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40/148

40話 持久戦

 

 フロストプラントと戦闘を開始してから、早数十分。


 俺は非常にイライラしていた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前:モノリ 性別:不明


 種族:スティンガープラント(ヴドァ)


 Lv12/30

 HP114/126

 MP87/87


 状態:普通


 常時発動:《共通言語理解》《擬態Lv.6》《触手Lv.10》《触手棘》《熱感知Lv.6》《魔力感知Lv.6》


 任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.3》《植物成長速度Lv.4》《植物鑑定》《水汲みLv.4》《血液吸収》《毒Lv.5》


 獲得耐性:《恐怖耐性Lv.5》《斬撃耐性Lv.6》《打撃耐性Lv.4》《刺突耐性Lv.3》《火耐性Lv.2》《風耐性Lv.2》《水耐性Lv.3》《土耐性Lv.4》《雷耐性Lv.1》《氷耐性Lv.0》《邪法耐性Lv.4》


 魔法:《土魔法Lv.0》《魔導の心得Lv.1》《魔力の奔流Lv.1》


 称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘 馬車馬 耐性植物 読書家


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 そう、俺の体力が削れ始めたのだ。


 相手に近付いたせいで、相手の攻撃が否応なしに当たりやすくなっていた。


 無論、こちらの攻撃も相手の核近くに当たるようになってきたのだが、一つ問題がある。


『相手が植物系モンスターである』ということと『こちらだけHPが見える』ということだ。


 え?一つじゃない?じゃかしいわい。とか、くだらない事を考えてないと、メンタルがヤバい。


 俺は、二度と植物系モンスターとは戦わないと、神に誓ったぞ。


 植物系モンスターだから痛覚が薄いせいで、効いてるか分からない。有効打っぽいのが核の近くに入っても、なんもリアクション無く普通に攻撃してくる。


 対人間や対動物が、どれだけ有難いか良く分かった。


 そして、相手に効いてるか不明なのに、少しずつとはいえ、自分の体力だけが着実と減っていく様が見えるのは、精神的負荷が尋常じゃない。

 自分だけステータス見えるのが仇になった形だ。


 ステータス表示ですら、何事も善し悪しなんだなと学んだ。すげぇ辛い。


 ゴスッ!


 痛ぁ!?


 また体力減った!


 ちくしょう。後、分かったことがまだある。自分より強い植物系モンスター相手だと、人間だった頃の感覚が、かなり負の方面に働く。


 さっきのHP減少だって、そこまで痛くは無い。植物系モンスターなんだから。

 ゲームやってる時にHP減って「痛ぁ!?」って、つい言ってしまう感覚に近い。痛いわけが無い。いや、今はちょっとだけ痛いけど。


 後、痛いせいで無意識に仰け反ってしまうのが、戦闘面で大きくハンデになっている。相手は全然仰け反らないのに、こっちは仰け反る度に攻撃も防御もワンテンポ遅れる。


 結論。植物系モンスターマジウザい。悉く焼き払われろ!


 数字でも、大まかなHPバーでも、なんでもいいから相手の残り体力というか、そもそも俺の攻撃が効いてるかを知りたい。


 なんかいいスキルは無いだろうか?


 《調べる》


 そうだ、調べるは触手が触れてれば使えたはずだ。


 よし、触手と触手の攻防でぶつかる度に使って見るか。


 《調べる》……?


 《調べる》《調べる》《調べる》《調べる》《調べる》《調べる》《調べる》《調べる》


 何も起きねぇ!何でじゃ!


 HP98/126


 だぁ、もう!試行錯誤してる時間も惜しい!


 植物系モンスターだから《植物鑑定》なら、いけるか?


 《植物鑑定》……?


 《植物鑑定》《植物鑑定》


 駄目かよ!


 こうなったらヤケクソだ!あるやつ全部使ったらぁ!明らかに効かなくても使ってやる!

 クソ!こういう時主人公なら、都合良く効く技に目覚めるか、最強の組み合わせが閃くのに!


 《薬草生成Lv.3》《植物成長速度Lv.4》《水汲みLv.4》《血液吸収》《毒Lv.5》


 残る使ってないのはこれだけか。一つも効く気がしねぇんだが?


 HP88/126


 喰らえ!《薬草生成Lv.3》!


 相手に燃える草を生やし、内部から蹂躙するのだぁ!


