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Freedom Utopia  作者: ごっこ
本編
33/58

開拓村の日々

やぁこんにちは。俺です。ツバサです。


開拓村フューチャーにやってきてから忙しい毎日を送っています。インするたびに新しい依頼が冒険者ギルドの掲示板に貼られます。それ自体はどこの街でも同じですが、違いは依頼の量と消化速度ですな。


常に冒険者ギルドに人がいないのは最優先の依頼を受けさせられているからだと判明いたしました。数名が待機しているのは緊急依頼が起きた時のためだそうで、村の衛兵達も冒険者達も余裕があるようには見えません。人手不足という話でしたがその通りのようです。いつパンクするかわからない切迫した毎日が続いています。


そんな俺も依頼に駆り出されている一人になってしまいました。やっていることは大体同じですね。


村に来てから緊急性のない討伐依頼を受けて金稼ぎをしていたのです。ですが、ある日ロッククロコダイルカメレオンという俺が倒したモンスターの調査に向かっていたチームが、開拓村フューチャーに帰ってきてから事態が急変しました。


俺が討伐依頼に指定されていたモンスターを倒したと認められたのです。そのことは嬉しいです。83万ピアという高額報酬を手にしたのですから。けれど、冒険者ギルドはそれで話を終わりにしませんでした。


それだけ実力があるのだからと同程度の討伐依頼を進めてきたり、地理調査の護衛依頼に推薦されたり、自然再生のための試験運用地の経過視察に付き合わされたりと懲り懲りです。


お金がないなどと嘆いていた時期が懐かしく感じます。今では貯金が300万を超えましたが、使っている時間が取れません。時間がいつ取れるのかわかりませんがディフィカルトに帰ることができたら装備を整えたいと思います。


「おーい、新入り! 魔鉱石取ったらちゃんと箱ん中に入れとけよ!」


「うーす!」


「新入りは非力だが、器用なやつだな。道具の扱いもすぐに覚えた。俺が若え頃はよく親方に叱られたもんだが、叱るところが見つからねえや」


「ヘヘッ、ありがとうございやす。俺がすぐ馴染めたのも先輩の丁寧な教えのおかげだ。感謝してますよ!」


「ヘッ! よせやい! 嬉しくなっちまうだろうが!」


「お前ら話し込んでねーで仕事しろい! 給料いらねえのか!?」


「「ヘイ!」」


朝からいい汗流せるっていいな。買ったばかりの鉱夫の服が輝いてるぜ!


冒険者ギルドにこき使われるのが嫌で抜け出した。見つかると依頼を押し付けられそうだから、隠れ蓑のために服を買おうと思ったんだ。ついでに防御力の低さが課題だったから防御力が無駄に高い鉱夫の服買っちゃった。46万ピア……今の俺なら6着は買える!


初期装備の半袖長ズボンから長袖長ズボンのブーツにランクアップだ。


無地でノースリーブの下着の上に白い長袖着てるから下着が透けて見えるのが特徴なんだぜ。んでもって汗拭くようにタオルが首に巻いてある。


長ズボンの方はゆとりのあるズボンだ。ダボダボしてる。突起物に引っかからないように無駄に滑らかなのが特徴よ。


あとは靴だな。特筆すべき点は特にないけど、どこにでもあるような普通のシューズから鉱夫用のブーツに変わった。セット装備らしい。あぁ、ちなみに長ズボンの裾は当然靴の中に収まってるぜ! 作業中に踏んだりするわけにはいかないからな!


鉱夫の服で最も目につくのはどこかと聞かれれば、間違いなく腰と言う。なぜならベルトのような腰巻き……逆か、腰巻きのようなベルトを身につけているからな!


ヘルメット? そんなもん剣と魔法の世界にあると思うか?


あぁちなみに、俺はここでなし崩し的に働くことになってるけど、バイトするつもりじゃなかったんだ。魔鉱石の採掘場ってどのくらい大きいのか見てみたくてさ。近付いたら新入り扱いされちまったのさ。服だけで新入り扱いなんだぜ!


「おい新入りぃ! サボってんじゃねーぞ!」


「サボってねえっす!」


「サボってねえなら手ぇ動かせ!」


「ヘイ親方ぁ!!」


「親方に叱られちまったな?」


「親方よく見てますねぇ!」


「だろ? サボりは厳禁だ。気ぃ付けな!」


「ヘイ先輩!!」


俺は一体何をやらされてるんだ?


魔鉱石自体は山とか地下に埋もれてるんじゃなくて地上にむき出しになってて見つけやすかった。人の何十倍もある巨大な岩みたいなもんだから、開拓村フューチャーからも目視できる。


魔鉱石は岩に魔石の原石が混じっていて、場所によってはつるはし使って掘り進めたり、鉄の杭を片手にトンカチで慎重に原石を取り出したりする。


力強くつるはしで掘り進めて原石傷つけたらどうしようとか考えちゃうからつるはしは苦手意識ある。でも慎重に原石を取り出す作業はうまく取れると気持ちいいから夢中になれる。一見地味な作業だけど、力加減が難しい。原石の価値を決める大事な作業だ。たぶん俺、原石を取り出すまでずっと集中して作業できるから地味な作業が向いているんだろうな。


「おーし! お前ら! 今日はここいらで終わりだ! 引き上げるぞ!」


「「「ヘイ!!」」」


「いやーいい汗かいたぜ」


「新入り、お前はなかなか筋がいい。明日も来いよ」


「ヘヘッ! 嬉しい誘いなんですが、俺にも色々とやりたいことがありますんで」


「そうか……若えな。俺もお前くらいの時は色んなことに挑戦したっけな……」


「何言ってんすか先輩! 先輩もまだまだ若いですよ!」


「そうか? ヘッ! そうだよな! 俺もまだまだよ! 新入りぃ! いいこと言うじゃねーか!」


「「はっはっはっはっは!!」」


気のいい人達と一緒になって汗をかくって素晴らしいな……。また明日来てもいいかもしれない。給料3万ピア貰った。いつモンスターに襲われるかわからない危険性はあるけど、一日の稼ぎなら十分だ。


……俺は一体何をやらされてるんだ?

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