2話 卵です。買われました。
いきなりステータス
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名前:無し 性別:不明
種族:エッグモンスター
Lv.1/1
HP1/1
MP1/1
状態:進化可能(自然孵化30日後。魔力孵化即時。)
能力:《共通言語理解》《調べる》
魔法:
称号:意思ある卵(食べられたくないモンスターの卵が、ついに意思を持った卵。所詮卵なので、殆どが結局は食べられる。)
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なんだこれ?えっ、ってか、結局食べられちゃうのかよ……。
何、何で卵。ドーユーコト?
俺は確か……。あれ?卵になる前に、何かしていたはずだ。全く思い出せない。PCとか、テレビとか、他にもいろいろ、ゲームだのタバコだのがどういう物か思い出せる。
でもなんで卵なのに外の世界を知っているんだ。そもそも、卵に言語理解が必要な理由が分からん。後()の中身は、どうも《調べる》の効果みたいだ。
ま、まあ、全然良くないけど、それはいい。一先ず置いておこう。
最も憂慮すべき事は、今すぐにでも食べられる可能性があるという事だ。
どうしよ。でも、卵だしな。意思表示のしようがない。確かHPって耐久度的なヤツだよな。下手に動いて転げ落ちでもしたら、確実に割れるな。即死である。
……。詰んでないか?
俺が新しい人生(?)モン生に絶望していると、重い古いものを、力づくで押し開けるような音がする。
「あの〜モンたま下さい」
若い女の子の声が聞こえる。若いっていうか、幼いかな。中高生ぐらいか。
モンたま?モンスターの卵でモンたま。うん、成程。何でも略すんじゃ有りません。全く最近の子は全く。
「あ〜どれも同じ値段だから、適当に持ってきんしゃい」
今度は嗄れた女性の声が聞こえてきた。老婆かな。
老婆が俺を売ってる店の人で、女の子が買いに来たと。……早速ピンチじゃん!食べられるじゃん!選ばれたくねー!
「あれ、これだけ色も模様も、変なの入ってる。どぎついピンクに、緑の星柄なんて変な卵」
今何となく触られてるような感覚がある。もしかして、どぎついピンクって俺の事?俺センス無くね。いや、俺のせいじゃないけど。
一体なんのモンスターなんだよ。変態的過ぎるでしょ。もうちょっと、色合いどうにかならなかったのかよ。
「お婆さん。これも同じ値段?」
「そうだよ。見た目が美味しく無さそうだから、買っていってくれると嬉しいねぇ」
「いや、私もこんな変な色の卵食べないし、モンスターの卵なんて食べるのスラムの子供ぐらいよ!」
「なんせ、街の外に出れば、あっちこっちに落ちてるし、安いからねぇ。じゃあ、あんたモンスターテイマーかい?じゃあ、その変な色の卵でも、問題無さそうだね」
「そうね!寧ろ珍しいモンスターが出てくるかも知れないわ!」
「危険なモンスターの巣から持ってきた訳じゃなく、その辺で薬草採取のついでに、見かけたから拾ってきたんだろうさ。あんまり期待しない方がいいよ。少なくとも、レアモンスターの卵なら、こんな所で投げ売りされてないからね」
おぉ。おぉ!?これは、喰われずに済むのか?済むんだよな!やったぜ!
モンスター生、卵食卓エンドを回避したぞ!ありがとう、母モンスター。変な色の卵に産んでくれて。本当にありがとう!
フワッと浮遊感がした後、定期的なリズムで卵全体が揺れる。女の子に買われて、抱えられてるんだろうな。
「買ってしまったわ。もしこれで、戦闘用のモンスターが産まれなかったら、私の人生終わりなのよね」
前言撤回。
重い。重いよ、話が。選ばれたく無かった。
これ俺強いモンスターじゃ無かったら、一生恨まれるじゃん。俺悪くないのに。理不尽!なんて理不尽。
モンスターの卵の時点で、ろくな事にならない気はしてたさ。でも、俺だって夢見たっていいじゃん?少しだけ、ほんのちょっとだけ、モンスターの卵って分かった時に、ドラゴンとか期待したんだよ。
話を聞くにどう考えてもドラゴンは無い。なんなら強い可能性が殆ど無い。
嫌だー!テイムされて他人に隷属させられるのも嫌だけど、主人から恨まれ続けるとか、どんな拷問だよ!ヤダよ!
