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Freedom Utopia  作者: ごっこ
本編
43/58

第5採掘場のボス

エナジーチャージ……じゃないな。10秒チャージ! インマジック! 間違ってないよな。あれ? 違う? 違わないよな……勉強します。


「おっしゃ。お待たせしました」


「お? なんか強そうじゃん」


「なら行きますね」


「一発ドカン!!」


ふぃー。どデカいの一発かましてやりました! きもちー!! 結構な数がひっくり返ってますな! 足わしゃわしゃ気持ち悪い。吹き飛んだり、ここに来るまでに多少削っておいた奴が消滅したりで突破しやすくなったんじゃないですかね!


「いいもん持ってんなツバサさん」


「いやー気持ちかったです」


「……先陣……私……先陣……」


「「あっ」」


意気揚々と構えてた桜月夜さんが肩落としてる。ごめん、ごめんて。まだ始まってないから! 先陣行けるから!!


「いやほら――アレだ! 安全確保のための援護射撃ってやつだろ!? なぁツバサさん!」


「そ、そうそう! あんな危険な場所に1人で突っ込ませるのもなーって」


「別に……いいんだ……あんな範囲攻撃私持ってないし……」


あぁ拗ねておらっしゃる!!


「何度も撃てるわけじゃないんだ!! 半分以上MP使う奴だから!!」


「ほ、ほら見ろ! 上から蜘蛛落ちてきたぞ! 先陣頼む!!」


ボトボト落ちてくるな。5匹……8匹……多いな。糸も貫通して取り除いたからか。


「――任せて!」


元気出してくれた! よかった! よかった!!


「じゃあ行きます!」


「いつでも」


「あんた達も大丈夫だな?」


マスポンの確認に鉱夫達は固唾を飲みながら頷いた。頷いたことを確認した桜月夜が先駆け一閃。それを皮切りにツバサが翔ける。マスポンに促された鉱夫達が続き、マスポンが大鎚を振り回して後続のスコーピオンスパイダーを蹴散らした。


桜月夜の一振り一振りの威力がツバサの攻撃よりも桁違いに高い。そしてツバサよりも洗練された動きで突き進む。それはフリユピの中でだけで磨かれたものではないと一目見て理解できる。VRゲームの全てを同じ戦い方で続け、積み重ねてきた経験の結晶。桜月夜のPSはフリユピでも通用し輝くことができると現在進行形で証明している。


桜月夜の後を追うツバサは桜月夜が仕留め損なったスコーピオンスパイダーのトドメを指す。そして一直線に射抜かれ、開かれた道で転がるスコーピオンスパイダーが進行の邪魔になるのであれば処理する役割を担う。先陣を切る桜月夜のサポートを苦労しているようには見えない。むしろ表情には余裕が見える。


(こりゃ楽だ。最低限護衛してるだけでいいんだからな)


鉱夫達の走る速度に合わせて周囲を警戒するマスポン。前を突き進む桜月夜とサポートに回るツバサだけでスコーピオンスパイダーは黒い粒子となって消える。マスポンは後続から迫るスコーピオンスパイダーの対処に集中しているだけでよかった。


初めて共闘した3人はそれぞれの役割を理解して動いている。1人では、2人では突破できなかった密集地を最も簡単に抜け出した。


「このまま退却地点まで走ります!」


「オッケー!」


「了解だ」


桜月夜の判断に身を任せ第5採掘場を走る。5つある穴の内2つはプレイヤーが突入している。そのおかげか、第5採掘場の勢力図は人側の優先に塗り替えられていた。冒険者達は各地に散らばりスコーピオンスパイダーの数を減らし続ける。衛兵部隊は入口付近に1部隊を置き、2部隊は殲滅に向かっている。


