滅美
タタントン、ガタン、タタン、タン、ガタン。
リズミカルに、線路と車輪が奏でる。
カーブを曲がる時に加わる、軋む音がアクセント。
人を観察するなら、やはり電車に乗るべきだ。
車窓を流れて行く景色。
雨のせいだろうか、グレートーンの町並み。
昭和を色濃く感じさせる一軒家。同じ箱を並べたような建売住宅。無機質なタワーマンション。一転、生活臭の漂う団地。種々雑多な混合物は、美しさとは縁遠く見える。
上空から撮影しても、まるで見せられないものに、モザイク加工したように思えるだろう。
それでも、そこには確かに美があった。命が、そこここに輝いている。
あの住まい一つ一つに暮らしがあるという、事実。考えてみれば凄いことだ。
アブラムシが群がる様を見た時に、鳥肌が立つのにも似た感覚。
ある種の気持ち悪さ、グロテスクさを伴い、圧倒的に迫りくる濃密な生命。その、美しさ。
壊すに値する。
あいつらは何を見ていたのだろう。
壊す価値もない文明じゃない。
汚く醜く、それでも真剣に必死に、彼らは生きている。
何もかもを食い潰し、緩やかに自死、破滅へと歩む。愚かだ。
未来への負債なぞ、知ったことか。
素晴らしい。
刹那的な美しさを、奴らは解せないらしい。
永遠を生きるうち、鈍麻したのだとしたら悲しいことだ。
いずれは、あいつらも間引くべきかも知れない。
壊れるのだから、放っておくだなんて。
何も分かっちゃいない。
握り潰されたリンゴの、果汁が指の間から滴り落ちる。
砕けた果肉はもはや、乾ききっているように見えた。




