95話 ワイバーンとは
加筆修正済み。
凄まじい戦闘だった。いや、闘争か虐殺か……。
あえて言葉にするなら、おぞましいナニカだった。
あの制御できない昏い感情はなんなのか。調べてみる必要がありそうだ。今回は小型ワイバーンの群れだったから、死ななかったものの、あれが成体であれば、すぐに焼き払われていただろう。
とにかく、戦闘は終わったのだし、次にワイバーンと遭遇するまでに、制御方法を見つけないと危険だ。
あれだけの数、ワイバーンを狩ったんだから、何かしらステータスに反映されてるはず……。
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名前:モノリ 性別:不明
種族:ラークスフォッグ(霧の湖)
Lv49/70
HP421/693
MP16/593
状態:怒(小)・魔力残量低下
常時発動:《共通言語理解》《隠形Lv.7》《触手Lv.10》《触手棘》《上位感知Lv.6》
任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.10》《植物成長速度Lv.10》《植物鑑定》《水汲みLv.10》《血液吸収》《猛毒Lv.4》《噴霧Lv.6》《情報開示Lv.7》《指し示す光》
獲得耐性:《恐怖耐性Lv.10》《斬撃耐性Lv.9》《打撃耐性Lv.9》《刺突耐性Lv.10》《火耐性Lv.3》《風耐性Lv.5》《水耐性Lv.10》《土耐性Lv.8》《雷耐性Lv.5》《氷耐性Lv.10》《邪法耐性Lv.8》《不快耐性Lv.3》
魔法:《土魔法Lv.6》《水魔法Lv.7》《氷魔法Lv.5》《魔導の心得Lv.5》《魔力の奔流Lv.6》
称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘 馬車馬 耐性植物 読書家 急成長 近親種殺し 魔法使い 看破せしもの 上位種殺し(氷) 奪われしもの 凶性植物 狼の天敵 上位モンスター 魔王の誓約 エルフの盟友 殺戮者 看破の達人 導かれしもの 光を集めるもの 斧の精霊(?) 罠師 害鳥駆除 鳥類の天敵 虐殺者 怨敵を討つ者 復讐者 亜龍の天敵
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おぉ……これは……。
確かにすごい数のワイバーンだったが、もしかしたら《血液吸収》が想像以上に大事なスキルだった可能性が有る。あのワイバーン共を全部吸ったからな。
と、いう考えもできなくはないが、明らかに他種類のモンスターを倒した時より経験値が多い。これは間違いない。
作為的というか、人為的というか……とにかく他者の介入を感じる。
ワイバーンという種族に対しての敵愾心の大きさが、おかしい。
氷王の時に限っていえば、俺はワイバーンに助けられたと言っても過言では無い。それにも関わらず、戦闘時のワイバーンへの感情は、ぶっ壊れていた。
圧倒的に理不尽だ。理不尽を感じる怒りだった。なんなら、戦闘を終えたのにステータスにも反映されるほどの強い怒り。
前も考えたが、俺個人はワイバーンに恩はあれど、敵対する理由は無い。
俺が戦闘中に心の中で叫びはなった言葉を、思い返してみよう。
「憎い」と「許せない」か……。
それと、自分の方が絶対的上位種族であるという傲慢。
訳を特定するには、情報が足りなさ過ぎるか?
なんか常に情報不足だな。や、まあ、単純に俺に情報収集する術が、殆ど無いから仕方ないんだけど。俺が情報収集をしようものなら、人に話しかける前に討伐されるまである。
ワイバーンへの激情はともかく、何故モンスターは人間を襲うのか?という命題に通ずるものがある気がするな。何故ワイバーンに怒りを抱くのか?
(……あなたは世界の真理に気付いているのか?)
不意に、あの時問いかけられた声を思い出す。
そんなことを言われたな。確か……ハイエルフだ。
『あなたは世界の真実を知るものですか』『始まりに選ばれた仔』『毒の卑しい』
龍の巫女の言葉を思い出す。
……いや、まさかな。本当にこっち側なのか?
そんなことが有り得るのだろうか。
万が一有り得るとすれば、俺の疑問のいくつかに説明がつく。
毒の卑しいは、俺が毒持ちという事でなく、ワイバーンの事だとしたら、失敗したのか……?あの魔王が?
