど、酷いと思いません?

 マンションね、別にペット禁止とかじゃなくて。流石に煩かったり、出る時に部屋が荒れてたら問題にはなるでしょうけど。

 とりあえず、飼えるわけですよ。

 いやね、それは別に良いんです。苦手な人もいるし、同情はしても飼えないのも分かる。

 でもさ、こう、通報と言うか。ね?

 どこかに連絡するとか、誰もしてあげなかったのかなって。

 箱の感じとか、中のミルクだとか、ほんの数時間って風には見えなくて。……捨てられてから。

 ってことは誰も気付いていないなんて、そんなことあるかなって思ってしまって。

 気付いておいて、何もしなかった。

 分かります分かります。

 捨てた人が一番酷い。飼えなくなったなら飼えなくなったで、何かしらしなくちゃならないですよ。生き物と暮らす、生命を預かるってそういうことですから。

 で、仮に通報して、そういう元の飼い主だと疑われたりとかしたら最悪です。それも分かる。

 分かるけど、分かるから、余計やりきれなくて。

 俺はたまたま、実家に犬いるから平気だっただけなんですけど。

 それなのに犬種とか良く分からないのか、って話ですよね。

 仕方ないです。うちにいるの、特殊なんで。

 犬は犬なんだとは、そこは間違ってない、……はず。

 え?

 ミックスじゃないです。犬種不明とか、そういうんでも。

 ……あー、これ、言わないでもらえます?

 ネットニュースの記事にはしない、って。

 オフ?

 あー、それです、オフレコってやつで。

 それなら大丈夫です。言います。

 ケルベロスです。

 三つの首がある、それですよ。

 地獄の番犬?

 んー……、ちょっと違うんだけども。まぁ、良いか。

 そういうのです、そういうの。

 ニックネームとかじゃないですよ。

 本物です。れっきとした。

 写真?

 無いですし、見せても信じないでしょ?

 見に来ます?

 って言うか、見てもらうつもりで来たんですけどね。

 犬拾った話?

 本当ですよ。ただね、ちょっと違う。

 子犬はもう冷たくなってました。

 だから、俺がお迎え出来たんですけどね。基本、生きてると無理なんで。

 やっぱり気付いてませんでしたか。

 いや、いるんですよ。結構。

 でもね、まぁ、摂理ってのがありまして。

 ええ、撫でるのは無理だろうけど、見てやってください。

 マジにデカいっすから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