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Freedom Utopia  作者: ごっこ
本編
57/58

魔王軍襲撃あれこれ

 説明しよう! 魔王軍襲撃とは、90日ほどの間隔でモンスターが襲ってくるイベントだ!


 要は月1イベントってことだな。


 この時期になると、東部地方だけじゃなくて、フリージア大陸の中部地方を除く全土に魔王軍が現れるらしい。各地の街全てが対象だってさ。

 モンスターの強さ的な差はあるみたいだけどね。開拓村もしっかり対象に入ってるんだ。しっかり対策しないと滅ぼされるらしい。


 急遽、襲撃対策に追われることになった開拓村。開拓村から出した斥候の報告がいつもより遅かったみたい。本当なら5日〜10日くらいで知らせが来るんだって。現実時間なら1日から3日の猶予があるってこと。


 報告が遅れた理由は……スコーピオンスパイダーの巣穴が魔鉱石採掘場にできたせい。鉱夫救出やら巣穴駆除やら事後処理やらでてんやわんやだったらしい。

 定期的に出す斥候部隊の編成を急いだみたいだけど、結果はこの通り。


 1日で開拓村の周囲にいる衛兵を呼び戻したり、冒険者かき集めたりしないといけない。余裕がないって辛いな。


 開拓村の防衛設備は主な材料は木。丸太をそのまま使ったような防柵がズラリ。たびたび起こるモンスターの襲撃に晒されて傷だらけ。その木でできた防柵の近くに見張り台が一定の距離ごとに建ってる。


 襲撃の備えとして開拓村の住人が必死に作業中。村にある木材を加工してる最中だ。


 トンテンカンコン

 トンテンカンコン


 開拓村の外で侵入妨害用の防柵――えっと、馬防柵だったかな――を作ってる。開拓村の東側、カミン沼地に続く方角だ。斥候の人の話によるとカミン沼地を経由してくるみたい。


 地形は平地。多少凸凹してるけど、魔王軍とやらの進軍を妨害できそうなものは、岩と木くらいか。落とし穴掘ってもいいかもねって思ったらもう掘ってた。


「そろそろ時間か。冒険者ギルドへ行きますかね」


 開拓村防衛の作戦会議があるんだってさ。村に侵入させなければいいってだけじゃないのか? とも思うけど、念のため話を聞くのだよ。


 見知ったNPC冒険者達、話したこともない見たことがあるだけのプレイヤー、今日初めて見たプレイヤー、知り合いもいるね。


「こんにちは。ツバサさんも受けるんだね」


「うん、こんにちは。桜月夜さんも受けるなら安心だ」


 マスポンさんはいないみたい。フレンド欄には……インしてる。村にいないのかな。


「大体揃ってるな。そろそろ始める」


 作戦会議の場所は受付カウンターの裏。事務室だね。その一室。参加する冒険者を事務室に入れて、デカいテーブルを囲ってるだけ。30人位かな。


「作戦会議っても大したことじゃない。冒険者に軍隊のような規律ある行動を取れって言っても無理な話。自身の裁量で動けとしか言えん」


 作戦会議お終い! 受付のおっちゃん、それでいいのかよ。


「お前達に集まってもらったのは、作戦会議をするってより、共通の認識を持ってもらうためだ。

 基本的に鉱夫救出作戦の時と同じ、開拓村の防衛にあたっている衛兵部隊が前線に出る。

 お前達冒険者は各自で遊撃にあってもらう。これも鉱夫救出作戦の時と同じだ」


 ふんふんなるほど。鉱夫救出作戦の時もこんな感じの会議あったのかな。


「襲撃に来るモンスターはスカルソードマン。そいつが率いるスケルトン軍団、イビルデーモン軍団。後は雑軍団だ」


 聞いたことのないモンスターばかり。スケルトンはわかるけど他は知らないな。雑軍団ってなんだ?


「雑軍団の詳細はわからないのか?」


 と思ったら他のプレイヤーが聞いてくれた!


「詳細まではわからん。開拓村に来るまでの間に集まった軍団、つまり寄せ集めだ。全てを把握するのは難しい」


「……わかった」


 なるほど! わからないことがわかった訳ですな!


「スカルソードマンが大将ってことは、そいつを倒せば襲撃は終わるのかい?」


「統率された軍から、指揮系統を失ったモンスターの群れになる。一定の効果はあるが、モンスターが逃げ出すことはない。

 今からスカルソードマンを少数精鋭で倒しにいっても、襲撃が無くなるわけではないな」


「そうか。わかった」


 開拓村に来るモンスター全部倒すまで終わらないか。これは拠点防衛クエストって認識でいいな。拠点になる開拓村が破壊されないようにすること。

 モンスターの規模がいまいちよくわかってないのが不安要素だ。鉱夫救出作戦の時みたいに無限沸きって訳じゃないだろうけど、数で押し切られたりするかもしれない。


「どんな状況となっても対応できるように、準備だけはしっかりしておいてくれ。頼んだぞ」


 何人か頷いたのを見て、受付のおっちゃんが部屋から出てった。いつも通りやるべきことをやればなんとかなるでしょ。俺も時間になるまで適当に時間潰すかね。


「天上族は少し待ってほしい。話がある」


 むっ。どうしよう。出るか出ないか……桜月夜さんは残って話聞くつもりだ。う〜む。


「スカルソードマンの討伐なら勝手にやってくれていい。俺の興味はのり弁だけだ」


 相変わらず濃いなぁ。のり弁正義さん出てっちゃった。こういう話何度かしたことあるのかな。


「桜月夜さんはどんな話か知ってる?」


「うん。ボスモンスターを倒すと追加の報酬貰えるんだよ。取り合いになったり、喧嘩になったら大変でしょ? だから誰が倒すのか先に決めておこうってなったの。たぶんその話だと思う」


 ドロップアイテムとかクエスト報酬で何か揉め事でもあったのかな。それとも自然にそういう話をする様になったのかな。率先して誰かが話を振ったのかな。まぁ何かきっかけがあったんだろうね。


「ふ〜ん。じゃあ何度かそういう話してたってことだよね。いつしてたんだろ」


「モンスター襲撃の時。緊急クエストって大抵ボスモンスターが出てくるから」


「あ〜なるほど〜……俺には関係なさそう」


 モンスター襲撃はまだ未経験なんだよな。たまたまクエストで外にいたり、インしてなかったりで関わることなかった。

 ま、その話の場にいたとしても初対面の人とパーティー組むなんて滅多にないしね。役に立てるかどうかわからない俺には難易度が高い。ちょっと失敗すると空気悪くなるあれはもう嫌だ。


「あはは、私も関係ないかな」


「でも残って話聞くんだ」


「一応ね」


「うーん。俺も聞くだけ聞いておこうかな。初めてだし」


 話の内容は至ってシンプルだった。開拓村で仲良くなったか、元々身内なのかわからないけど、2グループがスカルソードマンを倒すことになった。

 それから参加希望を募って、集まった人を振り分けて2パーティーで叩くことに落ち着いた。


 俺?


 自信ないから話聞いてただけです。

 桜月夜さんは1個質問してた。どこから攻めるのかって。モンスター襲撃の時に、1回だけボスモンスター討伐に向かった人がいなくなって手薄になった場所から開拓村に侵入されたことがあるらしい。

 侵入したモンスターを倒すのは骨が折れるとか。俺も注意しよう。

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