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137話 偵察

少し短め。

 砂漠の街で買い物を終えた俺達は、現在話し合いの真っ最中だ。


 昼夜問わず休憩も睡眠もしで移動し続けられる俺のおかげで、目的の蒼い月までは、まだ大分ある。


 なので、アルネアお嬢様とアルテミスからの提案で、ヴァントス山脈に訓練も兼ねて偵察に行ってはどうかという話が出た。


「う〜んそうね。アレクを助けた時には、私たちはかなり強くなってる必要があるわ。いいんじゃないかしら偵察」


 アリアからは快諾をもらった。


 しかし、パーティで一番戦闘を求めてるはずのルンフォードは慎重派のようだ。


「山からモンスターが降りてくるのも、もう少し経てば落ち着く可能性も有りますし、アレクさんの為に霊薬の材料を採ることを考えたら、下手にヴァントス山脈のモンスターを刺激しない方が良いと思いますわ」


 それも最もだ。今回は『ピリューネの花』を採ってくればいい。無用な戦闘は避けるべきだ。


「でも、貴重な素材はモンスターが好んでたり、モンスターが守ってたりする事が多いのよ?採りに行って見つけたけど、モンスターに負けて採って来れませんでした。では、行く意味が無いわ」


 アリアの言う事も納得がいくな。万が一の時、それにこれからアレクが起きれば龍の力を行使する勇者と同行する訳だ。


 今のうちに力を付けておいて損は無いだろう。


 と、双方特に間違った事は言ってないし、俺はアルネアお嬢様を危険な目に合わせたくない。でもなぁ〜魔王と戦おうという人間が、強いモンスターとの戦闘を避けてばかりでいいのだろうか?


 という感じで、考えが堂々巡りしているので、俺は口を挟まない事にした。まあ挟む口が無いんだが。物理的にな。


「じゃあ、こうしましょう?山の麓まで直接行かないで、遠回りしてはぐれた一匹だけのモンスターと、取り敢えず戦ってみるのはどう?」

「そうですね。それでしたら……ですが、歯が立たないようであれば即時撤退という事でいいですか?」

「まあ、死んだら元も子も無いしね。実際にヴァントス山脈のモンスターの強さを見ておくのは悪くないと思うの。どうしても無理そうなら、傭兵団を雇う必要もあるし」

「傭兵団ですか。こんな僻地に都合よく傭兵団が居るとは思えませんし、やはり私達だけで取りに行くしか無いと思いますわ」

「あら、私は大商人の孫よ?傭兵団が無いなら創ればいいのよ」


 流石アリアさんだぜ!ぶっ飛んであらせられるな!


「傭兵団を創る……ですか?」


 アルテミスが話に入ってくる。


「えぇ、この砂漠に住んでるんですもの、戦える人のが多いと思うのよ。良い考えでしょ?」

「敵が強過ぎる場合。手も足も出ない。しかし、素材は採って帰らなければならない。確かに良い考えです」

「流石ね。私のような貧乏貴族には思いつきもしないわ……」


 アルネアお嬢様のボソッっとした虚しい呟きが聴こえる。良かった。周りの反応を見るに、アルネアお嬢様の呟きを拾えたのは俺だけらしい。


「考え自体は素晴らしいと思うわ、でもあまり無茶をすると、後であのお爺様に怒られるんじゃないかしら?」

「っう……ば、バカねぇアルネア。怒られてから考えればいいのよ……」


 さっきまでのアリアとはうってかわって、あまりにも情けない返答だった。

 スーパー無双キッズアリアちゃんでも怖いもんは怖いらしい。


 ……傭兵団を創るねぇ。上手くいかんだろうな。


 砂漠の屈強な戦士達は、絶対にかの山脈へは向かわないだろう。


 宿屋の親父ですらあの山脈を危険な場所だと理解している。ならば、戦いを生業している戦士達が、それを知らない何て事が有るだろうか?


