Kiss
青い空、白い雲。
高く飛ぶ鳥たちと、真っ白な壁の小さな教会。
私たちは今日、ここで、永遠の愛を誓う。
「――健やかなる時も、病める時も――」
「はい、誓います」
これまでお世話になった、たくさんの人たち。
豊かな髭の、穏やかな神父さん。
可愛らしいリングガールに、オルガン奏者。
私はこんなにもたくさんの人に支えられて生きているのだ。
今日を迎えるまで、それ以上にもっともっとたくさんの人に出会い、生きてきたのだ。私という人生を。
この日を、迎えるために。
「――誓いますか」
「はい、誓います」
神父さんではなく、まっすぐに彼を見つめた。
マリアベールを選んだのは、この瞬間にまっすぐ彼を見つめたかったから。
薄いベール一枚さえも挟まずに、彼を見つめていたかったから。
たくさんの記憶が蘇る。
彼と出会ってから過ごした、あたたかい日々。
彼と出会った、あの日。
お母さんと喧嘩して家を飛び出したあの日も、家族で出かけた幼いあの日も。
そして、この世界に生まれ落ちた日も。
誰にも言ったことはないけれど、私は彼と出会うために生まれてきたのだ。
それを、幼い頃から知っていた。わかっていた。
彼すら知らない、私だけの真実。
私という人間を形成してくれた、たくさんの出会い。
彼の元へ導いてくれた、たくさんの人たち。
世界はとても、優しいと思う。
ねぇ神父さん、「誓いますか」なんて、本当は笑っちゃう。
笑っちゃうくらい、当たり前のこと。私の生まれた、私の生きる、意味。
やっと出逢えたんだ。やっとここまできたんだ。
少し照れながら微笑む彼に、私も笑いかける。
私が一生、ついてるよ。
誓いの言葉なんてチープに思えちゃうくらい、どんな時も、味方でいるよ。
あなたがあなたでいられるように。
そう唇に想いを乗せて、そっと目を閉じた。




