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37話 グラの山脈

 蒼晶草に緋晶草、紫扇水に黄炎茸。


 アリアの爺さんにお使い(極)を頼まれた俺達は、爺さんの家で実物を見た事があるアリアと、仕事の途中で話に聴いたというグララウスを中心に話し合い、蒼晶草を採取しに行く事になった。


「よかったわ、グララウスが聞いた事あって」

「何度か一緒に仕事した事ある奴の話に、出てきたんです。高ランクのシーフですから、話は確かかと」

「ふむ。あの界隈は嘘吐きませんからね」


 コール・ウォー・サンドラス南方小都市群。

 ここは、殆ど調べられてない。また来るかもしれないので、覚えておこう。


「いやはや、蒼晶草が大旦那様の居られる所と近くて、助かりましたよ。これで、予定してたルートは問題無くまわれそうです」

「緋晶草と紫扇水は知らないから、1つで良かった。そういえば、蒼晶草が生えてるグラの山脈って、どんなところなの?」

「寒冷地で、フロスト系のモンスターが多い所です」


 そうなのか。まあ、俺は三人の話を盗み聞きしながら、魔導の心得と魔力の奔流のスキル上げをしよう。一度馬車の修理の為に南下したから、道中長そうだし。


 魔力感知で、魔力の流れを見ながら、触手に魔力を行き渡らせる。


 おりゃっ!


 ポンッという軽快な音と共に、触手の先が小爆発を起こして吹き飛んだ。


 ふおぉぉぉ!?!?


 触手で良かったぁぁぁ!


 なんで、金持ちしか魔法を覚えられないか分かったぞ。失敗する度に、治癒魔法が必要か、失敗しない為に先生が必要だからだな。


 魔法危ねぇな。俺が人間なら腰抜かしてるね。今は腰無いけどな。


「ん?何の音だ?」

「あのね、レルレゲントに魔導書読ませたから、何か使おうとしたんじゃないかしら?」

「従魔に魔導書とは、アリア様は考えることが奇抜でいらっしゃる……」

「もっと褒めていいのよ!」


 呆れてるんだよ!あっ!


 ポンッと軽快な音が……また吹っ飛んだよ。集中切らさせんな!


「レルレゲント。一気に流し過ぎよ。一気に流すんじゃなくて、こうヒューってやってグッてやって、ドーンって、感じよ!」


 いや、マジ何もわかんねぇな。


 移動途中、アリアの気紛れ魔術講座を適当に聞き流しながら、体感的に恐ろしい距離を移動した。目の前に雪山が有るから、非日常感が凄い。

 前までずっと街や村を巡り人と建物・田畑なんかを見てきたせいで、とんでもない距離を移動したような気がするだけだけど。


 移動時間は分からん。


 ちょこちょこ、ステータスを確認してたが、俺は魔法に適性があまり無いみたいで、殆ど上がってない。

 もしくはこの、スティンガープラントってモンスターが、魔法向きじゃない可能性が高い。こんだけトゲと毒があって、魔法連発してきたら「それなんの為についてんの!?」って、なるもんな。


「ここがグラの山脈ね!」

「そうです。さぁ!早く行きましょう!」


 珍しく商人のおっさん張り切ってんな。なんでだ?


「そういえばフロスト系のモンスターって、どれぐらいの強さなの?」

「そうですね。グラの山脈だと……アリアお嬢様より少し弱いぐらいじゃないですかね?ある程度安全かつ緊張感のある戦闘をするなら、最適かと」

「なるほどなるほど。アリア様の魔法の才を買ってのことでしたか」

「そうでしょうね。フロスト系のモンスターは毛が厚く、物理攻撃には強く魔法攻撃に弱い事が多いので、強力な魔法が使えるアリア様と、相性の良いモンスターが多いですから」


 なら、他の三つもアリアと似たようなレベル帯で、護衛がいれば安全なんだろう。なんだ、あんなに恐れてた理由が分からんな。優しいじゃんおじいちゃん。


「それで、何処に蒼晶草は生えてるの?」

「アイスゴーレムの背中に、稀に生えてるそうです」


 前言撤回するわ。モンスターに生えてるとか、ナチュラルに鬼だなおじいちゃん。


「アイスゴーレムって、ゴーレム?あの?」

「はい。あの動くめっちゃ硬いやつです」

「火使ったら、草も燃えちゃうわよね?」

「……そうですね」


 鬼!おじいちゃん超スパルタ!


「どうやって、倒すの?」

「レルレゲントを囮にして、背後からこっそりとか、どうですか?」

「アイスゴーレムって、レルレゲントより強い?」

「スティンガープラントは物理攻撃に特化したモンスターなので、物理防御に特化したゴーレム系は、天敵ですね。しかも、基本的に殆どのゴーレムは、スティンガープラントより上位のモンスターです」


 この植物殺しが!グララウスの人でなし!