鉱夫達が残されていた密集地から抜け出さなくても時間経過で救出できていたことだろう。そう思えるほどにモンスター側の戦線は崩壊している。


「もう少し――地面揺れてる?」


「うん、揺れてるね」


「こういう時って大抵アレだよな」


3人が共通の認識を示し合わせるように顔を見合わせる。


「――――――!!」


周囲で戦う冒険者達も大地の揺れに気付き始めたその時、声にならない甲高い音が第5採掘場全体に鳴り響く。


「ボスかぁ」


ツバサの独り言に呼応するように第5採掘場の真ん中の地面がガラガラと崩れ落ちた。


「デカいの来たな」


「どうしよう」


マスポンが穴を眺め、桜月夜は鉱夫達を心配する。周囲にいるスコーピオンスパイダーの足よりも分厚い足が顔を出す。カチカチと音を立てて地上へと姿を表した。


通常のスコーピオンスパイダーの2倍から3倍はあるスコーピオンスパイダーがそこにいる。


「ただのスコーピオンスパイダーじゃないよね」


ツバサが2人に確認する。


「だろうな。通常のスコーピオンスパイダーを倒しまくったからな。名前の横にオスって表示されるようになってたんだわ」


「私も通常のはオスって表示されてる。たぶんアレがメスかな」


「俺まだ表示されてない。君達凄い倒したんだなぁ」


「あんな密集した中にいりゃな」


「ツバサさんもすぐ表示されると思う」


メスと思われる巨大なスコーピオンスパイダーが目の前を歩くオスを足で貫いた。そして暴れるオスを生きたまま口の中へと運ぶ。


「「うわぁ……」」


ツバサと桜月夜はドン引きした。


「蜘蛛の中にはオスを食うメスもいるらしいからな……」


マスポンは直視しないように目を逸らす。


「あの硬い甲羅簡単に貫くとか、俺耐えられる気がしない」


「私も無理だね」


「直撃なら無理だな」


どう対処するべきか悩む3人。


「今は逃げに1票」


「「同じく」」


議論するまでも無いようだ。3人の意識はスコーピオンスパイダーのメスよりも鉱夫達にある。まずは救出。そのために動き出す。


視界には入ってない。なら大丈夫。桜月夜さんの取りこぼしだけきっちり倒していれば入口まですぐに着く。


桜月夜さん頼もしい。一言、火力高い。あと安定感ある。必ず柔らかい腹部に狙って潜り込む、その流れがスムーズだ。俺だったら多少躊躇ったりしてグダる自信ある。上手くいく時は上手くいくんだけどね。


前衛がしっかりしてると安定感出るから周り見る余裕出てくる。俺が1人で鉱夫助けた時は結局運ゲーだったからな……。冒険者が追いついてくれなきゃどうなってたことやら。


マスポンさんは視野が広いのかな。鉱夫達の足を止めないようにしながら、近づいてくるスコーピオンスパイダーを甲羅の上から叩き割ってる。STR高いんだろな。


開拓村までさっさと足を運んだ人はみんなPS高くて羨ましい。理想を目指してるけど、火力の違いを見せつけられると凹むね。常にMPと相談しなきゃいけない俺とは違って、通常攻撃だけで対処できてるから尚更羨ましい。常に全力で戦えてるって感じがする。


お?


スコーピオンスパイダーのメスさん。目が合いましたね。お元気ですか? 僕は元気です。どうでしょう。ここで目が合ったのも何かの縁、互いに知らぬ存ぜぬを貫きませんか? いい提案だと思いますが……そうですか。残念です。


