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25話 ディム・アレン交流街

 恙無く戦闘訓練も終わり、辺りの警戒に戻る。


 新人四人も、回復と解毒を受けて、休憩に入ったようだ。


 四人とも、心なしかぐったりしているように見える。警戒しながら移動して、模擬戦とはいえ、モンスターと戦闘したんだから、無理もないか。


 新人や、中堅辺りと模擬戦をしながら、村を三つ程過ぎたあたりで、遠くに大きな街が見えてきた。


 久しぶりの大きな街だ。


 遠くからでも、大きな壁に囲まれているのがわかる。空からドラゴンでも襲来しない限り、安全は確保されているだろう。

 壁の上にはバリスタが設置されており、中級飛行型のモンスターや、小規模のモンスターの行進なら、防げそうだ。


 大砲とかは無いんだな。大砲よりは、大魔術なんかを撃ち込んだ方がいいんだろうか?まあ、大魔術なんてものが有るのかは、知らんけどな。


「レルレゲント遊びましょう!」


 審査の待機列が長いのは分かるけど、こんなところで、俺とお嬢ちゃんの魔法で戦ったら、大変な事になるぞ。


「アリアお嬢様。申し訳ありませんが、もう暫くお待ちください」

「退屈だわ!そうだ、私とレルレゲントだけ、先に通るわ!登録しなきゃいけないんでしょ?」

「アリアお嬢様のお父様のお名前を出せば、優先的に通してはくれるでしょうけど、あまりいい顔をされないと思いますよ」

「あら、羨ましがってる視線が、心地良いぐらいよ!じゃあ、行ってくるわね」

「あ、お待ちくださいお嬢様!」


 アリアの後ろを、傭兵達が三人追いかけていく。俺もテイムされてるフリをしているので「行くわよ!」と、いわれれば、ついて行くしかない。


 少し大きめの植物系モンスターが、人の後ろをうぞうぞとついて行く姿は、多少恐ろしかったようで、列の方からは悲鳴が上がっていた。


 大人しく後ろを歩き、攻撃する素振りをいつまでも見せないので、次第にザワザワは引いていった。モンスターを連れてるんだから、大人しく入国審査待ってて方が絶対に良かった気がする。下手したら、攻撃されてたからね。


「と、止まれ!」

「あぁ、衛兵さん大丈夫です。こちらのお嬢様のテイムされたモンスターですので、ご安心ください」

「そ、そうか。いくらモンスターを連れておるとはいえ、順番は守って欲しいものだな」


 長年の経験からなのか、門番の動揺からの立ち直りは早い。


「あら、この私を誰だと思っているのかしら!」


 右手で肩にかかる髪を、カッコ良く払ったアリアが、父親名を告げると、多少の確認作業の後に、すんなり通された。列で待機してる積荷の方も、優先的に規制品だけざっと調べて、入れてくれるらしい。


 やっぱり、力のある貴族って凄いんだな。


「アリア様。先程は失礼致しました!」


 最初に声をかけた、熟練の門番が平謝りしている。

 門番から見れば、自分の娘、下手したら孫ぐらいの歳の女の子に、平身低頭謝るのはどんな気分なんだろうか。


 権力者に逆らってもいい事なんて無いし、門番の態度は、一般的で正しいんだろうな。なんというか世知辛いな。


 上位者には、上位者なりの立ち振る舞いが有るのだろうから、一概にアリアが間違ってるともいえないが、その傲慢さのツケを払う日が来ないといいな。


 凄い大雑把な"これ、意味あるの?"みたいな登録を済ませ、門に戻ると、既に商人達が街の中に入っていた。


「おぉ、アリアお嬢様。お待たせ致しました」

「早く、柔らかいベットで休みたいわ」

「申し訳ありませんが、倉庫街の方へそのまま行かなければならないので、お付き合いください」

「街を見てまわりたいわ!」

「ディム・アレン交流街には、仕入れの関係で、しばらくの間滞在しますので、後日にお願いします」

「まあ、そうね。ちゃんと、商売の勉強もしなければ、お爺様に叱られてしまうしね」

「えぇ、えぇ、そうですとも。少し退屈かもしれませんが、私の横で、取引内容の確認や、駆け引きなどを見ていてください。後程、疑問などにも答えますので、しっかり聞いていてくださいね」

「仕方ないわね!」


 どう考えても、落ち着きのあるアレク坊ちゃんの方が、アリアのお嬢ちゃんよりは向いてると思うけど、なんでアリアにしたんだろう。


 ……戦わなきゃいけない世界で、貴族の長子が、悠長に商売で街をまわる訳にもいかないか。


 そういえば、商談にモンスター連れで行って、大丈夫なんだろうか?テイムされてるとはいえ、街中で契約者と一定距離以上離れるのは、良くないだろうし、俺はどうしてればいいんだろうか。


「じゃあ、レルレゲントはお留守番ね!」


 一人でお留守番してたら、大騒ぎになると思うんだが?


