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Freedom Utopia  作者: ごっこ
本編
16/58

再生都市ディフィカルト到着

いやー無事、誰も逝くことなくモンスターを倒し終えました! 馬車に集まってホッと一息。剣士さん無傷だったのか? 見張りを自ら買って出るとは、リーダー格なだけあるな。


「はい、腕見せて……深くないね。もう血止まってる。さすがの頑丈さ。包帯巻くから動かないで」


「頼む」


盗賊ちゃんも手慣れてるね。手が早い。スキル欄に手当てがあったなそういえば。習得してるんだろうな。


「この分なら俺いらなかったな。放っておいてもよかったか」


「いいや。結果論だが、君が加勢してくれてよかった。初めに見た時は心配しかなかったけどな。ははっ」


聞こえてたか。剣士さん。気さくな感じの好青年だ。なるほど、慕われるような性格だな。モテるだろうな。


「僕達だけなら対処できたとしても、これほど被害を少なくすることはできなかったでしょう。最悪死人が出てもおかしくありませんでした」


「そうだな。4人だけなら時間をかけて対処できた。でも今回は護衛対象がいた。君が来なければ厳しい戦いになったのは間違いない」


魔法使いくんも剣士さんも持ち上げるの上手いな。気分良くなってきた。えっへん!


「冒険者さん。危なかったところを助けていただいて本当に感謝しています」


「いやそんな――」


「謙遜する必要はありません。これは私からのお礼となります。どうか受け取ってください」


おっとこれは緊急クエストの報酬ってことだな。商人さん俺そういうの遠慮しないから! もっとくれてもいいんだよ?


「そんな! 受け取るわけには……まぁまぁ……せっかくの好意を無下にするわけにはいきませんから……ね? えぇ、へへっ」


「あれ、思ってることと言ってること真逆だよね。顔に出てる」


盗賊ちゃん最後小声で言ったんだろうけど気持ち悪! って聞こえてるからな!? 


ツバサは5万ピアを手に入れた!


多いのか少ないのか基準がわからん! 一回の戦闘でこれは十分なのか? それとも東部地方仕様で少なかったりするのか? ディフィカルトに着いたらわかるかな。


「冒険者さんはディフィカルトへ?」


「うんその予定だ」


「ではもしよければ私共と行きませんか? 護衛の報酬も僅かですが出しますよ」


嬉しい誘いだな。報酬モンスター出るか……うーん……。


「いや魅力的な話だけど遠慮しとく。急いでるし、大して役に立たないからな」


「そうですか……残念です」


ホントに残念そう。さっき命の危険を感じてただろうから当然か。でもまぁ、俺配達クエストを君らより先に届かないと報酬貰えないんでね。一緒の方が安全だろうけど、それだとクエスト達成は難しいと思う。ディフィカルトがどのくらい広いのかわからないけど、間違いなく土地勘なくて迷う。人に聞いても迷う。この人らの強さ的にディフィカルトが拠点だろうしな。


「一つ聞きたいんだけど、ディフィカルトまで後どのくらい?」


「この辺りですと――そうですね、後1日もあれば」


「そっか。ようやく着くんだな……ありがとう」


「1人で大丈夫なのか?」


斧使いさん心配してくれるの? ありがとう。後1日で着くって聞いてモチベ戻ったから大丈夫。


「ここまで1人で来たからな。大丈夫」


「よく来れたわね。あたしは無理。できてもやらない」


盗賊ちゃんに変人認定されたわ。死んでも生き返るってわかってるゲームだからやってるだけだし、そう思われても仕方ない。普通ならやらないもの。


「それじゃそろそろ行くよ」


「はい気をつけて」


じゃあ行きますか。後1日、気合い入れていこう!


「待った!」


盗賊ちゃん出鼻挫くのやめよ。な?


「なんだよ」


「これ、君にあげる」


――っと。ダガー投げられた。よく手入れされてるな。高価ではないな。でもボロボロのナイフより確実に攻撃力高いな。


「いやこれ渡したら戦えなくなるんじゃないのか?」


「大丈夫。予備だから、君の繋ぎにはなるでしょ」


「助かるけどさ」


「ならいいじゃない。この依頼終わったら、新しい武器買うつもりだったし、それ売るつもりだったから。それに、あたし達も助けてもらった。ダガーはその報酬ってことで。安く付いていいしね」


最後のいらなかったよ。安物渡すなよってなるやつだ。


「なら貰う」


「それでよし。じゃね」


みんな声かけてくれてありがとな。俺は一足先にディフィカルトに着いて、君達の配達クエストを失敗させてやろう。うはははは!


日が落ち、月が昇り、月が沈む。そして日が昇る。ようやく……ようやく……建物が見えてきた。


遠目からだと普通のファンタジーの都市って感じがする。防壁があって頑丈で強固な都市のよう。聖都アスチルベは防壁と、なんていうか魔法の結界みたいなものが張ってあったな。外観も内観も、聖都と呼ばれるだけあって神聖な感じがした。白に包まれてるって言えばいいのかな。


たぶん再生都市ディフィカルトは魔法的な防衛施設がないんだろうね。無骨な感じ。外観を気にしてる余裕がないとも取れるな。使えるものならなんでも使ってます! そんな感じ。


交易街サザンカ? 防壁とかなかったね。中部地方の在り方なのかどうかわからない。もしかしたら聖女の加護があるからかもしれない。


んー、近づけば近づくほど、防壁の状態が見えてくる。


「結構傷ついてるな。聖都は新品同様だったのに。予算の違いってやつか?」


あちらこちらに切り傷のようなものから焼けたような跡まで、あれは……凹んでるね。鈍器で殴られたか? うん、観光に来るような場所ではないな。


同じ石造でも素材の違いでこうも印象が変わるのか。面白いね。


「はぁ……やっと着いたどー!」


聖都から再生都市までほぼノンストップで、よく頑張りました! 妙な達成感がある。俺の移動はここまでだ! たぶん。

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