二次元ではないです
ツイッターが既に旧名であることは把握しています。
ただの好みです。Xだと文字として並べると分かりづらくて。
↪これは三次元の天使すぎる
↪佐藤ってあのゲームの佐藤?妻藤ってなん?
↪そう。妻藤はあれ、SNSの
↪これ妻藤のイケメン御曹司とかでたまにテレビとかに出てね?
↪あーなんか見たことある顔
↪二人そろって顔面がAIレベル
↪県立邦青ってなに?高校名?
↪〇〇県にある高校、バカ校だけど
↪うちすぐそこで草
↪そんなことより白髪JKが可愛すぎる
↪ほんまそれ。AIか?
↪なんかこの女の子どっかで見たことある
↪結局このJKとイケメンと佐藤やらなんやらは何なん?
↪ネット漁ったら画像出てきた。JKの方は佐藤の社長の娘、イケメンは妻藤の御曹司
↪ないす
↪高校名出ちゃったってことか
↪さすがにこのビジュは目立つて
↪王手ゲーム会社の娘が公立のバカ校は笑う
↪なんでこの二人が一緒におるん?
↪どう考えてもイケメン照れてるやろ
↪え、あ、そういう関係ってこと?
↪さぁ、公表されてないしわからん
↪これは特定班出動だ
↪AI女子高生生で見た過ぎる
永遠に続くリプライ。
高校前でスマホを片手に青年を見上げる、白髪の女子高生。
紛れもなく伽乃の姿だ。
そして、その伽乃の前で赤面するスーツのイケメン、これまた燈夜だ。
伽乃は車内の背もたれに体を預け、魂の抜けた表情を浮かべていた。
「逆に今までなんもなかった方がおかしかったよ」
「そんなの関係ない」
「・・・・そうだな」
フォローしようとするも、夕灯も正論を返され語尾を濁す。
既にこの元投稿のリプライ欄を始め、多くの拡散がされていた。
伽乃が朝にトレンド欄を見た時には既に遅し。
勿論トレンド一位とは言わないが、トレンド欄には、この投稿に関連したワード、「AI女子高生」「佐藤グループ」などが名を連ねる事態にまで発展していた。
普通なら早々に大企業パワーで鎮火出来ていたはずの火がこうして燃え上がっている理由は、ネット民の活動時間と社会の活動時間との格差だろう。
そんなことはどうでもいいのだが、問題は依然こちらにある。
どういうわけか故意に撮影された写真には、文章の投稿はなくいくつかのハッシュタグのみ。
しかし、そこに平然と紛れ込んだのが、伽乃の通う高校名だ。
これが今回の最大の問題であり、わざわざ妻藤一同が休日出勤までする事態となっている。
実を言えば、伽乃の実家、つまり佐藤の自宅はネット民に位置がなんとなく特定されている。
が、住所が正確に割り出されたわけではなく、この高級住宅街のどれか、程度のものであり、特別に注目されている内容でもない。
つまり、どれだけ大企業の個人情報が漏洩したからと、特別に大きな問題になるかと問われれば、それは一時的なものに止まりやすいのだ。
当然、今回の一件もあくまで起こって翌日の現在。
数日たてばネットも自然鎮火されるだろう。
しかし、妻藤一同はこのボヤを大問題と受け取ったらしい。
何気に初めての妻藤の本社に着くまでネットの様子を見てみようかと、伽乃はスマホを取り出すが、夕灯に止められる。
そんな前の助手席に座る夕灯を覗くと、彼もスマホ片手に表情を曇らせていた。
何を見たのか、その小難しい顔が段々と青白い絶句の表情に変わり、そして自らも咄嗟にスマホの電源を切る。
伽乃がその表情に心配を募らせるが、夕灯は依然としてスマホは見るなと伽乃のスマホを取り上げる。
今朝も、写真に近くに映り込んだ生徒の持つスマホから、この写真の日付と時間も割り出され、どこから情報が回ったのか、妻藤の家の前にはカメラを構える野次がいたらしい。
警備員が即座に対応するも、どうやら既にそれらは伽乃の高校にまで手を回しているよう。
陽キャ校のためか、県内でも中心部に近い地域に位置する伽乃の邦青高校は、高校のすぐ前に大きな駅とショッピングモールを併設し、人通りも非常に多い。
確かに、今思えばそんな位置関係にいながらこのような事態に遭わなかったのがおかしいとも取れるが、過去はどうでもいい。
「伽乃様・・・」
元舞妓女中が同行しているため、気分を落とす伽乃に懸命に声をかける。
「一先ず、今の所は何も無いみたいですし安心しましょう。旦那様が対応して下さってます」
「・・・すみません」
さすがにテンションとトーンを落とす。
「伽乃様が謝られることは何もありません。全部こんな投稿した人が悪いんです!私はネットのこと、よう分かりませんけど、話題はコロコロ変わるものでしょう?心配しはらんでも、そのうち――
「そうでもない」
女中の励ましを、夕灯はスパッと切り捨てた。
「えっ」と女中は言葉を失うが、伽乃も夕灯の意見と同じだ。
伽乃や夕灯のようにネットを生きる大地とするような人間には、よく分かること。
確かに、トレンドとしては数日もしないうちにこの話題は消える。
しかし、ネットは一度投稿したら永遠に消えることがないと中学高校で教えられる通り、この話題、そして画像が消えることはない。
ミームという言葉が近年流行に上がることもしばしばあるが、画像の流出とは中々に被害が大きい。
トレンドにならなくとも、一部界隈、これが残り続ける限り、何かしらの害悪は存在する。
趣味で染め続けている桃白髪は強烈なインパクトを与える。
AI疑惑が出ているなら話は速い。
確実に、この話題は加速する。
「誰がこんなこと・・・」
夕灯は呟き、女中、運転手までもが顔をしかめるが、伽乃は別のことに意識を飛ばしていた。
リプライ欄に見つけたただ一つのリプライ。
あれが注目されるか否か、されれば伽乃は更に話題を加速させることとなる。
これを期にリプライとリツイートの違いをちゃんと調べました。




