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19話 スティンガープラント

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前:モノリ 性別:不明


 種族:スティンガープラント(ヴドァ)


 Lv1/30

 HP82/82

 MP53/53


 状態:普通


 常時発動:《共通言語理解》《擬態Lv.2》《触手Lv.10》《触手棘》《熱感知Lv.2》


 任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.1》《植物成長速度Lv.1》《植物鑑定》《水汲みLv.3》《血液吸収》《毒Lv.3》


 獲得耐性:《恐怖耐性Lv.4》《斬撃耐性Lv.3》《打撃耐性Lv.2》《刺突耐性Lv.2》


 魔法:《土魔法Lv.0》


 称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 これが進化後の俺か。結構HPとか見るに、強くなってるな!


 それはいいとして……。


 まあ、色々言いたい事がある。まず、ヴドァって何。上手く発音出来ないんだが?


 系統とか、自生してる地方とかの名前の可能性も出てきたな。結論から言えば分からん。気になるぜリーフィリア。一体なんの事だったんだろう。


 熱感知のお陰で、上から俯瞰してる様な、普通に人間の時みたいに見えてるような、不思議な感じがする。


 気分はイーグルアイ!慣れが必要だな。


 お陰で自分の姿が見える。実に禍々しい。進化先間違えたか?

 いや、モンスターという凶悪な存在が、進化という名前で更に凶悪な存在に昇華される訳だから、正しいのかもな。


 外見をパッと説明すると、滅茶苦茶禍々しい木イチゴみたいな感じだ。


 熱感知の代わりか、あのデカい目玉が無くなった。意外と気に入ってたんだけどな。


 無数にあった触手が、更に過剰に増量され、それの全部に、やたらめったら棘がついてる。

 触手の先に実がついてるもの、花が咲いてるもの、棘の部分が棘じゃなく葉になってるものが、少しずつあるみたいだ。


 葉のついた少数の触手は、おぞましい三センチ近い棘に守られながら、日を浴びるためか競うように上の方についてる。


 花は花嫁衣裳の様な美しい白い姿を、毒々しい緑が斑に汚していて、不穏さを醸し出していた。


 実は艶々としていて、とても甘そうな黒っぽい赤色で、木イチゴのようなブドウのような見た目、ジャムにでもしたら非常に美味しそうだ。

 きっと甘い匂いがするだろう。甘い匂いに誘われて、小鳥が羽根を休めに来ても、おかしくない。


 実と花の部分だけ、巧妙に棘で守られていない。誘われた虫や鳥を、毒荊棘の牢獄に捕らえて離さない為に。


 きっとこの植物の元には、旅人の死体が集まる事だろう。腹を空かせた旅人が、甘い匂いに誘われて、毒の棘に触れてしまうのだ。

 しかし、時折果実を持ち帰らせるだろう。より犠牲者を増やす為に。


 想像以上に、危険な植物系モンスターに進化してしまったな。


 俺の本体は何処なんだろうか?触手は能力の一部で、花や実は取られたりしても問題ないはず。


 自分の中に意識を集中してみるか。


 ……。


 無数の刺々しい触手に囲まれた幹の中心に、荊棘のボールみたいなものがあって、その中に核、本体が有るみたいだ。


 倒すには触手に絡め取られない速度で、核の一点を貫く必要があると言えるな。


 核は小さい訳では無いので、熟練の槍使いや長剣使いなら苦戦せずに倒せるだろう。弓とか銃でも倒せそうだな。異世界に銃が有るかは知らんけど。


 逆に、核に届かない武器しか持ってない場合は、絶対倒せないな。

 グラップラーとか突進系のモンスターには、天敵だろう。


 棘に毒が有るみたいだけど、全身金属鎧とかは、倒せそうに無い。

 遠距離からの魔法攻撃を、一方的に受け続けても殺られるな。


 思いの外弱点が多い。モノリーフの進化先だし、モノリーフから考えれば相当強くなってるし、仕方ないね。


 こんなに刺々しいのに、なんで擬態が上がってるんだろう。

 モノリーフに比べれば、触手を全部地面に潜ませれば、ただの木イチゴに、見えなくもないかもしれない。と、思う。……多分。


 後、気になるのは《毒Lv.3》


 《毒Lv.3》:一週間腹を下す程度。一番簡単な解毒魔法で治療可。


 なんか、思ってたのと違う。


 腹下して、じわじわと体力は奪ってくんだろうけど、そうじゃない。体力の奪い方がイメージと違いすぎる。

 そんな、間違って毒キノコ食べました、みたいな効果なの?モンスターなのに、しょぼくないですかね?