大体自分の人生かかってるのに、弱い卵買いに来るんじゃねーよ。
「ふぅ。ようやく部屋に着いたわ。モンスターの卵だけあって大きいし重いのよね。はぁ〜。明日の試験ヤダな。進級試験に初心者用の卵なんて持っていったら、皆に笑われるに決まってるわ。明日なんて来なければいいのに」
その気持ち分かるぞ少女よ。進級ってからには学校なんだろう。しかもテイマーの。その試験に俺を使うと。
わざわざそんな大事な日に、皆に笑われると分かってる卵を持って行くって事は、何らかの理由で、それしかモンスターの入手手段が無かったんだな。
でもさ〜何で俺選んじゃうかな。なまじ意思のある分、期待が重いんだけど。こんなことなら、喰われた方が気が楽だったんじゃないだろうか。
なんとか恨まれるのを回避しようとしたのだが、如何せん何も出来ることがない。まあ、卵だしな。せめてモンスターの意思を持った卵なんだから、視覚の確保と、手足ぐらい生えててもええんやで。
最初に見たステータス画面は、いつでも呼び出せるようで、割と重宝している。ステータス画面を閉じちゃうと、真っ暗で殻の硬い感触しかないし、時間も分からないので、ボーッと眺めてる分には最高だ。
ステータス画面と延々にらめっこしていると、三角の下矢印が出ていることに気付いた。
状態:進化可能▼というツリー表示になっていて、開けるようだ。
表示をつついて見ようとしても、何も起きない。しかし下矢印が出てるんだから、どうにか開けるはずだ。
まだ手足が無いので、念じてみるか。
ひらけ〜ひらけ〜
おっ開いた!
ステータス画面は念じると開く。中の表示も同様っと。ひとつ賢くなったな。
どうやら表示されたのは進化先のようだ。
自然孵化:ホワイトスライ厶
魔力孵化:スライム・ミニゴブリン・モノリーフ・フィーフィア
五種類から選べるのか。テイムされるのって自然孵化なのか?《調べる》の出番だな。
魔力孵化(外部干渉を受けた時の孵化)
多分だけど、テイマーのテイムによる孵化は外部干渉に当たるよな。って事は、ホワイトスライムにはなれないって事だな。
ホワイトスライム(凄く弱い。白い。微弱回復)
ふむ。《調べる》は大分ムラがあるみたいだ。称号の説明ぐらいにしか使えなさそうだな。外部干渉に関しても、よく分かんないし。
あんまり意味があるか分からんが一応全部見るか。
スライム(最弱)
ミニゴブリン(限りなく最弱。小柄なゴブリン)
モノリーフ(弱い葉っぱ。動く)
フィーフィア(最弱。可愛い。ふわふわ)
どう贔屓目に見ても、自然孵化のホワイトスライムが一番強そうだ。
参ったな。どう考えても戦闘向きじゃない。絶望しかない。
取り敢えず、進化すれば最強になれる可能性を秘めているとしても、求められてるのは、産まれた時点でそこそこ強いモンスターだ。
故に最弱と断言されてしまているスライムとフィーフィアは、産まれた時点で処分されかねない。却下だな。
残るは、ミニゴブリンとモノリーフか。
つーか、卵から葉っぱって意味不明だよな。ファンタジー過ぎるでしょ。まあ、そんな事言い出したら、人型のゴブリンが卵生な訳無いし、スライムの卵ってなんだよってなるし、フィーフィアについては情報が足りん。
ミニゴブリンとモノリーフで、小一時間(体感)考えた結果、一番説明がマイルドなモノリーフにする事にした。葉っぱとはいえモンスターだし、動くって書いてあるしな。
それにミニゴブリンは嫌な予感がする。予想だが、ゴブリン系なら、ベビーゴブリンかゴブリンで産まれて来るのが普通な気がするんだ。だから、ゴブリンキングとか、ゴブリンジェネラルみたいなのがいると仮定して、それにミニゴブリンは進化できない気がした。
モノリーフとか、スライムやゴブリンみたいな定番感がないので、能力が頭打ちだったり、進化先が激弱だったりしないか不安だ。
ポジティブにいこう、ポジティブに!
要するに葉っぱだろ?二酸化炭素を、酸素に変えれるわけじゃん?生きてるだけで人の役にたつじゃん。それに食事も光と水だけで、生きていけるのではないか?
俺のぼんやりとした記憶にある前世より、人の役に立ってる気がする。前世の俺、モンスターの弱い葉っぱより役立たずとか、可哀想過ぎんだろ。泣けてきた。
名前:無し 性別:不明
種族:エッグモンスター
Lv.1/1
HP1/1
MP1/1
状態:進化可能(自然孵化30日後。魔力孵化即時。)
能力:《共通言語理解》《調べる》
魔法:
称号:意思ある卵