「んーまぁ、レルレゲントは、頭もいいし、それなりに戦えるんじゃないかしら?」

「そうですね。レルレゲントに動きを止めてもらって、草を採取すればいいかと」

「じゃあ、そんな感じでやるわよ!」


 俺の意見は!?あ、モンスターだったわ。意見言えないし。


 こうなったら、触手で抗議だ!


 うおぉぉぉぉ!!!!!


 ビタンビタンビタンビタンビタンビタンビタンビタンビタン!


「レルレゲント張り切ってるわね!久しぶりの戦闘だもの!」


 この戦闘狂がァァァァァァ!!!


 ステータス!ステータス!


 アイスゴーレムに勝てる手段を見つけとかないとヤバい!万が一があれば、俺とかモンスターだから、普通に切り捨てられるぞ!嫌だぁぁぁぁぁ!


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前:モノリ 性別:不明


 種族:スティンガープラント(ヴドァ)


 Lv12/30

 HP126/126

 MP87/87


 状態:普通


 常時発動:《共通言語理解》《擬態Lv.6》《触手Lv.10》《触手棘》《熱感知Lv.6》《魔力感知Lv.6》


 任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.3》《植物成長速度Lv.3》《植物鑑定》《水汲みLv.4》《血液吸収》《毒Lv.5》


 獲得耐性:《恐怖耐性Lv.5》《斬撃耐性Lv.6》《打撃耐性Lv.4》《刺突耐性Lv.3》《火耐性Lv.2》《風耐性Lv.2》《水耐性Lv.3》《土耐性Lv.4》《雷耐性Lv.1》《氷耐性Lv.0》《邪法耐性Lv.4》


 魔法:《土魔法Lv.0》《魔導の心得Lv.1》《魔力の奔流Lv.1》


 称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘 馬車馬 耐性植物 読書家


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ここに来て、氷耐性ゼロかよ!


 ヤバいヤバい!これ、本格的にヤバいやつ!


 アイスゴーレム遭遇前にレベル上げないと、普通になんの変哲もなく死ぬやつこれ!ちくしょー!


 ゴーレム相手に刺なんか刺さらないだろうし、万が一刺さって、毒を流し込んでも、血液とかないし効かないだろう。


 血液吸収や水汲みは論外だし、レベルを上げて、土魔法を使えるようになるしかねぇ……!


 アイスゴーレム対峙までに、モンスターを狩りまくるぞ!俺の命がかかってるんだ。


 アイスゴーレムがなんぼのもんじゃい!


 あ、嘘!やっぱちょっと怖い気もする!

 遭遇すれば、冷静に戦えるんだけどさ!ほら、植物系モンスターだから、動揺とか基本的に無いし?

 というか、焦りや緊張、死の感覚を覚えてから消えるまでが、早すぎるんだよ植物系モンスター。


 平和に雪山で喰ったり喰われたり、食物連鎖してるところ悪いね!俺も参加させてもらうぜ!


 手頃なところで、雪兎とか雪狐とか、ゆきんことかいないだろうか。俺に倒されろ!頼むから!


「さぁ、アイスゴーレム探すわよ!」


 おぉー!と、傭兵達の声と士気が上がる。


 無事にアイテムとアリアを届ければ、破格の報酬が待っているんだろうか?

 そうじゃなくとも、依頼を成功させて、大商人に顔を売れれば次の依頼に繋がる可能性も高い。グララウスの傭兵団以外で、追加補充された傭兵達からすれば、いい事づくめだろう。


 俺は皆とは違い、寒さでなく、恐怖に震えたり震えなかったりしながら、雪山へと一歩を踏み出した。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前:モノリ 性別:不明


 種族:スティンガープラント(ヴドァ)


 Lv12/30

 HP126/126

 MP87/87


 状態:普通


 常時発動:《共通言語理解》《擬態Lv.6》《触手Lv.10》《触手棘》《熱感知Lv.6》《魔力感知Lv.6》


 任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.3》《植物成長速度Lv.3》《植物鑑定》《水汲みLv.4》《血液吸収》《毒Lv.5》


 獲得耐性:《恐怖耐性Lv.5》《斬撃耐性Lv.6》《打撃耐性Lv.4》《刺突耐性Lv.3》《火耐性Lv.2》《風耐性Lv.2》《水耐性Lv.3》《土耐性Lv.4》《雷耐性Lv.1》《氷耐性Lv.0》《邪法耐性Lv.4》


 魔法:《土魔法Lv.0》《魔導の心得Lv.1》《魔力の奔流Lv.1》


 称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘 馬車馬 耐性植物 読書家


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