「こっち来なくていいんだぞ」


「気に入られちまったな」


「どう――します?」


完全に狙われてるな。


「別れるしかないな」


「マスポンさんと同じこと考えてました」


「ツバサさんもそう思うか。桜月夜さんは?」


「倒すにしても時間かかるでしょうから賛成です」


ふむ、この中で1番火力ないのは俺だな。ここなら1人で鉱夫2人連れてもなんとかなりそ。冒険者も衛兵もスコーピオンスパイダー相手にしてくれてるしな。


「俺が連れて行きますよ。火力ないですから」


「またまたぁ」


「いえ、私が連れて行きます。元々私が救出する人達でしたから」


「でも――」


「――イエ、ワタシガツレテイキマス」


「俺――」


「――ゼッタイ、ワタシガイク」


「ツバサさん、俺と桜月夜さんとは今日ついさっき知り合ったばっかだけど、これだけは言える。この人頑固な。この反応は死んでも譲る気ない」


「あっはい」


うん、マスポンさん。俺もついさっき知り合ったばかりだけど頑固な人だってわかったよ。譲ってしまった方が楽だ。


「桜月夜さんお願いします」


「はい。任されました。マスポンさん、ツバサさん、フォローありがとうございました」


「おう」


「いえいえ」


後は頼んだぞ桜月夜さん。


「じゃ、俺たちがあのデカいのやりますか」


「そうですね」


負けるにしても最低限時間稼いで足止めしないとな。オスみたいに動けるなら桜月夜さんの所まですぐ追いついちゃう。俺が倒したカメレオンよりは小さい。5メートル位か?


同じ種類のモンスターなら攻撃方法は似たり寄ったりのはずだ。まずは様子見して攻撃パターンを――。


「何するつもりだ?」


「あんな所から攻撃するってんなら糸でも飛ばすんじゃね」


なるほど納得。オスは直線にしか飛ばさなかったから射線切れば問題ないな。


「あれ……あなた尾が柔らかいですね。ずいぶん曲がってますけど――」


マスポンさんとは反対方向に離れたけど不味ったな。尾が俺に向いてるんだ。もしかして、もしかしなくても、もしかするよね。


「糸飛ばしながら薙ぎ払うのやめろおお!?」


咄嗟に伏せて正解だった。デカい分射程も長い。マスポンさんは――驚いてたけどしっかり避けてるさすが。


様子見できるほど余裕無さそう。必死に逃げ回らないと――薙ぎ払った後返してくるんだ……捕まった――死ぬ。


「なんでじゃーー!? のわあああーー!!??」


伏せたのが仇になった!! 避けようと思った時には体に張り付いてたよぅ……。俺だけじゃなくて数匹のオス巻き込んでんじゃん。同族じゃないんですか!?


不規則に走り回るジェットコースターみたい。緩急もあって人によっちゃ酔うぞ。大きく振り上げてどうする――まさか!


「叩きつけるつもりかよ! 糸対策なきゃ即死じゃん!」


あぁ……乗ったばかりのジェットコースターが頂上に登りきった時のよう。カタカタ音鳴りながらさ、ゆら〜って先頭が真下を向いたような感じ。あれ嫌いなんだよおおお!!??


自分の意思で飛び降りるバンジージャンプとは全く違うんだぞ!! 体と魂が離される感じがダメなんだ!! 足の感覚が消えていくううう!!


「グギギ……時間稼ぎにすらならないモブになってたまるか!」


念のために維持しておいてよかった。集約して光の大剣に――切れろ――切れろ――切れた!!


「よくもやってくれたな!? 蜘蛛子!!」


お前の背中の真上に俺はいるぞ!! 叩きつけられそうになった恨み、お前の加速させた勢いも足して突き刺してやるわ!!


「うおおおお!!」


5メートルの巨体がちょっと沈むほどの威力。俺のHPもグッと減ったけどお前にも十分なダメージ与えたよな!?


落下ダメージがどんな計算か知らない。でも俺が生きているのは鉱夫の服のおかげだぜ!


「鉱夫の服じゃなければ即死だった……たぶん」


足の感覚がない。痺れてるのとは違うな。あれだ、何百メートルも上から下を向いた時になる足だけ血の気がなくなるやつだ。そんなのも再現できんの? 俺が勝手にそう感じてるだけか?


やばい、とにかくやばい。恐怖で変に興奮してる。コイツまだ生きてるよな。さっさと離れないと――うお!?


