42話 不吉な予感
狼の天敵を手に入れた後、称号のヘイト上昇効果のお陰で、滅茶苦茶アイスウルフに遭遇するようになった。滅茶苦茶は大袈裟だけど、頻繁に遭遇する。
ただでさえ、天敵獲得するぐらい多いのに、これじゃアイスゴーレム探すどころの騒ぎじゃないな。
狼の天敵のダメージボーナスのお陰で、苦戦はして無いが、同じモンスターとの連戦は経験値的に美味しくない。
徐々に獲得経験値が下がっていき、今では《血液吸収》分の経験値しか入ってないように感じる。
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名前:モノリ 性別:不明
種族:スティンガープラント(ヴドァ)
Lv27/30
HP152/236
MP76/181
状態:普通
常時発動:《共通言語理解》《擬態Lv.8》《触手Lv.10》《触手棘》《熱感知Lv.7》《魔力感知Lv.8》
任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.5》《植物成長速度Lv.7》《植物鑑定》《水汲みLv.6》《血液吸収》《毒Lv.8》
獲得耐性:《恐怖耐性Lv.7》《斬撃耐性Lv.6》《打撃耐性Lv.4》《刺突耐性Lv.5》《火耐性Lv.2》《風耐性Lv.2》《水耐性Lv.3》《土耐性Lv.5》《雷耐性Lv.2》《氷耐性Lv.5》《邪法耐性Lv.4》
魔法:《土魔法Lv.1》《魔導の心得Lv.2》《魔力の奔流Lv.2》
称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘 馬車馬 耐性植物 読書家 急成長 近親種殺し 魔法使い 看破せしもの 上位種殺し(氷) 奪われしもの 凶性植物 狼の天敵
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27/30から、ちっとも上がらない。《血液吸収》が無かったら25レベルぐらいで止まってたかも。
こうなると、ただただ行く手を遮ってくる邪魔な狼でしかない。最初は経験値ヒャッホー!って、思ってたけど、もう要らない。お腹いっぱいである。口も胃も無いのにお腹いっぱいである。
「グルルルル……ガウゥ!」
また、アイスウルフが飛びかかってきた。
ええい!鬱陶しい!
気分的にはペシンと叩き落としてるだけなんだけど、棘でズタズタになるので、辺り一面が酷い事になっている。《毒Lv.8》のお陰で、一番数の多いアイスウルフは一切寄せ付けないし、ほぼ一撃で戦闘不能にできる。
レベルの糧にならないし、面倒なのでトドメは刺してない。毒で勝手に死ぬだろう。
最初の毒は、腹痛引き起こす程度の凄い地味な毒だったからな。
いや、現地というかこっちの人からすれば、酷い腹痛で脱水症状なんて生死に関わる大変な毒かもしれないよ。
けどさ、異世界に転生して毒って、言ったら酸に近いドロドロに溶かしてやるぜ!みたいなの想像するじゃん?
あん時のガッカリ感は半端無かったね。
《毒Lv.8》はいかにも、毒攻撃って感じでえげつない。
おざなりに狼共を払っていると、後ろから声がした。
「おいお前ら!下山するぞ!」
グララウスが慌てて反対方向から駆けて来る。
アイスゴーレムの捜索は?
「目的のものは採れたんですか団長?」
「いや、まだだが、アイスウルフの数が異常だ。この数は少なくともフェンリルかそれに近い等級のモンスターが居ると考えた方がいい。撤収だ。お前らを探すのに時間がかかったからな、すぐに下りるぞ」
「フェンリル!?」
「フェンリルってあの?!」
フェンリル!?と、一瞬パニックになりかけたが、この世界でフェンリルと呼ばれてるだけだ。北欧神話のフェンリルが実際に出現したら、世界がいくつあっても足りないし、魔王なんか屁でも無いだろ。
ただ俺が理解出来る文字列として、フェンリルが近かったんだな。
そもそも北欧神話のフェンリルは、目や鼻から炎を噴いていたというしな。雪山でアイスウルフの親玉の種族名がフェンリルなんておかしな話だ。
炎のフェンリルがこちらの世界では、氷と風の申し子なんて、異世界面白いな。フェンリルか〜カッコイイんだろうなぁ……見てみていなぁ……。勿論襲われなければだけどね!
フェンリルなんて名前のモンスターに襲われて、助かる気が微塵もしない。
「あぁ、あの王級に至る可能性がある、非常に強いモンスターだ」
ん?王級に至るって、なんぞ?神話の狼の名を冠する魔物より、王の等級のモンスターのが強いの?
えっ、って事は、森王って……いやいやいやいや嘘だろ!?あれ、フェンリルより強いの!いや、フェンリルと戦ったことないけどさ!