 ……はい。何も起こらないですね。知ってました。


 HP83/126


 スキルやステータスに意識を払う度に、更に防御が遅れるジレンマ何とかならんかな。遅れてるだけで、ギリギリ直撃はしてないから、ちょっとずつの減少で抑えられてるけどさ。


 まだ、まだ諦めんよ!

 喰らえ!必殺!《植物成長速度Lv.4》!


 相手に過度の栄養を与え続け、内部から爆散させる!


 ……はい。相手の触手が回復しただけでした。


 シュルって!シュルって、治ったからね!俺の馬鹿野郎!


 意図せず回復させてしまった触手に、容赦なく殴りつけられる。


 HP77/126


 ヤバいヤバい!てか、うちの回復役さん何してんの?回復して!

 あー!後ろで休んでやがる!

 ごめんね!植物系モンスター回復したかもダメージ受けたかも、見た目じゃ分かりづらいもんね!ちくしょう!


 逃げ出してはないから、裏切られては無いけど、なんか少し裏切られた気分だよ!


 まあ、今は許しちゃる。


 次は順番的にこれ!


 《水汲みLv.4》!


 触手が重くなった!動きが悪くなった!速度が下がった!


 本っ当何から何まで使えねー。


 泣くぞ?我泣くぞ?目とか無いけどな!


 いや、待てよ?もしかして……。


 うん。保留保留。


 次、試そう。


 HP62/126


 これで終わりにしてやる!《血液吸収》!


 ……うん。これは、終わった後に使うスキルだね。そもそも、植物系モンスター血液ってなんぞ?馬鹿かな?


 次。


 お前の運命はのたうち回って死ぬこととしれ!《毒Lv.5》!


 バシッと相手の触手に傷を入れると、少し変色した。


 HP58/126


 遊んでる場合じゃないな。遊んでないけどね。必死に、どうやったら倒せるのか試行錯誤してるんだけどね!


 ちょっと考える時間が欲しい。


 しかし、このインファイト状態じゃ考える時間が欲しいとか、言ってられない。ん〜?……!


 ユニットチェンジだ!これしかねぇ!ちょっとクズっぽいけど、そんなの知るか!


 リタ、カルモド、タウルの前・中衛三人の防具部分に触手を巻き付け、俺より前方に放り投げる。


「ひゃぁぁぁ!?」

「何しやがる!」

「敵の目の前だ立て直せ!」


 今まで休んでたんだから、少し体力回復しただろ!俺が考えてる間だけでいいから戦ってろ!


「タウル受けれるか?」

「レルレゲントが受け持ってた時間で休めたからな」

「もしかして、レルレゲント賢いから交代させられたのかな?疲れたのかな?」


 リタ賢いぞ!賢いポイントを進呈しよう!


 タウル達を前に強制的に掴み出して、無理に交代したせいで、その時間攻撃を受け続けるはめになった。


 おかげで残り体力が酷い。


 HP18/126


 まさか、あの振り回すだけの攻撃が、防御無しで喰らうとこんなに痛いとは。受け続けたと言っても、短時間なのに……。


 ランク一つ違うだけで、こんなに理不尽なのかよ。やんなっちゃう。


 仲間がいなかったら、普通になんの面白味もなく、触手で殴られて地味に殺られてたな。


 タウル達がやられるまでに、思考と観察を続けろ。


 この編成じゃ勝てない敵なうえに、触手の攻撃範囲が広くて、この雪に足を取られる状況じゃ逃げる事も出来ない。


 ポドルにどうにか現状を伝えて、体力を回復してもらおうとも思ったけど、魔力は少し休んだぐらいじゃ回復しない。


 なので、俺が後ろに下がった時に、ポドルが心配して掛けてくれた一回で我慢しよう。


 HP50/126


 全快には程遠いが、俺の体力全快させてタウルが時間を稼げなくても困るし、意思疎通が出来ない割に、この一回の回復は凄いファインプレーだな。だといいな。


 選択を間違えたら、全員死ぬかもしれない。この一回の回復を凶の目にする訳にはいかない。


 …………。


 さっき毒を撃ち込んだところ、少し広がってないか?