「お前器用だな! 尾ってそんなに柔らかいのか? あぶっ!」


俺が背中に乗ってる感覚があるのか。自分の背中尾でバシバシ叩くなよ。痛くないのかね。


「足元留守だぜ! オラ!!」


マスポンさんのフルスイングが前足を襲う!


「硬すぎ。凹みすらしないのな。となると顔か腹狙いっと」


尾を動かしながら足も動かせるのかー。オスなら尾を使う時は立ち止まるからわかりやすかったけど、メスはそうではないのね。


背中に乗ってるアドバンテージを利用してダメージ与えるしかないな。


「お前の硬い甲羅も俺の魔法なら貫通できるのさ!」


形成、集積6秒、維持、付与貫通。両手に持って突き刺して走り回る。光の剣振り回すより効率いいでしょたぶん。


「遊園地のアトラクション気分! ポーション使い切るまで遊び尽くしてやるぜ! ヒャッホー!」


恐怖でおかしくなったのと深夜ノリが合わさってメチャクチャだぜ!


「第3部隊簡易拠点まで撤退! 治療を受け次第開拓村の護衛に当たれ! 第1、第2部隊、冒険者各位! 第5採掘場の制圧を優先! デカブツは無視して構わん!」


おお……衛兵長のデカい声。第5採掘場全体に届いたんじゃないか? でもこのメス無視するのは無理じゃない?


「ん? なんだ?」


メスが糸飛ばした。壁に当たった――オスが伝ってくる! メスが出てきた大穴から大量のオスが!! メスに糸飛ばして――登ってくる!!


「そんなに背中に乗られるのが嫌か? お前が蒔いた種だ、死ぬまで離れてやるもんかよ!!」


俺の攻撃はしっかり通ってるってことでいいよな。どんどん行くぞ!




「ただいま」


「おっ? 桜月夜さんおかえり。その様子じゃ送り届けられたようだな」


「うん無事にね。今どんな感じ?」


護衛を完遂した桜月夜が暴れ回るスコーピオンスパイダーのメスの元まで戻ってきた。その桜月夜にマスポンは状況を伝える。


スコーピオンスパイダー(メス)はオスよりも頑丈な鱗に覆われていて、オスの鱗を簡単に貫く鋭い足を持つ。オスよりも柔軟らしく懐に入ることも一苦労のようだ。


「俺の打撃武器で1番火力のあるやつで殴ってもびくともしねえ。腹や顔しか通りそうにないな」


「顔やお腹って攻撃届きますか?」


「採掘場の足場使えばなんとか」


「なるほど」


2人はメスの攻撃モーションを見て回避に移る。オスとは違い、器用に薙ぎ払うこともできるようだ。5メートルの巨体から繰り出させる薙ぎ払いは、周囲に群がるオスも巻き込む。攻撃範囲も相応に広い。


足に力を入れたかと思えば高く飛び上がり、押し潰そうとする。この攻撃もまたオスを平気で巻き込んでいく。メスの体に糸を付けたオス達はメスの行動に引っ張られ宙を舞う。それは空中から降り注ぐ大岩のような役割も持っていた。


「おわあああ!?」


「っ!?」


2人は糸に触れないように、かつメスと時間差で落ちてくるオスを避けなければならない。しかしメスの行動はそれだけに留まらない。


「マスポンさん危ない!」


「えっ? やべっ!?」


ジャンプから着地してすぐ足の薙ぎ払い。落下するオスに気を取られていたことと、そのオス達に視界を遮られ死角となったことでメスの行動に気づかなかった。


桜月夜が知らせなければ恐らく間に合わなかった。手持ちの大鎚を薙ぎ払いの方向へ向ける。辛うじて間に合い、直撃は避けたが、その威力はマスポンの体を簡単に浮かせ、吹き飛ばすほどだ。


「お、おお……あ、あぶね」


「下から倒すのは得策じゃないですね」


マスポンはポーションを飲みながら頷く。暴れるメスに対しての有効打がないことが問題だ。頑丈な鱗を粉砕できるオスと同じなら、足を折るなりして叩けばいい。今の2人にはそれができるだけの力はないようだ。


