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ネムルーの話

じだらく魔女のラクーには、三人の娘がいます。

のんびり屋の長女、ノンビリー

本を読むのが早い次女、ヨムリン

寝ることが好きな三女、ネムルー


この三人は、下の次女と三女が双子で、長女のノンビリーとは一歳半しか違いません。

つまりごちゃごちゃとまとまって大きくなったのです。

三人とも県外の大学に行ったので、それぞれに「伝わらなかった方言」エピソードを持っています。


三女のネムルーとその夫であるムコーは、ラクーたちと同居しています。

そこで、今日はネムルーから聞いた「方言エピソード」をお伝えします。


「方言の話で、最初に思いつくのは?」

というラクーの質問に、最初にネムルーが答えたのは意外な言葉でした。



★ 「うがす」


ネムルーが関東にある家電製作会社の研究室に勤めていた時の話です。


「このシール、うがしときましょうか?」(シールを()いで取る)


ネムルーは『うがす』は標準語だと思っていたので、まさか通じないとは思わなかったそうです。


「うがすぅ?? 何をするって?」



ラクーもこの話を最初に聞いた時には驚きました。「うがす」なんて標準語に決まってると思っていたからです。

平べったいものでひどく張り付いている物を取る時には、剥がすじゃなくてうがすでしょう!

「剥がす」はもっと簡単にはがれる時に使う感じがします。


ところが……


ムコーの使う「はがす」は、もっと変わっていたのです。



★ 山陰地方の「はがす」


「ねぇ、ネムルー。このリンゴはいで!」

「???」


なんと、リンゴの皮をむく時に「はがす」を使うのでした。(;゜Д゜)


ところ変われば、表現方法も変わるのですねぇ。



★ 「ひこずる」


同じくネムルーが関東の会社に勤めていた時の話です。


「掃除機をひこずっとるがぁ」


こんなの動作が伴っているので、方言でもわかりやすい方ですよね。

ズルズルとひこずられていく掃除機の姿がよくわかります。

でも、あちらの方々には「ひこずる」がわからなかったそうです。(;゜Д゜)


「『引きずる』でしょう」

「え? 引きずるは人なんかをズルズルと引きずっている感じがする。無生物はひこずるじゃないの?」


このネムルーの感覚は、言われてみて初めて分かる岡山弁ネイティブの感覚なのかもしれません。

確かにそんな風に使い分けているような気がします。



ちなみにネムルーは話す度に「あ、また『が』が付いてる」と言われていたそうです。ネムルーは若いのでラクーほど方言まみれの言葉づかいをしません。

しかし、前回の文末のページでも述べましたが、「じゃ」や「が」が文末にくるのは、岡山弁の特徴です。


若い人は「じゃ」を単体でなく、「じゃなぁ」「じゃけどね」「そうなんじゃ」というようにまったりと使用することが多いと思います。でも、使うのよね~

「が」に至っては、老いも若きもバンバン使います。



文末だけでもわからなくなるのに、単語も全部方言だったらどうなるのでしょう。


ネムルーが友達と休日を過ごしていた時に、レストランで近くに座っていたおばさんたちの話している言葉が、全くわからなかったそうです。


「あの人達、中国人なんかなぁ。何を話してるのか、さっぱりわからんわ」


そう言ったネムルーに、隣に座っていた友達はひどく驚いたそうです。


「あれは岩手弁よ。……ちなみに私は全部わかる」


友達は岩手出身の子だったそうです。

ネムルーはごめんごめんとあやまって、もう一度おばさんたちの話を注意深く聞いてみたけれど、やはりさっぱり理解できなかったのだとか。


友達には「中国地方の言葉も九州地方の言葉も、同じように聞こえる」と言われたそうなので、日本の北と南の間には、大きな言葉の壁があるのかもしれません。


ちなみに、中国地方と九州地方では、アクセントも言葉も全然違いますよ!!

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