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52話 会議は踊る、されど進まず。

作者の体調不良により、今回は短め。

 捕らえられていた西のエルフを救出し、早三日。俺達はまだ、蒼の森から動いてすらいなかった。


 ウィーン会議状態で、意見は平行線。


 色んな案が出ては、否定意見に潰され、不確定要素の責任の所在を論じては、上滑りしていた。


 助けた中に、西のエルフの有力者の息子(助けた時に代表で話をしてた奴)が居たのが不味かった。


 このままでは徒に時間だけが過ぎ、各地の森に逃げ込んだエルフは強力なモンスターに各個撃破され、人に攫われたエルフは別の街に売られ、所在を掴むのが更に困難になるだろう。


「だからこそ、先にあちらを優先で助けるべきなのだ!」

「それでは少ない人数で森に逃げた仲間を、全て見捨てろと?」

「そうは申していない!」

「実質そうだと申しているのです!」


 こんな事をずっとやっている。


 二日目の昼。

 囚われのエルフ達の、体力や精神がある程度回復するまでは、平和だった。

 折角救出したエルフ達を、強行で失うのを三姉妹が嫌った為だ。


 アルテミス達は、戦士としては優秀だが、指揮官クラスでは無いみたいだな。


 会議の内容を聞く限り、三姉妹の決定権は驚く程少ない。

 これは、エルフの軍部の階級制度が異常にしっかりしており、細かく決められているからだろう。


 森を守る為と、長寿でひいひいひいひい爺さんぐらいまで、現役で活躍しているせいでもある。


 つまり、なんというか、長寿種族の保守的な要素の悪い部分が、煮詰まっている。


 話を聞く限り、森の守護者たるエルフ達は、元々排他的で保守的な種族のようだ。


 助けてもらった事に礼はいうが、モンスターの力を借りるなど、誇り高きエルフの所業では無いと、強く責められていた。


 会議が紛糾している原因は、もう一つある。


 中央のエルフは発言権が、他所のエルフに比べて強い。しかし、西の有力者の息子は、アルテミス達の階級と出身を含めても、同等か少し上の権力者であるということだ。

 助けてもらった手前、極端に強く出れないようで、それも会議混迷に拍車をかけていた。


 端的に言って、最悪だ。


 同じだけの力と発言権を持ったトップの意見が対立していることにより、どちらも強く出れない、しかしどちらも譲れない。責任の所在が二分し動けないのだ。


 どちらかの権力が、もう少しでも上(または、下)なら、責任の所在が明確化していたというのに。


 現状では多数決という手段も取れない。エルフの階級がはっきりしてるのもあるが、西の有力者に、西の住民達が票を入れないなんて事は、現実的に不可能だからだ。


 助かったら助かったで、その後の生活が有るのだから、権力者の心象を、わざわざ悪くしたい奴は居ない。当然も、当然だ。




 西のエルフの主張はこうだ。


「既に、何人かが売られた。しかし街の名前は判明している。先に居所の分かっている同胞を助けるべきだ」


 そして、アルテミス達三姉妹の主張はこう。


「森に散り散りに逃げた同胞を探し、早く合流するべきだ。森に逃げた子供達も多く、捜索は急を要する。更にいえば、逃げ込んだ森のモンスターは強く、長く潜むのは難しい」


 と、いうことらしい。


 近くの森(ここから三日ぐらい)とはいえ、闇雲に探すか、居所の分かっているエルフを救出するか。


 これだけを聞けば、居所の分かっているエルフ救出するのが、手っ取り早い気もする。しかし、その街はここから三週間かかる。


 強いモンスターの跋扈する森で、子供のエルフが往復で六週間も生きれるとは思えない、故に早く保護するべきだというアルテミス達の意見も、もっともだと言えるだろう。


 それに、金持ちに売られたエルフを助けるには、エルフという、超高級奴隷を買えるだけの金持ちに雇われた傭兵や警備兵の目を掻い潜ら無ければならない。

 現状の戦力では、心許ない。心許ないというよりは、不可能だ。その辺の盗賊達とは訳が違う。


 今回の救出劇は運搬中の強い護衛もおらず、魔法の手枷によりエルフからの反撃もない、考えれば殆ど安全な状況での一時的な警備だったから、たまたま助けられただけだ。


 売られてるエルフの値段を考えれば、最悪グララウス級とグララウスの上級団員級を、複数同時に相手にする羽目になる。


 それは無理だ。現実的じゃない。全員殺されて終わりだ。


 化物(モンスター)がいうのも変な話だが、あんな化物(グララウス)と戦うのは、正気の沙汰じゃない。御免蒙る。


 森に散らばったエルフ達を集めつつ戦力を補強し、街に攻め入れるだけの人数が集まるまで、救出は待つべきだというのが、俺の結論だ。


 奴隷にされたエルフは、確かに酷いことをされるだろう。しかし、エルフの目玉の飛び出るような値段を考えれば、すぐに殺されたりはしないはずだ。


 飽きたらエルフを買い替えられるような金持ちでもない限り、絶対に粗雑には扱われないと、確信の持てる値段だ。


 なにか大事な事を忘れてる気がするが、どのみち現状では、既に買われたエルフの救出は不可能。森の中を地道に探していくべきだ。それしか方法はない。


 救出から四日目の昼。


 会議は空転し続け、決闘にて、採択。


 いやいや、蛮族かな?話し合いで解決しようよ……。


 まあ、これ以上の時間の浪費は、最も唾棄すべきだという結論に至れたのは幸いだな。


 体力の戻り始めたばかりの西と、中央軍の精鋭アルテミスでは、勝敗は明白。

 語るまでもない一方的な試合展開は、不憫な程だった。


 近くの森での捜索が決まり、動き出すことになると、また別の問題が発生していた。


 いい加減にしてくれ。


 もう、小難しい話を聞くのはウンザリだ!

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 名前:モノリ 性別:不明


 種族:ラークスフォッグ(霧の湖)


 Lv1/70

 HP513/513

 MP471/471


 状態:普通


 常時発動:《共通言語理解》《隠形Lv.4》《触手Lv.10》《触手棘》《熱感知Lv.10》《魔力感知Lv.9》


 任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.7》《植物成長速度Lv.7》《植物鑑定》《水汲みLv.8》《血液吸収》《猛毒Lv.1》《噴霧Lv.3》《情報開示Lv.3》


 獲得耐性:《恐怖耐性Lv.10》《斬撃耐性Lv.6》《打撃耐性Lv.5》《刺突耐性Lv.6》《火耐性Lv.2》《風耐性Lv.2》《水耐性Lv.7》《土耐性Lv.5》《雷耐性Lv.2》《氷耐性Lv.8》《邪法耐性Lv.6》


 魔法:《土魔法Lv.2》《水魔法Lv.3》《氷魔法Lv.4》《魔導の心得Lv.2》《魔力の奔流Lv.3》


 称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘 馬車馬 耐性植物 読書家 急成長 近親種殺し 魔法使い 看破せしもの 上位種殺し(氷) 奪われしもの 凶性植物 狼の天敵 上位モンスター 魔王の誓約


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