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Freedom Utopia  作者: ごっこ
本編
15/58

行商人一行を救え

この中で一番弱いのだ〜れだ? ハイ! 僕です! 正解! 


さて、そろそろ真面目にやるか。状況把握! 最優先の目的は商人さんと馬車を守ること。少なくとも護衛の4人はそうだ。これが緊急クエストなら俺もそうするべきだと思う。


NPCとやりとりして思ったのは人にしか思えないってことだ。あんなに流暢にやりとりできるフリユピは凄い。移動はクソ仕様だけど。移動を擁護するなら、今が辛いだけで、ある程度フリユピに馴染めれば徒歩の旅と考えれば好む人も出ると思う。ま、俺の場合、聖都からここまで一直線で走ってきただけだからな。そう考えると移動に関しては勝手にアンチになってるだけだな。余裕ができたら旅も堪能できるように心に余裕を持たねば!


とにかく! 俺の最優先目標は全てのNPCの生存、次に馬、次に馬車、最後に俺。フリユピは現実と同じって決めたばかりだろ? ツバサ。


じゃあ全てのNPCを守る優先順位は? 


剣士さん。リーダー格だ。たぶん……いや、間違いなく一番強い。オーク3体、鷹じゃなくてフクロウか? フクロウってことにしよう。フクロウ2匹相手にしてる。数が多いせいで忙しそう。でも対処できてる。一番最後まで耐えてもらおう。


斧使いさん。オーク2体とフクロウ1匹相手にしてる。オークの攻撃を受け止めて、その後に攻撃しようとして邪魔されてる。火力は一番高そうだけど、一番遅いかな。起点を作れば一気に崩せそう。でも今は耐えてもらおう。


盗賊ちゃん。オーク1体とフクロウ一匹。危なっかしく見える。戦闘が苦手なのか? 慣れてる感じはしない。1体なら相手できるけど、複数だと無理って感じか? 優先順位はあの2人より高いのは間違いない。


魔法使いくん。フクロウ2匹相手にしてる。そもそも魔法主体で戦うから、接近を許してる時点で遠距離職の強みがなくなってる。もしかして商人さんにモンスターが行かないようにあえて近づいたのか? 周囲を見て状況打破を狙ってるように見える。この人フリーにできれば余裕出るか?


商人さん。馬がやられないようにしてるのか馬に隠れてるのか……わからん! 4人がうまく惹きつけてるおかげで襲われてない。気に留めておく程度でいいな。少なくとも今は。


俺はどうだ? オークと戦ったことがあって、フクロウはない。今この状況でフクロウの戦い方を見る余裕はない。


すまん魔法使いくん! 今の俺だとかえって邪魔になりそうだから後回し! 耐えてくれよ。状況把握おしまい!


「盗賊! オークからやるぞ!」


「盗賊? ってあたし!? せめてシーフって言って!」


「同じだろ! いいからやるぞ!」


「あぁもう!……わかった! ホントに大丈夫なんでしょうね!?」


「わからん!」


「えぇ……」


フリユピじゃ、ソロ活動しかしてないからパーティープレイのノウハウありません! ジト目で俺見てるくらいなら周り見なさい!


「避けろ!」


「えっ――わぁ!」


オークは目を潰すとキレて棍棒振り回すから危険だ。さっき学んだ。服に棍棒引っ掛けられて、振り回されたからな! 忘れられない体験になった。


「盗賊! フクロウの注意を引きつけてくれ! オークのヘイトは俺が稼ぐ!」


「フクロウ? フクロウって――ホークアウルのこと? フクロウって言ってる人初めて見たわ」


「アウラもフクロウでもどっちでもいいだろ!」


「わかりにくいでしょ! アウルで統一! いい!?」


「わかったよ!」


あ、フクロウの名前表示された。ふっしぎー。でもオークは表示されない。通じたのに……。正式名称はオークだけじゃないのかな。


「ライトショット!」


「えっ――ちょ! なんでわざわざ近づこうとするのよ!」


「これが俺のやり方だ!」


オークの攻撃は棍棒の攻撃が、真上からの振り落とし、袈裟、逆袈裟斬り……斬りじゃなくて叩きか、んで薙ぎ払いの4種。受けてないからわかんないけど投げ1種、んでもって目を潰した時の大暴れ。