 それでも集まるとすれば、金に目が眩んだ奴と、アリアとのコネを作っておきたい奴ぐらいだろう。後はそれで命をかける奴が居るかは知らんが、外見は美女と美少女が集まってるパーティだから、釣られるやつも居るかもしれん。


 俺ならお断りである。例え絶世の美女の為でも、命まではかけたくない。


 まあ、下心のある奴らは来ないか。ナンパしたそうな奴らは、俺を見ては青い顔をしてるからな。モンスターの知識がなくても、砂漠で元気に動いてる植物系モンスターとか、絶対に関わりたくないのは分かる。それはそう。


 俺だって、水が無くても元気に跳ねてる魚のモンスターが居たら近付かんもん。


「とにかく、一度行ってみましょう!」

「分かりましたわ」

「じゃあ、夜のうちに出発しましょうか」

「昼間は動く気になれないし、それでいいわ」


 各々支度をし、俺に荷物を放り投げ、俺に乗ると準備は完了!


 うん。字面にするとかなりヤバいな。


「お客さん。こんな夜中に出るね?」

「あら、昼間に精算はしたんだから、寝ててよかったのに」

「うちの娘あんたぐらいね。だから何となく見送り来たよ。気をつけるね。夜の砂漠は寒いね」


 アルネアお嬢様を指してそう言った。同い年ぐらいの娘がいる身としては、心配なんだろう。それに滅多に来ない客が死んでしまったら悲しいだろうしな。


「そう。ありがとう」

「また来るね。そしたらなんか一品奢ってやるね」

「あら、いいの?」

「水なら出すね」

「あら、それは大歓迎ね」


 砂漠で水を出してくるなんて、それこそ大歓迎だろう。


 この店主は彼女達の何をそんなに気に入ったのだろうか?それとも、同い年の娘がいるとこんな感じなんだろうか?俺には娘も息子もいないので分からない感覚だな。


 快く送り出された俺達は、ヴァントス山脈の麓まで特に何事もなく着く事ができた。


「ヴァントス山脈思ったより危険なところね」

「そうね。氷王になったと思われる、フェンリルがいたグラ山脈より寒いわ」

「まさか登ってもいないのに、山から冷気が吹き降ろすように吹き荒れているとは……」

「入山するだけでも危険ですわ」


 これは想定外だ。


 寒過ぎる。一応持っている装備で対応はできるが、麓でこの寒さなら山頂付近に近付くことはできないだろう。


 氷王の上位版が居るって事か?もしくは冷気系のドラゴン……。


 冷気系のドラゴンなら、この星が滅びるんじゃないかみたいな寒さでも納得の一言だ。


 正直、崩壊の龍を見てからは、あいつらならなんでもありだと思ってる。


 気を引き締めて行こう。

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 名前:ヴァイス 性別:不明


 種族:デンスフォッグ(不明)


 Lv1/10


 HP1021/1021

 MP1001/1001


 状態:通常


 常時発動:《共通言語理解》《影無し》《音無し》《隠匿》《触手Lv.10》《触手棘》《上位感知Lv.8》《魔王の導き》


 任意発動:《薬草生成Lv.10》《植物成長速度Lv.10》《水汲みLv.10》《吸血・吸精》《猛毒Lv.8》《噴霧Lv.10》《全情報強制開示》《感知乱反射LV.3》《濃霧拡大Lv.4》《痺れの香Lv.2》《眠りの香Lv.2》《毒霧Lv.2》


 獲得耐性:《上位斬・打・刺突耐性Lv.1》《上位魔法耐性Lv.1》《邪法耐性Lv.10》《心耐性Lv.1》《ソフィアの加護》


 魔法:《土魔法Lv.10》《水魔法Lv.10》《氷魔法Lv.8》《魔導Lv.1》


 称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘 馬車馬 読書家 急成長 奪われしもの 魔王の誓約 エルフの盟友 斧の精霊(?) 罠師 魔導師 鑑定師 魔性植物 光を集めしもの 最上位モンスター

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