てか、森王も狼っぽい見た目だったよな?この世界の狼強すぎじゃね?森王が狼って確証は無いけどね。
まあ、それは良いとして、蒼晶草採取ならずか。ゲームだったら今頃、クエスト失敗画面が出てくるところだな。
現実ならクエスト達成率100%とはいかないよな。特に採取クエストなんて時期や運も有るだろうし。
「魔王復活の影響が、世界各地で出てるんじゃねぇかな。この様子だと」
「モンスターが凶悪化してるかもしれないってことですか?」
「そうだ。強いモンスター程、魔王の影響を受けやすいらしいからな。更にモンスターも増えやすくなってる。アイスウルフが多いのは魔王と、魔王の影響を受けたフェンリルのせいだろう」
「異常気象はフェンリルが奥地で暴れているせいだと?」
「ここまで酷いと、もしかしたら、フェンリルは既に王級に成ってるかもな」
「だったら早く逃げませんと!」
「どうします。アリアお嬢様?」
あ、アリア居たんだ。静かだから気付かなかった。
「続行よ!と、言いたいところだけど、王級のモンスターなんて本の中でしか見た事が無いわ。そんなのが居るところに居たくないし帰りましょう」
「流石はアリアお嬢様。賢明な判断です」
お世辞!
賢明な判断なら、そもそもこんなの深い雪の中山に入ったりしねーから!
お陰様でレベルと称号が貰えたから、良いんだけどね。俺は特に寒くも無いし。
「アイテム無しじゃ、お爺様の元へ行けないし、グララウス?雪山の次は火山?それとも荒野かしら?」
「そうですね。無事に下山してから、決めましょうか」
「はぁあ。面倒だけど新しい魔法も試せたし良いわ」
え、こんないつ雪崩が起きてもおかしくないようなところで、魔法ぶっぱなしたの?正気か?それとも馬鹿なのか?
あーでもこのお嬢様天才だからなぁ……なんか改良した変な魔法使ったんだろうなぁ……。
雑談と警戒をしながら撤退するも、遅々として進まない。下に下に向かってるはずなのに、どんどん雪が深くなっているような気さえする。
感知を最大範囲まで広げておこう。なんか不安だし。
不安に苛まれながら、やってくるウルフを散らしながらも、順調に下りもうすぐ山を抜けるというその時。
ウォォォォォォォン!!!!!
魂を揺さぶる遠吠えが聞こえる。
「お前ら走れ!山からは出てこないはずだ!」
遠吠えが終わると同時にグララウスが叫んだ。
あぁ。薄々分かって居たが、俺は王級のモンスターとは相性が悪いらしい。
あぁ。
あぁ。
嫌だ。
後ろから、狼系統とは明らかに違う反応が一つ。
フェンリル(今は氷王?雪王?かなんかだろう)では無さそうで安心した。
「レルレゲント?レルレゲント!なんで止まってるの!グララウス!レルレゲントが」
ごめんよアリアのお嬢ちゃん。
「レルレゲントどうしたの!早く戻りなさい!」
どうも、お爺ちゃんのところまでは送れなさそうだ。
「命令よ!レルレゲント!レルレゲント!」
「アリアお嬢様。距離が開きすぎました。レルレゲントは諦めてください」
「ふざけないで!戻りなさいグララウス!」
従魔であるはずの俺に命令は届かない。
「いやぁ!レルレゲント!レルレゲント!!!」
反応の正体は探し求めていたアイスゴーレム。
はは。
アリアのお嬢ちゃん。もし、勝って、万が一フェンリルの上位種からも逃げ切れたら、蒼晶草届けるから。
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名前:モノリ 性別:不明
種族:スティンガープラント(ヴドァ)
Lv27/30
HP152/236
MP76/181
状態:普通
常時発動:《共通言語理解》《擬態Lv.8》《触手Lv.10》《触手棘》《熱感知Lv.7》《魔力感知Lv.8》
任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.5》《植物成長速度Lv.7》《植物鑑定》《水汲みLv.6》《血液吸収》《毒Lv.8》
獲得耐性:《恐怖耐性Lv.7》《斬撃耐性Lv.6》《打撃耐性Lv.4》《刺突耐性Lv.5》《火耐性Lv.2》《風耐性Lv.2》《水耐性Lv.3》《土耐性Lv.5》《雷耐性Lv.2》《氷耐性Lv.5》《邪法耐性Lv.4》
魔法:《土魔法Lv.1》《魔導の心得Lv.2》《魔力の奔流Lv.2》
称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘 馬車馬 耐性植物 読書家 急成長 近親種殺し 魔法使い 看破せしもの 上位種殺し(氷) 奪われしもの 凶性植物 狼の天敵
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