袈裟叩き! あいつは右利き、左に避けて、脇腹にドン! 顔が歪んでる。おし、こっち向いた。よく見ると結構切り傷あるな。慣れてないのに頑張ってたんだな。


「へぇ、装備とライトボール見て心配しかなかったけど、結構やるじゃない」


「俺のこと心配してる余裕なんかないだろ。自分の心配だけしろ!」


「あ、ふーん。そういうこと言うんだ? じゃもう知らないから」


「アウル来てるぞ!」


「――っとと」


何が知らないだ! 危なっかしい。見ててヒヤヒヤするんだからな! 困っちゃうよね、せっかく心配して手貸してあげたのにさ!


「ん?」


あれっ、急に盗賊ちゃん動き良くなったな。あれっ、アウルの攻撃避けてついでにオーク攻撃してる。あれっ、アウルに拾った石投げてちゃんと命中させてる。あれっ、オークの片足の腱切った。あれっ、もしかして動き悪かったのって俺の心配してたせい? さっきの全部撤回します。心配かけてすいませんでした。


ステータス的にも装備的にも俺じゃ足の腱切れないだろうな。やっぱ俺この中で一番弱いな。気をつけよう。


オーク明らかに動きが悪くなったな。でも油断はしない。油断してサザンカに戻されたらしばらくやる気なくなるのは目に見えてるからな。さぁこい、俺は目の前だぞ――きた! 振り落とし! チャアンス!


「ライトショット!」


タイミングは覚えてる。魔法のタイミングも絶妙だ。後は避けるだけだ!


「今!」


「ガァ!」


振り落としは力を溜めてからの攻撃だから威力はあると思うけどわかりやすい。そんでもって、俺のジャンプ力じゃ届かない顔に攻撃できるチャンスになる。棍棒に乗って、前屈みなってるオークに向かって視点を合わせればっ――!!


「完璧ぃ!」


仰向けに倒れた! 追撃チャンス! ナイフで首突いておしまいのはずだ!


「まず一体!――げっ!」


見誤ったーー! 結構傷ついてるからいけると思ったのに、俺の最大威力の突きが通らない! やだ! 俺の物理攻撃弱すぎ! やべ、目合った。苦しそう、一応ダメージはあったんだな。倒しきれなかっただけで。俺死んだか?


「ボサッとしてないでどいて!」


「――おっと!」


盗賊ちゃん! 俺がどいたら、アウルに牽制しながら飛び上がって華麗にダガーで首切った! カッコいい! ソロだったらたぶんオークに掴まれて、叩きつけられるなりしてゲームオーバーだったぞ。


「見せて――君、このナイフボロボロじゃない! こんなのでよくトドメ刺そうと思ったわね。無謀すぎ!」


「悪かったな!」


聖女からもらったナイフだぞ! 手入れ全くしてなかったけど! 気づいてなかったけど耐久落ちると刃が欠けたりするのね。


「君はナイフ使わないで、魔法で援護して!」


「了解」


「あたしはもう大丈夫。アウル一匹なら絶対負けないから! 他の援護よろしく!」


頼もしいねまったく! アウルは名前しかわからないし、傍目で盗賊ちゃんの様子見た時の感想だと魔法当てられる気がしない。なら次は斧使いさんの援護だな。剣士さんは大丈夫。まだ余裕ありそう。商人さんも平気だ。


「斧使い! 援護する!」


「おう!」


俺はヘイトを稼ぐだけでいい。それだけに集中しろ。


「ライトショット!」


オーク2体の攻撃同時に受け止めるなんて凄いわ。今の俺には絶対無理。


「お腹がガラ空きだぞっと」


一緒に戦うって楽だわー。さぁこいオーク! よしこっち向いた!


