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43話 アイスゴーレム連戦

 アイスゴーレム相手なので、熱感知は捨て、魔力感知だけに集中する。


 魔力感知だけに集中すると、更にアイスゴーレムと同じ形状の魔力が二つ迫ってくる。


 タイミング悪いというかなんというか……ツイてない。


 フェンリルの上位種なんて、尋常じゃない化物が存在する雪山じゃなきゃ、二日も探してたモンスターが一度に三体も出てきたんだから、喜ぶべきなんだろうけどね。


 良かった。感知のギリギリに引っかかった二体と目の前の奴以外は、感知内に()()いない。


 ああ。


 良かった。


 今度は逃げ切るまで見届けられた。


 さ〜て、何草だったかな。とっとと採取して下山しますか!


 この雪山、グラの山脈の王の機嫌が良ければ逃がしてくれるかもな……。

 いや、どう考えても機嫌悪いよねぇ……。


 《敵性魔力確認。排除行動に移ります》


 きえぇぇぇ!喋ったぁぁぁ!!!


 って、ゴーレムなんだから、誰かがプログラムしたんだろうけどさ。何故雪山なんかに氷でゴーレム創ったんだよ。頭おかしいんじゃないの?


 まあ、別世界で人間だった奴をわざわざモンスターに生まれ変わらせる神が居るぐらいだから?プログラムされたゴーレムを自然発生させる神が居てもおかしくないけどな!俺、葉っぱなのに卵から産まれたし?


 前世は極悪人だったに違いないな。

 王と呼ばれる魔物に二回も遭遇するとか、どんだけ神に嫌われてるんだよ。モンスターに転生させられたし。待てよ?もしかしたら、善人だったから、地獄に送られず転生した可能性も……。


 《構築、レベル二、氷魔法、アイスシュート、方向指定、射出》


 アイスゴーレムの周囲に小さな氷塊が十個程浮かび、俺目掛けて飛んでくる。


 前に戦った、イジャールの狂信者程の速度は無い。ただ、長ったらしい詠唱が無いので、使い勝手はこっちのが良さそうだ。


 それに、使う魔法を教えてくれて、発射タイミングまで分かる親切設計!


 ゴーレムって敵のイメージ強いけど、製作者の補助とかを行う魔法人形なんだから、無言で魔法撃ったら不便で仕方ないよな。当然の機能だわ。


 遅いので普通に回避すると、アイスシュートの着弾点が、大きく抉れる。


 ……威力高くない?


 誰だよイジャールの狂信者より弱くて楽勝じゃんヒュー!とか言ってた馬鹿は。

 俺?そんな事実は確認されていない。観測者は俺しかいないからな。


 《敵性生物の排除に失敗》


 《敵性生物を形状から植物系モンスターと確認。氷系の攻撃が適切と判断》


 長いんだよ!喰らえ!


 触手をしならせ、アイスゴーレムの腹部辺りに全力で叩き込む。


 《氷魔法を連続して行使します。正面より退避してください》


 全然効いてない?か?


 《……敵性生物以外の退避を確認。これより攻撃を行います》


 先程のアイスシュートが連続で飛んでくる。


 いくら速度が遅いとぉ!?


 痛ってぇ!核に直撃した!


 速度威力調整してきやがった!あんな弾丸みたいな速度ありかよ!

 精度と速度を上げた分、威力は落ちてるから良かったけど、さっきの威力なら一撃でピンチだったかもしれん。


 だが、この威力なら、触手で防げる!


 氷耐性も大分上がったしな。狼達が居なかったら、さっきので致命傷だったかな?弱点属性みたいだし。


 《敵性生物の排除に失敗。高度な排除行動に移ります。周囲より退避してください》


 アイスゴーレムが左腕を大きく振り上げ、振り抜く。


 人間の膂力や関節の可動域を優に超える機械的な一撃は、轟音が空気を切り裂き、下に積もった雪が高く舞い上がり、霧のようになる程の威力だった。


 あ、危ねぇ。


 さっきのアイスシュートを防いだ触手盾で起動を逸らして無かったら、俺が抉れてたな。盾が吹き飛びやがった。


 守備力も高く体力も高く、攻撃力も高く、魔法まで使って来るとか、どんな嫌がらせだよ。後、俺の上位種よろしく攻撃が効いてるか分かりづらい。


 でも、フロストプラントみたいに、核を狙わなくていい分、フロストプラントよりは弱いか?鬱陶しい事には変わりないけど。


 倒せそうだけど、時間は掛かりそうだな。残り二体が合流する前に倒してしまいたい。どうするかな。


 効くか分からんが、ついに土魔法を試す時が来たか!


