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38話 アイスゴーレム探し

 意気込んでアイスゴーレムを探して数十分。


 俺達の士気は最低だった。


「ねぇ、グララウス。雪山ってこんなに寒いものなの?」


 そう問うアリアは、ガタガタと小さな身体を震わせている。


「この時期でこの寒さは、ちょっとおかしいですね」


 そう答えたグララウスも、寒さに震えていた。


 そして俺は熱感知より、魔力感知に集中している。試しに熱感知だけにしたら、視界?目は無いが視界が真っ白になってビビった。

 現在は、熱感知三割に魔力感知七割って感じ。


「さっさと、アイスゴーレム見つけて帰りましょう!」

「いえ、この寒さは引き返した方が良いかと。不自然過ぎます」

「こんな山まで来て、私に手ぶらで帰れって言うの!グララウス!答えなさい!」


 グララウスが、諦めることを提案したら、アリアが怒り出した。


 凄い剣幕だ。


 まあ、アリア戦闘狂だもんな。最初会った時も、終始俺を焼き殺そうとしてたし。

 戦闘を楽しみにしてた分アリアの怒りは大きいようだ。アリアの見た目で予想できる年齢からも、散々楽しみにさせといた挙句、我慢しろというのは難しい年頃だろう。


 しかも、貴族の娘で大商人の孫。我儘が通らない事の方が稀なんじゃないだろうか。

 アリアを説得するのに、何本骨を折ればいいのか。もしかしたら、折った骨だけで、スケルトン組み上げられるんじゃないの?



「アリアお嬢様!落ち着いてくださいませ。ここまで寒ければ仕方ありません。アレを」

「早く出しなさい。どうせ、おろす予定のものだから、その分高く買えって言うんでしょ?」

「流石はアリア様」


 この商人、アリアが即決するタイミング狙ってたな?後、アリアは、値段も聞かずに即決とかどう考えても後で怒られると思うよ。

 いや、怒られなさいな。

 この寒さで強行しようとするとか、アリアその気が無くとも、皆殺しにする気かよと、思われても仕方ないレベル。


「グララウス。手分けして探させなさい!そして、見つけたら私が倒すわ!」


 草の収穫じゃなかったのかよ。アリア燃やす気マンマンだろ。


「はい。早急に取り掛かり、蒼晶草を探して……」

「何言ってるの?折角防寒具があるんだから、生えてないのを探してきなさい!私は戦いに来てるんだから!」


 変に大人な言葉の使い方なのに、ガッツリ子供なのマジ止めろ。戦闘狂め。俺の目的と一致してるから文句は無いが、傭兵達は、草手に入れたらとっとと帰りたいだろ。


「では、レルレゲントをお借りしても?」

「なんで?」

「アイスゴーレムの強さからして、レルレゲントとうちの団員が数人いれば、問題無く回収出来るでしょう。その間に、私や他の者は馬車の護衛とアリアお嬢様の支援を致します」

「戦えれば何でもいいわ!レルレゲント!命令よ。協力しつつ自分で判断して動きなさい!」

「お嬢様。提案を採用してくださり感謝致します」

「ふふん」


 数分の話し合いの結果、一通りが決まったらしい。


 俺に着くことになった人員は、なんか見たことあるな。


 リタ弓士、カルモド斥候、タウル盾役の新人3人と、ポドル中級神官戦士にヒューリア上級魔導師か。


 ヒューリアさんはこの間街で見たばっかりだとして、この四人誰だっけかな?


 ……………………?


 ……………………!


 思い出した!模擬戦した時の奴等だ!


 初心者3人組は、イジャールの狂信者達の襲撃を掻い潜ったおかげか、精悍(せいかん)な顔立ちになっていた。


 今模擬戦したら、油断したらこっちがやられそうだな。


 何人かやられてたのに、この新人3人が、よくあの襲撃を生き残ったもんだ。運も実力のうちというやつだろうか。


「ヒューリアさんとご一緒できて嬉しいです!」

「よろしくね」


 リタは、上位陣に含まれるヒューリアに、尊敬の念を強く抱いてるみたいだな。

 リタから見たらヒューリアは、カッコイイ女性という感じなのだろう。


「リタは浮かれ過ぎだ。ポドルさん、カルモドもリタになんか言ってやって欲しい」

「まあ、俺らはレルレゲントの補佐みたいなもんだから、いいんじゃないか?」

「警戒は大切よ。山はモンスターだけに気を付ければいい、というわけではありませんわ」


 弓士、斥候、盾、神官戦士、魔導師か。


 一見いいように見えたけど、普通にバランス悪いな。高火力アタッカーが、魔力量依存の魔導師だけってのがキツい。


 俺はどちらかと言うと、頭脳派だしな。指示出せないけど。


「ひゃー!にしても寒いな!しかも動きづらいし」

「そうかもしれんが、脱いだら凍え死ぬぞカルモド」

「んなこたぁ分かってんだよタウル。俺が索敵しながら進むから、後ろを着いてきてくれ」

「レルレゲントはどうする?」

「リタ。何言ってんだお嬢様のペットだぞ?全面に出したと知れたら後で何言われるか」

「そっかー」

「じゃあ、真ん中でいいんじゃない?」

「まあ、ヒューリアさんがそう言うなら。レンジャー的にも問題無い位置ですし」

「その代わり、アイスゴーレムが出てきたら、草採るまでの足止めは頼んだぞレルレゲント!」


 おうよ!