たった1度の攻撃で形勢をひっくり返される相手に不利になる場所で戦う必要はない。


「背中に乗れりゃ違うかもしれないけどな……」


「そういえばツバサさんは? もしかして――」


「いや、生きてるはずだ。開幕初見殺しの糸発射に捕まってたけど、抜け出して背中にいる。ほらあれ見ろよ、メスの尾が自分の背中殴ってるだろ? あれツバサさん狙ってんだ」


マスポンが指差す先では、怒り狂ったように何度も背中を尾で叩くメスがいる。距離を取ってみると確かに怒っているように見える。わらわらとメスの背中に登るオス達も巻き込まれているようで、背中から振り落とされたりもしていた。


「そっか……糸って切れるんですね」


「らしいな」


「私じゃ切れなかった。触っちゃったら剥がすの大変なのにな……」


「な。時間かかるよな」


「うん」


なんとも言えない哀愁が漂う中に1人の男が現れた。


「苦戦しているようだね」


「あんたは――」



せっかく俺を倒そうとしてくれてるオスも巻き込むのはいただけませんな!


「せっかくの救援を尾で振り落とすなら、俺が相手にする必要ないんだぜい!」


ただ突き刺して走り回るだけだからな。MP維持のためにポーション飲みながら走ればいい。ジャンプされた時は驚いたけど、ダメージあったわけじゃないからマスポンさんの相手してるんだろうね。


上と下同時に相手するのは辛かろう? デカいってのも考えもんよ! ふはははは!!


まさか開幕糸飛ばしがこんな結果を生むなんて考えてなかっただろ? 俺はモブじゃないのだ!! ふはははは!!


「おっと危ない」


尾って直線にしか動かせないと思ってた。糸飛ばす時だけじゃないんだな。縄跳びの要領で跳べばいいんだけどね。得意でもないけど苦手でもない。緩急つけられると釣られちゃうかな。注意しとこ。


「君たち同族なんだからもう少し仲良くすればいいのにね」


尾を振り回すたびにオス達が振り落とされる。健気にまた登って落ちて登って落ちて。


しかし硬いですな。体力的な意味で。いや俺の火力が低いのかな。東部地方は難易度高いらしいし、仕方ない部分はあるけど。作業になると飽きます飽きます。


「ツバサさーーん。生きてますかーー?」


この声は桜月夜さん。メスの頭近くから聞こえます。無事に送り届けられたのかな。


「生きてまーーす。どーーぞーー」


あ、いるいる。おっと尾の叩きつけはいらないですよ。


「飛び降りられますかーー? どーーぞーー」


「できますよーー! どーーぞーー」


「ではーー! 危ないのでーー! 飛び降りてくださいーー! どーーぞーー」


「はーーい!」


何するつもりだ? あれは衛兵長! なんか構えてる。力を溜めてるってことは……なるほど、ぶった斬ってくれるのか。巻き込まれるわけにはいかんな。


「俺を落とそうと集まった君たちには悪いけど、用事できたから先に帰るね。バイバイ」


5メートルの高さから飛び降りるのってなかなか勇気いります。VRゲーム慣れてるから耐性はあるけどな。




ツバサが飛び降りたのを見た衛兵長が飛び出した。


「ぬおおおおわああああ!!」


雄叫びを上げて両手で握る長剣を振り下ろす。5メートルの巨体を走る斬撃がスコーピオンスパイダーを襲う。


その威力は後から発生した衝撃波が物語る。背中に乗っていたオス達が衝撃に耐えられず吹き飛ばされ、斬撃に直撃したオスは体が切り離されていた。それは今現在のツバサ、マスポン、桜月夜の3人が成しえなかったこと。


スコーピオンスパイダーのメスはピタリと体の動きを止め、崩れ落ちていった。

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