 喰らえ!土魔法Lv.1


 えっと、ウォール!


 ウォォォール!!!


 地面から縦横一メートルの壁がせり上がってくる!


 って、壁かよ!要らねぇ!


 消費MPは!?ステータス!ステータス!


 HP121/236

 MP71/181


 MP5も消費すんの!?嘘だろ!


 いや……?使えるかもしれん。


 俺は触手の先に魔力を集めれた。なら、触手の先から魔法が発動できるはずだ。今はなんとなく使ったから、目の前にしょぼい土壁が出てきただけだけどな。


 《レベル一の土魔法を確認。脅威度はありません》


 まあ、壁だしな。ゴーレムパンチで粉々だろうね。


 だが、これはどうかな!


 地面に触手を潜らせ、アイスゴーレムの足下へ!そして土魔法発動!ウォォォォォォォールゥゥゥゥ!


 ゴーレムの片足の下から、突如として高さ一メートルの壁が出現!


 ドスンという鈍い音を立て、ゴーレムがひっくり返る。


 造形のバランスが、上半身に偏り過ぎなんだよバカめ!

 作ったのが人じゃない事が裏目に出たんだよ!ざまあみろ神め!やっつけで作りやがって!


 魔法で作ったせいで下半身が細くても、上手く動いたかもしれんけど、想定が甘いんだよ!


 自力で立ち上がれる機能があっても関係無い。

 一瞬でもバランスを崩してしまえば、触手で引き摺り倒して、滅多打ちにできる。

 自重で割れたヒビに棘は効くだろ?引っかかるもんな?ガリガリ削れるわ!アイスゴーレムなんぞ恐るるに足らず!かき氷にしてくれる!


 《緊急事態発生。周囲に保護対象無し。最終起動を行います。十秒後に消滅します》


 集中しておらず、殆ど切っていた熱反応が、一気に増大する。


 あ、待って待って!ごめんなさいアイスゴーレム様!自爆はずるいやろ!クソガァ!


 にげろぉぉぉぉ!!!


 《8、7……》


 いくら、周りに保護対象がいないって言っても十秒は短過ぎる!馬鹿なんじゃないの!?ばーかばーか!


 アリアの火球を何十倍にもした熱量が、周囲を飲み込み、俺をも飲み込もうとする。


 逃げきれないので、触手を巻き付けまくって核を重点的守るしかない。


 アイスゴーレムの自爆は局地的に地面を一部吹き飛ばしたが、守護を目的とした性能故か横よりも縦に広く、威力は俺の触手を殆ど吹き飛ばし、体力の半分以上を削る程度だった。


 HP52/236

 MP71/181


 ……自爆はえげつなさ過ぎるだろ。死んだかと思った。触手で防御固めてなかったら、死んでたよ。


 はぁ、時間掛けすぎたな。自爆野郎が追加で二体来てしまった。


 この距離なら逃げれるか?


 あ〜でも、こいつらがまかり間違って街まで下りたら、そこで自爆すんのか?魔王と上位種の影響で、アイスゴーレムがどんな挙動をするか、予測が付かない。


 触手だけ伸ばして、魔法使って滅多打ちにすれば、近付かないで倒せるかもしれん。触手は有り得ないぐらい伸びるしな。


 アイスゴーレムなんぞ、倒し方を確立し、相手の奥の手の自爆さえ気を付ければどうということはない。


 触手を地面に埋め込み、触手の先に魔力を溜め、触手トラップの範囲に入るまでの、圧倒的待ちスタイル!


 超遠距離から、転ばせて殴る!転ばせて殴る!起き上がっても、転ばせて殴る!


 よし!最低だな!


 でも、勝った!勝てばいいんだよ勝てば。ルール無用の残虐ファイトが、自然界のルールだからね。


 あれ?でも、良く考えたら、植物系モンスターって、そういう、森の中で待ちの戦闘スタイルが普通だよな。擬態も有るんだし。


 ……。


 気にしたら負けじゃん?