 って、景気良くカルモドの肩でも叩いてやろうかと思ったけど、トゲのせいで戦闘前にカルモドだけズタボロになるから止めとこう。


 アイスゴーレム探索小隊。ネーミングが雑。

 まあ、それはいいとして、上に行けば行く程雪も深くなり、遅々として進まない。ある標高を境にグッと雪が深くなる。


 グララウスの言うように、あからさまにおかしい。


 山全体に雪の加護でもあるのかと言うぐらい、他者の侵入を雪と寒さが拒んでいる。これはもう、人智を超える意志が働いてると思っていいだろう。


 今思えば、森王の森も、不可解な肉食動物が近付かない泉とか、変なものが沢山あった気がする。やたらと多い木の洞とかな。


 森王級のヤバいのが居ると思っていいだろう。そいつの魔力が強くて、縄張りの外まで漏れ出してると考えるのが妥当か?


 グララウスが、いつもより寒いというのだから、森王が縄張りから出てきたように、何かしら魔王復活の影響があると考えるのが当然だな。


 各地域や領域の王級モンスターまで凶暴化させる魔王は、まさに魔王って感じだな。


 絶対に戦いたくない。近付きたくもない。


 配下のキュプロクス一体で、あのザマだぞ?対峙する以前の問題だ。アルネアお嬢様と平穏無事に暮らすんだ。魔王なんて、全力で関わりを拒否させてもらう。


「ッチ!雪が深くて」

「思ったより体力が持ってかれるな……」


 重装備のタウルは辛いだろうな。


 後、基本後衛のポドルとヒューリアはもしかしたら、タウルより疲れてるかもな。


「ん?あの辺ちょっと変だな」

「何処ですか?」

「ヒューリアさん。右の方です。そうそう、もう少し右、ちょっと左、その辺です」

「流石にレンジャーね」


 ヒューリアがそういうと呪文を唱えだした。


「〜『看破』!」


 ヒューリアの詠唱が終わると、白が支配する空中に、怪しげな影が描きだされる。

 影は色を持ち、氷の茨が姿を現した。


 ん〜俺に良く似てる。


「フロスト版レルレゲント?」


 俺もそう思う。てか、俺の感知に引っかからないの擬態レベル高過ぎないか?


「良く植物系モンスターの擬態を見破れたわね?」

「動物の足跡の応用ですね。まあ、殆ど勘ですが」


 肉眼で見破れたの!?レンジャーとしての勘と熟練度か。スキルに頼りきりでもダメなんだな。

 確かにアルネアお嬢様への忠誠心みたいなのや、森王への執着心みたいなのは、ステータスに表示されないもんな。

 人間離れしたグララウスの傭兵団に入ってるのは、伊達じゃない訳だ。


「足元に気をつけろ!いつもより速い回避をしないと、雪の動きづらさに負けるぞ!」


 似た系統とは、あんまり戦いたくないな。純粋にレベル負けしそう。


 待て待て、レベルは無くとも、人並みの頭脳がある!知恵で勝つ!


 さあ、戦闘開始だ!


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 名前:モノリ 性別:不明


 種族:スティンガープラント(ヴドァ)


 Lv12/30

 HP126/126

 MP87/87


 状態:普通


 常時発動:《共通言語理解》《擬態Lv.6》《触手Lv.10》《触手棘》《熱感知Lv.6》《魔力感知Lv.6》


 任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.3》《植物成長速度Lv.3》《植物鑑定》《水汲みLv.4》《血液吸収》《毒Lv.5》


 獲得耐性:《恐怖耐性Lv.5》《斬撃耐性Lv.6》《打撃耐性Lv.4》《刺突耐性Lv.3》《火耐性Lv.2》《風耐性Lv.2》《水耐性Lv.3》《土耐性Lv.4》《雷耐性Lv.1》《氷耐性Lv.0》《邪法耐性Lv.4》


 魔法:《土魔法Lv.0》《魔導の心得Lv.1》《魔力の奔流Lv.1》


 称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘 馬車馬 耐性植物 読書家


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