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Freedom Utopia  作者: ごっこ
本編
13/58

初クエスト受注

鼻が曲がりながらもおはようございます! クソの臭いから家畜の臭いまで入り混じった馬小屋からお送りしております! いや〜今日はいい天気ですね! 雲一つない青空――雲見えましたね! 再びログインするまでなんとか生き延びることができました! これも馬小屋さんと防衛を任された冒険者さんのおかげです! 今日の予定はですね〜体が非常に空腹を訴えてますから、集落から出て食料を現地調達する予定です! その後は再生都市ディフィカルトへ出発します! 以上! フリージア大陸東部地方西地区中継地点馬小屋内からお送りしました! バイバイ!


くっせ! くっさ! 死ぬ。臭いで死ぬ! 現実で馬小屋生活やる人なんていない……いるか? 可能性としてはゼロではないな……まぁいいや。貴重な経験ができるのもゲームの醍醐味さ。俺……再生都市ディフィカルトに辿り着いたら……馬小屋生活から脱出するんだ……


「あれ? なんかボロっちくなってんな」


昨日落ちる前のスクショなんて撮ってないから比べようがないけど、明らかにボロボロだよな? ちょっと聞いてみようか。宿屋もなんか壁傷ついてない?


「ん? お前さん生きてたのか」


「顔見た第一声がそれってどういうことだよ。集落がボロボロになってる気がするんだけど――」


「気がするじゃなくて、ボロボロになったんだよ」


「えっ」


「昨日の夜中に珍しく2回襲撃があってな。雇ってた冒険者がいなかったら、間違いなくここは終わってたな。このまま何もしないと次は耐えられん。冒険者を追加で頼まないとダメだな」


マジか俺落ちてた時にそんなことあったの……ふーん。ただのイベントか? 直接クエストを受けられるって類なのか?


「被害ってどんなもん?」


「……そうだな。集落に住んでる仲間は襲撃があった場合、宿屋に集まることになってる。だから死者はいない。冒険者には最優先で宿屋、次点で馬小屋を守ってもらっている。馬小屋の被害は甚大だったが使えなくなったわけじゃない。いくつか破壊された場所もあるから馬車の受け入れを減らすがな」


「そ、そう。死者はいなかったんだ……よかったな」


「いや? 結構出たぞ。10くらいはいたはずだ」


「はっ?」


「全員天上族だ。やられたらどっかに消えちまったからな。この東部地方で生きてる奴は、特にこういう中継場で生きてる奴は、絶対にその辺の道端で寝るなんてことはしない。どつかれて起きたらモンスターだったとか、起きたら天国だったなんて嫌だろ? しかし不思議なもんだな。いくら攻撃されても起きないんだぞ。生き返るってわかってるからか? 自分の体噛みちぎられたり、穴空いてても気付かないんだからな、はっはっは!」


「……oh……」


HAHAHA! ブラックジョーク! って笑い事じゃないだろ!? 死生観どうなってんのさ!?


「被害に遭った奴らは全員俺が営む宿に来て、高すぎるから安くしろって騒いだり、馬小屋に抵抗あった奴らだったからな。ケチると碌なことがないと奴らは命を張って教えてくれた。お前さんよかったな。助かって」


「はは……は……」


俺、起きたらサザンカにいたってなってたかもしれないのか。2日かけてここまできてインしたらリスポン地点だったら萎えるだろうなぁ。ご愁傷様。俺もケチるのはやめよ。


「あぁ、ちなみに、宿は値上げすることになった。襲撃があって被害も大きいからな。悪いが許してくれよ」


「一泊いくら?」


「2000ピアだ」


「上がりすぎでは?」


「建物の修繕費用や追加の冒険者を雇わないと維持が難しいと判断した。これも生きていくためだわかってくれ」


「そっか。関係ないけど何泊も部屋を予約した人はどうするんだ?」


「この襲撃がある前の話だからな。追加で取ることはないが、延長する場合は別だ」


「なるほど。わかったありがとう」


「あぁ」


ゲームの仕様は完璧に把握できてないけど、聞いた限りじゃ状況に応じて相場が変動することがわかった。最悪の状況になってもここが潰れることは……ないよな……よな?


「あ、そうそう。俺再生都市ディフィカルトに行こうと思うんだけどさ。頼み事とかあるか?」


「そういえばお前さん冒険者だったな」


初期装備で悪かったな!


「ならこれを頼もう。もう既に出発した行商人にも渡してあるが、万が一もあり得るからな」


「この手紙は?」


「再生都市の市長宛の手紙だ。ここの現状を知らせる趣旨が記されている。辿り着くことができたら届けてほしい」


「報酬はどうなるんだ?」


「冒険者らしいところがあるんだな。この依頼は市長に届けた時点で達成とする。報酬は市長からもらえる依頼達成の証を冒険者ギルドに届けることで貰えるぞ。ただし、報酬は無制限に出されるわけじゃない。その手紙を最初に出した者が受け取れる。わからないところはあるか?」


放っておいても達成されるかもしれないクエストか。ついでに受けられるから失敗しても痛くないか。


「あ〜ん〜……そうだ! 行商人に同じ手紙渡したんだろ? いつ出発した?」


「襲撃があった後の朝だ。出発してから1日経ってるぞ。どうする? やるだけやってみるか? 行商人が襲われて届かないなんてなったら最悪だ。こちらとしては受けてが多い方が安心できる分ありがたい」


「あぁ、受ける。ディフィカルトに行くついでだから」


「なら頼む」


「任せてくれ」


よし、初クエストスタートだ。失敗しても困らないから安心だ。1日分の遅れか。行商人の移動速度がどんなもんかわからないからな……。あぁでも、行商人が寝ずに移動し続けるなんてないよな。


現実の1日でフリユピは3日経過するわけで……つまり天上族の俺はやろうと思えば三日間走り続けられるわけだから追いつける確率も高いか?


いやでも俺今日は昨日まで走り続けて疲れたからってにゃん吉と戯れたり、母さんと買い物行ったり、夏休みの宿題進めたりで普通に過ごしたから……フリユピは2日くらい経ってるんだよな。


天上族の生活スタイルってそう考えると無茶苦茶だな。フリユピの住人からすれば驚きの連続か。中身ないから攻撃されても気付かないし、笑われるのも不思議じゃないな。HAHAHA!


あ、報酬内容聞くの忘れてた。ついでに受けただけだしいっか。

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