 核付近に連続して撃ち込めれば、継続ダメージになるんじゃないだろうか。


 後は、水汲みで、触手を重くして打撃力を上げよう。


 しかし、あんまり触手の速度が遅くても、ろくに当たらないし、どうする。そう言えば……やってみるか。


 水汲みを使って、触手を全体的に重くしていく。


 よし、いい感じに溜まったな。


 タウル達を援護できる距離まで近付くと、案の定こっちにも攻撃が飛んでくる。


 攻撃を事前に作った触手盾で防ぎながら、一本の触手に吸い上げた水を全部移動させる。それに、毒も混ぜていく。


 俺に気付いたタウル達がジリジリと後退してきたので、水を移動させた触手から、後退を援護させる。


 水を移動させたら、他の触手の棘の無い部分でキュッと縛る。大きく膨らんだ水入り触手の完成だ。


 あんまり水入れ過ぎると、ダーッと溢れるので、量は自重した。


 アルネアお嬢様の為に駆けずり回った時、大きな岩で木を殴り倒した遠心力さん頼みの攻撃だ。


 俺が頭上で一際太い触手を振り回し始めたのを見たタウル達が、慌てて更に後退する。


 いい判断だ。流石、人外的な強さを誇る、グララウスの傭兵団の一員だ。状況判断が早い。


 触手が千切れそうになる直前まで遠心力をのせ、他の触手で相手の核への道を一気に切り開く。


 他の触手が、吹っ飛んだり凍り付いたりするのも、自分へのダメージも完全に無視だ!全力で叩き付ける!



 吹き飛べぇぇぇぇぇぇ!!!!


 氷が砕け散る様な甲高い音と共に、フロストプラントが、大きく後ろへ弾かれる。案の定水を溜めた触手は衝撃と敵の体の棘で破裂し、毒を混ぜた水が降りかかる。


「よくやったレルレゲント!トドメは任せろ!」

「なるほど!」


 レンジャーとアーチャーで目と勘のいいカルモドとリタが、甲高い音の直後にそう言いながら駆け出した。


 二人とも弓を休まず撃ち続けながら、雪の上とは思えない速度で、倒れたフロストプラントに接近していく。


 よく見ると足元が光ってたので、補助魔法だろう。矢も光っており、ポドルとヒューリアが駆け出す前に掛けたのだろう。


 俺の一撃を信じてくれたんだな。


 じゃなきゃ、即駆け出したあの二人に魔法が掛かってるはずが無いからな。

 団員でも、人間でも無い俺を、信用してくれたのが無性に嬉しい。


 トドメの瞬間は、角度的に上手く見えなかったが、開きっぱなしのステータス画面の、大幅なレベル上昇が、俺達の勝利を静かに教えてくれた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前:モノリ 性別:不明


 種族:スティンガープラント(ヴドァ)


 Lv18/30

 HP21/126

 MP87/87


 状態:損傷(大)


 常時発動:《共通言語理解》《擬態Lv.7》《触手Lv.10》《触手棘》《熱感知Lv.6》《魔力感知Lv.7》


 任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.4》《植物成長速度Lv.5》《植物鑑定》《水汲みLv.6》《血液吸収》《毒Lv.7》


 獲得耐性:《恐怖耐性Lv.7》《斬撃耐性Lv.6》《打撃耐性Lv.4》《刺突耐性Lv.4》《火耐性Lv.2》《風耐性Lv.2》《水耐性Lv.3》《土耐性Lv.4》《雷耐性Lv.1》《氷耐性Lv.1》《邪法耐性Lv.4》


 魔法:《土魔法Lv.1》《魔導の心得Lv.1》《魔力の奔流Lv.1》


 称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘 馬車馬 耐性植物 読書家


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前:モノリ 性別:不明


 種族:スティンガープラント(ヴドァ)


 Lv18/30

 HP21/126

 MP87/87


 状態:損傷(大)


 常時発動:《共通言語理解》《擬態Lv.7》《触手Lv.10》《触手棘》《熱感知Lv.6》《魔力感知Lv.7》


 任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.4》《植物成長速度Lv.5》《植物鑑定》《水汲みLv.6》《血液吸収》《毒Lv.7》


 獲得耐性:《恐怖耐性Lv.7》《斬撃耐性Lv.6》《打撃耐性Lv.4》《刺突耐性Lv.4》《火耐性Lv.2》《風耐性Lv.2》《水耐性Lv.3》《土耐性Lv.4》《雷耐性Lv.1》《氷耐性Lv.1》《邪法耐性Lv.4》


 魔法:《土魔法Lv.1》《魔導の心得Lv.1》《魔力の奔流Lv.1》


 称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘 馬車馬 耐性植物 読書家


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