「俺ら二人で見張ってるので、大丈夫ですよ」

「レルレゲントは賢いから、見張りなんていらないと思うけど?」

「いえいえ、ほら、他の方が不安でしょう?」

「……?、!。そうね。言われてみれば、確かにそうね。知らない人からしたら、普通にモンスターだものね」

「そういうことです」

「じゃあ、よろしくね!レルレゲント、暴れたりしちゃダメよ?」


 しねーよ。


 いいたいことを言って、颯爽と駆けていくアリア。良く言えば天真爛漫。悪く言えばジャジャ馬だな。


「お嬢様にああいったものの、どうする?」

「コイツ大人しいし、部屋に入れといて、俺らは1階で呑んでようぜ」

「そうだな」


 見張らないのかよ。


 まあ、悪さする気も無いけどさ。


「じゃあ、レルレゲント。ここから出ないでくれよ」

「頼むぜ、レルレゲント。もしお前が暴れでもしたら、大目玉じゃ済まないからな。大人しくしててくれ」


 あっという間に、一人部屋に押し込められてしまった。


 う〜ん。暇だな。


 一応ステータスの確認でも、しておくか。


 最近してなかったし。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前:モノリ 性別:不明


 種族:スティンガープラント(ヴドァ)


 Lv3/30

 HP90/90

 MP60/60


 状態:普通


 常時発動:《共通言語理解》《擬態Lv.4》《触手Lv.10》《触手棘》《熱感知Lv.4》《魔力感知Lv.4》


 任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.2》《植物成長速度Lv.2》《植物鑑定》《水汲みLv.3》《血液吸収》《毒Lv.4》


 獲得耐性:《恐怖耐性Lv.4》《斬撃耐性Lv.5》《打撃耐性Lv.3》《刺突耐性Lv.2》《火耐性Lv.2》《風耐性Lv.1》


 魔法:《土魔法Lv.0》《魔導の心得Lv.0》


 称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 最近色んなものがハッキリ見えると思ったら、ステータス上がってたのか。


 夜の見張りの間、ずっと擬態してた事になってるのかな?視野が広いから、殆ど動いて無かったもんな。


 模擬戦で、倒さなくても、レベル上がるんだな。


 経験値を、そのまま経験に値する事だと考えると、納得はいく。対人戦闘には、大慣れてきたと思う。

 中堅辺りとも、いい勝負が出来るようになってきたしな。まだ、一回しか勝ってないけど、そこはおいおい頑張ろう。


 斬撃耐性が上がりやすい反面、刺突耐性は上がり難いみたいだな。やっぱり、刺突が弱点だからだろうか。


 毒は4に上がってるけど、神官系の奴らが、直ぐに治してしまうので、毒の威力が上がってる体感は無いな。


 ……。


 ステータスチェックはこんなもんか。


 部屋にいると、アルネアお嬢様を思い出すな。


 こんな調子で、お嬢様に会えるんだろうか?


 暗いことを考えても仕方ないな。街に出れるようになっただけで、アルネアお嬢様と会える確率が、グッと上がった。森から出られなかった事を考えれば、成果は出てると言っていいだろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前:モノリ 性別:不明


 種族:スティンガープラント(ヴドァ)


 Lv3/30

 HP90/90

 MP60/60


 状態:普通


 常時発動:《共通言語理解》《擬態Lv.4》《触手Lv.10》《触手棘》《熱感知Lv.4》《魔力感知Lv.4》


 任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.2》《植物成長速度Lv.2》《植物鑑定》《水汲みLv.3》《血液吸収》《毒Lv.4》


 獲得耐性:《恐怖耐性Lv.4》《斬撃耐性Lv.5》《打撃耐性Lv.3》《刺突耐性Lv.2》《火耐性Lv.2》《風耐性Lv.1》


 魔法:《土魔法Lv.0》《魔導の心得Lv.0》


 称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘


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