 という事は、俺と戦った戦士は───────


「っく、毒をもらっちまった」

「大丈夫か戦士!?」

「畜生!腹が痛てぇ!もう、俺はダメかもしれない」

「死ぬな戦士!直ぐに神官のところに運んでやる!」

「駄目だ。揺らされたら、出ちまいそうだ」

「そんな!俺を庇わなければ、漏らすのは俺だったのに……!」

「良いんだ。イケメン剣士に漏らさせる訳にはいかねぇからな。漏らすのはおっさんに任せとけ……ック!」


 ───────みたいな、やり取りになってしまうのか。


 色んな意味で辛過ぎる。絵面が最悪だな。


 異世界転生かと思ったら、ギャグコメディだったでござる。


 積極的にモンスターに使って、人間と戦うまでに毒のレベルを上げておこう。このままだと、血塗ろとは違う意味で、大惨事になる未来しかみえない。


 進化してから、力が漲ってくるようだ。早くこの身体の力を試したい。モンスターは強くなればなる程、好戦的になる可能性はあるな。


 一応仮説として、置いておこう。


 まあ、この議論、参加者俺と触手と花ぐらいしか、いないんだけどな。実質一人だな。


 にしても、このトゲトゲじゃお嬢様を包んで逃げたり、椅子になったり出来なくなってしまった。

 さっき進化したばっかりだけど、早く進化してトゲを無くさないとな。お嬢様の使用人の真似事も出来やしない。


 そういえば、進化したら口が欲しかったのに、目すら退化したんだが、おかしくないですか?

 何処に向かってるんだろう俺は。お嬢様達と話せる日は来るのか?早く話せる日が来ないと、独り言が加速し過ぎて、俺に独り賢者と呼ばれてしまう。


 今はお嬢様の事は置いておこう。


 この滾る気持ちを鎮める為に、地面をバンバン叩きながら歩き回る。

 独り賢者の最初の犠牲は、やっぱり因縁の鹿かな。俺が一方的に、鹿に因縁つけてるだけな気もするけど。


 経験値が、欲しいだけなら、鹿追いかけてる時に見た、巨大昆虫や怪鳥を倒せばいいんじゃないだろうか。


 ……。


 なんで、鹿に執着してたのか謎。


 そうと分かれば、目についたモンスターを片っ端から倒していこう。


 モンスターを探すために熱感知に集中すると、一つ分かったことがある。感知範囲を絞れば、熱の残滓みたいなのが見える事に。


 そして、熱の残滓みたいなのが、俺を中心に離れていってる。何でだろうか。


 原因は簡単だった。地面をバンバン叩きながら歩き回ってたせいだ。叩くのを止めて三十分ぐらい歩いたら、熱の残滓は逃げて行かなくなり、そこに鳥がいましたとさ。


 誰も居なくて良かった。人様に、究極のお馬鹿を晒すところだった。


 恥ずかしくて外に出れない!とも思ったが、俺の核は荊棘の中にずっと引きこもってるんじゃん。

 引きこもりながら、森を移動する俺凄い。


 しばらく、息を潜めながら(息してないけど)移動していると、足跡型の熱の残滓に辿り着いた。


 これは大きさからして、人の足跡だろうな。多分大人だろう。


 お嬢様達と居る時に出会った、三人の騎士見習い達は、調査に来たといっていたな。


 調査に来たのは、彼等だけじゃないだろう。他にも何ヶ所かに分けて、見習いを派遣したはずだ。俺ならそうする。


 モンスターがいる所に、しかも、魔王の復活で森が荒れてる時に、たった数人だけ送っても、調査なんて出来る訳ないからな。


 そして、調査隊が戻ってこなければ、また別の、より強い人を送ってくるだろう。


 魔王の尖兵達が進軍してる時に、森の調査なんかに人員を割いてる場合なのかは謎だが、目の前の足跡は事実だ。なら、送ってきたんだろうな。


 五分ほど熟考した結果、足跡を逆に辿り、森を出る事にした。


 お嬢様を探さねば。

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 名前:モノリ 性別:不明


 種族:スティンガープラント(ヴドァ)


 Lv1/30

 HP82/82

 MP53/53


 状態:普通


 常時発動:《共通言語理解》《擬態Lv.2》《触手Lv.10》《触手棘》《熱感知Lv.2》


 任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.1》《植物成長速度Lv.1》《植物鑑定》《水汲みLv.3》《血液吸収》《毒Lv.3》


 獲得耐性:《恐怖耐性Lv.4》《斬撃耐性Lv.3》《打撃耐性Lv.2》《刺突耐性Lv.2》


 魔法:《土魔法Lv.0》


 称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘


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