荒唐無稽だ。
誰かに話せば鼻で笑われるだろう。ある者はきっと怒り狂うだろう。もしかしたら、ワイバーンと人間達は同じなのかもしれない。
だがそれなら、ワイバーンへの怒りも、魔王がCランクの成長限界の壁を超えたモンスターに強い関心を持つのも頷ける。
魔王の問いかけは、称号にある魔王の誓約は、存在の極致に至る切符なのだろう。だから、命令でなく、誓約なのだ。魔王が誓うのでは無い。魔王に誓わせるのだ。
俺がこのまま進化を続けていけば、俺がだと語弊があるか。俺の考えが正しければ全てのモンスターは、植物系モンスターだろうが、ゴブリンだろうが、オークだろうが、最後まで進化を成し遂げると、全てある種族に変異する。いや、元々、モンスター達はひとつの種族だったのだ。
だから、モンスターは必ず卵から産まれてくる。
昔、聞いた事がある。ワイバーンは胎生だ。つまり、ワイバーンは、そもそもモンスターでは無いのだ。
俺はこの疑問を解消する為に、必ずもう一度エルフの里に行き、ハイエルフの秘密を暴かなければならない。俺の想定が本当に当たっていれば、今回のこの考察は、全て現実のものとなるだろう。
先程も言った通り、この考えは荒唐無稽。
限りなく低い可能性だ。ハイエルフの秘密が俺の思ったものでない場合、状況は振り出しに戻る。
ハイエルフに出会った時のあの感覚。あれが、あの原因が俺が弱いからじゃ無いとしたら……エルフの里が陥落しなかったのは偶然じゃない。
……そうだ!絵本の内容。色んなものを思い出し、俺の中で繋がる。
あの内容は多分本物だ。
ーー『天龍』は強き者達を創り『地龍』は弱き者達を創り出した。ーー
強き者がモンスター。
弱き者が人間や獣人やエルフ達。
そして、ワイバーンは弱き者達の守護者。
ワイバーンが弱き者達の守護者なら、あのタイミングでワイバーンが氷王に襲いかかった理由に納得がいく。
「ーーモノリ?」
っは!
「どうしたのモノリ?」
ワイバーン シンワ シル タイ
「ワイバーン……と神話?それが知りたいのね!ねぇ、皆。これについて何か知ってることはある?」
「ん〜私は知らないわね!ワイバーンは、燃えるから倒せるわ?」
アリア……お前って奴は……。
「私は、子ども向けの英雄譚などを、小さな頃に寝物語で聞きかじっただけで、あまり詳しいことは……」
ルンフォードは、なんというか一番お嬢様っぽいな。
「ん〜ワイバーンか。神話、も……あ!そういえば、子どもの頃からずっと気になってた部分が有るんだ。子ども向けの絵本では、大分省略されているけど、二龍が争った後の世界を神が治めてるんだけど、何処から来たのかなって……」
流石だアレク。
そうだ。俺も言われて見れば、確かにそれが気になっていた。世界を我がものと主張する天地二龍が、漁夫の利をかっさらっていった"神"なんてふざけた存在を、果たして許すだろうか?
俺がどちらかの龍なら、傷付き倒れようと、僅かにでも力が残ってるならば、神を全力で滅ぼすはずだ。俺なら、何千年も片割れと争ったモノを、おいそれと手放したりはしないだろうから。
シンワ モットシル
「あら、神話に興味を持ったのね!機会があれば調べて見ましょうか」
「そうですわね」
「お爺様のところに寄れば、ちょっと難しい本も取り扱ってるかしら?」
「う〜ん。お爺様よりも、王宮にある図書とかを閲覧出来ればいいんだけど」
「昔の記録なら、エルフの里とかに有るんじゃないの?」
「いや、入れないでしょ……何処にあるかも分からないし」
「それもそうですわね」
話の流れ的に、皆に情報収集を頼めたようだ。多少でも、裏付けになる話が集まればいいんだけど……。
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名前:モノリ 性別:不明
種族:ラークスフォッグ(霧の湖)
Lv49/70
HP421/693
MP16/593
状態:怒(小)・魔力残量低下
常時発動:《共通言語理解》《隠形Lv.7》《触手Lv.10》《触手棘》《上位感知Lv.6》
任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.10》《植物成長速度Lv.10》《植物鑑定》《水汲みLv.10》《血液吸収》《猛毒Lv.4》《噴霧Lv.6》《情報開示Lv.7》《指し示す光》
獲得耐性:《恐怖耐性Lv.10》《斬撃耐性Lv.9》《打撃耐性Lv.9》《刺突耐性Lv.10》《火耐性Lv.3》《風耐性Lv.5》《水耐性Lv.10》《土耐性Lv.8》《雷耐性Lv.5》《氷耐性Lv.10》《邪法耐性Lv.8》《不快耐性Lv.3》
魔法:《土魔法Lv.6》《水魔法Lv.7》《氷魔法Lv.5》《魔導の心得Lv.5》《魔力の奔流Lv.6》
称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘 馬車馬 耐性植物 読書家 急成長 近親種殺し 魔法使い 看破せしもの 上位種殺し(氷) 奪われしもの 凶性植物 狼の天敵 上位モンスター 魔王の誓約 エルフの盟友 殺戮者 看破の達人 導かれしもの 光を集めるもの 斧の精霊(?) 罠師 害鳥駆除 鳥類の天敵 虐殺者 怨敵を討つ者 復讐者 亜龍の天敵
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