 蒼晶草は無かった。まあ、三体だけで見つかったら、苦労しないよな。


 後は、魂を震撼させる咆哮の狼王をどうするか。

 勝てる訳は無い。かといって、逃がしてくれるわけも無い。押し潰されるような力の波動を感じる。それも二体。


 二体ってなんだよ。


 アイスゴーレム二体倒すのに時間かかり過ぎて、フェンリル上位種に近付かれすぎた。


 ただ、俺を追ってたにしてはやけに遅い。


 森王の異常なステータスの高さを考えれば、一瞬で追い付かれたはずだ。


 一体何と戦ってるんだ?仲間なら俺を追うのを優先するだろうから、二体は敵対してるはずだよな。

 というか、俺なんで追われてるんだ?なんかしたかな?


 ……?……?……?……!


 こ れ だ !


 称号: 狼の天敵


 あ、うん。俺が悪いね。これ以外に、敵視される理由が見当たらないもの。

 部下を倒されまくって、怒り狂ってるに違いない。


 俺一人しかいないし、逃げるか。

 擬態も高レベルだし、雪を被って這うように移動すれば、戦いに意識を割かれてる状態では、即発見は出来ないだろう。




 また、一人になってしまったな。

 蒼晶草も手に入らなかったし、アリアに会いにいくのも無理だな。単体じゃ街に入る前に、人間にやられてしまう。擬態はあくまで紛れるのであって、見えなくなる訳じゃないからな。


 そうだ。この狼の死骸も要らないな。吸収しとくか。


 レベルはどうかな?アイスゴーレムと吸収で、上限まで行くといいんだけど。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前:モノリ 性別:不明


 種族:スティンガープラント(ヴドァ)


 Lv29/30

 HP52/245

 MP30/226


 状態:精神疲労


 常時発動:《共通言語理解》《擬態Lv.9》《触手Lv.10》《触手棘》《熱感知Lv.8》《魔力感知Lv.8》


 任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.6》《植物成長速度Lv.7》《植物鑑定》《水汲みLv.6》《血液吸収》《毒Lv.8》


 獲得耐性:《恐怖耐性Lv.8》《斬撃耐性Lv.6》《打撃耐性Lv.5》《刺突耐性Lv.6》《火耐性Lv.2》《風耐性Lv.2》《水耐性Lv.4》《土耐性Lv.5》《雷耐性Lv.2》《氷耐性Lv.7》《邪法耐性Lv.4》


 魔法:《土魔法Lv.2》《魔導の心得Lv.2》《魔力の奔流Lv.3》


 称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘 馬車馬 耐性植物 読書家 急成長 近親種殺し 魔法使い 看破せしもの 上位種殺し(氷) 奪われしもの 凶性植物 狼の天敵


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 地味に足りない。


 失ったものの割に、得たものが殆どないな。


 腹いせに、擬態した俺を踏んでった、一匹のアイスウルフを倒して血液を吸収する。


 "進化が可能になりました。進化しますか?"


 流石は、非主人公系植物触手モンスター。


 普通はアイスゴーレムの戦闘中や、フェンリル上位種との戦闘中に進化して、逆転!みたいな感じだろ。とことん主人公に向いてないな俺。


 雪山を抜けたら進化しよう。今、擬態が解けるのは、不味い。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前:モノリ 性別:不明


 種族:スティンガープラント(ヴドァ)


 Lv29/30

 HP52/245

 MP30/226


 状態:精神疲労


 常時発動:《共通言語理解》《擬態Lv.9》《触手Lv.10》《触手棘》《熱感知Lv.8》《魔力感知Lv.8》


 任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.6》《植物成長速度Lv.7》《植物鑑定》《水汲みLv.6》《血液吸収》《毒Lv.8》


 獲得耐性:《恐怖耐性Lv.8》《斬撃耐性Lv.6》《打撃耐性Lv.5》《刺突耐性Lv.6》《火耐性Lv.2》《風耐性Lv.2》《水耐性Lv.4》《土耐性Lv.5》《雷耐性Lv.2》《氷耐性Lv.7》《邪法耐性Lv.4》


 魔法:《土魔法Lv.2》《魔導の心得Lv.2》《魔力の奔流Lv.3》


 称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘 馬車馬 耐性植物 読書家 急成長 近親種殺し 魔法使い 看破せしもの 上位種殺し(氷) 奪われしもの 凶性植物 狼の天敵


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