「1体惹きつけるだけで余裕出るはず。時間稼ぎはそこそこできるぞ」


「その必要はない」


「えっ」


斧使いさん! オーク1体の棍棒押し返して退け反らせるとはやりますね! ついでに押し返した時の振り上げた状態利用して、俺が惹きつけたオークに斧振り下ろすとは……。しかも一発撃破。俺オーク倒すのにゼロ距離ライトショット8発と目潰し分、必要なんだけど。初期装備とはいえ悲しくなるね。


んでもあなたアウルから攻撃受けてますよ。アウルの翼って鋭いのか。腕切れてる。首に当たったら間違いなくやばい。


「怪我が……」


「問題ない」


「あ、そっすか。今と同じやり方でオークやるぞ」


「おう、攻撃は俺が引き受けよう」


「わざわざ受ける必要あるのか?」


「その方が俺の斧を確実に当てられるからな。来るぞ」


「無茶すんなよ」


「かっかっか! 面白い冗談を言う。自分に言ってるのか?」


「…………」


何も言い返せないわ。変な顔になった。集中集中! すまん斧使いさん、アウルの攻撃どの程度受けるかわかんないから盾にさせてもらう。HP高そうだし大丈夫だよな。


「ぬん!」


受け止めた! 今だ!


「ライトショット!」


こんなにライトショットにお世話になるとは思わなかった。ディフィカルトに着くまでよろしく頼むぞ! おし、オークこっち向いた。


「斧使い!」


「おう!」


ん? アウルが動き出したな。コイツ俺達が攻撃するタイミングを狙ってるのか? ありえるな。斧使いを守るなら牽制でアロー使った方がいいんだけど、斧使い盾にしちゃったからな。しかも威力心許ないし――


「ファイヤーアロー!」


「ピギィ!?」


「お待たせ!」


魔法使いくんの牽制に、盗賊ちゃんの追撃。流れるようないい連携だ。魔法でアウルの飛行ルート制限……今の俺にはできないな。ルート制限されていても、盗賊ちゃんみたいに攻撃ヒットさせるのは今の俺には無理。できるようになるかどうかは俺次第だな。


状況は完全に俺たち優位で進んでる。というより後は消耗戦だな。盗賊ちゃんが魔法使いくんの援護に行って魔法使いくんフリーにできたのはデカい。俺が斧使いさんに援護優先したのも正解だった。魔法使いくんの援護行ってたらまだ戦ってたかもしれない。


後は剣士さんだけだ。さてどうするかな。


「ファイヤーボム!」


それがあった! まだ一度も試せてないんだよな。


「ライトボム!」


「僕と彼の魔法が行きます! 巻き込まれないように注意してください!」


「よし、わかった! 頼んだぞ」


剣士さん余裕あるなー。ヘイト管理慣れてるというか。頼もしいね。


「2人とも突撃準備お願いしますよ!」


「いつでもいける。オークをやる」


「任されたよ! アウルはあたしがやる」


この感じ好きなんだ俺。漫画やアニメ見てる感じ、最近のVRアニメと同じ迫力があるな。自分の好きな角度で見れるアニメと違うのは、俺自身が輪の中にいることだ。一緒に物語作ってる感じたまらん! よくできてるゲームもイベント戦闘くらいしかできなかったこと、フリユピは通常戦闘に近いこの状況でできてる。あ、今俺興奮してる。ゲーム楽しめてるなー!


あ、でもやっぱボム遅いな。剣士さんに余裕なければできないなこの魔法。剣士さんが離れた。モンスター達は魔法より剣士さん見てる。これなら当たる。


たーまやー!


アウルが1匹倒れたな。次は遅れて唱えた俺のボムだ! ちゃんと当たった! ダメージ通ってるよな? 通ってるよな? 魔法使いくんの後だから、全然わっかんないわ!


あっ、こんなこと考えて時じゃないな。


「ふぅ、終わりましたね」


「いやまだ残ってる」


「もう大丈夫ですよ。君が来てくれたおかげでどうにかできました。ありがとうございます」


「いやまだ……あ、うん。どういたしまして」


突撃した斧使いさんがオークを1体、盗賊ちゃんがアウルを1匹。残りのオーク2体は、離れたところから力を溜めてたらしい剣士さんが詰め寄ってスパッといったね。手慣れてるぅ!


「面倒をかけさせてくれる……ふぅ……」


「終わったな」


「やーおつかれ〜! 手当てするから馬車まで行くよ」


あの程度の数なら問題なく対処できたんだな。護衛をしてるだけはあるってことか。商人さんもホッとしてる。解! 決!

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