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じゃ

文の末尾に「じゃ」をつけるのは、岡山弁の定番といわれています。


しかし外部の人が「じゃ」をつけて喋ると、途端に胡散臭い岡山弁に聞こえてきます。

さりげない「じゃ」が使えるようになった時、あなたは階段を一段のぼったことがわかるでしょう。



某国営放送局が連続テレビ小説で岡山県の話を扱った時があります。

名だたる俳優や女優さんたちが、岡山弁を話そうと苦労している様子が(うかが)えました。方言指導の方が付いているとはいえ、全国の人たちに話の内容が理解できなくてはいけません。

そのため中途半端な岡山弁になり、ネイティブの岡山県人が聞くとこそばゆくて、聞いてて恥ずかしくなるような気持ちになりました。


それだけ語尾の使い方は難しいのです。



「おえりゃあへん」(とてつもなくダメだ)を使う時は、「じゃ」をつけてはいけません。

「おえりゃあへんがぁ」と「が」をつけます。

素人だと「おえりゃあへんじゃん」と気障っぽく「じゃん」をつけたくなるかもしれません。これは「じゃ」に(とら)われていますね。


「でぇれーはじいなぁ」(とても恥ずかしいなぁ)だと、「なぁ」ですよね。

「そうじゃけんのぉ」(そうだからね)などは、「じゃけん」という変化形が使われています。


こんなふうに意外と「じゃ」を使わない語尾も多いのです。

なんでもかんでも文末に「じゃ」をつけてはいけません。



しかしこういう時には「じゃ」をつけてもいいのです。


ラクーの初孫のハシルンは、今年、小学校の一年生になりました。

ハシルンは赤ちゃんの時、言葉を話しだすのが遅い子でした。いくらまわりの大人たちが話させようと水を向けても、我関せずでずっと黙り込んでいました。親戚中で「話さんなぁ」(話さないなぁ)「ばあばんぐらいしか理解してねんじゃねぇん?」(理解してないんじゃないの?)「舌がおかしんかなぁ」(舌に障害があるのかな?)と心配していました。


そんなハシルンが一歳八か月になった時のことです。

ばあばのうちで水遊びをしていた時、ビニールプールに描いてあった魚のデザインを見て、初めて言葉を発しました。


「さかなじゃ」


写真を撮っていたラクーと一緒に遊んでやっていたネムルーは、その小さな可愛い声を聞いて固まりました。


「しゃべった?!」

「岡山弁じゃ!」


この衝撃は、生涯忘れることができません。


「さかなだ」ではなく「さかなじゃ」と言い始めるのは、真正(しんせい)岡山県人の証でしょう。


それからハシルンは、今までずっと黙っていたのが嘘のように、ぽつりぽつりと話し始めました。

今では何でも話すことができますし、初めての通知表は〇ばかりありました。オタク気質もあるので、ゴジ〇の放映年数まで覚えています。


そんなハシルンですが、父親のセンセーが言うには「ばあばのうちから帰って来たら、ハシルンの岡山弁が(ひど)くなっとる」らしいです。(笑)


やはりネイティブの孫は、ネイティブに育つんですね。^^

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