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夢への第一歩

 アステラは一人、外に出て空を見上げました。無数の星々が輝き、その中に何か永遠のものを感じました。彼女はその光がどんなに小さくても、確かに存在し続けていることを知っていました。


 心の中で静かに呟きました。「もし、私の歌声が星空に届いたなら、もっと多くの人に私の歌を届けることができるのではないか。」そして、その瞬間、彼女はリヴィウスのことを思い浮かべた。


 リヴィウスは天文学に情熱を注ぎ、その知識で星空の謎を解き明かしてきた男であった。彼の目には、常に星々への深い敬意があり、宇宙の広大さに対する畏敬の念が宿っていて、彼の技術を使えば、もしかしたら自分の歌声を星空に届ける手助けをしてくれるのではないか。


 アステラはその思いを胸に強く決意を固めました。彼女の歌声がどこか遠くの人々に届くことは、きっと自分にとって、そして他の人々にとっても大きな意味を持つと感じていたのです。


 そして、アステラはリヴィウスにその思いを打ち明けました。


 彼女は過去に感じた舞台での歓声や、歌声が空間に広がる瞬間の温かさを思い出していました。それが今、彼女の心を支えていたのです。


「リヴィウス、もし私の歌声が空に届くなら、もっと多くの人々に届けられる気がするの。私、少しだけでもいい、私の歌を遠くの人たちに届けたいのよ。」


 彼女の目には切なさと共に強い決意が込められていました。その思いが言葉となって、リヴィウスの前に現れた瞬間であった。


 リヴィウスは驚きながらも、その提案を真剣に受け止めた。


 アステラの言葉には、彼女の内に秘められた深い思いと、歌を通じて人々に自分の存在を伝えたいという強い願いが込められていることを理解した。


 そして、リヴィウスはその気持ちに応える形で、アステラの歌を星空に届ける計画を実現させようと心に誓いました。


 リヴィウスはすぐに、自分が進めている天文台での研究をさらに活用する方法を考え始めた。


 リヴィウスがアステラの歌声を活用する方法を思いついたのは、星々の下で一人静かに夜を過ごしていたある夜のことでした。


 彼は天文台で観測機器の調整を行いながら、ふとその静寂の中に広がる宇宙の壮大さに思いを馳せていた。無数の星が光を放ち、その光が何光年もの距離を超えて地球に届く――それを考えた時、彼の脳裏にアステラの歌声が蘇った。


 それは、彼が初めてアステラの歌声を聴いた夜の記憶。劇場の空間を満たすように広がり、聴衆の心を一つに結んだあの歌声。リヴィウスは、その瞬間の感覚を忘れることができなかった。


 彼女の歌声は単なる音楽ではなく、人々を結びつける「目に見えない光」のような存在だと感じていた。


 そして、その歌声を文字通り「光」に変える方法があるのではないか、というひらめきが彼の胸に浮かんだ。


 リヴィウスはすぐに研究室へ戻り、これまでの自身の研究を振り返った。


 彼が長年取り組んできた「音波投影」の技術は、音の波形を特殊な光波に変換する仕組みを持つものであり、音を光に変換し、それを大気中や宇宙空間で拡散させることで、地球上のどこにいてもその音を「受信」できる可能性を持つ画期的な技術である。


 しかし、それはまだ実験段階であり、音をきちんと安定して届けるためには、膨大な計算と精密な調整が必要であった。


 その技術を応用すれば、アステラの歌声を星々の光とともに宇宙に送り出すことができるのではないか――リヴィウスはその考えに夢中になり、一晩中計算とシミュレーションを繰り返しました。


 彼の頭の中ではすでに、アステラの歌声が夜空を満たし、星々の間を駆け抜けていく情景が鮮明に描かれた。


 翌日、リヴィウスはアステラを天文台に招いた。彼女が天文台に到着すると、リヴィウスは彼女を広大な夜空が見渡せる観測室へと案内しました。そこで、彼はアステラに自分の考えを打ち明けました。


「アステラ、君の歌声を、この星空に届ける方法を思いついたんだ。」


「星空に…私の歌声を?」


 リヴィウスは頷きました。そして彼女に、音波を光波に変換し、それを空気中に投影する技術について説明しました。


 リヴィウスの言葉は専門的でしたが、その情熱が伝わり、アステラも次第にその壮大な計画に引き込まれていきました。


「君の歌声は、ただの音じゃない。特別な波を持っている。それを光に乗せて、夜空に放つことができれば、きっと遠くの人々にも届くはずだ。星々の光と一緒に、君の歌声を宇宙に響かせよう。」


 リヴィウスの言葉は真剣そのものでした。


 アステラは一瞬息を呑み、リヴィウスの提案の大きさに圧倒されながらも、自分の中である種の興奮を感じました。


 彼女はこれまで、舞台で歌うことで聴衆に感動を与え、自分の存在意義を確認してきました。


 しかし、星空を通じて歌声を届けるという発想は、彼女にとって全く新しいものであり、同時にそれが持つ可能性に胸を躍らせ。



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