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Freedom Utopia  作者: ごっこ
本編
19/58

金策開始

よっしゃ、まずは教会に祈りを捧げよう。一度祈ればサザンカに死んで戻ることはできなくなる。さようなら中部地方、よろしく東部地方!


時間かかろうがこの周辺なら倒せる。死んでも大丈夫だから怖いものはせいぜいデスペナだ。アイテムや所持金落とす心配があるくらいだから、誤差だな。ゲーム内の1週間無駄になるより全然マシ。


んじゃ冒険者ギルドへ行こう。依頼は……あるな。理想は討伐……考えることは同じだろうなぁ……俺より先行してる人に取られてるなこれ。残ってる依頼の賞金が今の俺には高額なやつばっか。500万以上は当たり前、2300万が最高か。10万とか20万とかなら受けてみる気になるんだけどな。


護衛依頼が結構多いな。サザンカ行き64万。手前の集落もあるな。木材と石材の搬送の護衛29万。職人の護衛往復48万。パーティー用だな。募集期間と定員がある。参加希望者の名前に色ついてるな。ほとんど黄色だけど白もあるな。プレイヤーが白、NPCが黄色。うん忘れてないな。


護衛依頼の中には100万超えるものもある。でもゲーム内で10日とかそれ以上時間取られるって書いてある。しかもパーティー用だから分ければはもっと少ない。スルーだな。


収集依頼はどうかな。あ、だめだこれ。収集というより配達依頼だ。推奨収集場所西部地方とかあるわ。そういや東部地方は他の地方に依存してるってあったな。近場で取れるアイテムはもう他の人に取られてるか、自分達で収集してるってことか。


まずいですよ奥さん! クエストがディフィカルトに先行してた人に取られてますわ! 妥協して何日もかかる護衛するか? 同じ日数だとしても討伐の方が気が楽なんだよな。ソロで挑めるし。


おっ! 新しい依頼か? 受付がー!! 討伐依頼掲示板にー!! 貼り付けたー!?!? 17万! 取るしかない!


「「取った!!」」


「「!?」」


同じことを考えてたねプレイヤー君。名前は? ぽっちゃりマジック。よくわからん名前だけど君痩せてるよね。


互いの力量を推し量る。鉄槍に、初期装備の半袖に下半身が革装備に革装備のブーツ。頭は拾ったのか? 蛮族が身につけるような羽冠。防具一式揃えるために依頼が来るまで張り付いていた。そんなオーラがありますよ。


俺よりも先行してディフィカルトに辿り着いたのか。2週間遅れってのを目の当たりにしているぜ。だが引くわけにはいかん!


ぽっちゃりマジック! どうした!? 手を離したということは俺に譲るということか? 遠慮なく頂くとしようか!


「あっ、どうぞ」


身を引くつもりかぽっちゃりマジック! ありがとう!


「あっ、いえ俺の方が遅かったんで……どうぞ」


ただ建前は必要だからな。さぁ! 譲ってこい!


「あっ、いいんですか? ありがとうございます」


「あっはい。頑張ってください」


ぽっちゃりマジックうううう!! 譲らずに嬉しそうに持っていきやがった!! まさか謀られたのか!? 俺にああ言わせるために先手を取ったというのか!? 依頼を受ける意思が俺の方が強いと気持ちよくさせるための罠か!?


くぅぅ! ぽっちゃりマジックめ。クエスト受けて冒険者ギルドから出るのか。頭下げてきた。反射的に返してしまった! くそぅ……俺はぁ……アイツの掌の上で踊らされちまった……。やるじゃねぇかぽっちゃりマジックッ!! お前の……勝ちだ!!


「はぁ……見つからない」


ディフィカルトに行けばなんとかなると思ったけど、そうでもなかった。選り好みしすぎかなぁ。でもなぁ、護衛依頼はある程度自信ないと受けようって思わないんだよな。モンスターとの戦闘経験が足りなすぎるのも問題だ。やっぱ地道に進めるしかないな。


ディフィカルト周辺を巡ってモンスターと戦おう。ついでに周辺マップを埋める。ダンジョンがあれば積極的に入って攻略。


「それしかないかぁ」


うし! 適当な汎用討伐クエスト受けて出発しよう。10体1万、25体3万、50体6万。50でいいでしょ。大変だろうけど。


手持ちは少ないとはいえ、デスペナで失うわけにはいかないから銀行に預ける。


これでよし。


さぁ! 狩りの時間だ!


再生都市周辺の環境は中部地方より少し悪いといった印象だ。植物は生き生きと生い茂るとはいかず、ちょっと暗い。花々もどこか陰りがあり、日を懸命に浴びるように上を向くのではなく下を向いている。


動物達も、気づかない程度で元気がない。どこか気怠さがある。けれど動物達はその状態が当たり前となり受け入れているそう感じることができる。


魔王との戦いの余波を受けた影響だ。その影響はモンスターにとっては喜ばしいもので、生き生きと活動している。そしてその影響はモンスターをまとめる力もあった。


「――っ。多い! 多いって! 道から外れるだけでこんなにいるのか!?」


短剣の分類か長剣の分類か悩む長さのシャムシールを持ち、小回りの利く軽快なイノシシに乗るゴブリンがツバサを襲っていた。


1匹見つけたからって挑んだのが間違いだったか!? ワラワラ集まってくるし、ウロウロするし何匹いるかわからん! 最低5匹はいる ヤバっ!


「あぶな!」


2匹で左右に入れ替わりながら来るのやめてくれ!


「強引に行くしかないか? っと! 囲まれてるせいで逃げ場がっとぉ!」


騎乗ゴブリンの攻撃を辛うじて避けたツバサは悪状況を打破するために無理矢理走り出す。その行動は騎乗ゴブリンの群れの行動も変化させる。


ツバサが一匹のゴブリンの首をダガーで撫でる。ナイフにはできなかった首切りが驚くほど滑らかに上手くいった。


「うお! イノシシ君単独になっても攻め気が萎えることないのな! グエッ!」


イノシシが崩れ落ちるゴブリンを無視してツバサに突進。反撃の間がないと判断したツバサが跳び箱の要領で躱した直後、動き出そうとしていたツバサの背中にダメージを知らせる痺れが襲う。反射的に振り返ったツバサには投石をしたゴブリンの姿が見えた。


「痛いな! いや痛くないけども! アイツか! イノシシ倒すと投石するのかよ!」


怯み硬直する間に周囲に気を配る。


「あっ詰んだ」


現れた2つの影を見て確認を急ぐが、そこには既にツバサに接近していた騎乗ゴブリンの姿があった。硬直で動けないツバサを騎乗ゴブリン2匹は絶妙な連携でクロスに切り裂いた。

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